上 下
24 / 26

24

しおりを挟む
 
 向き合ってフトンの上に正座する。

 なんだか落ち着かず、互いに視線を彷徨わせていた。

「……緊張してきちゃった」

「わ、私も……」

 ロキを見ると表情が硬くそわそわしている。

 自分も同じ顔をしているんだろうな、と思うとおかしくなって吹き出してしまった。

 クレオにつられてロキも笑う。

「やっぱり、初夜って特別だね」

 ロキがクレオの左手を取り、指先で指輪をなぞる。

「クレオちゃん、僕の奥さんになってくれてありがとう」

 改めて言葉にされると込み上げてくるものがある。

「こちらこそ。ロキと夫婦になれて、嬉しい」

 ロキの真摯な視線に射抜かれる。

 吸い寄せられるように顔が寄り唇が重なった。

 何度もかわした口付けなのに、どこか特別に感じる。

 角度を変えながら存分に互いの唇を味わう。

 触れ合ったままゆったりとフトンへ沈められた。

「クレオちゃん」

 手にロキの指先が絡められる。

「好き」

 頬やこめかみに唇が押し当てられていく。

「大好き」

 キスと一緒に言葉が降ってくる。

「私も。ロキが大好きだよ」

 それに答えたくて、繋がれていない方の手を彼の後頭部に添え柔らかく撫でた。

 ふわりと優しく微笑んだ後、ロキはクレオの耳元へ唇を寄せる。

 ちゅっと軽い音を立てながら耳の輪郭がなぞられていく。

 おだやかな刺激に肌が震える。

 そのままキスは首筋を辿り鎖骨へ降りた。

 凹凸に添って丁寧に唇が押し当てられていく。

 ひとつひとつの口付けからロキの慈愛が沁み込んでくるみたいで心地いい。

「帯、解くね」

 丁寧な手つきで衣服が解かれていく。

 時間をかけて前をはだけられ、その間も体にロキの視線が降り注ぐ。

「綺麗」

 じっくりと観察される。

 肌を見られることは初めてではないのに、無性に恥ずかしさが込み上げた。

「隠さないで」

 咄嗟に体を覆おうとしていた両手は呆気なく捕まる。

 そのまま指先が絡み拘束された。

 ロキが胸に覆い被さってくる。

 彼の髪が肌に触れてくすぐったい。

 再びキスの雨。

 なだらかな丘にくまなく唇が押し当てられていく。

 愛おしく感じていたその口付けも、なかなか悦を得られないことに次第に焦れてきた。

 柔らかい唇は心地いいのに、もっと鋭い快感が欲しくて腹の奥がもどかしくなる。

「もう尖ってる」

 胸の先端は期待ですでに主張を始めていた。

「まだ触ってないのにね」

 ロキの鼻先が尖りに触れ、わずかに愉悦が湧く。

 が、彼は核心ではなくその周辺ばかりにキスを落とす。

 わざと焦らされている。

 そう理解していながらも、その先を懇願するように揺れる腰を止めることはできなかった。

「ここ、どうしてほしい?」

 胸元でロキが囁く。

 吐息が肌をかすめてわずかに甘く震える。

 上目遣いで微笑む彼はどこか楽しそう。

 クレオの限界を見極めたうえで焦らしてくる。

「ねえ、言って?」

 笑顔で意地悪なことを要求してくる。

「……いっぱい、して?」

 最後は恥じらいよりも欲望が上回り、結局クレオは懇願してしまう。

「うん」

 答えるが早いか、ロキの唇が先端に吸いつく。

「いっぱい、してあげる」


 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

ヤンデレ義父に執着されている娘の話

アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。 色々拗らせてます。 前世の2人という話はメリバ。 バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。 そんな彼に見事に捕まる主人公。 そんなお話です。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...