340 / 430
第二九〇話 シャルロッタ 一六歳 使役する者 一〇
しおりを挟む
「……は?」
空間をぶち破って地面へと降り立った戦乙女の姿に、フェリピニアーダは理解が追いつかずポカンとした顔でその様子を見つめていたが、混沌魔法の効果が破壊され泥濘が消滅していくと、そこでようやく我にかえる。
なんだこれは……とゆっくりと立ち上がったシャルロッタ・インテリペリを見つめて考える、先ほどまで確実にガルムを追い詰めていたはずなのに。
混沌魔法罪なる愛欲の空間を構築する結界は、実はそれほど弱いわけではない……結界を構築する術者の技量にもよるが、悪魔の魔力で構成すれば普通の魔法使いや戦士では外側から壁を壊すことはできない。
だからこそ取り込んだ時点で勝利が確定する脅威の魔法であり、圧倒的な破壊力を秘めていると言えノルザルツの眷属はこの魔法を好んで使用するのだ。
それを外側から破壊してきた……つまりシャルロッタ・インテリペリはフェリピニアーダの想像を大きく超える魔力もしくは破壊力を持つ何かを持っているのだ。
だが、見ればガルムはまだ罪なる愛欲の影響から抜け出すことは出来ていない……今ならまだ殺せる、とフェリピニアーダは前に出ようと足を踏み込んだ。
だが……先ほどまで罪なる愛欲が展開した空間の中央付近にいたはずのシャルロッタがいきなり視界の中へと飛び込んできた。
「どこいくの?」
「な……お主……ッ!」
次の瞬間フェリピニアーダの腹部に巨大な岩石かと思えるような凄まじい衝撃が加わり、彼女は大きく跳ね飛ばされる……なんとか空中で姿勢を制御して転ばないように踏ん張るが、見れば腹部にはくっきりとした拳の跡が残っている。
フェリピニアーダの肉体が一気に修復を始め、潰された器官などが黒煙を上げながら元の姿に戻っていくが、あまりに重い一撃にどっと冷や汗のようなものが吹き出す。
魔力で強化した拳は悪魔の肉体を容易に破壊が可能だと言わんばかりのメッセージを込めている様にも感じる。
それは人間としてはあり得ない……武器を持った英雄が悪魔を倒すことはよくあるのだが、それは名剣や魔剣といった伝説的な武具を所持したものだけだ。
格闘戦で悪魔を倒した記録はこの世界マルヴァースには残っていない……それほどまでに彼女たちの肉体は強く耐久力に富んでいる。
「……本当に何者なんじゃ……」
「あら? さっきまでの笑みが消えてるわよ」
微笑むシャルロッタの表情にフェリピニアーダはギリリと歯噛みする……だが、辺境の翡翠姫は生物的にはまごうことなき女性であることを思い出し、悪魔は笑みを浮かべるとともに無言で権能を行使し始める。
フェリピニアーダの足元から不可視の触手がゆっくりとシャルロッタへと伸びていく……この権能の名前は淫ら指と呼ばれ、射程は短いものの種族を問わず生物は権能の影響を強く受ける。
魔法的な効果ではなく混沌神による恩恵であり、これ自体は眷属に備わっている特殊な能力の一つとも言えた。
フェリピニアーダは女性相手に行使することを好んでいるが、実は男性にも強い影響を与え、強い快楽と絶頂により行動不能に追い込む。
淫ら指の触手は不可視であり、魔法的な痕跡も残すことはないため人間では感知することは不可能である。
余裕の表情でこちらをみているシャルロッタの表情を憎々しげに睨みつけながらも、この美しい少女が快楽に抗えず涙を流し堕ちる様を想像して、衣服の中に押し込めた男性としての象徴を硬くする。
彼女も他のノルザルツの眷属と同じように雌雄同体であり、快楽に落ちた女性を自らの象徴で貫くことに喜びを感じる存在なのだ。
「……クハ……お主こそ余裕たっぷりで良いのか?」
「……そりゃもちろん……自分より弱い相手に負ける道理はないわ」
