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(幕間) 赤竜の王国 〇一
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——重武装の兵士たちが一糸乱れぬ隊列を組んで二つの軍が睨み合っている……そして一人の男が、これから始まろうという戦いの前に緊張を隠しきれない表情で馬に跨っている。
「……どうしてこうなった……」
金色の刺繍が入った外套を纏った男性……褐色の肌と短く刈り込んだ黒髪、そして整った顔立ちだがどことなく余裕のない表情を浮かべ、その頬にはツウッ……と一筋の汗が流れる。
ティーチ・ホロバイネン……竜殺しと呼ばれるマカパイン王国の英雄である彼はイングウェイ王国侵攻から戻ってすぐ、現在進行形でマカパイン王国の主力軍との戦いを目前にしていた。
今の彼はマカパイン王国に反旗を翻す反乱軍、そしてその指揮官……破竹の勢いで正規軍を打ち破り、その勢力は一気に膨れ上がりついにはトニー・シュラプネル・マカパイン三世率いる主力との最後の決戦に挑もうとしている。
隣には美しい赤髪の美女……軍師リーヒ・コルドラクが同じように馬に騎乗して敵軍の様子を眺めているが、その彼女は満足そうに満面の笑みを浮かべて笑うと、隣にいるティーチへと話しかけた。
今彼らが立っている場所は自らの軍勢を指揮するために設営した本陣の前であるが、周りの兵士から見ると恐れ多くて近寄れないほど二人の実績は評価されており、彼らの会話はほとんど聞こえることはない。
「……クハハハッ! あの時のお前の顔は面白かったな……あと一〇〇年は美味い酒を楽しめるわ」
「お前絶対性格悪いよな……もしかして召還命令を握りつぶしたのも……」
「さあな~、国王からの召還命令を無視、反体制派を糾合したホロバイネン軍はかくして反乱軍へ……クハハ!」
「俺……どうなるの? マジで……」
ティーチはイングウェイ王国侵攻より撤退し、その後辺境地区で発生した反乱を鎮圧した後、前王弟に連なる令嬢を救い出すことに成功した。
そこからどこでどうなったか彼にはわからないのだが、気がつけば現体制への不満を抱えた地方貴族達の協力を得たことで、加速度的に軍閥の勢力をとてつもないレベルへと拡大することになった。
そして……成長し続けるホロバイネン軍に危機感を覚えた国王軍とスピードワゴン公爵による召還命令をティーチが断ったことで、本格的にマカパイン王国は内乱へと突入した。
しかし、事の真相といえば召還命令はティーチの元へと届いておらず、リーヒによって握りつぶされており、裏でその能力を最大限に発揮した彼女によって反乱軍がまとめ上げられ、ティーチ本人の才覚もあるだろうが数回の会戦を見事大勝利で収めていた。
破竹の勢いというのはこういうことを言うのだろう……反乱軍の勢いは増すばかりであり、王国軍の運命は風前の灯と言っても良い。
王国軍からするとこの野戦においてホロバイネン軍を叩き潰さなければ、王国そのものが瓦解する事態となってしまっている……まさに今すぐにでも決戦は始まろうとしていた。
「……だが敵に骨がないのう……悪魔の類も全然出てこんではないか」
「そう言うの出てきたら任せるよ……いいよね?」
「当たり前じゃ、お主じゃ対応できまいて……」
リーヒの不満そうな顔を見ながらティーチは大きくため息をついた……本心として彼は王国に反抗する気などこれっぽっちもなく、どちらかというと混沌の手先を炙り出すために自らの権力を利用しようと考えており、それが終わったら隠遁生活を楽しもうと思っていたのだ。
そもそも彼からするとシャルロッタ・インテリペリという本物の怪物相手に何かをする気はすでになく、友好関係を構築しておけば気ままな生活に戻れると信じていた節がある。
