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第二話 初めての戦闘
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ガリガリガリ
なんだろうと思いながら、曲がり角に隠れその先の様子を見ると、犬が3匹何かを食っている。
そいつらは、食うことに夢中なため、まったくこっちに気づいていない。
……たまにいるんだ。
たぶん野犬だろう。
田舎に行くと、野良化した犬がこういった廃屋に住み着いていることがちょくちょくある。
しかし、注意する必要がある。
あいつらは場合によっては人を襲ってくる可能性がある。
今は喰うのに夢中になっているのでこちらに気づいていないが、早々に立ち去るのがいいだろう。
俺は、ゆっくり後ずさりしながら、元来た道に戻ろうとしたところ、石につまずいて尻餅をついてしまった。
ドスン
大きな音が通路にこだまする。
(やべぇ)
俺は立ち上がった時はすでに、3匹の野犬が俺の3メートル先で低く唸っていた。
(くそっ)
こうなったら仕方が無い。
走って逃げても人間の足では追いつかれる。
俺は、野犬達の動きを注視しながら、ゆっくりと背中のリュックを前に持ってくる。
リュックの中から、スタンガンとナックルガードつきのサバイバルナイフを取り出す。
これらのアイテムは本来こういうために持っているものではない。
廃屋探検というイマジネーションの世界に、よりリアリティを出すために小道具なのだ。
こういったものを持っているだけで、冒険をしているような感じで気分がいいのだ。
左手にスタンガン、右手にナイフを持ち、徐々に通路の角が背になるように移動していく。
その間、野犬も徐々に距離を縮めてくる。
バゥ
3匹の中で中央やや少し後ろにいた犬が吼えると同時に、右隣の犬が一気に距離を縮めてきた。
バチバチバチ
目と鼻の先まで近づいてきた犬の鼻先にスタンガンを光らせる。
その音と火花に驚いて、その犬が顔を背けた瞬間、俺は向かって右側面から水平にナイフを突き立てた。
その瞬間、なんともいえないにぶい感触が手に伝わる。
急いで、ナイフを抜き去ると、その野犬は刺し口から大量に出血しそのまま横に倒れ、ビクンビクンとしばらく痙攣し動かなくなった。
俺は右手を2~3度上下に振って、ナイフについた血を飛ばす。
その間も、残りの二匹の野犬の動きには十分に注意する。
二匹は左右に分かれて、徐々に近づいてくる。
同時にこられるとまずいなと思い、俺は自ら一歩前に踏み出し、ボスらしき犬との距離を詰める。
そいつはパッと俺の右手側に移動したかと思うと、距離を詰めて右腕に噛み付いてきた。
ガリッ
右腕をかまれたが、俺にはダメージが無い。
実は、腕と脛には防刃プロテクターをつけている。
更に、間接部にスケボー用の肘当てと膝当てをつけている。
これも、ある意味探検の臨場感を高めるための演出小道具だ。
ネットの防犯グッズサイトで買った代物だ。
最近はこういったものが、ネットで簡単に購入することが出来る。
輸入代理店経由のものだが、秋葉とかで購入するより値段もやすく品も豊富だ。
ちなみに、あとは防刃Tシャツを着込み、鉄板入りアウトドアシューズをはいている。
余談だが、この防刃Tシャツは結構すごい。
見た目はタダのプリントTシャツだ。
若干ゴワゴワ感があるが、普通に洗濯も出来る。
しかし、カッターでガリガリ切りつけてみても全然切れない。
ナイフのような硬い金属の細い先端で突き刺すと、流石に穴が開くが、切りつけることはまず出来ない。
その性能のため、値段も高かった。
これ1枚で3万5千円もする。
ただ問題なのは打撃エネルギーは一切吸収しないので、どこまで意味があるかはいろいろ疑問はある。
本当のところは防弾防刃チョッキが欲しかったのだが、安い物でも10万越えるので流石に手が出なかった。
あと、鉄板入りシューズは結構重いが、ブロックくらいは蹴り割ることが出来る。
ちなみにリュックの中には、防犯グッズがまだまだいろいろ入っている。
俺は凝り始めたら結構キリが無い性格なのだ。
防犯サイトを見ていると、なぜかあれもこれも欲しくなってくる。
俺のコンビニのバイト代は、全て防犯グッズに消えていった。
