琥珀に眠る記憶

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第7幕ー断つべきもの、守るべきものー

最終話 自由の唄

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 珍しく晴れ渡った空に、小さな黒い影が歌いながら飛び回る。
 きらきらと輝く大地の上を、すいすいと泳ぐように。


 自由を喜ぶ朗らかな歌声に、真夏の太陽がさんさんと光を与える。
 まるで、幼い燕のはばたきを後押しするかのように。


 艶やかな黒い羽と、鋭く空を切る二本の尾っぽ。 
 白い胸を膨らませて誇らしげに歌う、小さな燕たち。


 その群れの中に、まだまだ年若い燕が一羽。
 ついさっき飛べるようになったばかりの若鳥が、一生懸命に黒羽を羽ばたかせている。


 皆に追いつきたいと空を見上げて、必死で羽ばたく。
 黒く伸びやかな翼を、めいっぱいに開いて。


 仲間たちがその若鳥の回りをくるくると舞い、彼を励ます。
 仲間たちに勇気づけられ、若鳥も風に乗り、高く高く飛び上がる。


 仲間と歌うは、自由の唄。
 高く、明るく、遮るもののない、この澄み渡る青空をゆく。


 胸に蘇る、幼気いたいけな感情。
 ただここにることを、嬉しく思うこの気持ち。


 軽やかに舞い、朗らかに歌う。
 人々に寄り添い、営みを共にしながら、燕たちは明るい声を響かせる。



 皆で歌おう。

 

 この素晴らしき、自由の唄を。


 


 



  
『琥珀に眠る記憶』 ・  完
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