俺の幼馴染みが王子様すぎる。

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8、少し前進?〈累目線〉

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「あ、累。おかえり」
「あれ……、そら。どうしたの?」

 重たい足取りで帰宅すると、自宅の門扉の前に空が立っているのが見えた。傍には、見慣れない自転車が相棒のように停まっている。小学二年生の頃、『なかなかのれるようにならないなぁ』と落ち込んでいた空を思い出すと、なんだか妙に感慨深い気分になった。

「壱成が、ご近所さんからたくさん煮物もらってきちゃって。ちょっとお裾分け」
「へぇ、煮物?」
「壱成、おばちゃん受けいいからさ、色々もらってくるんだよね。今日はもうご飯食べた?」
「いや……まだ」
「食べる?」

 空から手渡された紙袋の中には、四角いタッパーが収まっている。かすかに香る出汁の香りに、忘れていた空腹を思い出す。

「美味しそう……」
「ねぇ累、なんかあった?」
「え?」
「なんか元気なくない? 音大でのレッスン、どうだったの?」

 そう言って、空が心配そうに累を見上げている。
 累は累で空の表情の変化には敏感だという自信はあるが、空もこうして気づいてくれる。ただそれが嬉しくて、ほっとして、累はふわりと微笑んだ。

「ううん、何でもない。大丈夫だよ」

 累は、灯のついていない家を見上げて「上がってく?」と空に尋ねた。すると空は「あー……」と少し迷うそぶりを見せたけれど、累が手にした紙袋を見て、小さく頷いた。

「じゃあ……累がご飯食べてる間、上がらせてもらおっかな」
「本当? 嬉しいよ、ありがとう」

 今は午後七時過ぎだが、今日も両親は帰りが遅い。累はいそいそと空を自宅に上げ、散らかっていたリビングを適当に片付ける。

 累の自宅のリビングは二階まで吹き抜けになっていて天井が高く、壁際の階段を登ると二階がある。リビングの横には両親の寝室があり、累の部屋は二階だ。
 そして二階にはもう一部屋、防音室が作ってある。幼い頃から、母親と練習する時は、もっぱらその部屋に引きこもりだった。そして今も、一人で練習する時はその部屋を使う。累にとっては、自室よりも落ち着く空間だ。

 リビングには壁掛けの薄型テレビと、その両サイドには縦長のスピーカーが置かれている。テレビの下にはチェストがあり、ずらりと古いレコードが並べられているのだ。累がキッチンで夕飯をあたためている間、空はチェストの前に膝をつき、レコードの列を興味深そうに見つめていた。

「やっぱり広いな~、累んち。俺んちがいかに庶民的かっていう……」
「そのほうがいいよ、空の家、落ち着くもん」
「そうかなぁ」

 電子レンジの中で温められゆく煮物を見守りながら、累は石ケ森賢二郎の音色を思い出していた。
 空がすぐそこにいるというのに、耳の奥には彼のヴァイオリンが絡みつくように残っている。

 夏目が認めているだけあって、賢二郎の演奏はさすがのように美しかった。それも、ただ音色が美しいだけではない。あの嫌味ったらしい口調からは想像もできないほどに、彼の奏でる音色は豊潤だ。柔らかでありながらも、しっかりとした『芯』のある音だった。

 漲る自信もさることながら、彼は純粋に音楽を愛しているのだろう。累に向けられていた刺々しい視線や台詞が嘘のように、弓を引く彼の表情は別人のようにたおやかだった。

 そして、やはり上手いのだ。主旋律を担う累の音色にそっと寄り添い、包み込むように絡みつく。チェロも、ヴィオラも、そしてセカンドヴァイオリンにも、それぞれどっしりとした安定感があった。主旋律を浮かび上がらせながらも豊かなハーモニーを生み出す技量を、皆が当たり前のように備えている。

『なぁ、音ずれとるで。自分のペースででやりすぎやねん、もっと周りの音も聴かなあかんやろ』『さすが、天才様はマイペースやなぁ~』などと練習の間に間にちくちくと言葉をかけてくる賢二郎に、「すみません」と返事をしつつ修正を加えていたけれど、何故だか妙に賢二郎の音が気になって、演奏自体に集中できなかった。

