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 何度かついばむようなキスが降る。

 柔らかい唇が心地いい。

 ふとランジが離れていく気配がして瞼を開いた。

「肩」

 彼の大きな手に肩を包まれていた。

 ランジに触れられ、そこが力んでいたことに気付く。

 口先では軽口をたたいていても、体にはまだ緊張が残っていたようだ。

「体起こせるか?」

 ランジの意図はわからないものの頷く。

「起こすぞ」

 腕を引かれ、背を支えられながらベッドに座る体制になる。

「これならどうだ?」

 背後に移動したランジはそのままレンリを抱き締めた。

 密着する背中から彼の体温がじんわり伝わってくる。

 温かさと包まれている安心感で、こわばりが解れた気がした。

 不要な力を抜き、彼にもたれて身を預ける。

「うん、これ好き」

 振り向き彼を見上げた。

 思ったより顔が近い。

「そうか」

 顔が近付き唇が重なる。

「このまま続けていいか?」

「うん」

 どちらからともなく再びキスを交わした。

 唇の感触を味わうようにさすり合わせる。

 ふにふにとした弾力が気持ちいい。

 ランジの手が夜着の上から肌を撫でた。

 肩や腕、脇腹をかすめて腹から胸へ登っていく。

 彼の両方の手がふくらみに辿り着き、掬い上げるように包まれた。

 ゆったりと揉み込まれる。

 期待と少しの不安に高鳴る心臓がうるさく響く。

 それ以上に強く速いランジの鼓動が触れ合う背中に伝わってくる。

 彼の指先が胸の先端をかすめた。

「もう硬くなってる」

 耳元で自身の体の状態を説明されるのはなかなかに羞恥心が煽られる。

 かっと頬に熱が集まる感覚がした。

 彼の指の腹が先端に添い、触れるか触れないかの優しさで撫でられた。

 夜着が擦れてちりちりする。

 愛撫されればされるほど、そこはさらに硬くそそり立っていった。

 尖りはランジの親指と人差し指につままれ、ゆっくりと擦られていく。

 先端に滲んだ悦に思わず腰が跳ねた。

「痛いか?」

 愛撫が中断された。

「きもち、いい」

 咄嗟に素直な言葉が零れた。

 出てしまった素直な言葉が恥ずかしくて、頷くだけでもよかったと後悔する。

「っ」

 背後でランジが息を詰める気配がして、喉を鳴らす音が聞こえた。

「……続けるぞ」

 囁きで耳をくすぐられた後、耳朶に甘く吸いつかれた。

 耳へのキスは続き、胸への愛撫が再開される。

 指が動くたび、じれったいのに体が悦んで甘く震えてしまう。

 レンリの意思に関係なく鼻にかかった吐息が洩れ始めた。

 触れられるたびに快感が増していく。

 体の力は抜けていき、ふわふわ浮いてしまいそうな心地になってくる。

 未知の感覚に不安がよぎり、触れていた彼のふとももを強く掴んだ。

「大丈夫か?」

 耳の裏に口付けてからランジが囁く。

 熱い吐息が皮膚の薄い部分をくすぐるのさえ気持ちいい。

 言葉を発そうとすると自身の吐息にかき消されてしまいそうで、ゆるく頷くことで彼に答える。

「ゆっくりするから」

 首筋にキスが降り胸への愛撫は続いた。

 快楽ともどかしさが同時にせり上がってくる。

 じっとしているのがつらくなって、両足を擦り合わせてもどかしさを逃がそうと試みた。

 気持ちいいのは確かだが、なにかに追い立てられているようなじれったさを感じる。

「レンリ……」

 耳元で甘く掠れたランジの声がする。

 その直後、先端を愛撫していた指がゆっくり押し込まれた。

 尖っていたそこは硬さとは裏腹に、圧迫をすんなり受け入れ埋まる。

 押し込まれたままゆるく擦られた。

 先程までとは違う刺激にまた悦が湧く。

 腰が揺れ、自分のものとは思えないほど甘ったるい声が洩れた。

 どちらも自身の意思では抑えられない。

 触れられているのは胸なのに、腹の奥がじくじくと熱く重くなってくる。

 感じたことのない心地に戸惑いながらも、体は愉悦に溶かされていった。

 
 
 
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