不可視の触手がシャルロッタへと絡みつく……かかった、とばかりにフェリピニアーダはペロリと舌なめずりをしながら薄く笑う。
その余裕たっぷりの表情を淫らで、欲望にまみれそしてフェリピニアーダを受け入れさせてほしいと懇願させてからたっぷりと貫いてやろう……ミシミシと象徴を固くするとさらに奥へと触手をのばす。
足元から膝へ、そして腿をつたって触手は彼女の衣服の中へと潜り込んでいく……やはり淫ら指に気がついていない、そのままシャルロッタ・インテリペリの秘部へと意識を伸ばす。
だが……不可視の触手はそれ以上進まない……なぜだ、と思ってシャルロッタの表情に視線を向けるが、彼女は淫ら指の影響を受けた女性たちのように頬を赤らめることすらしていない。
どうして……と触手を動かすように右手の指を軽く曲げるが、触手はまるで固まったかのようにぴくりとも動かなくなった。
「……ど、どうして……」
「一度見せた権能を何も考えずに使ってバカじゃないの?」
「な……」
「わたくしだってそれなりに対策するし、魔法で感知できない程度は別の方法で対応するだけよ」
シャルロッタはフェリピニアーダへとまるで呆れたような表情を浮かべて話しかけるが、そこで初めて悪魔は自らの謀がまるで通用していなかったことに気がついた。
よく見れば彼女の瞳はほんのりと魔力に覆われ、エメラルドグリーンの淡い光を放っている……シャルロッタは視覚さえも魔力で強化していたのだ。
よく見ればシャルロッタの足は不可視の触手をこともなげに踏みつけ、動きを封じておりそれ以上の侵入を許さない。
フェリピニアーダは自らが最も信頼し、効果を持っていると自負する権能を封じられたことに動揺したものの、すぐに権能を解除すると前に出る。
淫ら指は解除すると行使した悪魔から順に消滅していく……今はまだシャルロッタの肉体に幾重にも絡みついて離すことはなく肉体の動きに影響を与えるはずなのだ。
「カアアアアッ!」
「あーあ……効かねえって分かったら暴力か、ま……そっちの方が嫌いじゃないわ」
「……ガバアアアッ!」
シャルロッタにもうすぐ拳が届くというところで、いきなり彼女の姿が消える……触手はその場にあるが、まるで煙のようにシャルロッタが消えると、フェリピニアーダの下顎が吹き飛ぶ。
激痛と共に欠損した部分からドス黒い血液が噴き出し、彼女は蹈鞴を踏んで後退しそれまであったはずの下顎のあたりに手をやると、ベッタリと流れ落ちる自らの血液で手が染まっていく。
だが第二階位の六情の悪魔である彼女はすぐに肉体を再生させていく……十分に修復をすると、フェリピニアーダはそれ以上向かってこずにニヤニヤと笑っているシャルロッタを見て再び歯軋りをした。
「き、貴様……妾の美しい顔を」
「作り物のくせに何いってんの、悪魔なんかいくらでも姿形変えられるでしょ」
「クハ……だがお前は千載一遇のチャンスを逃したぞ? なぜ追い討ちをかけん」
「……だからぁ……自分より弱いやつに焦る必要なんかないっての」
シャルロッタは面倒臭そうな表情で吐き捨てると、再びその場から消える……だが今回は不意打ちに近かった先ほどと違い、フェリピニアーダは鋭い爪を伸ばして真横からの攻撃を受け止める。
キャイイイイン! という甲高い音と共にいつの間にかシャルロッタの手に握られていた長剣が爪へと食い込む。
この剣は魔剣……いつの間に出したのだろうか? と考えつつフェリピニアーダはシャルロッタの腹部に常人であれば粉砕されるくらいの蹴りを叩き込むが、ドンッ! という鈍い音と共にか細い肉体を破壊するはずの攻撃は彼女が展開する防御結界に阻まれて体へと到達しない。
まるで巨大な岩を蹴ったような感触に驚きつつも、そのまま結界を蹴って距離を離そうとするが、空中で視界いっぱいにシャルロッタの笑顔が広がり、悪魔はギョッとした表情を浮かべた。