 そして帰り際、賢二郎はどこか勝ち誇ったような表情で、『なーんや。自分、わりと普通やねんなー』『凱旋公演とかしはるみたいやけど、ほんなんてオケと合わせられんの? あ、そうか、天才やからオケの方が合わせてくれんのかぁ』と言って笑うのだ。

 それを聞いた女性陣が『あんたいい加減にしなさいよ!』と賢二郎を叱っていたけれど、その言葉はすでに累の胸に棘を残していた。

 ドイツに渡り、累は『天才』『神童』ともてはやされたけれど、そういう周囲の声に浮つくようなことはないと思っていた。けれど、ハノーファーで最年少優勝を果たしてからこっち、やはり『自分は特別』と思い込んでいた部分があったのだと思い知らされた。

 努力に裏打ちされた着実な技術。秀でた才能を持つ者は、自分以外にもたくさんいるのだ、と。

「はぁ……」
「累? どうしたの?」
「え? あ、ううん。なんでもない、ちょっと疲れちゃって」

 煮物を咀嚼しながらぼうっとしていたらしく、向かいにいる空が怪訝な表情をしている。累は取り繕うように笑って見せ、「おいしい」と言った。

「母さん、相変わらず料理しないからなぁ」
「忙しそうだもんね。今日も仕事?」
「うん。日本にいるけど公演が詰まってるみたいで、週一で帰ってくるくらい。父さんは夜中に帰ってくると思うけど」
「そうなんだ……なんか、すごいねぇ」

 家族仲は悪いわけではないし、累にとってはこの距離感が普通なのだが、空はどこか寂しそうな顔をする。それもそうだろう。空の家族は累の目から見ても仲が良いし、絆が強いと感じる。
 
 幼い頃はそれを羨ましく感じたこともあったけれど、今累が欲しいのは、空との強い絆である。ややへこみ気味なこともあり、無性に空のぬくもりが欲しくなった累は、テーブルの上に置かれた空の手を握った。

「へっ? な、なに?」
「ちょっとでいいんだ。空を抱きしめてもいいかな」
「だっ……抱きしめ?」
「うん。……ダメ?」
「だ……だめ、ではない、よ」

 きゅ、と空の手を握る指に力を込めると、戸惑いがちに伏せられていた空の視線が持ち上がる。累と目が合うと、空はわかりやすく頬を赤く染めつつ、「いいよ」と言った。

 許可を得て嬉しくなった累は、さっそくのように立ち上がって空の手を取る。手を繋いでリビングに移動して、累は先にソファに座り、両手を広げた。

「僕の上に乗って、空」
「はっ……上!?」
「前みたいに、急に空を押し倒したらいけないから。空が僕の手綱を握ってて」
「た、手綱って……」

 累の台詞にさらに頬を赤らめる空だが、おずおずといった調子でこちらに歩み寄ってくる。累は微笑み、ぐいと空の手を引いた。すると空は「うわっ」と声を上げながら、累の膝の上に倒れ込んでくる。

 そのまま空を膝の上に跨らせると、改めて空の顔をじっと見つめる。こんなにも間近で、ゆっくり空の顔を見つめるのは、帰国して以来初めてのことじゃないだろうか。

 やや不安げにひそめられた眉や、昔と変わらない綺麗な瞳。幼い頃から触るのが好きだった空の耳たぶにそっと触れると、空はぴくっと肩をすくめた。柔らかく、ふわふわした耳たぶを弄びながら累が微笑むと、空は照れ臭そうに目を伏せてしまう。
 それを合図のように、累は空をぎゅっと抱き寄せた。

「……はぁ……」

 緊張しているのだろう、空の身体はかすかなこわばりを感じる。だが、累を拒絶するような気配はないし、空の匂いを吸い込むと、萎れかけていた心に力が戻るような気がした。

 幼い頃とは違い、空の肢体には筋肉の硬さがある。だが、ほっそりとしたしなやかさは抱いていて心地が良く、あたたかな体温が肌を通して伝わってくると、ようやく空のもとへ帰ってこられたのだと感じることができた。

