ロスト・ナイト—異世界から落ちてきたのは迷子の騎士でした—

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35、ふたりの時間

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 ゆっくりと風呂に浸かり、冷えた身体を温めた後、俺たちは互いに身体を拭きあいっこしていた。

 ティルナータに白いタオルをかぶせて髪をがしがしと拭っていると、ティルはタオルの下から腕を伸ばして俺の首に絡め、戯れるような可愛いキスをしてくれた。まだ少し水滴のついた白い肌を抱き寄せてキスに応じると、タオルがするりと滑ってティルナータの肩に引っかかる。


 俺はそのままティルナータを横抱きにして、ベッドに運んだ。
 レースカーテンの向こうには、傾き始めた陽の光がある。静かな昼下がりから、こうして裸のままくっつきあって時間を過ごすことが、とても贅沢なことに思えた。


「ユウマ……」
「ん?」
「セッティリオ様だった頃も……僕と、こういうことを、したかった……?」
「んー……どうだろう。そこまでは、考えてなかったかな」
「……そうなのか……?」
「うん。ティルの存在は、俺にとって神聖なもの……って感じだったから。こんなこと、できないよ」
「……ん、んっ……神聖だなんて……っ」
「ティルの存在は、希望そのものだった……。でも、今の俺にとっても、それは同じだよ」


 俺はベッドに横たえたティルナータに何度もキスをしながら、湿り気を帯びた金髪に指を絡めた。ついさっき、俺が洗ったティルの長い髪。しっとりと、髪が指に絡みつく感触でさえもとても愛おしく感じられ、俺は夢中でティルナータの口内を愛撫した。


「……んっ……ン……はぁっ……」
「ティル……本当に、いいの?」
「うん……。抱いてほしいんだ、最後まで、ちゃんと」
「……ありがとう」

 キスをしながら、裸体の上に手のひらを這わせると、ティルナータは小さく呼吸を乱して身をよじった。胸の尖がすでに硬く突き出していることに気づいた俺は、そこをやわらかく指先で捏ね、さらに硬くなる先端を指先で小刻みに撫でた。

「あっ……ぁ、……ユウマ……っ」
「かわいい、ティル……ここ、好き?」
「ん、んっ……そこは、ぁ……」
「気持ちいいところ、全部教えて……ティル」
「ん、あぁっ……」

 首筋から鎖骨を唇で撫で降り、俺はティルナータの乳首を唇に含んだ。唾液をたっぷり絡ませた唇で吸ったり離したりしてみると、ティルナータはそのたびに「んんっ!」「ぁ、っ!!」とかわいい声をあげて身を跳ねる。相当敏感になっているティルナータの全身を丁寧に手のひらで撫でながら、俺はしばらくティルナータの薄桃色のそれを舌で舐め転がしていた。

「あ……はぁっ……ゆうま……っ……僕、」
「……ん?」
「も……達してしまいそうで……っ……ぁ、んっ……」
「乳首だけで? すごいじゃん、ティル。エロいね」
「ぁあ、っ、あん」

 ふと下を見れば、ティルナータの性器は硬く勃起していた。白い肌によく似合う色の薄いティルナータのペニスからは、とろとろと透明な体液が溢れている。それは清らかでありながらとても淫らで、俺は妙な興奮を感じてしまった。

「……舐めていい?」
「えっ……ぁ、」
「ここ……俺の口の中で、イってよ」
「あ、でも、そんなっ……ァっ……」

 返事など聞かず、俺はティルナータのペニスを深く咥え込んだ。白い脚を開かせながら水音を立ててフェラチオをしていると、ティルナータはさっきよりもいっそう激しく身悶えて「ぁ!! ぁんっ……ゆうまぁっ……」と気持ち良さそうな声を出してくれた。

 屹立に舌を絡めながら喉の奥を締めると、ティルナータは「いくっ……! でちゃうよ……!」と言って腰をよじった。俺の口から性器を抜き去ろうとしているのであろう動きだが、俺はティルナータの太ももを掴んでそれを阻止する。

「ぁ、ああっ……ぁ、だめ、だめだっ……ン、んんっ……んん……っ!!」

 喉の奥に、熱いものを感じた。俺の口で絶頂してくれたことが嬉しくて、俺はティルナータの精液を余すところなく吸い上げる。その感覚があまりにも強烈だったのか、ティルナータは俺の肩をぐいぐいと押してくる。

「や、やっ……はなせっ……」
「ごちそうさま」
「そ、そんなこと言うな……」
「ねぇ、ティル……今度はこっちも、試してみようか」
「ぁ……」

 俺はローションを取り出して、利き手の中指にたっぷりとそれを絡ませた。脚を開かされたまま、射精後の陶然とした表情で俺を見上げていたティルナータの目元に、少し怯えのような色が見て取れる。

「……大丈夫、最初は撫でるだけ。イッたばっかだから、何も挿れないよ」
「う、うん……」
「キスしてもいい? 口でしたばっかだけど……」
「い、いちいち許可なんか求めなくていい」
「うん……」

