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第二九九話 シャルロッタ 一六歳 純真なる天使 〇九
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「……仲間として聖女を必要ともしないのは流石ですね、急造とはいえ天使を倒すとは思いませんでした」
「……どういう意味? 第一聖女ソフィーヤ様は貴女の信徒でしょう?」
戦場を離れてトボトボと歩いていたわたくしは突然漆黒の空間が周りを包み込んだことで、あの女神様が再び目の前に現れたのだと理解した。
目の前に現れた女神様……最初は光の粒子にしか見えなかったはずのそれは、今では黄金の美しい髪を持つ絶世の美女としての姿を認識できるほどはっきりとした姿へと変化している。
ただ、細かい造形は微妙に歪んだり揺らいだりしているため、その顔が何に似ているか? と言われると非常に判断が難しい。
あと彼女の輪郭にはあの光の粒子が瞬いており、時間が経過するほど揺らぎ、まるで姿を色々決めかねているかのような動きを見せている。
「……ふむ、貴女にはこういう姿に見えているということですか」
「誰かに似ている気がするけど、誰にも似ていない……少なくとも女神像はかなり造形が違う気がしますね」
「あれはイメージですから……貴女の住んでいた世界でも似たようなことはあったのでは?」
確かに前々世では聖母像などは美術的な価値を生み出すために美しい造形となっていたし、復元図などを紹介する番組などでは全く違う人物の顔になったりしてそれが話題になったりもしていた。
『全然イメージと違う!』なんて笑い話扱いされてたりしたけど、そもそも後世の人がイメージで作る彫像なんかはどうしても願望なども入るだろうし。
そう考えると今わたくしの目の前でも揺らぐようにその姿を微妙に変えている女神様は、信徒ごとに全く違う姿をとることもあるのかもしれないなと思う。
それであれば世界が違っても、地域によって神を模した像は本物とは違う造形へと作られるのは必然的に仕方がないことなのかもしれない。
わたくしがそんなことを考えていると、目の前に立つ女神様は優しく微笑みながらわたくしをじっと見ていることに気がついた。
「なんですか?」
「……あまり伝えていなかった私にも問題はあるのですが、今回の一件でこの世界は当分の間聖女を欠くことになりました」
「聖女を欠く?」
「ソフィーヤ・ハルフォードは聖女としての才能を持ち、幼い頃に私の声を聞いた貴重な人材でした」
「……でした、というのはどういうことでしょうか?」
「ある日から彼女は別の声を聞き始めたからです……それはこの世界を狙う混沌の眷属たちの声だったかもしれません、まあ私はそんな声を聞けないからわからないのですが」
女神様は困ったなーとでも言わんばかりのわざとらしい仕草で首を傾げるが、なんだかムカつくなあのわざとらしさ。
ただ聖女としての才能がきちんとあった、という点についてはわたくしも同感だし、納得できる部分ではある……あるのだけど。
ただ「いつからか別の声を聞き始めた」というのであればその時にどうにかしろよ、という気がしなくもないわけで。
わたくしはジト目で女神様を見つめるが、彼女はそんな視線などどこ吹く風で曖昧な表情で微笑むだけだ。
「……それで?」
「過去マルヴァースにおいて勇者や聖女の素質を持つ存在は幾人も生まれていましたが、その度に排除されてきています」
「……排除……?」
「そう、排除です……それは何故か? 混沌勢力の拡大を防ぎかねない存在だからですよ」
確かに勇者や聖女といった所謂勇者パーティの存在は、世界を脅かすものたちにとって邪魔な存在である……前世でも勇者となったわたくしのことを魔王の手下達、通称魔王軍の連中は執拗に排除しにかかっていた。
