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3.「嘘でしょ?!」
しおりを挟む「嘘でしょ?!」
ユニは慌てて光の方向へと走っていく。
当たったのが通りすがりの魔物ならラッキーと思いながら。
「……うそ、でしょう?」
だが、辿り着いた先にいたのは魔物でも魔族でもなく人間。
しかも、この国の王子だ。
第二王子・シリル。
彼の人がそこに驚いた顔で立っていた。
「――これは君の魔法? ユニ」
穏やかな口調で聞いてくるシリルの身体には、たしかにユニの魔法がまとわりついていた。
「ご、ごごごごごめんなさい!」
ユニは顔を真っ青を通り越して真っ白にして頭を下げた。
何という不敬を犯してしまったのだ。
王族に魔法をぶつけるなど、処罰ものだ。
「大丈夫です、殿下! そのまま魔法は消えますので!」
幸いなことに、使役魔法は人間には害はない。
あくまで魔物や魔族、「魔」とつくものにのみ作用するように練られている魔法なので、シリルをこのまま使役するなどという効果はない。
このまま消えてしまうので、心配はなかった。
心配すべきは、ユニの処遇だろう。
不敬罪で罰を受けることになるだろうが、果たしてどれほど重い罰になるのか。
戦々恐々としながら、ユニは必死に頭を下げ続けた。
「大丈夫なんだろう? 俺には害がない」
「はい! そうです!」
「なら、そんなに謝らないで。顔を上げて」
腰を直角に曲げたまま動かないユニの顔を、屈んで覗き込んできたシリルは怒った様子も見せずにそう言ってきた。
いつも通りに穏やかな顔で、優しい声で。
「は、はい!」
ユニは、彼の美しくも伊達な顔が近くにあったことに驚いて飛び退く。
シリルの相貌は、近距離で見るにはあまりにも麗し過ぎて心臓に悪い。
二重の意味でドキドキしながら、背筋を伸ばして姿勢を正した。
「それで? どうして君の魔法が飛んできたのか教えてくれる?」
「……はい」
ユニは情けない思いをしながら、事情を話した。
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