だが……と彼はリーヒの横顔を見ながら考える……どう考えてもリーヒはシャルロッタの命令なのか、彼のことなど差し置いて好き放題に動いてしまっている。
勝手に軍を糾合し、反対派貴族をまとめ上げ……竜殺しの名声を最大限に利用してティーチが王国を奪取するように仕向けてのけた。
とんでもない神業である……どこをどうしたらそうなるのか、ティーチにはまるで理解ができない……彼はただ座って「うん」とか「わかった」と話しただけでここまできてしまっているのだ。
「それはそうとスピードワゴン公爵は出てくるかな……」
「これが決戦じゃぞ? 出てこないなら玉無し野郎じゃな……面子を気にする連中じゃし、なんとかしようと思うのではないか?」
「まあそうだよね……こちらの勢いで押し切れるといいけど」
「悪魔はここぞというときに展開するじゃろ、この場合は有効な決戦兵力たりうる……効果的なタイミングで確実に使う、我ならそうするな」
これまでの戦いでマカパイン王国軍は悪魔の類を使役していなかった……おそらくティーチ自身の反乱など簡単に叩き潰せると踏んでいた節があり、彼らにとって幸運であったことは否めない。
最初から主力軍もしくは悪魔を差し向けられていたとしたら‥…リーヒは擬態を解いてレッドドラゴンの姿で戦闘を行う必要が出てきただろう。
その場合は竜殺しであるティーチ本人の名声ではなく、王国を滅ぼすドラゴンとその協力者という不名誉な名前が残っただろうが……ティーチは戦いにおいて達人と言っても良い戦闘指揮を見せ、ホロバイネン軍に付き従う兵士、将軍達は皆ティーチに英雄の素質を見ていたのだ。
「それでも真正面からぶつかると被害が出るよなあ……うーん……」
「決戦じゃぞ? まずは相手の勢いを殺すところから始めるしかあるまい」
「そうだね……陣形を少し変えたほうがいいな……各部隊に連絡、陣形を事前通達の通りに変更せよ」
「はっ!」
ティーチの号令に伝令の若い兵士が目を輝かせながら敬礼すると急いで走っていく……彼の後ろ姿を目で追いながらはあっ……と深くため息をついた。
このままでいくと、彼はマカパイン王国の王として君臨する未来しか見えない……だが本心として彼は貴族や王などの重責を押し付けられることには耐えきれそうにない。
隣国であるイングウェイ王国では第一王子派と第二王子派の戦いは第一王子派の敗北で終わりつつあり、王妃としてシャルロッタ・インテリペリが絶大な権力を握るであろうことは疑いようがない。
外交として赴けば彼女と顔を合わせる必要が出てくると考えると、彼はそのプレッシャーに負けて死ぬではないのかという不安しか考えられなくなっているのだ。
「浮かぬ顔だな」
「当たり前だろ……決戦に勝ったら俺は国王だぞ……」
「男の子は国王とか英雄とかに憧れると聞いたがな、違うのか?」
「そういうの子供の頃だけだから」
確かにティーチもそういったものに憧れた時期があった、騎士や将軍への出世を夢見なかったわけではない……だが、大人になるにつれて次第に自分が置かれた状況などを理解して、『自分はそうではない』と諦めることもまた成長することだと思っていた。
しかし……恐ろしいことに彼自身が望まないにも関わらず、王座が目の前まで迫ってきているのだ、隣の人ではない魔物の手を借り、状況が全て好転し、そして多くの人間が彼のことを英雄として祭り上げる。
キリキリと胃が痛む……最近ストレスで寝れなくなっていたため、胃腸痛を和らげるポーションを常飲するようになっている。
英雄といえば隣国にいるシャルロッタ・インテリペリ……美しい顔をしておきながら、その内面は恐怖の権化であり、リーヒと共同で戦っても勝つことすらできなかった存在……あれは英雄というべきだろうか?
