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愛人もOKだなんて聞いてません。
(1)
しおりを挟む「カレンちゃ~ん! おはよ~!」
「おはよう、ミルくん」
先日、私と彼らの間に起こったことは、非日常で特別で。
私たちの関係を変えるのには十分で。
「今日も何も壊さずに起きれたよ~! ご褒美のちゅ~して!」
例えばこんなことをミルくんが朝一番で言ってきたりして。
「はい、どうぞ」
それをもう慣れたかのように受け入れる私もいる。
「……ンんっ、……あっ、……ぅぁ」
「……好き……カレンちゃん大好き」
朝から舌を入れられ窒息してしまいそうなほどの濃厚なキスも、その合間に囁かれる熱烈な愛の言葉も。毎朝ミルくんからご褒美としてせがまれることにもだいぶ抵抗感が薄らいだ。
あれからミルくんはキスにはまってしまったらしく、ことあるごとに私にキスをしてくる。主にご褒美と称してのものが多いが、そのための努力も惜しまないようだった。
生まれ持っての怪力で物を壊すことも少なくなり、それどころか力の加減を覚えるために訓練もしている。常に手に柔らかく壊れやすものを持って壊さないように優しく握る練習をしているのだとか。
おかげで格段に物が壊れることが少なくなったが、その代わりに私の唇はちょっと腫れてヒリヒリしている。ミルくんとのキスが終わるころには唇や舌の感覚がなくなるほどに舐られ、吸われつくしているからだ。
今もだんだんと唇が痺れてきている。
ミルくんの朝の挨拶が終わりテーブルに着くと、今度はイグニスさんが私に空になった皿を差し出してきた。お代わりを所望しているようだ。
もうすでに作り終えているお代わり分を盛るために、イグニスさんから皿を受け取る。
……はずだったんだけど、何故か彼はその皿から手を放してくれない。
私と皿を奪い合うような感じになって、その場で膠着状態となった。
「イグニスさん……」
かといって、彼は皿が惜しいわけではない。一応、意地悪もしていない。
イグニスさんはある一点を熱心に見つめているのだ。
私の手。
指の先から手首に至る細部まで舐めまわすように見ている。
ミルくんがキスをしたがるのと同じように、あの日からイグニスさんは私の手にご執心だ。料理をした後は特に熱心に見つめてくる。涎を垂らしそうな勢いで。
ことあるごとにせがむということはしないが、悩ましい視線を送られるのはいつものこと。そして突発的に、爆発するように私の手を取ってひたすらに舐めまわすときがあるのだ。
私は唐突に訪れる爆発がいつくるのか、ねっとりとした視線に晒されながらもいつもドキドキさせられている。
「おかわりを持ってきますから、手を……」
そう言って放してくれる日はまだいい。今日はちゃんと放してくれたからそこまで欲求が溜まっているわけではないのだろう。
先日なんか、このまま手を取られて延々と舐めまわされた。食事の代わりに私の手を舐め続けて気が済んだら丁寧にタオルで手を拭い、訓練へと行ってしまった。おかわりもせずに。
どうやら最近、イグニスさんの有り余る食欲は一部性欲へと移り変わり、それを私の手で発散しているようだ。その分料理をする手間は減るが、手は塞がってしまうのが難点。
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