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第一二八話 シャルロッタ 一五歳 蒼き森 〇九
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——天井が見えている……どういうことだ? 私は先ほどシャルロッタ・インテリペリの体に爪を突き刺したはずだったのに。
「……は? なぜ……私は天井を見ている……」
デサルトの目には先ほどまでいた部屋の天井が見えている……何が起きたのかわからない……立ちあがろうとして、右腕を地面に着こうとして支えることすらできずに地面へと倒れ伏す。
どういうことだ? と考えて右腕を見るとあるはずのものがない……右腕は肩ごと吹き飛ばされており、紫色の血液がぼたぼたと流れているのが見える。
悪魔にも痛覚はあるが、四肢を吹き飛ばされるほどのダメージを受けると、自動的に痛覚は遮断される……これは人間などでも同じように脳の回路がショック死を防ぐためにそう働くのだが、それでもじわじわと肉体を失った痛みが増している。
「……く、あ……回復を……」
ずるずると音を立ててゆっくりと失った肉体が復元していく……血液はすぐに湧き出す、体を動かすことに不自由はないだろう。
だが……本当に何が起きたのか記憶が混乱している、腕を振り下ろした次の瞬間には天井を見ていたのだから……広葉樹の盾は呆然とした表情で別の方向を見ている。
そこにはマシャルがいたはずだ……いやそれよりもシャルロッタ・インテリペリはどうなった?! 花の揺り籠……先ほどまで自分がそばにいたはずの場所へと目を向けると、そこには横倒しになった揺り籠が転がっているだけだった。
「何も……いない?」
そんなバカな話があるか……ちゃんと銀髪の少女が寝ていることを確認したはず、少なくとも何もいないなどということはありえない。
何が起きた……あのエルフが何かをしたのか? いやすでに戦闘能力は喪失していたはず……死病の悪魔マシャルはどうなった? と考え、首を動かして先ほどまで彼がいた部屋の入り口を見た瞬間、恐ろしい光景が目に映る。
そこには白銀の髪を靡かせる一人の少女……少し機嫌の悪そうな表情を浮かべた、シャルロッタ・インテリペリが恐怖と驚きで動けなくなっているマシャルと対峙して立っていたのだから。
「……悪魔に知り合いはいないのですが……アンタ何者?」
寝起きで少し頭がぼうっとしているけど……わたくしの目の前でガタガタと震える直立するネズミのような姿をした悪魔がじっとこちらを見ている。
見たところディムトゥリアの眷属かな? 今更第四階位なんてショボイ悪魔を送りつけてくるようなことはないだろうから、死病の悪魔かな。
この部屋には悪魔が二体とエルフの女性……この人は相当に強い魔力を有しているけど、その三人しかいない。
ついでに言うとユルもちょっと離れた場所でなんかやってて、近くには悪魔と、エルネットさん達の気配がしているから、多分一緒にいるのだろう。
「……エルフさんはわたくしの味方ですかね?」
「……え? あ、はいッ! 私は広葉樹の盾……お休みされていたシャルロッタ様を守るものです……!」
「そうですか……ではこの悪魔達は敵でよろしいですわね?」
広葉樹の盾が無言で頷いたことで、わたくしは死病の悪魔に、社交界でも華やかだと言われる満面の作り笑顔を浮かべる。
その意味がわかったのだろう……悪魔が何かを喋ろうと口を開いたが、わたくしは問答無用で抜く手も見せずに虚空より魔剣不滅を引き抜くと、剣を振り抜いた。