数年前国境で彼女を捉えようとした自らの不運を呪うしかない……どうしてあの時あんなことをしてしまったのか? 今からやり直せるならあの時に戻って彼女を無視して逃げたいくらいだ。
ティーチは胃の痛みを堪えるように鎧の下に手を入れて腹部をさすった後、リーヒに苦々しい表情で話しかけた。
「……どちらにせよ、もう状況がそうなっている以上自分にやれることはやる……ここまでやったんだ、お前もちゃんと協力しろよ?」
「竜殺しめ……私に叛逆を企てるとは……」
トニー・シュラプネル・マカパイン三世、マカパイン王国の若き国王である彼は黄金の輿に座ったまま、前方で展開しているホロバイネン率いる反乱軍の陣容を眺めて苦々しい表情で呟いた。
豪華な絹のトガを巻いた肉体は筋肉質であり、服の間から覗く肌は浅黒く日に焼けている……マカパイン王国の王族そして貴族階級の一部はもっと南方の大陸から流れてきた民族を祖としており、イングウェイ王国のような白い肌の人物とは民族的にはかなり異なっている。
王国の歴史は長く幾度となくイングウェイ王国と争ってきた歴史を持ち、文化的にも相入れない両国は長年抗争を繰り広げてきた。
インテリペリ辺境伯家という軍事に長けた貴族が隣接する辺境にいることが不幸の始まりでもあるが、彼の場合は父王があまりの辺境伯軍の強さに疲弊し、それ以上の拡張を諦めたのが不運であった。
「陛下、敵軍が動き始めました」
「そうか……我々も動くとするか……スピードワゴンはどうしている?」
スピードワゴン公爵……マカパイン王国内でも有数の貴族家であり、魔術と謀略に長けた一族の長はこの決戦に先立ち、国王へと上奏を行なっていた。
決戦兵器としての悪魔の利用について……神話に謳われた悪魔を目の当たりにしたマカパイン三世はその異様さと圧倒的な戦闘能力に驚き、そしてその力を存分に発揮できるように公爵と戦略を立てていた。
この戦いにおいてホロバイネンとその仲間たちを打ち滅ぼし、そして次はイングウェイ王国へ……王国一美しいと謳われる美姫シャルロッタ・インテリペリを征服者として組み敷く。
欲望に暗く燃える瞳を動き始めた反乱軍へと向けた彼は、全軍へと号令をかけた。
「良いか、この私マカパイン三世が指揮をするのだ……反乱軍など何するものぞ、必ずや王国に仇なす落ちた英雄を打ち滅ぼしてくれん……突撃ッ!!!!」
「……どうしてこうなった……」
金色の刺繍が入った外套を纏った男性……褐色の肌と短く刈り込んだ黒髪、そして整った顔立ちだがどことなく余裕のない表情を浮かべ、その頬にはツウッ……と一筋の汗が流れる。
ティーチ・ホロバイネン……竜殺しと呼ばれるマカパイン王国の英雄である彼はイングウェイ王国侵攻から戻ってすぐ、現在進行形でマカパイン王国の主力軍との戦いを目前にしていた。
今の彼はマカパイン王国に反旗を翻す反乱軍、そしてその指揮官……破竹の勢いで正規軍を打ち破り、その勢力は一気に膨れ上がりついにはトニー・シュラプネル・マカパイン三世率いる主力との最後の決戦に挑もうとしている。
隣には美しい赤髪の美女……軍師リーヒ・コルドラクが同じように馬に騎乗して敵軍の様子を眺めているが、その彼女は満足そうに満面の笑みを浮かべて笑うと、隣にいるティーチへと話しかけた。
今彼らが立っている場所は自らの軍勢を指揮するために設営した本陣の前であるが、周りの兵士から見ると恐れ多くて近寄れないほど二人の実績は評価されており、彼らの会話はほとんど聞こえることはない。
「……クハハハッ! あの時のお前の顔は面白かったな……あと一〇〇年は美味い酒を楽しめるわ」
「お前絶対性格悪いよな……もしかして召還命令を握りつぶしたのも……」
「さあな~、国王からの召還命令を無視、反体制派を糾合したホロバイネン軍はかくして反乱軍へ……クハハ!」
「俺……どうなるの? マジで……」
ティーチはイングウェイ王国侵攻より撤退し、その後辺境地区で発生した反乱を鎮圧した後、前王弟に連なる令嬢を救い出すことに成功した。