レーヴェンティオラは勇者ラインが生まれるまで、魔王軍によって徐々に侵食されている世界だった……これは後で知ったのだが、それまでも同じように勇者は生まれていたのだが、その度に魔王軍は何らかの手段で勇者、そして勇者の仲間達を排除しにかかっていたらしい。
勇者ラインが住んでいた村を魔王軍が侵略し、殺戮したのは決して偶然などではなくそこに勇者がいるのだとわかっていたのだろう。
そして勇者ラインが生き残れたのは偶然だったに違いない、その時の記憶ははっきりと覚えているものの村の友人や大人達がその身を投げ出して勇者を逃したことで、運命が大きく変わった。
「前世でわたくしが狙われたのも同じ理由ですか?」
「そうですね、勇者というのは彼らにとって仇敵と言ってもいい存在ですからねえ……まあ、運が良かったですよ貴女は」
「あの時わたくしの友人や親、知人は全て魔王軍によって皆殺しにされましたわ……」
「ええ、ですから運が良い、と……おっと」
女神様の言葉があまりに軽い、というか失われた命を尊重していないもののように感じ、反射的に拳を叩きつけるが、その拳はゴオオンッ! という重い音と共に女神様の眼前で止まる、いや固定された。
まあ当たるとは思ってなかったけど、わたくしが行っている魔力による防御結界ともちょっと違う性質にも感じるが。
少しだけ力を込めてみてもびくともしない拳に、思わず舌打ちをするがそんなわたくしをみていた女神様は口元を少しだけ歪めて笑う。
「……もう殴りませんよ」
「前科がありますからねえ……ま、信用しますけど」
「そりゃどうも」
女神様がにっこりと微笑むと拳をがっちりと固定していた力は緩み、わたくしは手の感覚を確認するように何度か摩るが、異常らしい異常はない……神の力とかそういうものだろうかな。
そんなわたくしをみている女神様の笑顔は本当にわざとらしい……だが、今のところ味方に近い存在ではあるが、どうにもな。
だが女神様はそんなわたくしの考えなどお見通しとでも言いたげな表情を浮かべてにっこりと笑うと、優しい微笑を湛えたまま穏やかな声で話しかけてきた。
「さて、シャルロッタ・インテリペリよ……ここからは私のお願いを聞いていただきます」
「……お願い?」
「ええ、私のお願いとはイングウェイ王城に潜む魔王……それを退治して欲しいというお願いです」
魔王……?! その言葉に思わずわたくしが目を見開くが、その表情を見た女神様は悪戯っぽい笑顔でにっこりと微笑む。
いやまて、魔王? 前世でわたくしが倒したのとは別の存在なのだろうが……それにしても魔王がイングウェイ王国のオーヴァチュア城にいるというのか?
前世の死の間際……わたくしと共に命を落としたレーヴェンティオラの魔王の顔を思い出す、もう朧げではあるが誇り高く強く、そして圧倒的な絶望を感じさせた。
命が失われる瞬間の恐怖……漆黒の暗闇へと意識が落ちる時に魔王は最後まで微笑みを絶やさなかった……恐怖の対象ではあったが、正々堂々とした戦いを好む仇敵だったのだ。
何度も王城を訪れているけどそんな気配など微塵も感じなかったのにな……わたくしが黙っていると、女神様は微笑みを絶やさないまま頷くが、わたくしはそれどころではない気持ちでその言葉を聞いていた。
「……魔王は城の中でじっと覚醒の時を待っています、それを倒さない限りさらなる悲劇に見舞われるでしょう……」
「……使役する者も滅び、天使が撃退された……まあ、恐ろしい」
イングウェイ王国王都の中心部にある白亜の城塞、オーヴァチュア城の中にある秘密の執務室にて、欲する者は豪華なソファーへと腰を下ろして、グラスの中にあるドロリとした赤い液体を見ながら呟く。
彼女は少しだらしない格好でソファーへと座っているのだが、この場にいるものは彼女と熱心に書類を仕分けしている鳥を模した仮面の魔人である闇征く者のみであったことからそれを咎めるものはいない。
「……上機嫌だな」
「そりゃもちろん……あんなに醜い外見の仲間なんか見たくもないですしね」
「そうか……だがお前の顔は作り物にしか見えんぞ……ああ、使役する者も同じことを言っていたな」
