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「エラさん、大丈夫?」

 ベッドに突っ伏すエラの髪をイリオの手が撫でていく。

 ある程度息が整ったところで体を横に倒してイリオを見る。

「大丈夫だよ」

 言葉とは裏腹にエラの体はくったりとベッドに沈み込んでいる。

「まだ体がだるいかな。そのまま横になっててください」

 横向きに寝そべるエラの後ろにイリオが体を寄せる。

 背後から抱き締められ、耳元にいくつもキスが降った。

 柔らかな感触が心地よくて安心する。

「このまま触りますね」

 イリオの両手が肌を滑り胸に触れる。

 彼の指が、まだ硬さを保ったままの先端をかすめていく。

 ひと撫でされるだけで体が反応し、すぐにくぐもった吐息が洩れ始める。

「敏感になってるのかな。声、可愛いです」

 耳にキスを落とされながら、やわやわとふくらみと尖りが愛されていく。

 そのまま下腹へ向かった彼の手。

 秘められた場所を探り、くちゅり、と水音を立てて蜜口に触れられる。

「溢れて指に絡む」

 熱っぽい声でイリオが囁いた。

 わざと音を立てるように動かされて羞恥が煽られる。

 入り口を撫でていた指がゆっくりと入ってきた。

 うるおうそこは、前回よりも滑らかに受け入れる。

 指は迷うことなく腹側の一点を捕らえた。

 エラの弱い場所。

 昨晩たった一回の交わりで暴かれてしまったらしい。

 すぐに官能が込み上げた。

 内から押し上げ溢れてきそうな感覚。

 発散したいのになにかが零れてしまいそうできゅっと力が入った。

 彼の指を締め付けてしまい、擦れて快感を生んだ襞が痙攣を始める。

「中、すごく濡れてますね」

 耳元で自身の状況を説明されて恥ずかしくなる。

「もっと締まりましたね。言葉攻めとか好きだったりします?」

「そういう、わけじゃ……っん」

そういった趣向の自覚はない。

「イリオ、だから……」

「っ」

 息を飲む気配がする。

「そんな嬉しいこと言われたら、僕」

 指が抜き去られる。

「もっとエラさんをとろとろにしたかったのに。やっぱり我慢きかない」

 かさり、と音がして彼が避妊具の準備をしていることがわかる。

「このまま、入らせてください」

 エラが緩慢に頷くと、横に向いたままの体勢で片足が持ち上げられた。

 そのままゆっくり熱杭が押し込まれる。

 昨晩ほどの圧迫感はなく、滑らかに奥へと辿り着く。

「っはぁ、中、熱……」

 イリオの吐息が首筋をくすぐる。

 彼の両手に下腹部を押さえられた。

 そのままぐっとイリオの腰が進んでくる。

「ッぁ、奥……」

 昨日とは違うところに当たっている感じがした。

「痛くない?」

「うん好き、そこ」

「もう、本当に煽ってばっかり」

 腰が擦り付けられ、奥を彼の先端でぐりぐりと圧迫される。

 じゅっと悦が滲み内側が収縮した。

「ここですね」

 一度で場所を把握したイリオがそこばかりに怒張を押し付ける。

 腹部を手で押さえられているので逃げ場がない。

 与えられる快楽を誤魔化せなくて中が震え続ける。

「ここも一緒に擦りましょうか」

 割れ目の先、充血した蕾にイリオが指を添える。

 ひと撫でされただけで快感に貫かれた。

 嬌声が高くなり自分の意志では止められない。

 軽く揺すられているだけなのに、腹の奥から愉悦がとめどなく溢れてくる。

「少し激しくします」

 ぎりぎりまで怒張が引き抜かれ、押し込まれる。

「ッ……」

 その衝撃で軽い果てを迎えた。

 一瞬声が出ず、喉を締めて息を詰める。

 わずかに内側がわなないた。

「エラさん、軽くイっちゃった?」

 腰を止めずにイリオが言う。

「ぅ、ンぁ……イっ、た……」

 止まらない抽挿で甘ったるい声が押し出される。

 まともに返事が出来ない。

 ほのかな絶頂が続き、ずっと内壁が痙攣している。

 動く彼を締め付け、それがさらに刺激を呼びまた気持ち良くなってしまう。

 すぐに次の昂ぶりの気配がする。

「また、締まりましたね……。っ一緒に、イきましょう」

 イリオの手がエラの肩を押さえた。

 奥を穿つ速さが上がる。

 体を固定されたせいで打ち付ける衝撃が逃げない。

 最奥の感じる場所へ容赦なくイリオの熱がぶつかる。

 みるみる昇りつめ、膨張した快楽が一気に弾け飛んだ。

 エラが体を震わせ果てるがイリオの腰は止まらない。

 揺さぶられるままに嬌声を零し、何度も甘く果て続ける。

「エラさん……ッ」

 切羽詰まった声で名を呼ばれ、一層激しく穿たれる。

 幾度となく乾いた破裂音が響いた後、彼は腰を止めた。

「っ……」

 息を詰め、イリオのたくましい両腕がエラを強く抱きしめる。

 彼が中で脈打つのが感じられた。

「……っはぁ」

 長い静寂の後、彼がゆっくり抜き去られた。

「エラさん、こっち向いて」

 唇が重なる。

 柔らかな感触が心地いい。

 下唇が淡く食まれ、舌先でくすぐられる。

 甘い口付けに酔いしれた。

「とろんとした顔してる。その顔、すごく好きです」

 頬を撫でられ再び唇が重ねられた。

「エラさん……」

 キスの合間に名を呼ぶイリオの声が甘ったるい。

「どうしよ、エラさん」

「ん、なあに」

 イリオが眉を寄せ困った表情をしている。

「……ほんとに寝かせてあげられないかも」

 ふともものあたりに硬い質量が押し付けられた。

 先程果てたばかりとは思えない熱。

 ついさっきの刺激を思い出した最奥がきゅっと震えた。

 果ての余韻でまだ体に力は戻っていないが、イリオが求めてくれることが嬉しかった。

「いいよ、しよ?」

 彼の首に腕を回し、今度はエラからキスを送る。
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