しかし、今はそれを良しとしよう。
おかげで怪我をせずにすんだ。
右腕に噛み付いた犬の眉間にスタンガンをぶち当てると、泡を吹いてぶっ倒れる。
もう一匹はいつの間にか、左脛に噛み付いていた。
俺はナイフを犬の胴に何度も突き刺すと、そこから大量に出血してしばらくして絶命した。
起き出してまた襲われてもなんなので、電撃で泡を吹いたボス犬にも止めを指す。
そうしたところ、
テレッテッテッテー
いきなり俺の頭上から音楽が流れてきた。
分けわからない状況のため、俺は前後左右を確認するが何もない。
音楽が鳴り止むと、更に驚きのことが起きた。
なんと、空中に文字があわられたのだ。
『あなたはレベルが1つ上がりました』
目をこすって再度見るが、やはり空中に文字が浮かんでいる。
ブゥゥンブゥゥン
文字を右手で触ると、その部分だけ消える。
しばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『HP 10→13
MP 8→10
スキル 1→3
筋力値 3→4
体力値 5→6
敏捷値 2→3
器用値 5→6
魔力値 4→5
幸運値 2→4』
更にしばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『あなたはファイアLV1の魔法を覚えました
あなたはサンダーLV1の魔法を覚えました』
更にしばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『ドッグは傷薬X2を持っていました』
ボォン
文字が消えて、目の前の地面に白い煙が出てきて、それが消えると小瓶が2つと黒い小さな石が3つあった。
俺はどうしようか悩んだが、その小瓶と石を手に取る。
『以上です』
うぉぉおおおぉーい、なんじゃこりゃ。
どうなっているんだ?
意味不明だ?
今のはなんだ?
この小瓶は?
この石は?
さっきの文字は?
俺は急な出来事のせいで、頭が混乱している。
両手で頭を掻きむしりながら、通路を行ったり来たりする。
(冷静になれ、冷静になれ、冷静になれ)
俺は壁の角にしゃがみ込んで、必死に頭を回転させて事態を理解しようとする。
俺は、廃病院でビデオ撮影していた。地下で落盤事故にあった。
落ちた穴が無かったので出口を探しに歩き始めた。
野犬がいたので殺した。
なぜか頭上から効果音が流れてきてゲームのようにレベルアップした。
ファイアとサンダーの魔法を覚えた。アイテムらしきものを手に入れた。
おかしいぞ、効果音のあたりから全ておかしい。
あれ、俺どうなってるの?
これって現実化?
どう考えてもゲームなんですけど。
パンパン
俺は自分のホホを両手の平で叩くと痛いし、夢じゃない。
(そもそも、ファイアとかサンダーとか何だよ。ライターとスタンガンなら持っているよ)
心の中でつっ込みを入れるがわけが分からない。
しばらくあれこれと考えて気持ちを落ち着かせる。
まぁまて、どうせなんかのいたずらだろう。
試してみれば、はっきりする。
右手のひらを前に突きだして、
「ファイア……なんちゃって、てへっ。アホか!」
俺は一人でなに恥ずかしいことやっているんだろうと思い、一人突っ込みを入れていると、次の瞬間、
ぼぉぉぉぉぉおぉぉおおおぉぉおおぉ
「うわっち!?」
手のひらから長さ3メートルくらいの炎が、火炎放射器のように飛び出た。
驚いて手を引っ込めると炎は消えた。
「ファイア」
もう一度手のひらを前に出して、ファイアと叫ぶと再度炎が吹き出る。
その後1分くらい出し続けると、炎は小さくなって消えた。
(あれ? もう終わり)
再度、ファイアと唱えるが炎は出なくなった。
一応、サンダーと唱えて見るが、何も起きない。
その後あれこれ試したがウンともスンとも言わない。
しばらく考えたが、もしかしたらMPが尽きたと言う事なのかもしれない。
そういえば、表示された能力値にMPがあった気がする。
(しまった、メモして置けばよかった)
こうなるとはまったく予想していなかったので、表示された内容をよく覚えていない。
(うーん、レベルアップって言っていたので、また表示されるのを待つしかないか)
俺はしばらくまた座り込んであれこれ考える。
どうやら変な世界に迷い込んだみたいだ。
