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しおりを挟む「少し待ってて」
ロキが起き上がりチェストを探る。
彼が取り出したのは避妊具だった。
「まだクレオちゃんとふたりきりの時間を楽しみたいから」
夫婦だからなくてもいいのに、というクレオの思考が顔に出ていたのかもしれない。
クレオ自身もすぐに子供を望んでいるわけではなかった。
ロキは避妊具を自身に宛がい準備を始める。
クレオは思わず彼の怒張を凝視してしまう。
しっかりと目視するのは初めてで、その逞しさに驚いた。
クレオの片手には収まらないかもしれない。
「……あんまり見られると恥ずかしいんだけど」
ロキがいたたまれない顔をしながらもごもごと呟く。
「つい……」
クレオは慌てて視線をそらし、彼に背を向ける。
あれがこれから入ってくるのか。
思わず下腹に両手を当てた。
改めて考えると少し緊張したが、それよりも好きな人とひとつになれる喜びの方が大きかった。
「怖くなった?」
ロキが背後に近寄ってきた気配がして振り返る。
「ちょっとびっくりしただけ」
驚きはしたが不思議と恐怖は湧かなかった。
触れるだけのキスを交わす。
「優しくする。でも無理はしないでね」
「うん」
頬を撫でる彼の手が心地よくて顔をすり寄せた。
「クッション置こうか」
クレオの後ろに大き目のクッションが集められていく。
背を預けるとふわふわと包まれて居心地は悪くない。
「どう? 体勢苦しくない?」
「大丈夫だよ」
「しんどい時は言ってね」
ロキに膝裏を掴まれ、ゆっくりと秘処をあらわにされた。
今夜は月が明るくて、暗闇の中でも体が照らされている。
誰にもさらしたことのない秘められた場所にロキの視線が注がれている、それだけで襞がひくついた。
彼の昂った先端が蜜口に触れる。
すでに指先とは比べ物にならないほど圧を感じた。
「入るよ」
硬く張り詰めた先が入り口を割り開く感覚。
感じたことのない質量がじわじわと押し入ってくるが、幸いにも痛みはない。
「つらくない?」
そう聞くロキの方が眉間に皺を寄せて苦しげに見える。
「うん、平気。ロキの方がつらそう」
手を伸ばして彼の顔に触れる。
「っ、これは違うんだ」
眉を下げて困ったようにロキが笑った。
頬を撫でていた手を取られ、指先に彼の唇が寄る。
「すごく、気持ちよくて」
そう言いながら目を細めるロキが色っぽくて胸がきゅんと疼く。
「熱くて狭くて……どうしよう、すごくいい」
さらに彼が進み入ってくる。
硬く張り詰めた怒張がじっくりと内壁を擦っていく感覚に腰が甘くわなないた。
動きを止めたロキは体を倒してクレオに覆い被さる。
彼が体勢を変えたことでさらに押し込まれ、中が熱でいっぱいに満たされる。
「さすがに全部は難しそうだね」
割り入ることをやめたので、クレオは全部収まったとばかり思っていたが違ったらしい。
先程目にしたロキの昂ぶりを思い出して納得した。
「馴染むまで少しこのままでいようか。痛くない?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
ゆるく微笑むとロキも同じように笑い、唇が重ねられた。
彼で満たされたまま交わすキスが気持ちいい。
「動くよ」
クレオが頷くとロキがゆっくりと腰を進めた。
穏やかに抜き差しされ、そのたびにみっちり中を埋め尽くす怒張に擦られていく。
最初は圧迫感にばかり気を取られていたが、次第に奥の方からじゅくじゅくと疼く愉悦が湧き始める。
「っ、あんまり、締めると……ッ」
無意識に彼を締めつけていたようで、ロキが余裕のない吐息を零した。
律動が強まりさらに揺さぶられる。
擦られる悦と打ちつける振動でさらに官能が高められていく。
すでに彼の昂ぶりから気持ちよさを得るコツを掴んだ蜜壺は、増した刺激からもしっかりと快楽を拾う。
彼の動きに呼応するように収縮し襞が彼にまとわりつく。
「ぁっ、だめ……力、抜け、な……ンッ」
クレオの意志とは関係なく体は愉悦を溜め込み彼を締めつけた。
「っ……ごめん、余裕ない」
ロキのそのひと言を皮切りに、打ちつけが激しさが増す。
揺さぶられ与えられる快感に追い立てられ、クレオの唇からは熱に浮かされた嬌声が零れ続けた。
また奥から込み上げてくる感覚がする。
「んぁ、っ、ロキ……っ」
みるみる押し寄せる愉悦に流されてしまいそうで、なにかにすがりたくて彼へ手を伸ばす。
「しがみついてて」
ロキに腕を促され彼の首へ絡める。
一層近くなったロキの表情、視線、匂い、全部がクレオを刺激して官能に変えていく。
内側がさらに強く痙攣を始め、激しく出入りを繰り返す熱杭を逃すまいと抱き締める。
「も、っ、イく……クレオ、ちゃん、キス……」
求められるまま夢中で唇を貪り合う。
一層強く穿たれた衝撃で、クレオは溜まった熱が弾け果てを迎えた。
ほぼ同時にロキは動きを止め、息を詰めて背を震わせている。
締め上げた彼が中で脈打つのを感じた。
硬直する互いの体を抱き締めて、荒れたままの呼吸にかまうことなく舌を絡め合う。
「クレオちゃん、大丈夫?」
遠ざかる快楽の余韻に、だんだんと体から力が抜けていった。
「ん、大丈夫」
ロキの手が髪に触れ柔らかく撫でていく。
絶頂の波が遠ざかったからか、急に眠気が襲ってきた。
「そのまま寝ちゃっていいよ」
頭に触れる彼の手が心地よくてさらに瞼が重くなってくる。
「おやすみ、クレオちゃん。ゆっくり眠って」
触れるだけのキスが降った記憶を最後に、クレオはまどろみへ落ちていった。
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