上 下
39 / 40
愛人もOKだなんて聞いてません。

(13)

しおりを挟む


 惚けた顔して隊長を見ると、彼は胸もとのポケットから小瓶を出してきた。
 あれはカスティージョさんからもらったあの例の小瓶だ。中に液体が入っている。

「隊長……それって……」
「まぁ、ちょっとした薬だ。気持ちよくなれるやつ」

 もしかしてこのためにカスティージョさんに手に入れるようにお願いをしていたんだろうか。気持ちよくなれるってことは……媚薬ってこと?

「それ、誰が飲むんですか?」

 まさか私? 私が飲むの?
 ちょっと薬とか怖くてできることなら飲みたくはないんですけど……。

「違う、俺。即効性で効き目はすぐなくなるものなんだ。身体が敏感になってすぐイけるやつ。これを俺が飲んだらそこまで長くお前を付き合わせなくて済むと思ってな」
「隊長……」
「お前がここに受け入れるのを慣れるのを待っていたっていうのもあるが、半分はこっちが理由。これをカスティージョに手に入れてもらうのが、思った以上に時間がかかったんだ」

 何? その驚くほど私をどこまでも気遣った理由。驚きすぎて言葉も出ない。多分今私、感動して泣く寸前だ。
 まさかここまで考えて、準備してくれていたなんて思いもしない。
 むしろ私なんて……私なんて……!

 あぁ! 恥ずかし過ぎて今すぐどこかに走っていきたい!

「ごごご、ごめ、ごめんなさい、隊長……。わたし、そんなに考えてくれていたなんて知らなくて……!」
「あやまんなよ。俺の事情を俺なりに解決しようとしていたってだけだ」

 オロオロとする私を宥めるように隊長が頭を撫でてきた。
 その手が気持ちよくて、隊長の気持ちが嬉しくてその手にうっとりとする。
 
「ありがとうございます……隊長。でも、私、このままで……隊長のありのままを、受け入れたいです」

 私の事を考えてくれた隊長の心に応えたいけれど、私だって意地がある。薬なんかに頼らなくても隊長を受け止めるし、最後までやり遂げたい……という気概だけはある。
 実際にちゃんとできるかは分からないけれど。
 でも、一度は挑戦してもいいはず……!

「……お前、根性あんな」

 意気込む私に隊長が微笑む。ちょっとその顔が泣きそうになっていて、キュンとしてしまった。
 そんな顔をされてしまうと、私もよしよしと頭を撫でたくて仕方がなくなってしまう。そのググっとこみ上げてくる感情のままに隊長の方に手を伸ばして首に回し、そして引き寄せてギュッと抱き締めた。

 隊長の真似をして後頭部を撫でる。よしよし、よしよし、と甘える子供を宥めるように、甘やかすように。
 すると、隊長は息を詰めて私の肩口に顔を埋めた。

「……あっ! ……あぁ……ふぁ、あンっ!」
「…………それは、ヤバいっ」

 突然動き始めた隊長は、切羽詰まったような声を出して激しく息を吐く。中の屹立が心なしか質量が増したような気がしたけれど、驚く間もなく私は隊長の責めにあられもない声を上げた。

「案外……っ、頭、撫でられるの、……ヤバいなっ」
「ふぁっあンっ……んン、あっ、あぁ……っ」

 どうやら隊長の中で何かのスイッチが入ってしまったらしい。
 隊長の激しい揺れに翻弄されて手が頭から外れてしまうと、彼は元の位置に手を戻してまた撫でろと訴えかけてきた。

「もっと撫でて、カレン」

 甘い声。甘い顔。
 隊長の甘えた態度に、私の胸はキュンキュンとうるさいくらいに高鳴る。

 まずい……新たな扉を開いてしまいそう……。

「はぁあ……ンっ、あぁ、たい……ちょ……ぉっ」
「……っ、……すげぇ気持ちいい、カレン。めちゃくちゃ感じる……っ」

 そんなこと言われると、私も快楽が増してきてまた達してしまいそう。
 夢中になって隊長の頭を撫でていると、腰に甘い痺れが溜まってきてすぐに限界を迎えてきた。

「やだ……っ! また……あっ……また、イっちゃ、……うぅっ!!」
「……イけっイけ! イっちまえ!」
「あぁっ! ひぁっ……あぁっ!!」

 もうすでに一度達していた私の身体は敏感になっていて、隊長の言葉に導かれるようにあっけなくイってしまった。
 それだけでも涙が零れるほどの快楽と衝撃だったのに、隊長は止まることなく私を突き続ける。

 イくまでの間隔がだんだんと短くなっていった私は、何度も何度も絶頂を迎えた。
 覚えているうちでは、隊長に奥を突かれるたびに軽くイっていたような気がする。

「……ふぁっ、あぁ……たいちょぉ……っ、わたし……もぅ、イきたく……な、いぃ。……こわれ、ちゃう、よぉ」

 頭の中が快楽でいっぱいになって、意識がはっきりとしないままそんなことを口走る。
 私は回数を重ねるほどに思考が奪われて、ただ身体が人形のように揺さぶられている感覚と中を擦られるたびにやってくる凄まじい快楽を享受するだけになってしまった。
 口端からはしたなく涎を零し、涙も零す。

 この目に映るのは、眉根を寄せて艶っぽく呻く隊長。
 汗だくになって目元が赤く染まっていて、……すごくかっこいい。

「…………く、ぁっ」

 隊長の小さく喘ぐ声が聞こえる。

 私の記憶はそれを最後に途絶えた。



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...