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14.(……ご褒美、とは)

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「それで、ご褒美はあるのかな?」



 訓練が終わったあと、シリルはそっと近づいて来て聞いてきた。



「ご褒美、ですか?」

「うん。ちゃんと言いつけ通り、見学してたよ。もしかして、使役獣はご褒美とかはもらえないのかな?」

「いえ、先ほどの言葉は命令のつもりはなくて……」

「そうなんだ。じゃあ、俺が命令と勘違いしてしまったんだね。なら仕方がないね」



 そう言われてしまうと心が痛む。

 だが、ご褒美と言われても、使役獣を持ったことがないユニにはよく分からない。



 たしかに使役獣のことは分からない。

 しかし、相手は人間。

 人間相手であれば、お願いごとを聞いてくれた相手にはお礼をすべきだろう。



(……ご褒美、とは)



 真剣に考える。

 ご褒美と言われて思い浮かぶものは少なく、何をしたらシリルが喜ぶか分からない。

 記憶を掘り起こし、自分が何をされて嬉しかったかを思い出した。



 ――ユーニーちゃん。



 そう優しい声で名前を呼び、頭を撫でてくれた母。

 思ってみれば、あれが一番嬉しかったかもしれない。



 嬉しくてもっと撫でてほしくて何度もねだった。

 今はもう、望めない母のご褒美。


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