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「どうしても最後までできなくて……だからフラれるんだ。恥ずかしくて言えなかったけど」
「う、うわあ、そうだったの……!?」

 雪兄はものすごく恥ずかしそうだけど、俺にとってこれ以上の朗報があるだろうか。ただでさえ熱くなっていた身体が歓喜のあまりさらに昂ってしまう。

「恥ずかしくなんてない! 俺、雪兄の初めてをもらえるってことじゃん!」

 高らかにそう宣言して、俺はもう一度雪兄にキスをせがんだ。
 口では奥手なことを言うくせに、巧みに動く舌のいやらしさときたらたまらない。夢中になって雪兄と舌を絡め合ううち、また勝手に腰が動き始めている。

 ——あぁ……もうたまんない。キスなんかじゃ足りないよ……!

 長きにわたる片想い。そして、虚しすぎる女装オナニー。……これまで積もり積もった雪兄への想いがキスだけで昇華されるわけがない……!!

「ちょっ……柊生!」
「わぁ……やっぱり、すごくでっかい……」

 素早く尻をずらして半ば強引にジーパンと下着を引き下げると、ぶるりと立派な屹立が露わになった。
 いつぞや風呂場で見た中学生の頃のそれよりもずっと雄々しくなったそれを目の当たりにして、じゅるりと唾液が湧き上がってくる。

 鈴口から溢れた雪兄の雄の匂いが鼻腔をくすぐり、ずくん、と痛いほどに内壁が疼く。そのとろみを指先で塗り広げるように愛撫すると、雪兄は「っ……は」と猛烈に色っぽいため息を漏らした。

「こら、柊生……っ」
「……俺、ひとりでするとき、いつも後ろ使ってたんだ。……その、雪兄来る前にもしたばっかりだから、たぶん、すぐ入っちゃうと思うんだよね。ほら、ゴムもローションもあるし!」

 雪兄と久しぶりに二人きりで過ごせるとあって興奮がおさまらず、真昼間からアナニーに励んでいた俺だ。もちろん中まで綺麗にしてある。前のめりすぎてさすがに引かれるかなと思ったけど、雪兄はこくんと喉を鳴らして、俺の差し出したゴムを受け取った。

「……ほんとに、いいの?」
「いいにきまってるじゃん! 俺……雪兄とだからしたい。雪兄としかしたくない! 抱いてよ、雪兄……!」

 ここまできたら必死の懇願だ。俺は自らベッドに横たわると、スカートを自らたくし上げ、勃起した雄を包み込むにはあまりにも可愛らしすぎる下着を晒した。純白の小さなショーツを押し上げ、しかも恥ずかしいシミを作り出しているそれを、雪兄の目の前に……。

「わ……こんなの可愛いのを穿いてたんだ。……エロいね」
「あっ……っ」

 陶然とした眼差しとともに、熱い手のひらがゆっくりと太ももを撫で、ふっくらと盛り上がったところを撫でてゆく。ぞくぞくぞく……と興奮が高まり、吐息がどんどん熱くなる。

「ぁ……ん」
「柊生の脚、綺麗だなって昔から思ってた。こういう下着も、スカートも、すごく似合うよ」
「んっ……やぁ……っ」

 つるんとした素材の下着は先走りでトロトロに濡れていて、その濡れた布越しに先端を撫でられた。敏感すぎる鈴口を大好きな雪兄の親指がたどり、手のひらで包み込まれ、こすられて……俺はのけぞり、甘えた悲鳴をあげた。

「やっ……ゆきにぃ……、ンっ……ぁ、あ……っ」
「すごい敏感。……可愛いな」
「ん、ぁっ……! ァん……!」

 自分で慰めるのとは段違いの快楽が全身を痺れさせ、俺はビクビクと腰を震わせながら喘ぎを漏らした。

 気持ちよくて、嬉しくて、声だけじゃなく涙まで溢れてくる。そんな俺を見て雪兄はちょっと苦しげに微笑むと、またあのエッチなキスで俺をあやした。

 するともどかしくなったのか、雪兄は濡れた下着をクイと下げ、直接俺のペニスを愛撫しはじめた。ぬちぬちと濡れた音はものすごくエッチで、触れられる感覚は紛れもなくリアルだ。

 ——これ、現実だよね? ほんとに、雪兄が触ってくれてるんだよね……?