 ちょっと怒ったような顔でそんなことを言うティルナータが愛おしくて、たまらない。俺はティルナータに身を寄せてキスをしながら、ローションでぬるついた指でティルナータの後孔に触れてみた。

「ん……ん」
「大丈夫。優しくする」
「くすぐったい……ンっ……ん」
「力抜いてて……そう、上手」

 ちょっと前にいちゃいちゃした時、指だけは挿入を許されていたことも手伝ってか、ティルナータの身体からはすぐに力が抜けて行く。俺はティルナータと軽いキスを交わしながら、小さな窄まりを指の腹で柔らかく撫でほぐしていった。

「ぁ、あっ……はぁ……っ」
「きれいだな、ティル……俺にも、絵を描く才能があったらよかったのに……」
「ん、んっ……ば、ばかやろうっ……こんなかっこう……描くなんて、許さないからなっ……!!」
「ははっ、大丈夫だよ、描けないもん。……よく、覚えておかなくちゃ」
「うっ……ン、……ぁ」

 乳首を舌先で舐めながら、ほぐれつつある窄まりの中心を淡く突いてみる。するとティルナータは驚いたようにびくんと身体を震わせた。

「ぁ、ああっ、あ……胸は……ぼくは……っ」
「気持ちいいんだ」
「ぁ、ん、んんっ……いい……気持ちいい……」
「ここも、ひくひくしてる。……すごくエロい。ティル……早く挿れたい……」
「んっ」

 俺のそんな一言で、ティルナータの体温が少し上がった。小さな乳輪の形をなぞるように舌を動かしつつ、つぷんと指を挿し入れてみると、ティルナータの胸が大きく上下した。

「ぁあっ……」
「熱い……ティルの中」
「ゆうま……っ……」
「痛くない?」
「ない……もっと、奥……はやく」
「焦っちゃだめだ。……ゆっくりしよう? ティルのこと、気持ちよくしてやりたいんだ」
「ぁ、あ、っ……」

 浅いところでゆっくりと指を抽送すると、ティルナータは目を固く閉じて枕カバーを握りしめた。長いまつ毛を震わせながら、薄く開いた赤い唇から吐息を漏らすティルの姿は途方もなく色っぽくて、頭のネジが飛びそうになる。

「ぁ……ゆうま……ぁ」
「いい感じだよ。柔らかくなってきて……ほら……もう一本入りそう」
「ぁん、んっ……」
「ほら……すごいね、分かる? 二本、入ってる……」
「んんっ……んぁ……」

 ティルナータの耳元で囁きながら、増やした指でティルの中を探る。少しずつ少しずつ奥へと侵入していく俺の指を拒むこともなく、ティルナータは浅い呼吸を繰り返しながら、健気に俺の行為を受け入れてくれた。

「あっ……!!」

 くい……と腹側に指を折ると、ティルナータが今までになく激しい反応を見せた。その場所をやわ、やわと指の腹で刺激してみると、ティルナータはその度にぶるぶるっと身体を震わせて首を振る。

「そこ……そこ、へん……っ……」
「ここ、前立腺っていうんだ。慣れたら、すっげー気持ちよくなるから」
「ぁ……っ……!! いやだ、うごかしたら……っ」
「力抜いてて……ゆっくりやるから、な?」
「んんっ……」

 ティルナータのひたいにキスをしながら、緩やかに指をピストンしてみると、ティルナータはちょっと不安そうな目つきで俺を見上げた。うるうると潤んだ緋色の瞳に夕日の色が溶け込んで、とてもとても綺麗だった。俺はティルの瞼にキスをして、目の淵に滲む涙を舐め取った。

「はぁっ……はぁっ……あ、あっ……」
「いい感じ……ほら……とろけてきた、ティルの中……」
「ゆうま……ゆうま……なんだか、僕……」
「良くなってきた?」
「ん……うん……っ……」
「イキそう?」
「わからない、けど……でも、何か……湧いてきそうで……」

 ティルナータの屹立は再び勃ちあがり、白い腹にぽたぽたと涎を垂らしている。徐々に徐々にうっとりとした表情に染まりつつあるティルナータを見つめていると、俺の身体の方も、早くティルの中に入りたいと暴れ狂いはじめる。

「ゆうま……まだ、いれてくれないのか……?」
「え……でも……」
「はやく、欲しいんだ……。今、ほしい、ユウマので、いきたい……」
「でもまだ、痛いかも」
「痛くてもいい……! お願いだ、はやく、ひとつになりたいんだ」
「……ティル」

 愛する相手に泣きそうな顔で求められて、涙が出るほど幸せだと感じた。俺は泣きたくなるのをなんとか堪えてティルナータにキスをすると、コンドームの箱に手を伸ばす。

「……俺も、早く繋がりたい。俺のこれで、ティルのこと、めちゃくちゃにしたい」
「ユウマ……」

 ティルナータは俺の頬を両手で包み、下から甘いキスをしてくれた。
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