「ああ、そういう顔嫌いじゃないわ」
「ガハアッ!」
神速の斬撃が咄嗟に防御姿勢をとったフェリピニアーダの片口から左腕を一撃で切り裂く……魔剣によるダメージは微々たるものだが、血液が吹き出し着地姿勢を取れないまま悪魔は無様に地面へと転がる。
相手の肉体を蹴って距離を離そうとしたが一瞬で追いつかれた? そんなことは人間では不可能だ……左腕を再生させながらゆっくりと立ち上がるフェリピニアーダから少し離れた位置で、シャルロッタ・インテリペリはこちらを観察するように見つめている。
その目がまるでフェリピニアーダの能力の全てを見透かしているかのように思えて、悪魔は生まれて初めて強い恐怖を覚えた。
混沌神の眷属が感じてはならない感情、恐怖……そうか妾は今目の前の少女に恐怖を覚え怯えている……カタカタと手が震える。
「……あ、く……」
「あー? もうないの? まだあるでしょ奥の手」
あまり緊張感を感じさせないシャルロッタの声に、恐怖が怒りへと変換されていく……こいつは完全に第二階位の悪魔である自分を舐めている。
それは強者にだけ許された余裕なのかもしれないが、その厚顔不遜な態度は六情の悪魔たるフェリピニアーダの心に強く暗い炎を着けた。
奥の手……とシャルロッタはいったが、実際にはある……それには、とフェリピニアーダはチラリと現代の勇者クリストフェルと戦う聖女ソフィーヤの方向へと目をくばる。
ソフィーヤはすでに満身創痍……手加減をされているために命だけは失っていないが、それでも放置すれば敗北は必至だ。
十分に距離はある……とフェリピニアーダは再び淫ら指を幾重にも展開すると、それを見ていたのかシャルロッタが伸びる触手を煩わしそうに払い除けた瞬間……悪魔は一気にソフィーヤに向かって大きく跳躍した。
「クハハッ! ならば見せてやろうぞ奥の手を……命を喰らって妾は強制進化するッ!」
空間をぶち破って地面へと降り立った戦乙女の姿に、フェリピニアーダは理解が追いつかずポカンとした顔でその様子を見つめていたが、混沌魔法の効果が破壊され泥濘が消滅していくと、そこでようやく我にかえる。
なんだこれは……とゆっくりと立ち上がったシャルロッタ・インテリペリを見つめて考える、先ほどまで確実にガルムを追い詰めていたはずなのに。
混沌魔法罪なる愛欲の空間を構築する結界は、実はそれほど弱いわけではない……結界を構築する術者の技量にもよるが、悪魔の魔力で構成すれば普通の魔法使いや戦士では外側から壁を壊すことはできない。
だからこそ取り込んだ時点で勝利が確定する脅威の魔法であり、圧倒的な破壊力を秘めていると言えノルザルツの眷属はこの魔法を好んで使用するのだ。
それを外側から破壊してきた……つまりシャルロッタ・インテリペリはフェリピニアーダの想像を大きく超える魔力もしくは破壊力を持つ何かを持っているのだ。
だが、見ればガルムはまだ罪なる愛欲の影響から抜け出すことは出来ていない……今ならまだ殺せる、とフェリピニアーダは前に出ようと足を踏み込んだ。
だが……先ほどまで罪なる愛欲が展開した空間の中央付近にいたはずのシャルロッタがいきなり視界の中へと飛び込んできた。
「どこいくの?」
「な……お主……ッ!」
次の瞬間フェリピニアーダの腹部に巨大な岩石かと思えるような凄まじい衝撃が加わり、彼女は大きく跳ね飛ばされる……なんとか空中で姿勢を制御して転ばないように踏ん張るが、見れば腹部にはくっきりとした拳の跡が残っている。
フェリピニアーダの肉体が一気に修復を始め、潰された器官などが黒煙を上げながら元の姿に戻っていくが、あまりに重い一撃にどっと冷や汗のようなものが吹き出す。
魔力で強化した拳は悪魔の肉体を容易に破壊が可能だと言わんばかりのメッセージを込めている様にも感じる。