「……練習、やなことでもあった?」
「え……?」
「俺、なんとなく分かるんだよ?」
「空……」

 こうして触れ合いながら心を見透かされてしまうと、意地を張ることなどばからしくなってしまう。累は一つため息をつき、今日の練習で感じたことや、賢二郎に言われたことをゆっくりと空に話した。

 空は何も口を挟まず、ただ累の話を聞いていた。そうしているうちに、だんだん空の身体から力が抜けていく。肩口に空の頭の重みを感じながら、累は最後にこう言った。

「初対面の相手との最初の練習だから……まぁ、あんなもんだと思うけどね。僕、ああいうタイプの演奏家と出会うのは初めてで、どう対応したらいいのかよく分からなくて、気疲れしちゃって」
「……なるほどなぁ。嫌味っぽい関西人かあ」

 ぎゅ……と空の手が持ち上がり、累の身体を抱き返す。累はどきりとして肩を揺らした。

「俺は素人だし、よく分かんないけどさ。音大生がうまいのは当たり前じゃん。みんな年上で、大学でずーっと音楽に触れてるわけじゃん? そりゃ、その分経験値も上に決まってるわけだし」
「……まぁ、そうだね」
「でも、累には累にしか出せない音色があるんじゃないのかなぁ。だからドイツの大きなコンクールでも勝てたんでしょ?」
「……僕にしか出せない音色、か」

 ハノーファー国際ヴァイオリンコンクールが開催された時期は、日本への帰国が決まって間もない頃だった。
 三年に一度開催されるこの大きなコンクールで賞を取り、空に誇れる自分になって帰りたいという想いが爆発し、これまでになく『獲らねば』と必死だった。相当集中していた。

 それもこれも、空に『すごい』と思われたいがため。『かっこいい』と思ってもらいたかったからだった。

 そんな裏事情も素直に語って聞かせると、空は「えぇ?」と気の抜けた声を出して顔を上げた。そしてようやく、笑顔を見せてくれた。

「もう、なんだよその動機! 累ってさぁ、涼しい顔してなんかすごく単純っていうか、なんていうか……」
「呆れた?」
「うん、ちょっとね。でも、嬉しいかも。それってさ、俺が累の力になれたってことじゃん? そりゃ、嬉しいよ」

 空はそう言って、小さく声を立てて笑っている。累もようやく笑顔になって、しばらく空と笑い合った。


 ——そうか、小難しいことを考える必要なんてない。僕は、空のためにヴァイオリンを弾けばいいんだ。


 いつだって、累の音色の向かう先は空だった。空のために、空が喜ぶ顔を想像しながら、音楽をやってきた。
 それを思い出した瞬間、心が浮き上がるように気持ちが軽くなる。累は空の腰を抱き寄せて、空の肩口に顔を埋めた。

「……ありがと、空。大好きだよ」
「えっ……あ、うん……」
「空のおかげだ、何もかも」
「んっ……」

 さらに強く、強く空を抱きしめる。やや苦しげに息を漏らす空の吐息に耳をくすぐられ、累の身体に燻り続けている熱が、じわじわと目を覚まし始めた。

「空……キス、してもいい?」
「…………へっ……!?」
「いや、かな」
「う……」

 空の身体に顔を埋めたまま、返事を待った。懇願にも近い、哀れっぽい口調になっていたかもしれないが、そんなことには構っていられない。空をもっと近く、深く感じたい。抱きしめているだけで気が狂いそうなほどに幸せで、愛おしくて、じっとしていることさえつらいのだ。

「……空、したいよ」
「っ…………ちょ、ちょっ」
「ん?」

 たどたどしい返事に、累はようやく顔を上げ、空を見つめた。予想以上に顔を赤く染め上げた空が、唇を震わせながら、何か言おうとしている。

「ちょっとだけ……なら、いいよ」
「ほ、ほんと?」
「で、でも……俺、したことないから、その……うまくできるか」
「いい、いいよ! 僕だってしたことない。空としか、したくなかったから」
「う……」

 未経験なことを恥ずかしがっているようだが、『経験がある』と言われた方がよっぽどショックだ。満を辞して空の初めてを奪えるのかと思うとそれだけで興奮が高まって、自然と笑みが溢れてしまう。