引き攣るような笑い声を上げながら闇征く者は手に持った書類を、魔力で燃やすと不満げな顔で自分を見つめる欲する者の視線に気がつくと、黙って彼女へと視線を向ける。
だが普通の人間であればその異様な真紅の瞳に宿る光は恐怖と畏怖と不気味さを感じ思わず目を逸らせたくなるであろうが、同じ混沌の眷属たる欲する者は怯むことなくにっこりと笑みを浮かべた。
そして彼女は液体を軽く口に含んだ後、テーブルに乗せられた皿の上から手づかみで球体……それは生き物の目玉だろうか? まだ生々しい滑りを持ったその物体を一つ掴むと、何事もなかったかのように口へと放り込む。
グチャリ、ブチュッ……という半液体の何かを噛み潰す音を立てながら、欲する者は物体を飲み込むと指先についた赤黒い粘液のようなものを舌を使って軽く舐めとる。
「……私の美しさを理解できないとは、まあ筆頭殿も見る目がございませんね……おモテにならないですよ?」
「俺に美的感覚を求めるお前の方がおかしい」
「クハハ……それはそうと、王都に第二王子派……特に勇者と、辺境の翡翠姫が来てしまうのはどうされますか?」
欲する者はそれまでの表情とは打って変わって真剣なものだったため、闇征く者は書類を整理する手を休める。
辺境の翡翠姫は女神がこの世界に送り込んだ尖兵だ……悪魔を数体倒すまでは気にすることではなかったが、もはや彼女は混沌勢力にとって倒さなければいけない敵となってしまった。
訓戒者を倒し、勇者を守り……そして本来であれば勝てるはずのない戦にすら介入し、その勝敗さえ変えてしまったのだ。
こちらとしても全力で倒すしかない存在へと進化してしまっている……仮面の下で軽くため息をついた闇征く者は独り言のように言葉を吐き出した。
「……王都で戦うしかないだろうな……すでに王都は我らの領域、ここに引き摺り込んで倒す以外に魔王様の復活は成就できまいよ」
「……どういう意味? 第一聖女ソフィーヤ様は貴女の信徒でしょう?」
戦場を離れてトボトボと歩いていたわたくしは突然漆黒の空間が周りを包み込んだことで、あの女神様が再び目の前に現れたのだと理解した。
目の前に現れた女神様……最初は光の粒子にしか見えなかったはずのそれは、今では黄金の美しい髪を持つ絶世の美女としての姿を認識できるほどはっきりとした姿へと変化している。
ただ、細かい造形は微妙に歪んだり揺らいだりしているため、その顔が何に似ているか? と言われると非常に判断が難しい。
あと彼女の輪郭にはあの光の粒子が瞬いており、時間が経過するほど揺らぎ、まるで姿を色々決めかねているかのような動きを見せている。
「……ふむ、貴女にはこういう姿に見えているということですか」
「誰かに似ている気がするけど、誰にも似ていない……少なくとも女神像はかなり造形が違う気がしますね」
「あれはイメージですから……貴女の住んでいた世界でも似たようなことはあったのでは?」
確かに前々世では聖母像などは美術的な価値を生み出すために美しい造形となっていたし、復元図などを紹介する番組などでは全く違う人物の顔になったりしてそれが話題になったりもしていた。
『全然イメージと違う!』なんて笑い話扱いされてたりしたけど、そもそも後世の人がイメージで作る彫像なんかはどうしても願望なども入るだろうし。
そう考えると今わたくしの目の前でも揺らぐようにその姿を微妙に変えている女神様は、信徒ごとに全く違う姿をとることもあるのかもしれないなと思う。
それであれば世界が違っても、地域によって神を模した像は本物とは違う造形へと作られるのは必然的に仕方がないことなのかもしれない。
わたくしがそんなことを考えていると、目の前に立つ女神様は優しく微笑みながらわたくしをじっと見ていることに気がついた。
「なんですか?」
「……あまり伝えていなかった私にも問題はあるのですが、今回の一件でこの世界は当分の間聖女を欠くことになりました」
「聖女を欠く?」
