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「おーい、カレン。大丈夫か?」

 隊長が私の顔を覗き込んで聞いてくる。
 泣き顔を見られたくなかった私はさりげなく顔に手を翳して隠した。いまさら泣くだなんて格好悪い。
 そのまま小さな声で『大丈夫です』と答えた私に、隊長は『そうか』と答えた。

「吐きそうとかあるか?」
「ないです」
「それは何より」

 ……隊長の声が上機嫌だ。いつになく弾んでいるような気がする。
 隊長、お酒強いはずなのに、今日は私と一緒で酔っぱらってしまったのかな?
 珍しいな……と驚いていると、何やら私の胸元に違和感を感じた。

 触られている? いや、これはボタンが外されている! な、何で?!

 慌てて手を顔から外して胸元を見下ろした。いやいやまさかと半信半疑ではあったけれど、結局私がこの目で見たのは、そのまさかの光景だった。
 隊長が私のブラウスのボタンを外していたのだ。

「え? 隊長? え? 何事ですか?」

 もちろん慌てたし、ちょっと卑猥なことも考えた。もしかして襲われている? って。よく聞く酒の勢いでエッチしてしまいました、というシチュエーションになってしまうのではないかと。
 でも、横に視線を送ればすぐそこにミルくんがいるし、隊長の肩越しにはイグニスさんが見える。
 いやいや、それこそまさか。
 そんな衆人環視の中で襲うなんて馬鹿なこと、隊長がするはずがない。うん。これはきっと考え過ぎだ。
 きっと! ……きっと! 隊長は親切心をもって、寝苦しいだろうからボタンを外しているに違いない。私の考えは単に恥ずかしい妄想だったで終わるはずだ。

 ――――そうなるはずだったんだけど。

「ひゃぁんっ」
「おっ。思ったより大きい」

 隊長のごつごつした手がブラウスの中に差し入れられて胸を鷲掴みにされた瞬間、私の妄想は現実のものになった。驚きとともに先ほど振り払ったはずの妄想は舞い戻ってきて、このままエッチなことになってしまうと予感させた。

 ミルくんとイグニスさんがいるのに?!

 いなきゃいいって話でもないけど、でもこのままボタンを外されて露わになった自分の胸を見られ続けるのは恥ずかしい。隊長にだってみられるのに抵抗がある。

 けれども、隊長はそんなことはお構いなしに私の胸をやわやわと揉み始めた。指が柔肉に沈み込んでくる感触が伝わってきて、私は涙目になりながら隊長の腕を掴んだ。

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