それは人間としてはあり得ない……武器を持った英雄が悪魔を倒すことはよくあるのだが、それは名剣や魔剣といった伝説的な武具を所持したものだけだ。
格闘戦で悪魔を倒した記録はこの世界マルヴァースには残っていない……それほどまでに彼女たちの肉体は強く耐久力に富んでいる。
「……本当に何者なんじゃ……」
「あら? さっきまでの笑みが消えてるわよ」
微笑むシャルロッタの表情にフェリピニアーダはギリリと歯噛みする……だが、辺境の翡翠姫は生物的にはまごうことなき女性であることを思い出し、悪魔は笑みを浮かべるとともに無言で権能を行使し始める。
フェリピニアーダの足元から不可視の触手がゆっくりとシャルロッタへと伸びていく……この権能の名前は淫ら指と呼ばれ、射程は短いものの種族を問わず生物は権能の影響を強く受ける。
魔法的な効果ではなく混沌神による恩恵であり、これ自体は眷属に備わっている特殊な能力の一つとも言えた。
フェリピニアーダは女性相手に行使することを好んでいるが、実は男性にも強い影響を与え、強い快楽と絶頂により行動不能に追い込む。
淫ら指の触手は不可視であり、魔法的な痕跡も残すことはないため人間では感知することは不可能である。
余裕の表情でこちらをみているシャルロッタの表情を憎々しげに睨みつけながらも、この美しい少女が快楽に抗えず涙を流し堕ちる様を想像して、衣服の中に押し込めた男性としての象徴を硬くする。
彼女も他のノルザルツの眷属と同じように雌雄同体であり、快楽に落ちた女性を自らの象徴で貫くことに喜びを感じる存在なのだ。
「……クハ……お主こそ余裕たっぷりで良いのか?」
「……そりゃもちろん……自分より弱い相手に負ける道理はないわ」
不可視の触手がシャルロッタへと絡みつく……かかった、とばかりにフェリピニアーダはペロリと舌なめずりをしながら薄く笑う。
その余裕たっぷりの表情を淫らで、欲望にまみれそしてフェリピニアーダを受け入れさせてほしいと懇願させてからたっぷりと貫いてやろう……ミシミシと象徴を固くするとさらに奥へと触手をのばす。
足元から膝へ、そして腿をつたって触手は彼女の衣服の中へと潜り込んでいく……やはり淫ら指に気がついていない、そのままシャルロッタ・インテリペリの秘部へと意識を伸ばす。
だが……不可視の触手はそれ以上進まない……なぜだ、と思ってシャルロッタの表情に視線を向けるが、彼女は淫ら指の影響を受けた女性たちのように頬を赤らめることすらしていない。
どうして……と触手を動かすように右手の指を軽く曲げるが、触手はまるで固まったかのようにぴくりとも動かなくなった。
「……ど、どうして……」
「一度見せた権能を何も考えずに使ってバカじゃないの?」
「な……」
「わたくしだってそれなりに対策するし、魔法で感知できない程度は別の方法で対応するだけよ」
シャルロッタはフェリピニアーダへとまるで呆れたような表情を浮かべて話しかけるが、そこで初めて悪魔は自らの謀がまるで通用していなかったことに気がついた。
よく見れば彼女の瞳はほんのりと魔力に覆われ、エメラルドグリーンの淡い光を放っている……シャルロッタは視覚さえも魔力で強化していたのだ。
よく見ればシャルロッタの足は不可視の触手をこともなげに踏みつけ、動きを封じておりそれ以上の侵入を許さない。
フェリピニアーダは自らが最も信頼し、効果を持っていると自負する権能を封じられたことに動揺したものの、すぐに権能を解除すると前に出る。
淫ら指は解除すると行使した悪魔から順に消滅していく……今はまだシャルロッタの肉体に幾重にも絡みついて離すことはなく肉体の動きに影響を与えるはずなのだ。
「カアアアアッ!」
「あーあ……効かねえって分かったら暴力か、ま……そっちの方が嫌いじゃないわ」
「……ガバアアアッ!」