「ソフィーヤ・ハルフォードは聖女としての才能を持ち、幼い頃に私の声を聞いた貴重な人材でした」
「……でした、というのはどういうことでしょうか?」
「ある日から彼女は別の声を聞き始めたからです……それはこの世界を狙う混沌の眷属たちの声だったかもしれません、まあ私はそんな声を聞けないからわからないのですが」
女神様は困ったなーとでも言わんばかりのわざとらしい仕草で首を傾げるが、なんだかムカつくなあのわざとらしさ。
ただ聖女としての才能がきちんとあった、という点についてはわたくしも同感だし、納得できる部分ではある……あるのだけど。
ただ「いつからか別の声を聞き始めた」というのであればその時にどうにかしろよ、という気がしなくもないわけで。
わたくしはジト目で女神様を見つめるが、彼女はそんな視線などどこ吹く風で曖昧な表情で微笑むだけだ。
「……それで?」
「過去マルヴァースにおいて勇者や聖女の素質を持つ存在は幾人も生まれていましたが、その度に排除されてきています」
「……排除……?」
「そう、排除です……それは何故か? 混沌勢力の拡大を防ぎかねない存在だからですよ」
確かに勇者や聖女といった所謂勇者パーティの存在は、世界を脅かすものたちにとって邪魔な存在である……前世でも勇者となったわたくしのことを魔王の手下達、通称魔王軍の連中は執拗に排除しにかかっていた。
レーヴェンティオラは勇者ラインが生まれるまで、魔王軍によって徐々に侵食されている世界だった……これは後で知ったのだが、それまでも同じように勇者は生まれていたのだが、その度に魔王軍は何らかの手段で勇者、そして勇者の仲間達を排除しにかかっていたらしい。
勇者ラインが住んでいた村を魔王軍が侵略し、殺戮したのは決して偶然などではなくそこに勇者がいるのだとわかっていたのだろう。
そして勇者ラインが生き残れたのは偶然だったに違いない、その時の記憶ははっきりと覚えているものの村の友人や大人達がその身を投げ出して勇者を逃したことで、運命が大きく変わった。
「前世でわたくしが狙われたのも同じ理由ですか?」
「そうですね、勇者というのは彼らにとって仇敵と言ってもいい存在ですからねえ……まあ、運が良かったですよ貴女は」
「あの時わたくしの友人や親、知人は全て魔王軍によって皆殺しにされましたわ……」
「ええ、ですから運が良い、と……おっと」
女神様の言葉があまりに軽い、というか失われた命を尊重していないもののように感じ、反射的に拳を叩きつけるが、その拳はゴオオンッ! という重い音と共に女神様の眼前で止まる、いや固定された。
まあ当たるとは思ってなかったけど、わたくしが行っている魔力による防御結界ともちょっと違う性質にも感じるが。
少しだけ力を込めてみてもびくともしない拳に、思わず舌打ちをするがそんなわたくしをみていた女神様は口元を少しだけ歪めて笑う。
「……もう殴りませんよ」
「前科がありますからねえ……ま、信用しますけど」
「そりゃどうも」
女神様がにっこりと微笑むと拳をがっちりと固定していた力は緩み、わたくしは手の感覚を確認するように何度か摩るが、異常らしい異常はない……神の力とかそういうものだろうかな。
そんなわたくしをみている女神様の笑顔は本当にわざとらしい……だが、今のところ味方に近い存在ではあるが、どうにもな。
だが女神様はそんなわたくしの考えなどお見通しとでも言いたげな表情を浮かべてにっこりと笑うと、優しい微笑を湛えたまま穏やかな声で話しかけてきた。
「さて、シャルロッタ・インテリペリよ……ここからは私のお願いを聞いていただきます」
「……お願い?」
「ええ、私のお願いとはイングウェイ王城に潜む魔王……それを退治して欲しいというお願いです」
魔王……?! その言葉に思わずわたくしが目を見開くが、その表情を見た女神様は悪戯っぽい笑顔でにっこりと微笑む。
いやまて、魔王? 前世でわたくしが倒したのとは別の存在なのだろうが……それにしても魔王がイングウェイ王国のオーヴァチュア城にいるというのか?
