新米魔術師の私が手違いで腹黒な王子様を隷属させてしまいました(でも何故か王子はノリノリで私に命令してと言ってきます)

ちろりん

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38.「騙したのですか? 殿下!」

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 どうして、シリルはそんなことをしたのか。



「騙したのですか? 殿下! しかもその顔、最初から分かってましたね?!」

「いやいや、さすがに昨日のことは想定外だったよ。まさか隷属印があんなことになるとは思いもしてなかったから焦ったよ」

「でも、ご自分で解けることは知っていらしたでしょう?!」



 ひとつも悪びれた様子もない。

 怒れるユニと真正面から向き合って、ニコリと微笑む。



「知っていたよ。でも、解いてしまったらもう君と繋がれないじゃないか。言っただろう? 君に使役されたいって。そう思ったから、ずっと解かずにいるだけだよ。側にいたいし、命令を聞いたらご褒美ももらいたい。ユニに付き従って守って命令を聞いて、そしてたまに魔力を貰える、そんな立場に甘んじていたいから、解かないだけ」

「だからってこんな自分を犠牲にするようなことをしなくても!」

「俺のすべてをユニに捧げたいんだ。使われたいし、役に立ちたい。そう思ったら、使役獣という立場はとても便利で楽しくてね」



 だからこのままでいいと言う。

 ずっとユニの使役獣でいたいと、シリルは願っているのだ。



「そもそも、魔法が飛んできた日だって、本当はユニに会いに来たんだ。ミリウスがいないことは知っていたからね。素知らぬ振りして訪れて、ユニと仲良くなれないかなぁと思って行ったんだけど……まさかそれ以上の関係になれるとは思わなかったよ」

「私のいぬ間にこいつに手を出そうとしていたとは、不届き者め」

「失礼だなぁ。本当は友人として仲良くなれないかなと思っただけだよ。だけど、ユニがちょうどいい魔法を飛ばしてくれたからね。これを使わない手はないだろう? いつもは小うるさいお前が邪魔をするからな」



 理解が追い付かない。

 ユニはもう何が何だか分からなくなって、呆然とした。


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