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愛人もOKだなんて聞いてません。
(13)
しおりを挟む惚けた顔して隊長を見ると、彼は胸もとのポケットから小瓶を出してきた。
あれはカスティージョさんからもらったあの例の小瓶だ。中に液体が入っている。
「隊長……それって……」
「まぁ、ちょっとした薬だ。気持ちよくなれるやつ」
もしかしてこのためにカスティージョさんに手に入れるようにお願いをしていたんだろうか。気持ちよくなれるってことは……媚薬ってこと?
「それ、誰が飲むんですか?」
まさか私? 私が飲むの?
ちょっと薬とか怖くてできることなら飲みたくはないんですけど……。
「違う、俺。即効性で効き目はすぐなくなるものなんだ。身体が敏感になってすぐイけるやつ。これを俺が飲んだらそこまで長くお前を付き合わせなくて済むと思ってな」
「隊長……」
「お前がここに受け入れるのを慣れるのを待っていたっていうのもあるが、半分はこっちが理由。これをカスティージョに手に入れてもらうのが、思った以上に時間がかかったんだ」
何? その驚くほど私をどこまでも気遣った理由。驚きすぎて言葉も出ない。多分今私、感動して泣く寸前だ。
まさかここまで考えて、準備してくれていたなんて思いもしない。
むしろ私なんて……私なんて……!
あぁ! 恥ずかし過ぎて今すぐどこかに走っていきたい!
「ごごご、ごめ、ごめんなさい、隊長……。わたし、そんなに考えてくれていたなんて知らなくて……!」
「あやまんなよ。俺の事情を俺なりに解決しようとしていたってだけだ」
オロオロとする私を宥めるように隊長が頭を撫でてきた。
その手が気持ちよくて、隊長の気持ちが嬉しくてその手にうっとりとする。
「ありがとうございます……隊長。でも、私、このままで……隊長のありのままを、受け入れたいです」
私の事を考えてくれた隊長の心に応えたいけれど、私だって意地がある。薬なんかに頼らなくても隊長を受け止めるし、最後までやり遂げたい……という気概だけはある。
実際にちゃんとできるかは分からないけれど。
でも、一度は挑戦してもいいはず……!
「……お前、根性あんな」
意気込む私に隊長が微笑む。ちょっとその顔が泣きそうになっていて、キュンとしてしまった。
そんな顔をされてしまうと、私もよしよしと頭を撫でたくて仕方がなくなってしまう。そのググっとこみ上げてくる感情のままに隊長の方に手を伸ばして首に回し、そして引き寄せてギュッと抱き締めた。
隊長の真似をして後頭部を撫でる。よしよし、よしよし、と甘える子供を宥めるように、甘やかすように。
すると、隊長は息を詰めて私の肩口に顔を埋めた。
「……あっ! ……あぁ……ふぁ、あンっ!」
「…………それは、ヤバいっ」
突然動き始めた隊長は、切羽詰まったような声を出して激しく息を吐く。中の屹立が心なしか質量が増したような気がしたけれど、驚く間もなく私は隊長の責めにあられもない声を上げた。
「案外……っ、頭、撫でられるの、……ヤバいなっ」
「ふぁっあンっ……んン、あっ、あぁ……っ」
どうやら隊長の中で何かのスイッチが入ってしまったらしい。
隊長の激しい揺れに翻弄されて手が頭から外れてしまうと、彼は元の位置に手を戻してまた撫でろと訴えかけてきた。
「もっと撫でて、カレン」
甘い声。甘い顔。
隊長の甘えた態度に、私の胸はキュンキュンとうるさいくらいに高鳴る。
まずい……新たな扉を開いてしまいそう……。
「はぁあ……ンっ、あぁ、たい……ちょ……ぉっ」
「……っ、……すげぇ気持ちいい、カレン。めちゃくちゃ感じる……っ」
そんなこと言われると、私も快楽が増してきてまた達してしまいそう。
夢中になって隊長の頭を撫でていると、腰に甘い痺れが溜まってきてすぐに限界を迎えてきた。
「やだ……っ! また……あっ……また、イっちゃ、……うぅっ!!」
「……イけっイけ! イっちまえ!」
「あぁっ! ひぁっ……あぁっ!!」
もうすでに一度達していた私の身体は敏感になっていて、隊長の言葉に導かれるようにあっけなくイってしまった。
それだけでも涙が零れるほどの快楽と衝撃だったのに、隊長は止まることなく私を突き続ける。
イくまでの間隔がだんだんと短くなっていった私は、何度も何度も絶頂を迎えた。
覚えているうちでは、隊長に奥を突かれるたびに軽くイっていたような気がする。
「……ふぁっ、あぁ……たいちょぉ……っ、わたし……もぅ、イきたく……な、いぃ。……こわれ、ちゃう、よぉ」
頭の中が快楽でいっぱいになって、意識がはっきりとしないままそんなことを口走る。
私は回数を重ねるほどに思考が奪われて、ただ身体が人形のように揺さぶられている感覚と中を擦られるたびにやってくる凄まじい快楽を享受するだけになってしまった。
口端からはしたなく涎を零し、涙も零す。
この目に映るのは、眉根を寄せて艶っぽく呻く隊長。
汗だくになって目元が赤く染まっていて、……すごくかっこいい。
「…………く、ぁっ」
隊長の小さく喘ぐ声が聞こえる。
私の記憶はそれを最後に途絶えた。
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