ざっくり言ってRPG系のダンジョンの中にいるような感じだ。
鉱山トンネルの出口を探すはずが、とんでもないことになった。
なんだろうと思いながら、曲がり角に隠れその先の様子を見ると、犬が3匹何かを食っている。
そいつらは、食うことに夢中なため、まったくこっちに気づいていない。
……たまにいるんだ。
たぶん野犬だろう。
田舎に行くと、野良化した犬がこういった廃屋に住み着いていることがちょくちょくある。
しかし、注意する必要がある。
あいつらは場合によっては人を襲ってくる可能性がある。
今は喰うのに夢中になっているのでこちらに気づいていないが、早々に立ち去るのがいいだろう。
俺は、ゆっくり後ずさりしながら、元来た道に戻ろうとしたところ、石につまずいて尻餅をついてしまった。
ドスン
大きな音が通路にこだまする。
(やべぇ)
俺は立ち上がった時はすでに、3匹の野犬が俺の3メートル先で低く唸っていた。
(くそっ)
こうなったら仕方が無い。
走って逃げても人間の足では追いつかれる。
俺は、野犬達の動きを注視しながら、ゆっくりと背中のリュックを前に持ってくる。
リュックの中から、スタンガンとナックルガードつきのサバイバルナイフを取り出す。
これらのアイテムは本来こういうために持っているものではない。
廃屋探検というイマジネーションの世界に、よりリアリティを出すために小道具なのだ。
こういったものを持っているだけで、冒険をしているような感じで気分がいいのだ。
左手にスタンガン、右手にナイフを持ち、徐々に通路の角が背になるように移動していく。
その間、野犬も徐々に距離を縮めてくる。
バゥ
3匹の中で中央やや少し後ろにいた犬が吼えると同時に、右隣の犬が一気に距離を縮めてきた。
バチバチバチ
目と鼻の先まで近づいてきた犬の鼻先にスタンガンを光らせる。
その音と火花に驚いて、その犬が顔を背けた瞬間、俺は向かって右側面から水平にナイフを突き立てた。
その瞬間、なんともいえないにぶい感触が手に伝わる。
急いで、ナイフを抜き去ると、その野犬は刺し口から大量に出血しそのまま横に倒れ、ビクンビクンとしばらく痙攣し動かなくなった。
俺は右手を2~3度上下に振って、ナイフについた血を飛ばす。
その間も、残りの二匹の野犬の動きには十分に注意する。
二匹は左右に分かれて、徐々に近づいてくる。
同時にこられるとまずいなと思い、俺は自ら一歩前に踏み出し、ボスらしき犬との距離を詰める。
そいつはパッと俺の右手側に移動したかと思うと、距離を詰めて右腕に噛み付いてきた。
ガリッ
右腕をかまれたが、俺にはダメージが無い。
実は、腕と脛には防刃プロテクターをつけている。
更に、間接部にスケボー用の肘当てと膝当てをつけている。
これも、ある意味探検の臨場感を高めるための演出小道具だ。
ネットの防犯グッズサイトで買った代物だ。
最近はこういったものが、ネットで簡単に購入することが出来る。
輸入代理店経由のものだが、秋葉とかで購入するより値段もやすく品も豊富だ。
ちなみに、あとは防刃Tシャツを着込み、鉄板入りアウトドアシューズをはいている。
余談だが、この防刃Tシャツは結構すごい。
見た目はタダのプリントTシャツだ。
若干ゴワゴワ感があるが、普通に洗濯も出来る。
しかし、カッターでガリガリ切りつけてみても全然切れない。
ナイフのような硬い金属の細い先端で突き刺すと、流石に穴が開くが、切りつけることはまず出来ない。
その性能のため、値段も高かった。
これ1枚で3万5千円もする。
ただ問題なのは打撃エネルギーは一切吸収しないので、どこまで意味があるかはいろいろ疑問はある。
本当のところは防弾防刃チョッキが欲しかったのだが、安い物でも10万越えるので流石に手が出なかった。
あと、鉄板入りシューズは結構重いが、ブロックくらいは蹴り割ることが出来る。
ちなみにリュックの中には、防犯グッズがまだまだいろいろ入っている。
俺は凝り始めたら結構キリが無い性格なのだ。
防犯サイトを見ていると、なぜかあれもこれも欲しくなってくる。
俺のコンビニのバイト代は、全て防犯グッズに消えていった。
しかし、今はそれを良しとしよう。
おかげで怪我をせずにすんだ。
右腕に噛み付いた犬の眉間にスタンガンをぶち当てると、泡を吹いてぶっ倒れる。
もう一匹はいつの間にか、左脛に噛み付いていた。
