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〈8〉※

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 前戯もそこそに挿入されてからずっと、この部屋の中には肌のぶつかり合う弾けた音と、俺たちの喘ぎ声が響き続けている。

「ぁっ……! ぁんん、んっ、んぁっ……!」
「……はぁっ……は、……スゴっ……締めつけやば……」
「ん、んっぅ……まっ……まって、イってる、イってるからぁ……っ」
「ごめ……腰、止まんない……っ。だって瑞希んナカ、ずっとうねって、俺のこと締めつけて……」
「や……、またくる、イクッ……!! ん、んんん……っ!!」

 四肢で夕翔を抱きしめながらビクビクッ……! と全身を震わせながら中イキする俺につられたのか、夕翔も「っ……出る、っ……っ……」と呻くように囁いて、俺の双丘に腰を叩きつけた。

 ゴムをしていても、びゅくびゅくと中で放たれる夕翔の精液の熱さと量を感じてしまい、またそれに興奮を煽られてしまう。

「はぁ……はぁ……。待って……ゴム替える」
「んん……も、無理だって……」

 ずるんと夕翔のそれが抜き去られ、俺はぐったりと床の上で脱力した。

 あれだけ何度も出したくせに、夕翔のペニスはまだ余裕で力を保っているようだ。口にゴムの袋を咥えながら、白濁をたっぷり溜め込んだそれを外す夕翔を見上げながら、俺は自らの放ったもので濡れた下腹をのろのろと見下ろした。


 ——も……どっちで何回イかされたかわかんないな……


 そろそろ疲れたし限界だ。肌も濡れて気持ち悪いし、シャワーを浴びたい。

 シャワーを求めてのろりと身体を起こし、四つ這いになった途端、がしっと腰を掴まれたかと思うと、ずぷん……! とバックで挿入された。

「ァっ……! も、勝手に……っ!」
「逃げんなよ、まだ終わってない」
「逃げてないしっ、……ってか、まだすんの……?」

 すっかり汗ばんだ俺の背中を、夕翔の指先がつう……と撫でる。ぞわぞわと込み上げてくる甘い快感に「あ、あ……ん」と背中をしならせる俺の隙を突くように、ずん、ずんと再びピストンが始まった。

「……ねぇ、やめたい? 本当に?」
「ん、あっ……ァっ……はぁ、こら、ゆうひ……っ!」
「……こんなに、ナカひくひくさせて、俺のこと欲しがってるのに?」
「うるさいばか、っ……! ァっ……、ん、ぁんっ」

 四つん這いで腰を掴まれ、ぱん! ぱん! と敢えてのように音を響かせながら腰を叩きつけられていると、妙に嗜虐心をくすぐられるような心地になってくる。

 されるがままに揺さぶられながらのろりと後ろを振り向いてみると、熱に浮かされたような表情で腰を振る夕翔と目が合い、きゅううんとまた内壁が締まってしまう。

「ぁ、あっ……」
「っ……瑞希、締めすぎ……。マジで良すぎるんだけど」

 ぐ……とさらに強く腰を掴まれ、ぎりぎりまで引き抜かれた夕翔のペニスが、勢いよく最奥まで突き立てられる。
 すっかり熟れて敏感になった内壁とともに、前立腺を硬い切先で擦り上げられ、俺は腕を突っ張っていることができなくなった。

 尻だけを自ら高々と差し出して、荒々しい抽送に歓喜する肉体はまるで自分のものではないようだった。

 夕翔のまっすぐな感情に熱せられ、俺の情感にも火がついてしまったらしい。これまでにないほどにどこもかしこも鋭敏に夕翔の愛撫に反応し、歓喜している。

 もはや声を我慢することも羞恥心も全て忘れて、俺は夕翔とのセックスに溺れていた。夕翔がこんなにも情熱的に俺を抱くのも初めてのことだ。

 この三年半、何度も身体をつなげていたはずなのに、まるで初めて夕翔に抱かれているような気分だった。

「ぁ、ぁう、あ、あッ……!!」
「ああ……イイ、瑞希んナカ、良すぎて……っ、はぁ……」
「ぁ、あっ、きもちいい……っ、んっ……ゆうひの、きもちいい……っ」
「……っ、そのセリフやばいって、かわいすぎ」
「ん、……うぁ、なんかくる、スゴイの……っ……ん、んんんっ……!」

 もうイけないと思っている俺の感情を上塗りするように、何度でも達してしまう。そのたび夕翔のペニスを浅ましく締めつけて、種を搾り取るかのように。

 そのあともバックのまましばらく俺を抱いていた夕翔も、ようやく限界に達したらしい。

 俺の隣に横たわり、はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返していた夕翔の手が、そっと俺の首筋を撫でた。

「ん……」

 うつ伏せになっていた俺と視線を合わせて、夕翔は無防備な笑顔を浮かべた。

「瑞希、好きだよ」
「うん……今更だけど、すごい、伝わってきた気がする。……夕翔の、気持ち」
「ははっ、遅すぎかよ。……でも、嬉しい。今日はちゃんと瑞希とエッチしてるって感じがした」
「はは……。俺らもう、数え切れないくらいエッチしてんのにな……」
「ほんとそれな」

 お互い気の抜けた顔でしばらく笑い合ったあと、俺たちはまたキスをした。
 何度も、何度も。

 あれだけ感じていた兄貴へ向かう苦しい感情は、気づけばすっかりと消え失せている。

 失恋の苦さは今もある。
 だが、痛みはない。

 夕翔を失う強さを知り、夕翔の本音を知った俺は、最も大切にすべき相手が誰なのかと言うことに、ようやく気づくことができたらしい。




 了
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みんなの感想(1件)

iku
2023.06.27 iku

餡玉先生🙏素敵なハピエン💕ありがとうございました😭 最初は瑞希くんのお兄さんに対する想いが切なく、その上、夕翔くんからも別れ話と来たので、Wショック😰を受けましたが…🤭 でも、夕翔くんのこの三年半の想いを考えると、更に切なくて…😓 そこからのこんなにも甘々のお話になるなんて、なんて素敵な❣️🥰 
まだまだおふたりの甘々両想い恋人編〜社会人編まで、妄想しております🤤😘 夕翔くん!瑞希くんと想いが通じ合えて本当に良かったね〜〜🥹😁

餡玉先生、ご体調ご快復されて本当に良かったです🙏
これからも作品楽しみにしております(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)

餡玉
2023.06.27 餡玉

ikuさま

ご感想をお寄せいただき、まことにありがとうございます😊✨
ラブラブでくっつく兄弟の話も大好きなのですが、
たまにこういう報われない兄弟の話も書きたくなってしまいます😅
瑞季が兄に恋焦がれる気持ちはまだ簡単には消えないかもしれませんが、
日常を心地よく過ごせる夕翔への想いを、これからは大切に感じていけたらいいな〜と💕

一度強めに突き放してみたことで、ようやく自分を見てもらえるようになり、
夕翔もここまでがんばったなあと思います🥹✨

恋人編や社会人編の妄想までありがとうございます💕
風邪をひいて寝込んでいるときにぼんやり思いついたお話でしたが、形にできてよかったです!
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします🙏✨

解除

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