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11.「命令も大歓迎」
しおりを挟むどちらにせよ責任を取るのは大歓迎なので、真剣に耳を傾けた。
「なら、俺を使役してよ。責任取って使役して」
「……それは責任を取ることにならないのでは?」
「だって、君に命令されたくて身体が疼くんだ。……分かる? ここ」
シリルは、ユニの手を取って服の上から胸を触らせる。
そこにあるのは、ユニが刻んだ隷属印だ。
「ユニのものだっていう印が熱くなって、俺をその衝動に駆り立てる」
「……うっ」
「それとも、ここで跪いてみようか? 君の靴にキスをして、どれほど君に使役されたいと思っているか、示してみる?」
実際に膝を曲げ始めたのを見て、ユニは悲鳴を上げながら彼を押し留めた。
魔術師塔の近くとはいえ、塔には多くの魔術師がいるし、そろそろ訓練の時間なのでまばらだが人も出てきた。
王子を跪かせている姿を誰かに見られたら、とんでもないことになる。
それどころから、何かの拍子にユニがシリルに使役魔法を使ったことがバレてしまう可能性だってあるのだ。
「お、お願いします、殿下……本当に勘弁してください……」
「なら、側にいてもいい?」
「側にいるだけならば……」
「命令も大歓迎」
「それは……無理です……」
ぐったりとしながら、ユニはシリルの言葉に頷いた。
跪かれるくらいならば、側にいることを許した方がまだマシだ。
「殿下、私そろそろ訓練の時間ですから」
「そうなの? 離れるのが寂しいなぁ。見ていてもいい?」
「いえ、それはちょっと……」
「側にいてもいいって言ったのに……」
明らかにしょんぼりとしたシリルを見て、ユニはウっと胸を痛めた。
そんな顔でいじらしいこと言われたら、断れないではないか。
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