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第七話 マンティス退治 前編
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テクテクテク、テクテクテク
二人並び、無言で一本道の通路をひたすら歩く。
しばらくして、さすがに気まずい感じがしたので、リーンに声をかけた。
「リーン、ちょっと質問があるんだけど……」
二人並んで通路を歩きながら、俺は疑問に思っていたことを聞いてみることにした。
「ん?」
リーンは顔を上げて、「なんですか?」という顔をしている。
「リーンは魔族ということだけど、人と魔族と何が違うの?」
俺は、魔族という存在についてずーっと気になっていた。
パッと見で何か大きな違いがあるようには見えない。
見た目と会話から歳は、中学生くらいな感じだ。
「うーん……? 私もよくわからない」
しばらく考えた後、リーンは遠くを見るような表情をしている。
「そう、じゃあこの角は何のためなの?」
俺はそう言うと、ひとさし指でチョンとリーンの頭にある小さな角をつついた。
「ヒィヤァΘΨ……!?」
リーンは急に悲鳴を上げて、ピョンとその場でジャンプしたかと思うと顔を真っ赤にし、次の瞬間フードをガバッと目深にかぶって下を向いた。
「えぇ!? ご、ごめん」
俺はリーンのあまりの行動にびっくりし、思わず謝罪する。
「……い、いいの。 でも、あまりに突然だったから……」
そう言うとリーンはねじるような感じで左右の手を握って、少しモジモジしながら徐々に俺の方に体を近づけてきた。
そして、なぜかリーンは手を出して俺の手に重ねてきた。
プニプニしたハリのある小さな手が俺の手の中にあった。
あまりにさわり心地がいいので、しばらく手の中でプニプニ感を満喫していたが、しばらくして「はっ!」と我に返る。
「どうしたの?」
いきなり手を握ってきたリーンの行動がよくわからないので、率直に聞いてみたが返事が無い。
リーンの態度が急におかしくなった。
ただ、顔はずーっと下を見ていて、フードは目深にかぶったままだ。
正直女の子に不慣れな俺はリーンの態度の急変についていけていない。
とはいってもこのままだと、急な戦闘に対応しずらい。
「どうしの、リーン? 何か変だよ」
俺は立ち止まってしゃがみこみリーンの両肘あたりをつかんで、下からフードの中のリーンの顔を見上げる。
「えっ? 角を触るのは好きなもの同士の合図だよ」
「えぇ!? そうなの、しらなかった。ごめん」
「……しらなかったの?」
そう言うとしばらくポカンとした表情だったリーンは、急に顔を真っ赤にし、勘違いした恥ずかしさのためその場で硬直してしまった。
「おーい、かえってこーい」
しばらく経って硬直したままなので、俺はリーンの顔の前で軽く手を振る。
リーンはハッと我に返り、なぜかフードの襟を立てて一直線に走り始めた。
「ちょっ! 待って~」
どんどん遠ざかるリーンを、俺はダッシュで追いかけるのだった。
しばらくすると、前方でリーンが立ち止まっていた。
その先は通路が終わり、天井が高い空間になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、……やっと追いついた。ダメだよ、1人で行っちゃあ」
俺は腰を曲げ、両手を膝に当ててぜぇぜぇと息を切らしながらリーンに話す。
「あきら、あっ、あれ!」
いつの間にかリーンはフードを脱いでいた。
そして、そのまなざしは一点を見つめている。
俺もその方向を見る。
そこには体長4メートルくらいの馬鹿でかい蟷螂が、なにやら人型のものを貪り食っていた。
二人並び、無言で一本道の通路をひたすら歩く。
しばらくして、さすがに気まずい感じがしたので、リーンに声をかけた。
「リーン、ちょっと質問があるんだけど……」
二人並んで通路を歩きながら、俺は疑問に思っていたことを聞いてみることにした。
「ん?」
リーンは顔を上げて、「なんですか?」という顔をしている。
「リーンは魔族ということだけど、人と魔族と何が違うの?」
俺は、魔族という存在についてずーっと気になっていた。
パッと見で何か大きな違いがあるようには見えない。
見た目と会話から歳は、中学生くらいな感じだ。
「うーん……? 私もよくわからない」
しばらく考えた後、リーンは遠くを見るような表情をしている。
「そう、じゃあこの角は何のためなの?」
俺はそう言うと、ひとさし指でチョンとリーンの頭にある小さな角をつついた。
「ヒィヤァΘΨ……!?」
リーンは急に悲鳴を上げて、ピョンとその場でジャンプしたかと思うと顔を真っ赤にし、次の瞬間フードをガバッと目深にかぶって下を向いた。
「えぇ!? ご、ごめん」
俺はリーンのあまりの行動にびっくりし、思わず謝罪する。
「……い、いいの。 でも、あまりに突然だったから……」
そう言うとリーンはねじるような感じで左右の手を握って、少しモジモジしながら徐々に俺の方に体を近づけてきた。
そして、なぜかリーンは手を出して俺の手に重ねてきた。
プニプニしたハリのある小さな手が俺の手の中にあった。
あまりにさわり心地がいいので、しばらく手の中でプニプニ感を満喫していたが、しばらくして「はっ!」と我に返る。
「どうしたの?」
いきなり手を握ってきたリーンの行動がよくわからないので、率直に聞いてみたが返事が無い。
リーンの態度が急におかしくなった。
ただ、顔はずーっと下を見ていて、フードは目深にかぶったままだ。
正直女の子に不慣れな俺はリーンの態度の急変についていけていない。
とはいってもこのままだと、急な戦闘に対応しずらい。
「どうしの、リーン? 何か変だよ」
俺は立ち止まってしゃがみこみリーンの両肘あたりをつかんで、下からフードの中のリーンの顔を見上げる。
「えっ? 角を触るのは好きなもの同士の合図だよ」
「えぇ!? そうなの、しらなかった。ごめん」
「……しらなかったの?」
そう言うとしばらくポカンとした表情だったリーンは、急に顔を真っ赤にし、勘違いした恥ずかしさのためその場で硬直してしまった。
「おーい、かえってこーい」
しばらく経って硬直したままなので、俺はリーンの顔の前で軽く手を振る。
リーンはハッと我に返り、なぜかフードの襟を立てて一直線に走り始めた。
「ちょっ! 待って~」
どんどん遠ざかるリーンを、俺はダッシュで追いかけるのだった。
しばらくすると、前方でリーンが立ち止まっていた。
その先は通路が終わり、天井が高い空間になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、……やっと追いついた。ダメだよ、1人で行っちゃあ」
俺は腰を曲げ、両手を膝に当ててぜぇぜぇと息を切らしながらリーンに話す。
「あきら、あっ、あれ!」
いつの間にかリーンはフードを脱いでいた。
そして、そのまなざしは一点を見つめている。
俺もその方向を見る。
そこには体長4メートルくらいの馬鹿でかい蟷螂が、なにやら人型のものを貪り食っていた。
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