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28.(……なんか、凄い)
しおりを挟む魔力の受け渡しは粘膜接触が一番効率がいい。
キスをして直接魔力を腹の中に流し込むとかもそうだが、もっといいのは性器同士の接触だと言われている。
そこまではいかなくとも、この緊急事態だ。
キスでの魔力授受が必要になってくるのは明らかだった。
「分かりました。キスを、し、します」
「ありがとう、ユニ。――じゃあ、こっちに来て。俺の上に乗って」
わざわざシリルの膝の上に乗らなくてはいけない理由がよく分からないが、身体が辛いであろう彼に動いてもらうのは酷なような気がして、その言葉に従った。
シリルを跨ぐような形で膝立ちし、彼と向き合う。
逞しい腕が腰に回ってきて、グッと引き寄せられるとさらに顔を近づく。
「……それでは、失礼します」
「はい、どうぞ」
好きにしてとばかりにキスを待たれて恥ずかしいことこの上ないが、これはシリルを救うためだと腹を括って唇を近づける。
あまりの緊張に身体中が震えて、なかなか唇に辿り着かなかったがようやく触れ合うことができた。
柔らかくて、ふっくらとした彼の唇。
(……なんか、凄い)
キスなど初めてするユニは、じんわりと広がる熱に感動してしまった。
これは、少し幸せを感じてしまっているかもしれない。
不謹慎ではあるが、たしかな喜びが胸の中に生まれていた。
「……ユニ、口を開けて。そうじゃないと、魔力を取り込めない」
辛いのか、焦れたようにシリルが強請ってきた。
唇をただ重ねるだけならば皮膚接触とほぼ変わりない。
粘膜同士を合わせないととハッとして、おずおずと口を広げた。
「……ふぅ……ンんっ」
肉厚な舌がすぐに入り込んできて、ユニの口内を蹂躙していく。
歯列や上顎、舌の上を丹念に舐り、唾液を啜る。
舌を絡ませ合い唾液を混じり合わせる様は、酷く官能的だ。
魔力の授受のはずなのに、気持ちよさと卑猥さを感じてしまう。
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