俺はナイフを犬の胴に何度も突き刺すと、そこから大量に出血してしばらくして絶命した。
起き出してまた襲われてもなんなので、電撃で泡を吹いたボス犬にも止めを指す。
そうしたところ、
テレッテッテッテー
いきなり俺の頭上から音楽が流れてきた。
分けわからない状況のため、俺は前後左右を確認するが何もない。
音楽が鳴り止むと、更に驚きのことが起きた。
なんと、空中に文字があわられたのだ。
『あなたはレベルが1つ上がりました』
目をこすって再度見るが、やはり空中に文字が浮かんでいる。
ブゥゥンブゥゥン
文字を右手で触ると、その部分だけ消える。
しばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『HP 10→13
MP 8→10
スキル 1→3
筋力値 3→4
体力値 5→6
敏捷値 2→3
器用値 5→6
魔力値 4→5
幸運値 2→4』
更にしばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『あなたはファイアLV1の魔法を覚えました
あなたはサンダーLV1の魔法を覚えました』
更にしばらくすると、その文字が消えていき、次の文字があわられる。
『ドッグは傷薬X2を持っていました』
ボォン
文字が消えて、目の前の地面に白い煙が出てきて、それが消えると小瓶が2つと黒い小さな石が3つあった。
俺はどうしようか悩んだが、その小瓶と石を手に取る。
『以上です』
うぉぉおおおぉーい、なんじゃこりゃ。
どうなっているんだ?
意味不明だ?
今のはなんだ?
この小瓶は?
この石は?
さっきの文字は?
俺は急な出来事のせいで、頭が混乱している。
両手で頭を掻きむしりながら、通路を行ったり来たりする。
(冷静になれ、冷静になれ、冷静になれ)
俺は壁の角にしゃがみ込んで、必死に頭を回転させて事態を理解しようとする。
俺は、廃病院でビデオ撮影していた。地下で落盤事故にあった。
落ちた穴が無かったので出口を探しに歩き始めた。
野犬がいたので殺した。
なぜか頭上から効果音が流れてきてゲームのようにレベルアップした。
ファイアとサンダーの魔法を覚えた。アイテムらしきものを手に入れた。
おかしいぞ、効果音のあたりから全ておかしい。
あれ、俺どうなってるの?
これって現実化?
どう考えてもゲームなんですけど。
パンパン
俺は自分のホホを両手の平で叩くと痛いし、夢じゃない。
(そもそも、ファイアとかサンダーとか何だよ。ライターとスタンガンなら持っているよ)
心の中でつっ込みを入れるがわけが分からない。
しばらくあれこれと考えて気持ちを落ち着かせる。
まぁまて、どうせなんかのいたずらだろう。
試してみれば、はっきりする。
右手のひらを前に突きだして、
「ファイア……なんちゃって、てへっ。アホか!」
俺は一人でなに恥ずかしいことやっているんだろうと思い、一人突っ込みを入れていると、次の瞬間、
ぼぉぉぉぉぉおぉぉおおおぉぉおおぉ
「うわっち!?」
手のひらから長さ3メートルくらいの炎が、火炎放射器のように飛び出た。
驚いて手を引っ込めると炎は消えた。
「ファイア」
もう一度手のひらを前に出して、ファイアと叫ぶと再度炎が吹き出る。
その後1分くらい出し続けると、炎は小さくなって消えた。
(あれ? もう終わり)
再度、ファイアと唱えるが炎は出なくなった。
一応、サンダーと唱えて見るが、何も起きない。
その後あれこれ試したがウンともスンとも言わない。
しばらく考えたが、もしかしたらMPが尽きたと言う事なのかもしれない。
そういえば、表示された能力値にMPがあった気がする。
(しまった、メモして置けばよかった)
こうなるとはまったく予想していなかったので、表示された内容をよく覚えていない。
(うーん、レベルアップって言っていたので、また表示されるのを待つしかないか)
俺はしばらくまた座り込んであれこれ考える。
どうやら変な世界に迷い込んだみたいだ。
ざっくり言ってRPG系のダンジョンの中にいるような感じだ。
鉱山トンネルの出口を探すはずが、とんでもないことになった。
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