「俺とセックスしないと、アンタ、消えるよ?」

山吹花月

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 再び唇が重ねられた。

 ユミトは下唇を淡く食みながらエリナの肌を撫でていく。

 触れるか触れないかの圧で衣服の上をなぞられ、焦れた体がぴくりと跳ねた。

 彼のキスが頬をかすめ耳朶に触れる。

 柔らかく唇で挟まれ、下から上へ耳の輪郭がなぞられていく。

 肌の感触を確かめるようにしっとりと押し当てるキス。

 ユミトの息が皮膚の薄い部分をくすぐり、この後与えられるであろう悦への期待で身体がくすぶり始める。

 耳裏に吸いつかれた瞬間、甘い疼きが背筋を落ちて腹の奥を震わせた。

「耳、よさそうだな」

 間近で囁かれた声からは息遣いまでも鮮明に感じ取れる。

「こっちは?」

 反対側の耳にユミトの唇が寄る。

 舌が這わされ濡れたざらつきで舐めあげられると、くぐもった吐息が零れた。

「へえ、こっちの方が弱いんだ」

 彼がわずかに笑った気配がする。

「なに笑って……っん」

 エリナの言葉を遮り耳への愛撫が再開された。

 くまなくキスで触れられ時折甘く歯を立てられる。

 逆の耳は手でゆるく塞がれ、聴覚が彼の唇から洩れる水音や吐息で支配された。

「腰、揺れてるぞ」

 ふとももを割り彼の膝が秘処に押し当てられた。

 服越しに圧迫され、じんわりと愉悦が広がる。

 ユミトの唇は耳朶から下がり、浮き出た首筋を丁寧にキスでなぞっていく。

 口付ける感触が鮮明に感じられ、時折熱く濡れたざらつきで擦られ肌が甘くわなないた。

「もう立ってる」

 ユミトの視線を追うと自身のふくらみへ注がれている。

 双丘の先端は衣服の上からでもわかるくらいに尖っていた。

「まだ触ってねえのに」

 いじわるく片側の口端をあげたユミトは指を沈めるが、わざと硬い昂ぶりには触れないように愛撫する。

 直接的な刺激は得られないのに、布が擦れるじんわりとした摩擦が中途半端に愉悦を生む。

 じれったくて早く核心に触れてほしいが、羞恥と変な意地がエリナの口を開かせない。

「おい、唇噛むなって」

 ユミトに口付けられ舌先で唇を割り開かれた。

 受け入れようとゆるめた時、思った以上に自身の体に力が込められ強張っていたことに気付く。

 こういった経験がないわけではないが、出会っても間もないよく知らない相手と事に及ぶタイプではなかった。

 少なからず緊張して体が硬くなっていたらしい。

 深い口付けで絡め取られ、エリナがとろとろに脱力するまで口内をねぶられる。

「いい顔」

 鼻先が触れ合いそうな距離でユミトが目を細めた。

 だらしないであろう表情を見られている、そう意識すると一気に羞恥が湧き上がってきた。

 ユミトの視線から逃れたくて、エリナは顔を背けようとするが彼の口付けによって阻止される。

「目、閉じるなよ」

 キスの合間にかすれた低音で囁かれた。

 薄く目を開くとユミトの赤い瞳と視線が絡む。

 獲物を見据える獣のようにあやしく揺らめく瞳孔から、彼の劣情を注ぎ込まれているような気分になる。

「ッ……」

 ユミトの瞳に見惚れていると、胸の先端に鋭い快感が走った。
 
 
 
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