「きざまァッ! ……シャルロ……ガバああっ!」
「……今わたくし物凄く機嫌が悪いんですのよ?」
死病の悪魔が細切れの肉塊へと変化し、地面へとドシャドシャ! と言う嫌な音を立てて崩れ落ちる……一度しか振り抜いたように見えないかもしれないが、切りつけた刹那に二〇回ほど様々な角度で切り裂いている。
悪魔の再生能力は桁外れに強いが、それでも限度がありここまで細かく細切れにされるとそう簡単に復活はできないだろう、うん。
わたくしは剣を虚空へと収納すると、そのまま広葉樹の盾の元へと歩み寄って、彼女の体を侵食している病原菌の状態を確認するが、大元の死病の悪魔が死んだことで相当に活動能力が落ちている。
「ええと……肉体を苦しめたる病魔よ、死をもたらすものよ、この者の体より消え失せよ……病気治癒」
「こ、これは……なんて清らかな……」
わたくしの手が広葉樹の盾の体に触れると、彼女の体に巣食う死病の悪魔の病原菌が死滅していく。
うん、よかった……わたくし戦闘に関する魔法はちゃんと扱えるけど、他者を癒すとかはかなり苦手な部類だからな、ちゃんと効果が出てよかった。
わたくしは彼女へと優しく微笑むと、なぜか広葉樹の盾は大きく目を見開いた後、急に顔を真っ赤にして恥ずかしそうな表情で下を向いてしまう。
「少し休んでいてください……それとエルフの森にご迷惑をおかけしたようで……ごめんなさい」
「そ、そんなことはありません! 私共はシャルロッタ様をお守りすることが神の導きだと信じております……」
「……そうですか、それでも無辜の民を死なせてしまったのは、謝ります……さて」
わたくしが後ろを振り返らずに、その一撃を剣で受け止めたことに驚愕の表情を浮かべるトカゲ顔の悪魔だが、反撃を恐れてかそのまま大きく後方へと飛び退る。
いいや、逃げられはしない……わたくしが軽く地面を蹴って跳ぶと、彼の背後へと高速移動して見せる……悪魔から見たら急にわたくしの姿が消えたかのように思えるだろう。
完全に相手を見失ってキョロキョロと左右を見る悪魔に向かって、背後から声をかけてやる。
「……遅いですわよ?」
「なッ!」
振り返ろうとした悪魔の顔面に拳を一発、少し手加減した状態で叩き込むが、メキョキョッ! と言う少し嫌な音を立てて禁書の悪魔の顔面が潰れてしまい、そのままの勢いで壁へと張り付いてしまった。
紫に光る彼ら特有の血液が部屋の壁にビシャりとかかってしまうが、うーん? わたくし手加減しましたわよね? おかしいな……とわたくしは首を傾げてしまう。
思っていたよりも出力が出過ぎている気がする……このままだとお茶会でカップを摘んだ時に粉砕してしまいそうな気がするけど……何があったのだろうか?
「……シャ、シャルロッタ様……お目覚めに……ああ、本当に強き魂をお持ちなのですね……」
「あー、広葉樹の盾様でしたっけ? シャルロッタ・インテリペリですわ……申し訳ありません、珍妙なオブジェを増やしてしまいましたわ」
わたくしは優雅にカーテシーを見せるとにっこりと彼女へと微笑む……このエルフ……今改めて見て思ったけどめちゃくちゃ綺麗じゃない?!
黄金の髪はまるで風に靡く小麦畑のようにサラサラだし、深い青色の瞳は吸い込まれそうな感じもするし……顔立ちはまさに完璧な美少女としか言いようのない絵に描いたようなエルフだ。
わたくしがじっと彼女を見つめたことで、広葉樹の盾は恥ずかしくなったのか頬を赤らめて恥じらうような仕草を見せる……うおおおおおい! なんだこの可愛い生き物は! お姉さん食べたくなっちゃうぞ!?