 親指で、空の唇に触れてみる。下唇のふっくらした可愛い唇だ。薄く開いたそこからは、戸惑いがちな浅い吐息が漏れていて、何もかも、飲み込みたくなる。

「っ……ん」

 空のうなじに手を添えて引き寄せ、累は空と唇を重ね合わせた。その弾力と、やわらかさと、悲願を達した歓喜のあまり、頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 ただ、がっつかないように、怖がらせないようにと、気遣わなければ。だが、一度重なり合った唇を離し難く、累は角度を変えてもう一度空にキスをした。味わうように下唇を食み、軽く吸い、その感覚に酔いしれて——

「は……っ……るいっ……」
「ん……?」
「ちょっとだけ、って、いったのに……っ」

 ようやく伏せていた目を開くと、頬を火照らせ、とろんと力なく累を睨む空の姿が目の前にある。これまでに見たことのない、しどけない空の表情に全身が昂って、累は一瞬我を忘れた。

「空……そら」
「まっ……まってってば、るいっ……」
「いやだ、もういっかいして。空、もっとしたいよ」
「ん、んっ……」

 膝の上に座った空を逃すまいと強く掻き抱き、食らいつくようなキスを浴びせる。薄く開いた歯列を割り、ぬるりと舌を忍び込ませた。びく、と身体を震わせる空の反応に気づいていながらも、丸みのある後頭部を掌で捕まえて、空の中を味わった。


 ——これが、空の味……。


「るいっ……! ハァっ……こらっ……」
「はぁ……っ、そら、空……」
「ん、っ……も、ばか累!! やめろって言ってんだろ!!!」
「いっ……!!!」

 そのままソファに押し倒しそうな勢いで空を求めていた累の舌に、激痛が走る。弾かれたように空から顔を離すと、膝の上から転がり落ちるように距離を取った空が、本格的にこちらを睨んでいることに気づき……。

 さぁぁぁぁ……と、累の全身から血の気が引いた。

「ちょっとだけって言ったのに、なにディープキスまでしてくれてんだよ!! びっくりすんだろ!!」
「ごっ……ごめ……、ごめんなさい!」
「なーにが『空の嫌がることはしない』だよ! 思いっきりひとりで突っ走ってんじゃんバカ累!!」
「ごめん……ごめん、そら。ごめんなさい」

 身体が勝手に、ソファの上で土下座をしていた。顔だけ上げて空を見上げると、空は頬を赤く染めたまま息を弾ませ、眉間にシワを寄せて怒り顔だ。

「……そ、そんなにいやだった? ごめん、本当に」
「い……い、いやってわけじゃないよ! ただ……びっくりしたんだよ、いきなり舌とか入れてくるし、返事しないし」
「ごめん……! 嬉しすぎて、興奮して」
「興奮……」
「き、気持ち悪くてごめん……! これからは気をつけるから」
「……気持ち悪くは、ないけど」

 そう言って、空は気まずげに目を逸らし、体側でシャツの裾を小さく握りしめた。累はようやく立ち上がり、空の肩に恐る恐る触れてみる。一応拒まれなかったので、ホッとした。

「ごめんね」
「……い、いーよ。俺もごめん、噛み付いて」
「ううん、いいんだ。止めてくれて良かった」
「つ……次はもっと、俺もちゃんと、できると思うから」
「次……? あ、う、うん……!! ぼ、僕もだ」

 これっきりではない、空もちゃんと、この先のことを考えてくれいてくれるのかと思うだけで、ふわふわふわと多幸感に包まれる。喜びのあまり累がにこにこしていると、ややふてくされたような空の表情が、ようやく少し和らいだ。

「……累、ほんとに初めてだったの?」
「え? 当たり前だろ」
「そ、そっか……すごいね」
「ん? 何が?」
「な、なんでもないよ!! あっ……そ、そろそろ俺、帰るから!」
「あっ、お、送るよ!」

 そう申し出るものの、空は足音も勇しく玄関の方へと歩きながら、「いーよすぐそこなんだからー!」と背中で怒鳴る。だが、後ろから見ていても、空の耳は分かりやすく真っ赤だった。

 多少やりすぎたことを反省しつつも、少しだけ空との関係が前に進んだことは、純粋に嬉しい。
 そっと自分の唇に触れながら、累はそっと微笑むのだった。
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