前世の死の間際……わたくしと共に命を落としたレーヴェンティオラの魔王の顔を思い出す、もう朧げではあるが誇り高く強く、そして圧倒的な絶望を感じさせた。
命が失われる瞬間の恐怖……漆黒の暗闇へと意識が落ちる時に魔王は最後まで微笑みを絶やさなかった……恐怖の対象ではあったが、正々堂々とした戦いを好む仇敵だったのだ。
何度も王城を訪れているけどそんな気配など微塵も感じなかったのにな……わたくしが黙っていると、女神様は微笑みを絶やさないまま頷くが、わたくしはそれどころではない気持ちでその言葉を聞いていた。
「……魔王は城の中でじっと覚醒の時を待っています、それを倒さない限りさらなる悲劇に見舞われるでしょう……」
「……使役する者も滅び、天使が撃退された……まあ、恐ろしい」
イングウェイ王国王都の中心部にある白亜の城塞、オーヴァチュア城の中にある秘密の執務室にて、欲する者は豪華なソファーへと腰を下ろして、グラスの中にあるドロリとした赤い液体を見ながら呟く。
彼女は少しだらしない格好でソファーへと座っているのだが、この場にいるものは彼女と熱心に書類を仕分けしている鳥を模した仮面の魔人である闇征く者のみであったことからそれを咎めるものはいない。
「……上機嫌だな」
「そりゃもちろん……あんなに醜い外見の仲間なんか見たくもないですしね」
「そうか……だがお前の顔は作り物にしか見えんぞ……ああ、使役する者も同じことを言っていたな」
引き攣るような笑い声を上げながら闇征く者は手に持った書類を、魔力で燃やすと不満げな顔で自分を見つめる欲する者の視線に気がつくと、黙って彼女へと視線を向ける。
だが普通の人間であればその異様な真紅の瞳に宿る光は恐怖と畏怖と不気味さを感じ思わず目を逸らせたくなるであろうが、同じ混沌の眷属たる欲する者は怯むことなくにっこりと笑みを浮かべた。
そして彼女は液体を軽く口に含んだ後、テーブルに乗せられた皿の上から手づかみで球体……それは生き物の目玉だろうか? まだ生々しい滑りを持ったその物体を一つ掴むと、何事もなかったかのように口へと放り込む。
グチャリ、ブチュッ……という半液体の何かを噛み潰す音を立てながら、欲する者は物体を飲み込むと指先についた赤黒い粘液のようなものを舌を使って軽く舐めとる。
「……私の美しさを理解できないとは、まあ筆頭殿も見る目がございませんね……おモテにならないですよ?」
「俺に美的感覚を求めるお前の方がおかしい」
「クハハ……それはそうと、王都に第二王子派……特に勇者と、辺境の翡翠姫が来てしまうのはどうされますか?」
欲する者はそれまでの表情とは打って変わって真剣なものだったため、闇征く者は書類を整理する手を休める。
辺境の翡翠姫は女神がこの世界に送り込んだ尖兵だ……悪魔を数体倒すまでは気にすることではなかったが、もはや彼女は混沌勢力にとって倒さなければいけない敵となってしまった。
訓戒者を倒し、勇者を守り……そして本来であれば勝てるはずのない戦にすら介入し、その勝敗さえ変えてしまったのだ。
こちらとしても全力で倒すしかない存在へと進化してしまっている……仮面の下で軽くため息をついた闇征く者は独り言のように言葉を吐き出した。
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