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「エラさん、ベッド行きましょう」

 じれったい指先に焦らされ続けたエラの体はくたりと力が抜けていた。

 湯の熱もあいまって頭がぼんやりする。

 イリオの言葉にゆるく頷くことしかできなかった。

「エラさん? 大丈夫?」

「ん、平気」

 口では平気と言うものの、すぐには体に力が入りそうにない。

「首に腕、回してください」

 うながされるままイリオの首にしがみつく。

「抱き上げますよ」

 彼の言葉の後に体が宙に浮いた。

 湯船から一気に外気にさらされる。

「ぅ、わっ」

 驚きでぼやけていた意識がはっきりする。

「そのまま掴まってて」

 平然と言うイリオ。

 人ひとりを持ち上げているのに涼しい顔をしている。

 彼に抱えられたまま脱衣所へ向かった。




 軽く水気を拭き取り、ふたりでベッドになだれ込む。

「エラさん」

 イリオが切実な声で名を呼ぶ。

 覆い被さる彼の肌が密着して心地がいい。

 指を絡められ優しくシーツに縫い留められる。

 唇が合わせられた。

 柔らかいキスが甘い。

 少しも離れたくなくて彼の首へ腕を巻きつけ引き寄せる。

「舌、出してください」

 言われた通り、口を薄く開いて舌を差し出す。

 同じく彼も舌を出し、そのまま舌先を舐め上げられた。

 互いのざらつきの摩擦でぞくぞくと背が痺れる。

 間近にある青い目と視線が絡んだ。

 いつもの穏やかな瞳とは違う猛り。

 奥の方に獣のような野性味を感じる鋭い視線から、彼が昂っていることがわかる。

 イリオを興奮させているのは自分。

 そう思うと腹の奥がじゅっと熱くなった。

 指先が解かれ、彼の指が手首から腕の内側をなぞっていく。

 肌の柔らかい部分を辿り、脇腹を何度もさすられ少しくすぐったい。

 下から掬いあげるように胸のふくらみへ手が添った。

 ちゅっと音を立て唇を解放したイリオ。

「綺麗です」

 熱のこもった視線でエラの体を見つめながらイリオが呟く。

 薄暗い室内とはいえ、あまりにも熱心に見つめるので羞恥が煽られる。

「きめ細かくて、柔らかくて」

 彼の指先が胸の輪郭をなぞっていく。

「やっぱりお手入れには気を使ってるんですか?」

 口では世間話をしているのに、愛撫は官能的に肌をなぞる。

「っ、香油、だけ……」

 じれったい感触に時折体がぴくりと震えた。

「いつも良い匂いですもんね、エラさん。塗ってあげたいな」

「今度、ね」

 後々後悔しそうだが、咄嗟に約束をしてしまった。

「今でもいいのに」

 少し残念そうにしながらイリオが肌に唇を寄せる。

 鎖骨の下から胸の先端へ向けて丁寧に口付けていく。

「触ってないのに尖ってますね」

 彼の吐息が硬くなった先へかかる。

 イリオの人差し指が尖りの側面を撫でた。

 わずかに触れるだけの優しい刺激が徐々に悦を生んでいく。

「美味しそう」

 片側がイリオの口内に含まれた。

 熱く濡れた感触がまとわりつく。

 ねっとり舐め上げられ、背筋が甘く痺れる。

 もう一方の尖りは指で挟まれ擦られた。

 ふたつの異なる愛撫でみるみる愉悦が溜まっていく。

「乳首、弱いんですね」

「なん、で……」

「だって腰、揺れてますよ」

 気付かなかった。

 愛撫に呼応して、彼にすり寄るように腰を揺らしていた。

「やらしい」

 イリオの言葉にかっと頬に熱が集まる。

「もっと見たいな」

 愛撫が再開される。

 じくじくと快感が湧き、腰の奥へと蓄積されていく。

「ッ……」

 ふともものあいだにイリオが足を滑り込ませてきた。

 膝がエラの秘処に宛がわてゆるく揺すられる。

 胸への刺激に加え下腹への振動。

 にじり寄るような快楽が、じわじわと熱をくすぶらせていく。

「っぁ、それ……んっ」

 シーツを掴み、もどかしい愉悦の波に身を任せる。

 じりじり追い立てられていく感覚。

 かといって決定的な快感は与えてもらえず、延々とじれったい気持ち良さにさらされ続ける。

「エラさん、苦しい?」

 シーツから手を解かれ指が絡められた。

 ゆるく首を振る。

「じゃあ、どうしてほしい?」

「っ……ちゃんと、触って」

「どこを?」

 イリオの口元がわずかに笑っている。

 エラの答えをわかったうえで、あえて聞いているのだ。

 羞恥と渇望の葛藤の末、やっとの思いで言葉にする。

「ここ」

 割り入っていた彼のふとももに腰を擦りつける。

「その誘い方、クる」

 ぎゅっと唇を押し当てるだけのキスをされた。

 すぐに離れたイリオは下肢の方へ移動する。

 足を開かれ、すでにうるんでいる蜜口が暴かれた。

「とろとろですね」

 イリオが親指で蜜を掬う。

 入り口を押しほぐすように指が宛がわれた。

 圧迫が気持ち良くてわずかにひくつく。

「吸い付く……」

 びっしょりと濡れた親指が割れ目を登り、蕾を見付ける。

 赤くふくれたそこを指で開かれ露わにされた。

 潤いをまとう親指がゆっくりと這わされる。

「ッ!」

 突き抜ける刺激に腰がびくりと跳ねた。

 左右にゆっくり揺らされ擦られる。

 指が行き来するたびにびりびりと快感が走り、エラの意思と関係なく声が洩れてしまう。

「可愛い声、もっと聞きたい」

 ぐっと指が押し込まれた。

 押し潰すように蕾がこねられ、逃げ場のない快感にさらされる。

 腹の奥に直接響くような悦が絶え間なく続く。

 内側から湧き上がるような押し上げるような感覚が徐々に大きくなっていった。

 嬌声を抑えることが出来ず、彼の指にされるがまま。

 頂点を迎え一層腰がびくびくと震えた。

 息を詰め絶頂感に耐える。

 何度か体を震わせた後、ようやく波が引いて呼吸が戻ってきた。

 胸を上下させ、足りない酸素を取りこむ。

「ごめんねエラさん」

 イリオの指が割れ目を撫で、入口へと宛がわれる。

「休ませてあげられない」

 
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