シャルロッタにもうすぐ拳が届くというところで、いきなり彼女の姿が消える……触手はその場にあるが、まるで煙のようにシャルロッタが消えると、フェリピニアーダの下顎が吹き飛ぶ。
激痛と共に欠損した部分からドス黒い血液が噴き出し、彼女は蹈鞴を踏んで後退しそれまであったはずの下顎のあたりに手をやると、ベッタリと流れ落ちる自らの血液で手が染まっていく。
だが第二階位の六情の悪魔である彼女はすぐに肉体を再生させていく……十分に修復をすると、フェリピニアーダはそれ以上向かってこずにニヤニヤと笑っているシャルロッタを見て再び歯軋りをした。
「き、貴様……妾の美しい顔を」
「作り物のくせに何いってんの、悪魔なんかいくらでも姿形変えられるでしょ」
「クハ……だがお前は千載一遇のチャンスを逃したぞ? なぜ追い討ちをかけん」
「……だからぁ……自分より弱いやつに焦る必要なんかないっての」
シャルロッタは面倒臭そうな表情で吐き捨てると、再びその場から消える……だが今回は不意打ちに近かった先ほどと違い、フェリピニアーダは鋭い爪を伸ばして真横からの攻撃を受け止める。
キャイイイイン! という甲高い音と共にいつの間にかシャルロッタの手に握られていた長剣が爪へと食い込む。
この剣は魔剣……いつの間に出したのだろうか? と考えつつフェリピニアーダはシャルロッタの腹部に常人であれば粉砕されるくらいの蹴りを叩き込むが、ドンッ! という鈍い音と共にか細い肉体を破壊するはずの攻撃は彼女が展開する防御結界に阻まれて体へと到達しない。
まるで巨大な岩を蹴ったような感触に驚きつつも、そのまま結界を蹴って距離を離そうとするが、空中で視界いっぱいにシャルロッタの笑顔が広がり、悪魔はギョッとした表情を浮かべた。
「ああ、そういう顔嫌いじゃないわ」
「ガハアッ!」
神速の斬撃が咄嗟に防御姿勢をとったフェリピニアーダの片口から左腕を一撃で切り裂く……魔剣によるダメージは微々たるものだが、血液が吹き出し着地姿勢を取れないまま悪魔は無様に地面へと転がる。
相手の肉体を蹴って距離を離そうとしたが一瞬で追いつかれた? そんなことは人間では不可能だ……左腕を再生させながらゆっくりと立ち上がるフェリピニアーダから少し離れた位置で、シャルロッタ・インテリペリはこちらを観察するように見つめている。
その目がまるでフェリピニアーダの能力の全てを見透かしているかのように思えて、悪魔は生まれて初めて強い恐怖を覚えた。
混沌神の眷属が感じてはならない感情、恐怖……そうか妾は今目の前の少女に恐怖を覚え怯えている……カタカタと手が震える。
「……あ、く……」
「あー? もうないの? まだあるでしょ奥の手」
あまり緊張感を感じさせないシャルロッタの声に、恐怖が怒りへと変換されていく……こいつは完全に第二階位の悪魔である自分を舐めている。
それは強者にだけ許された余裕なのかもしれないが、その厚顔不遜な態度は六情の悪魔たるフェリピニアーダの心に強く暗い炎を着けた。
奥の手……とシャルロッタはいったが、実際にはある……それには、とフェリピニアーダはチラリと現代の勇者クリストフェルと戦う聖女ソフィーヤの方向へと目をくばる。
ソフィーヤはすでに満身創痍……手加減をされているために命だけは失っていないが、それでも放置すれば敗北は必至だ。
十分に距離はある……とフェリピニアーダは再び淫ら指を幾重にも展開すると、それを見ていたのかシャルロッタが伸びる触手を煩わしそうに払い除けた瞬間……悪魔は一気にソフィーヤに向かって大きく跳躍した。
「クハハッ! ならば見せてやろうぞ奥の手を……命を喰らって妾は強制進化するッ!」
30
お気に入りに追加
852
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる