8 / 8
〈8〉※
しおりを挟む
前戯もそこそに挿入されてからずっと、この部屋の中には肌のぶつかり合う弾けた音と、俺たちの喘ぎ声が響き続けている。
「ぁっ……! ぁんん、んっ、んぁっ……!」
「……はぁっ……は、……スゴっ……締めつけやば……」
「ん、んっぅ……まっ……まって、イってる、イってるからぁ……っ」
「ごめ……腰、止まんない……っ。だって瑞希んナカ、ずっとうねって、俺のこと締めつけて……」
「や……、またくる、イクッ……!! ん、んんん……っ!!」
四肢で夕翔を抱きしめながらビクビクッ……! と全身を震わせながら中イキする俺につられたのか、夕翔も「っ……出る、っ……っ……」と呻くように囁いて、俺の双丘に腰を叩きつけた。
ゴムをしていても、びゅくびゅくと中で放たれる夕翔の精液の熱さと量を感じてしまい、またそれに興奮を煽られてしまう。
「はぁ……はぁ……。待って……ゴム替える」
「んん……も、無理だって……」
ずるんと夕翔のそれが抜き去られ、俺はぐったりと床の上で脱力した。
あれだけ何度も出したくせに、夕翔のペニスはまだ余裕で力を保っているようだ。口にゴムの袋を咥えながら、白濁をたっぷり溜め込んだそれを外す夕翔を見上げながら、俺は自らの放ったもので濡れた下腹をのろのろと見下ろした。
——も……どっちで何回イかされたかわかんないな……
そろそろ疲れたし限界だ。肌も濡れて気持ち悪いし、シャワーを浴びたい。
シャワーを求めてのろりと身体を起こし、四つ這いになった途端、がしっと腰を掴まれたかと思うと、ずぷん……! とバックで挿入された。
「ァっ……! も、勝手に……っ!」
「逃げんなよ、まだ終わってない」
「逃げてないしっ、……ってか、まだすんの……?」
すっかり汗ばんだ俺の背中を、夕翔の指先がつう……と撫でる。ぞわぞわと込み上げてくる甘い快感に「あ、あ……ん」と背中をしならせる俺の隙を突くように、ずん、ずんと再びピストンが始まった。
「……ねぇ、やめたい? 本当に?」
「ん、あっ……ァっ……はぁ、こら、ゆうひ……っ!」
「……こんなに、ナカひくひくさせて、俺のこと欲しがってるのに?」
「うるさいばか、っ……! ァっ……、ん、ぁんっ」
四つん這いで腰を掴まれ、ぱん! ぱん! と敢えてのように音を響かせながら腰を叩きつけられていると、妙に嗜虐心をくすぐられるような心地になってくる。
されるがままに揺さぶられながらのろりと後ろを振り向いてみると、熱に浮かされたような表情で腰を振る夕翔と目が合い、きゅううんとまた内壁が締まってしまう。
「ぁ、あっ……」
「っ……瑞希、締めすぎ……。マジで良すぎるんだけど」
ぐ……とさらに強く腰を掴まれ、ぎりぎりまで引き抜かれた夕翔のペニスが、勢いよく最奥まで突き立てられる。
すっかり熟れて敏感になった内壁とともに、前立腺を硬い切先で擦り上げられ、俺は腕を突っ張っていることができなくなった。
尻だけを自ら高々と差し出して、荒々しい抽送に歓喜する肉体はまるで自分のものではないようだった。
夕翔のまっすぐな感情に熱せられ、俺の情感にも火がついてしまったらしい。これまでにないほどにどこもかしこも鋭敏に夕翔の愛撫に反応し、歓喜している。
もはや声を我慢することも羞恥心も全て忘れて、俺は夕翔とのセックスに溺れていた。夕翔がこんなにも情熱的に俺を抱くのも初めてのことだ。
この三年半、何度も身体をつなげていたはずなのに、まるで初めて夕翔に抱かれているような気分だった。
「ぁ、ぁう、あ、あッ……!!」
「ああ……イイ、瑞希んナカ、良すぎて……っ、はぁ……」
「ぁ、あっ、きもちいい……っ、んっ……ゆうひの、きもちいい……っ」
「……っ、そのセリフやばいって、かわいすぎ」
「ん、……うぁ、なんかくる、スゴイの……っ……ん、んんんっ……!」
もうイけないと思っている俺の感情を上塗りするように、何度でも達してしまう。そのたび夕翔のペニスを浅ましく締めつけて、種を搾り取るかのように。
そのあともバックのまましばらく俺を抱いていた夕翔も、ようやく限界に達したらしい。
俺の隣に横たわり、はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返していた夕翔の手が、そっと俺の首筋を撫でた。
「ん……」
うつ伏せになっていた俺と視線を合わせて、夕翔は無防備な笑顔を浮かべた。
「瑞希、好きだよ」
「うん……今更だけど、すごい、伝わってきた気がする。……夕翔の、気持ち」
「ははっ、遅すぎかよ。……でも、嬉しい。今日はちゃんと瑞希とエッチしてるって感じがした」
「はは……。俺らもう、数え切れないくらいエッチしてんのにな……」
「ほんとそれな」
お互い気の抜けた顔でしばらく笑い合ったあと、俺たちはまたキスをした。
何度も、何度も。
あれだけ感じていた兄貴へ向かう苦しい感情は、気づけばすっかりと消え失せている。
失恋の苦さは今もある。
だが、痛みはない。
夕翔を失う強さを知り、夕翔の本音を知った俺は、最も大切にすべき相手が誰なのかと言うことに、ようやく気づくことができたらしい。
了
「ぁっ……! ぁんん、んっ、んぁっ……!」
「……はぁっ……は、……スゴっ……締めつけやば……」
「ん、んっぅ……まっ……まって、イってる、イってるからぁ……っ」
「ごめ……腰、止まんない……っ。だって瑞希んナカ、ずっとうねって、俺のこと締めつけて……」
「や……、またくる、イクッ……!! ん、んんん……っ!!」
四肢で夕翔を抱きしめながらビクビクッ……! と全身を震わせながら中イキする俺につられたのか、夕翔も「っ……出る、っ……っ……」と呻くように囁いて、俺の双丘に腰を叩きつけた。
ゴムをしていても、びゅくびゅくと中で放たれる夕翔の精液の熱さと量を感じてしまい、またそれに興奮を煽られてしまう。
「はぁ……はぁ……。待って……ゴム替える」
「んん……も、無理だって……」
ずるんと夕翔のそれが抜き去られ、俺はぐったりと床の上で脱力した。
あれだけ何度も出したくせに、夕翔のペニスはまだ余裕で力を保っているようだ。口にゴムの袋を咥えながら、白濁をたっぷり溜め込んだそれを外す夕翔を見上げながら、俺は自らの放ったもので濡れた下腹をのろのろと見下ろした。
——も……どっちで何回イかされたかわかんないな……
そろそろ疲れたし限界だ。肌も濡れて気持ち悪いし、シャワーを浴びたい。
シャワーを求めてのろりと身体を起こし、四つ這いになった途端、がしっと腰を掴まれたかと思うと、ずぷん……! とバックで挿入された。
「ァっ……! も、勝手に……っ!」
「逃げんなよ、まだ終わってない」
「逃げてないしっ、……ってか、まだすんの……?」
すっかり汗ばんだ俺の背中を、夕翔の指先がつう……と撫でる。ぞわぞわと込み上げてくる甘い快感に「あ、あ……ん」と背中をしならせる俺の隙を突くように、ずん、ずんと再びピストンが始まった。
「……ねぇ、やめたい? 本当に?」
「ん、あっ……ァっ……はぁ、こら、ゆうひ……っ!」
「……こんなに、ナカひくひくさせて、俺のこと欲しがってるのに?」
「うるさいばか、っ……! ァっ……、ん、ぁんっ」
四つん這いで腰を掴まれ、ぱん! ぱん! と敢えてのように音を響かせながら腰を叩きつけられていると、妙に嗜虐心をくすぐられるような心地になってくる。
されるがままに揺さぶられながらのろりと後ろを振り向いてみると、熱に浮かされたような表情で腰を振る夕翔と目が合い、きゅううんとまた内壁が締まってしまう。
「ぁ、あっ……」
「っ……瑞希、締めすぎ……。マジで良すぎるんだけど」
ぐ……とさらに強く腰を掴まれ、ぎりぎりまで引き抜かれた夕翔のペニスが、勢いよく最奥まで突き立てられる。
すっかり熟れて敏感になった内壁とともに、前立腺を硬い切先で擦り上げられ、俺は腕を突っ張っていることができなくなった。
尻だけを自ら高々と差し出して、荒々しい抽送に歓喜する肉体はまるで自分のものではないようだった。
夕翔のまっすぐな感情に熱せられ、俺の情感にも火がついてしまったらしい。これまでにないほどにどこもかしこも鋭敏に夕翔の愛撫に反応し、歓喜している。
もはや声を我慢することも羞恥心も全て忘れて、俺は夕翔とのセックスに溺れていた。夕翔がこんなにも情熱的に俺を抱くのも初めてのことだ。
この三年半、何度も身体をつなげていたはずなのに、まるで初めて夕翔に抱かれているような気分だった。
「ぁ、ぁう、あ、あッ……!!」
「ああ……イイ、瑞希んナカ、良すぎて……っ、はぁ……」
「ぁ、あっ、きもちいい……っ、んっ……ゆうひの、きもちいい……っ」
「……っ、そのセリフやばいって、かわいすぎ」
「ん、……うぁ、なんかくる、スゴイの……っ……ん、んんんっ……!」
もうイけないと思っている俺の感情を上塗りするように、何度でも達してしまう。そのたび夕翔のペニスを浅ましく締めつけて、種を搾り取るかのように。
そのあともバックのまましばらく俺を抱いていた夕翔も、ようやく限界に達したらしい。
俺の隣に横たわり、はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返していた夕翔の手が、そっと俺の首筋を撫でた。
「ん……」
うつ伏せになっていた俺と視線を合わせて、夕翔は無防備な笑顔を浮かべた。
「瑞希、好きだよ」
「うん……今更だけど、すごい、伝わってきた気がする。……夕翔の、気持ち」
「ははっ、遅すぎかよ。……でも、嬉しい。今日はちゃんと瑞希とエッチしてるって感じがした」
「はは……。俺らもう、数え切れないくらいエッチしてんのにな……」
「ほんとそれな」
お互い気の抜けた顔でしばらく笑い合ったあと、俺たちはまたキスをした。
何度も、何度も。
あれだけ感じていた兄貴へ向かう苦しい感情は、気づけばすっかりと消え失せている。
失恋の苦さは今もある。
だが、痛みはない。
夕翔を失う強さを知り、夕翔の本音を知った俺は、最も大切にすべき相手が誰なのかと言うことに、ようやく気づくことができたらしい。
了
31
お気に入りに追加
221
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
無愛想な彼に可愛い婚約者ができたようなので潔く身を引いたら逆に執着されるようになりました
かるぼん
BL
もうまさにタイトル通りな内容です。
↓↓↓
無愛想な彼。
でもそれは、ほんとは主人公のことが好きすぎるあまり手も出せない顔も見れないという不器用なやつ、というよくあるやつです。
それで誤解されてしまい、別れを告げられたら本性現し執着まっしぐら。
「私から離れるなんて許さないよ」
見切り発車で書いたものなので、いろいろ細かい設定すっ飛ばしてます。
需要あるのかこれ、と思いつつ、とりあえず書いたところまでは投稿供養しておきます。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
身代わりオメガの純情
夕夏
BL
宿無しの少年エレインは、靴磨きで生計を立てている。彼はある日、死んでしまったレドフォード伯爵家の次男アルフレッドに成り代わり嫁ぐことを伯爵家の執事トーマスに提案され、困惑する。しかし知り合いの死を機に、「アルフレッド」に成り代わることを承諾する。
バース性がわからないまま、オメガのふりをしてバーレント伯爵エドワードと婚約したエレイン。オメガであることを偽装するために、媚薬を飲み、香水を使うも、エドワードにはあっさりと看破されてしまう。はじめは自分に興味を示さないかと思われていたエドワードから思いもよらない贈り物を渡され、エレインは喜ぶと同時に自分がアルフレッドに成り代わっていることを恥じる。エレインは良心の呵責と幸せの板挟みにあいながら、夜会や春祭りでエドワードと心を通わせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
餡玉先生🙏素敵なハピエン💕ありがとうございました😭 最初は瑞希くんのお兄さんに対する想いが切なく、その上、夕翔くんからも別れ話と来たので、Wショック😰を受けましたが…🤭 でも、夕翔くんのこの三年半の想いを考えると、更に切なくて…😓 そこからのこんなにも甘々のお話になるなんて、なんて素敵な❣️🥰
まだまだおふたりの甘々両想い恋人編〜社会人編まで、妄想しております🤤😘 夕翔くん!瑞希くんと想いが通じ合えて本当に良かったね〜〜🥹😁
餡玉先生、ご体調ご快復されて本当に良かったです🙏
これからも作品楽しみにしております( ꈍᴗꈍ)
ikuさま
ご感想をお寄せいただき、まことにありがとうございます😊✨
ラブラブでくっつく兄弟の話も大好きなのですが、
たまにこういう報われない兄弟の話も書きたくなってしまいます😅
瑞季が兄に恋焦がれる気持ちはまだ簡単には消えないかもしれませんが、
日常を心地よく過ごせる夕翔への想いを、これからは大切に感じていけたらいいな〜と💕
一度強めに突き放してみたことで、ようやく自分を見てもらえるようになり、
夕翔もここまでがんばったなあと思います🥹✨
恋人編や社会人編の妄想までありがとうございます💕
風邪をひいて寝込んでいるときにぼんやり思いついたお話でしたが、形にできてよかったです!
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします🙏✨