新米魔術師の私が手違いで腹黒な王子様を隷属させてしまいました（でも何故か王子はノリノリで私に命令してと言ってきます）

３９．「俺に命令して、ユニ。君のためなら何でもしてみせる」

「ということで、これからもよろしくね、ユニ。俺にたくさん命令して、使役してね」



　分かるのは、これからもこの状況は変わらないし、それどころかいつ解消されるか分からない主従関係を勝手に結ばれてしまったということだけ。



　しかも、自分が主人で、シリルが僕で。

　ユニが命令して、シリルが命令を受けて。



　そんな、とんでもない関係。

　シリルが自分で使役魔法を解かない限り、永続的に続けられる。



「ちなみに、魔力は定期的に注ぎ込んでおくんだな。また印の上書きが始まると、昨夜のようなことになる」

「……ミリウス様！　他に！　他になにかないのですか？　使役魔法を解く方法が……！」

「ない。こいつがもう、術式を複雑に改造してしまったので、私には手出しができない。解けるのはシリルだけだ」

「そんなぁ！」



　そっぽを向くミリウスに、嘆きながら縋りつこうとした。

　だが、ひょいとシリルに戻されて、後ろから顔を覗き込まれる。



「諦めて？　もう俺は君だけのものになってしまったんだ。今さらいらないと言われても無理だよ。俺をあますことなく使ってよ」



　独占欲剥き出しの言葉を吐いて、フフフと妖艶に笑ってみせるその人は大事そうにユニの頭を撫でてきた。



「俺に命令して、ユニ。君のためなら何でもしてみせる」