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プロローグ

プロローグ①

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何か異質な気配を感じて俺は目が覚めた。





「ん……ここどこだ?」





 落ち着け、まずは情報の確認だ。



 俺は確か学校の帰りにコンビニへ寄って……。

 そうだトラックに轢かれそうになっていた友達を助けたんだった。





 とてつもない衝撃で痛みも尋常じゃなかった。

 友達の安否を確認する暇も無く意識を失ったはずだ。





 じゃあここは病院か?

 それにしては人もいないし辺りが暗すぎる。

 例え夜中だとしてもベッドを覆うカーテンや廊下の光くらいは見えるはずだ。



 それもないってことは、どういうことだ?



 誘拐でもされたか?いやいや、事故直後の俺を誰が誘拐するんだよ。

 ならなんだ、最近数が多すぎて皆飽き飽きしてる異世界転生ですか?

 そういえば俺が助けた友達も異世界物をよく読んでいるって言ってたな。

 もし一緒に転生できたら楽しそうだな。

 第一アイツは俺が助けたんだし。行くなら俺一人か。

 何にせよ流石にそんなことはないよなーー。





「いや異世界転生だよ?」





 !?!?!?





「誰!?」





「神様です」





「は?神?そんなわけないでしょ。ここ日本だし」





「いやここ天界」





「……こんな暗くて何もない場所が?」





「暗いっていうけど目に優しい明るさにしたんだよ?それに起きた後に物がいっぱいあるより少ない方がいいと思って掃除したのに……。」





「なんか、色々気を遣って頂いてありがとうございます。」





「分かればいいのさ分かれば。」





 こいつうざいな。

 こんなのが本当に神なのか?

 百歩譲って俺が死に、ここが天界なのは認めたとしてもこいつが神なのは納得いかない。

 神ってのはもっと心優しい女神か厳かな男神じゃないのか?



 いかん、あまりの情報量に混乱してきた。いやもはや最初からずっと混乱してるか。

 そうだな……。いくつか質問して確認してみるか。

 これが現実でこいつが本当に神なのかを。





「神ってことは俺のこと何でも知っているんだろ?本当に神かどうか調べたいから答えてくれよ」





「いいとも。さぁ何でも聞いてくれたまえ」





「じゃあ一つ目。俺の名前は?」





「鈴木海斗」





「正解。二つ目。俺の年齢は?」





「15歳」





「正解。三つ目。俺が助けようとした友達の名前は?」





「あの子は友達じゃなくて幼馴染みじゃないのかい?名前は渡辺愛花」





「正解。……確かに幼馴染みだな。最後、というよりこれは俺からの質問だ。愛花は結局どうなった?」





「君の後ろにいるじゃないか」





「は?」





「だから君の後ろだよ。振り向いてごらん」





 言われるがままに後ろを見る。

 そこには……。





「よくも今の今まで私を無視して話してくれたわね、海斗」





「ちょ、何でここにいるの愛花!?」





「私も海斗と一緒に死んだからよ」





「俺が助けたんじゃ……」





「残念ながら助からずに二人まとめて死んじゃったみたい」





「何だよ……俺の行動は無意味だったのか」





「いや、決して無意味ではないよ。もし君が死んでいなければ彼女は一人で異世界に行くことになっていたからね。女の子が一人より君が一緒の方がずっといい」





「そっか……。ならまぁいいか。でもごめんな愛花。助けることが出来なくて」





「何言ってるのよ。異世界一人より二人の方がいいに決まってるじゃない。それに結果はともかくとして、助けに来てくれて嬉しかったわ」





「そう言ってくれると楽になるよ」





「海斗君も納得してくれたみたいだし雑談はここまでにして、そろそろ説明に入ろうか」





「頼む」

「お願いするわ」





「二人にはさっきから話している通り異世界転生してもらう。何で異世界転生するのかって言われると色々あるんだけど、今は運がよかったってことにしておいて。機会があったら話すから。次に転生する世界だけど、これは何種類かの中から選べるんだ。ロボット達が主役となるSFの世界、剣と魔法のファンタジーな世界、世界は同じだけど江戸時代初期にタイムスリップ、どれがいい?」





「「剣と魔法のファンタジーな世界で」」





 即答だった。
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