そこからどこでどうなったか彼にはわからないのだが、気がつけば現体制への不満を抱えた地方貴族達の協力を得たことで、加速度的に軍閥の勢力をとてつもないレベルへと拡大することになった。
そして……成長し続けるホロバイネン軍に危機感を覚えた国王軍とスピードワゴン公爵による召還命令をティーチが断ったことで、本格的にマカパイン王国は内乱へと突入した。
しかし、事の真相といえば召還命令はティーチの元へと届いておらず、リーヒによって握りつぶされており、裏でその能力を最大限に発揮した彼女によって反乱軍がまとめ上げられ、ティーチ本人の才覚もあるだろうが数回の会戦を見事大勝利で収めていた。
破竹の勢いというのはこういうことを言うのだろう……反乱軍の勢いは増すばかりであり、王国軍の運命は風前の灯と言っても良い。
王国軍からするとこの野戦においてホロバイネン軍を叩き潰さなければ、王国そのものが瓦解する事態となってしまっている……まさに今すぐにでも決戦は始まろうとしていた。
「……だが敵に骨がないのう……悪魔の類も全然出てこんではないか」
「そう言うの出てきたら任せるよ……いいよね?」
「当たり前じゃ、お主じゃ対応できまいて……」
リーヒの不満そうな顔を見ながらティーチは大きくため息をついた……本心として彼は王国に反抗する気などこれっぽっちもなく、どちらかというと混沌の手先を炙り出すために自らの権力を利用しようと考えており、それが終わったら隠遁生活を楽しもうと思っていたのだ。
そもそも彼からするとシャルロッタ・インテリペリという本物の怪物相手に何かをする気はすでになく、友好関係を構築しておけば気ままな生活に戻れると信じていた節がある。
だが……と彼はリーヒの横顔を見ながら考える……どう考えてもリーヒはシャルロッタの命令なのか、彼のことなど差し置いて好き放題に動いてしまっている。
勝手に軍を糾合し、反対派貴族をまとめ上げ……竜殺しの名声を最大限に利用してティーチが王国を奪取するように仕向けてのけた。
とんでもない神業である……どこをどうしたらそうなるのか、ティーチにはまるで理解ができない……彼はただ座って「うん」とか「わかった」と話しただけでここまできてしまっているのだ。
「それはそうとスピードワゴン公爵は出てくるかな……」
「これが決戦じゃぞ? 出てこないなら玉無し野郎じゃな……面子を気にする連中じゃし、なんとかしようと思うのではないか?」
「まあそうだよね……こちらの勢いで押し切れるといいけど」
「悪魔はここぞというときに展開するじゃろ、この場合は有効な決戦兵力たりうる……効果的なタイミングで確実に使う、我ならそうするな」
これまでの戦いでマカパイン王国軍は悪魔の類を使役していなかった……おそらくティーチ自身の反乱など簡単に叩き潰せると踏んでいた節があり、彼らにとって幸運であったことは否めない。
最初から主力軍もしくは悪魔を差し向けられていたとしたら‥…リーヒは擬態を解いてレッドドラゴンの姿で戦闘を行う必要が出てきただろう。
その場合は竜殺しであるティーチ本人の名声ではなく、王国を滅ぼすドラゴンとその協力者という不名誉な名前が残っただろうが……ティーチは戦いにおいて達人と言っても良い戦闘指揮を見せ、ホロバイネン軍に付き従う兵士、将軍達は皆ティーチに英雄の素質を見ていたのだ。
「それでも真正面からぶつかると被害が出るよなあ……うーん……」
「決戦じゃぞ? まずは相手の勢いを殺すところから始めるしかあるまい」
「そうだね……陣形を少し変えたほうがいいな……各部隊に連絡、陣形を事前通達の通りに変更せよ」
「はっ!」
ティーチの号令に伝令の若い兵士が目を輝かせながら敬礼すると急いで走っていく……彼の後ろ姿を目で追いながらはあっ……と深くため息をついた。
このままでいくと、彼はマカパイン王国の王として君臨する未来しか見えない……だが本心として彼は貴族や王などの重責を押し付けられることには耐えきれそうにない。