 こんなに幸せなことがあっていいのだろうかと自問自答しつつも、雪兄から与えられる快楽を夢中で貪る。腰が上下に揺れてしまうのを止められないまま、俺は雪兄を涙目で見上げた。

「……も、いっちゃうよぉ……っ……まだ、イきたくないのに……っ」
「いいよ、イっても。苦しいだろ?」
「だめ、だめだよ……っ、ねぇ、雪兄」

 俺は脚を開いたままの自らの股ぐらにするすると手を伸ばし、トロトロに濡れた下着のさらに後ろのほう……アナルのあたりに、指を這わせた。

「も……ナカ、ほしい。挿れてよ……」

 小さなパンツを指でずらして、熟れた後孔を見せつける。
 そこはおそらく濃いビンク色に染まっていて、物欲しげにひくついているに違いない。恥ずかしくてたまらないけれど、雪兄が欲しくて欲しくて、俺は必死だった。

 効果はあったらしい。雪兄の穏やかな瞳に欲の色が浮かび、唇に艶めいた笑みが浮かんだ。

「ちっちゃくて可愛かった柊生が、こんなふうに俺を誘うなんて……びっくりだな」
「……幻滅した?」
「するわけないよ。こんなに欲しがってもらえて、すごく嬉しい」
「ぁ、あ……っ」

 女物の濡れたパンツは穿かされたまま。これから繋がる部分だけを、雪兄は指でぐいとずらした。狭い窄まりに、コンドームとローションをまとった雪兄の先端があてがわれて……。

「あ、ぁっ……! ァっ……ぅあ……っ」

 自分の指やおもちゃでするのとは全く違う。愛撫で蕩かされた身体に挿入される雪兄のそれはすごく熱くて、ものすごく愛おしくて、全身が震えた。

「ァっ……ぁ、……っ。ゆきにぃ……ぁ、あっ」
「っ……はぁ……」

 繋がりあえた悦びで内壁がきゅんと締まり、もっと奥へ誘い込むようにひくついているのがわかる。すると雪兄は色っぽく呻いて眉を寄せ、「っ……ナカ、すごくうねってる……」と目元をほんのりと赤く染めて俺を見つめた。

 ——雪兄も気持ちいいのかな、すごくエッチな顔してる……かわいいよぉ……!

 初めて目の当たりにする雪兄のとろけた表情にときめいていると、あられもなく乱れたスカートごと腰をぐっと掴まれた。そして雪兄が、ゆっくりと腰を使い始めて……。

「ぁ! ぁあっ……ぁ!」
「ん、はぁっ……痛くない……?」
「いたくない……! きもちいい……スゴイよぉ……っ」

 俺の中を満たしている雪兄のペニスが前立腺をいい具合に突き上げるたび、びく、びくん! と腰が震える。雪兄の唇から漏れる吐息も、次第に艶を帯びはじめた。

「きもちいい……? おれの、ナカ……」
「うん……気持ちいいよ。……すごく、イイ……」

 微笑みながらキスをくれる雪兄の腰の動きがにわかに激しくなり、ぱちゅ、ぱちゅ、と淫らな音が部屋に響いた。
 奥を狙って俺を穿つ雪兄の腰の動きはたまらないほどいやらしい。普段のおっとりしたところからは想像もできない雄々しさだ。もう、もう最高……。

 すると、ぐいとセーラー服が捲りあげられ、ツンと尖った乳首まで露わにされてしまった。雪兄は器用に腰を使いながら俺の敏感な尖りに吸い付いて、いやらしい動きでそこを舐めくすぐってくる。

「ひぁ! ……いっしょにされたらぁっ……! すぐ、すぐいっちゃうから……だめっ、だめ……って!」
「イっていいよ? まだまだ、離してあげられそうにないから……っ」
「ァっ……! ぁっ……あぅ、んんんっ……!!」

 案の定、中を突かれながら乳首を責められた途端、俺はあっという間に甘イキしてしまった。だけど雪兄はさっきの言葉通り、俺の最奥まで嵌めたままゆっくりと腰をゆらめかせ、ビクビクと震えている俺にキスをする。

「エッチな柊生もすごく可愛い。本当に、可愛いな……」
「ぁん……ん、っ……ん、ゆきにぃ……もっと、もっとぉ……」
「うん、いくらでもしてあげる」

 うわごとのようにその先を求める俺を、雪兄が力強く引き起こす。挿入がさらに深くなり、顎を仰かせてよがり声を上げる俺を、雪兄はずん、ずんと下から穿った。

「ァ! ぁあっ……ぁ、あ、っ……はぁっ!」
「柊生……きもちいい? こういうの、好き?」
「すき、すき……っ! んっ……ふかいの、すき……っ」
「よかった。もっと、もっと感じて。……好きだよ、柊生」
「おれもすき、ゆきにぃ……だいすきだよ……っ」

 突き上げられながら両乳首をも愛撫され、俺は雪兄にしがみつきながら快楽に溺れた。
 揺さぶられるたびにしなるペニスからはとぷとぷと透明の体液が溢れ出し、内側からとめどなく込み上げる愛おしさがとまらなくて——……。

 俺たちは時間を忘れて、互いの身体を探り合った。
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