隣国であるイングウェイ王国では第一王子派と第二王子派の戦いは第一王子派の敗北で終わりつつあり、王妃としてシャルロッタ・インテリペリが絶大な権力を握るであろうことは疑いようがない。
外交として赴けば彼女と顔を合わせる必要が出てくると考えると、彼はそのプレッシャーに負けて死ぬではないのかという不安しか考えられなくなっているのだ。
「浮かぬ顔だな」
「当たり前だろ……決戦に勝ったら俺は国王だぞ……」
「男の子は国王とか英雄とかに憧れると聞いたがな、違うのか?」
「そういうの子供の頃だけだから」
確かにティーチもそういったものに憧れた時期があった、騎士や将軍への出世を夢見なかったわけではない……だが、大人になるにつれて次第に自分が置かれた状況などを理解して、『自分はそうではない』と諦めることもまた成長することだと思っていた。
しかし……恐ろしいことに彼自身が望まないにも関わらず、王座が目の前まで迫ってきているのだ、隣の人ではない魔物の手を借り、状況が全て好転し、そして多くの人間が彼のことを英雄として祭り上げる。
キリキリと胃が痛む……最近ストレスで寝れなくなっていたため、胃腸痛を和らげるポーションを常飲するようになっている。
英雄といえば隣国にいるシャルロッタ・インテリペリ……美しい顔をしておきながら、その内面は恐怖の権化であり、リーヒと共同で戦っても勝つことすらできなかった存在……あれは英雄というべきだろうか?
数年前国境で彼女を捉えようとした自らの不運を呪うしかない……どうしてあの時あんなことをしてしまったのか? 今からやり直せるならあの時に戻って彼女を無視して逃げたいくらいだ。
ティーチは胃の痛みを堪えるように鎧の下に手を入れて腹部をさすった後、リーヒに苦々しい表情で話しかけた。
「……どちらにせよ、もう状況がそうなっている以上自分にやれることはやる……ここまでやったんだ、お前もちゃんと協力しろよ?」
「竜殺しめ……私に叛逆を企てるとは……」
トニー・シュラプネル・マカパイン三世、マカパイン王国の若き国王である彼は黄金の輿に座ったまま、前方で展開しているホロバイネン率いる反乱軍の陣容を眺めて苦々しい表情で呟いた。
豪華な絹のトガを巻いた肉体は筋肉質であり、服の間から覗く肌は浅黒く日に焼けている……マカパイン王国の王族そして貴族階級の一部はもっと南方の大陸から流れてきた民族を祖としており、イングウェイ王国のような白い肌の人物とは民族的にはかなり異なっている。
王国の歴史は長く幾度となくイングウェイ王国と争ってきた歴史を持ち、文化的にも相入れない両国は長年抗争を繰り広げてきた。
インテリペリ辺境伯家という軍事に長けた貴族が隣接する辺境にいることが不幸の始まりでもあるが、彼の場合は父王があまりの辺境伯軍の強さに疲弊し、それ以上の拡張を諦めたのが不運であった。
「陛下、敵軍が動き始めました」
「そうか……我々も動くとするか……スピードワゴンはどうしている?」
スピードワゴン公爵……マカパイン王国内でも有数の貴族家であり、魔術と謀略に長けた一族の長はこの決戦に先立ち、国王へと上奏を行なっていた。
決戦兵器としての悪魔の利用について……神話に謳われた悪魔を目の当たりにしたマカパイン三世はその異様さと圧倒的な戦闘能力に驚き、そしてその力を存分に発揮できるように公爵と戦略を立てていた。
この戦いにおいてホロバイネンとその仲間たちを打ち滅ぼし、そして次はイングウェイ王国へ……王国一美しいと謳われる美姫シャルロッタ・インテリペリを征服者として組み敷く。
欲望に暗く燃える瞳を動き始めた反乱軍へと向けた彼は、全軍へと号令をかけた。
「良いか、この私マカパイン三世が指揮をするのだ……反乱軍など何するものぞ、必ずや王国に仇なす落ちた英雄を打ち滅ぼしてくれん……突撃ッ!!!!」
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