「あ、あの……シャルロッタ様? わたくしの顔をなぜじっと見つめられるのでしょうか?」
「あ、い……いや……可愛いなって……あ、そんなことよりもですわね、今の状況を教えていただけますか? 悪魔を召喚したとかそう言うのではないのですわよね?」
「え、ええ……どこからお話ししましょうか……」
広葉樹の盾はゆっくりと今置かれている状況を説明し始める……神託を受けて「強き魂」をエルフに迎えに行かせたこと、その時にはすでにわたくしが昏睡状況だったこと。
昏睡したわたくしを連れてエルネットさん達が森へと来たこと……そしてわたくしを狙って悪魔が襲来し、エルフの森が今まさに危機に陥っていることなど。
結界により守ろうとしたけど、敵意を持たない病原体により殺されそうになった時、わたくしがいきなり目覚めたこと……。
昏睡してたか……確かに女神様もそう言ってたな、寝てると……エルフに捕えられているとか言ってたけど、実際にはちゃんと保護してくれてたのだからまあいいだろう。
「……と言うところです、今生き残っているエルフがどの程度いるかわかりませんが……」
「エルネットさん達を助けないといけないですわね……広葉樹の盾様はエルフさん達を治癒できますか?」
「はい、わたくしはその方が得意です」
わたくしは彼女の言葉に頷くと、全身に魔力を漲らせていく……昏睡する前、訓戒者との戦闘中に開放したよりもはるかに強力な魔力が溢れ出し、白い稲妻のように体から迸る。
一度行き場を失った魔力が轟音と共に周囲へと一度放たれると、この体に馴染んだかのようにすぐに収縮し……そしてわたくしが普段より展開している防御結界が再び超高密度に組み上がっていく。
ふむ……体が前より随分楽になったな……それと今軽く魔力を飛ばした時に、エルネットさんとユルのいる場所と、もう一箇所……エルフを一方的に嬲っている奴がいるのがわかった。
「エルネットさんにはユルがついている……と言うことは、こちらは後回しでも問題ないわね」
独り言を喋り始めたわたくしを見て、広葉樹の盾はキョトンとした表情を浮かべているが、そんなことはお構いなしにもう一人、少し厄介そうな悪魔の方を優先して片付けることに決めた。
そいつはわたくしが索敵のために放った魔力に気がついていないのか、複数のエルフを辱めることに夢中になっているからだ……女性の敵は先に殺しておく方がいいだろう。
わたくしは再び広葉樹の盾を見てにっこりと微笑むと、彼女に軽く声をかけてからその悪魔の場所へと瞬時に移動した。
「……わたくし敵をブッ殺しに行ってきますわ、エルフの保護と治療はお願いしますね」
「……は? なぜ……私は天井を見ている……」
デサルトの目には先ほどまでいた部屋の天井が見えている……何が起きたのかわからない……立ちあがろうとして、右腕を地面に着こうとして支えることすらできずに地面へと倒れ伏す。
どういうことだ? と考えて右腕を見るとあるはずのものがない……右腕は肩ごと吹き飛ばされており、紫色の血液がぼたぼたと流れているのが見える。
悪魔にも痛覚はあるが、四肢を吹き飛ばされるほどのダメージを受けると、自動的に痛覚は遮断される……これは人間などでも同じように脳の回路がショック死を防ぐためにそう働くのだが、それでもじわじわと肉体を失った痛みが増している。
「……く、あ……回復を……」
ずるずると音を立ててゆっくりと失った肉体が復元していく……血液はすぐに湧き出す、体を動かすことに不自由はないだろう。
だが……本当に何が起きたのか記憶が混乱している、腕を振り下ろした次の瞬間には天井を見ていたのだから……広葉樹の盾は呆然とした表情で別の方向を見ている。
そこにはマシャルがいたはずだ……いやそれよりもシャルロッタ・インテリペリはどうなった?! 花の揺り籠……先ほどまで自分がそばにいたはずの場所へと目を向けると、そこには横倒しになった揺り籠が転がっているだけだった。
「何も……いない?」
そんなバカな話があるか……ちゃんと銀髪の少女が寝ていることを確認したはず、少なくとも何もいないなどということはありえない。
何が起きた……あのエルフが何かをしたのか? いやすでに戦闘能力は喪失していたはず……死病の悪魔マシャルはどうなった? と考え、首を動かして先ほどまで彼がいた部屋の入り口を見た瞬間、恐ろしい光景が目に映る。
そこには白銀の髪を靡かせる一人の少女……少し機嫌の悪そうな表情を浮かべた、シャルロッタ・インテリペリが恐怖と驚きで動けなくなっているマシャルと対峙して立っていたのだから。
「……悪魔に知り合いはいないのですが……アンタ何者?」
寝起きで少し頭がぼうっとしているけど……わたくしの目の前でガタガタと震える直立するネズミのような姿をした悪魔がじっとこちらを見ている。
見たところディムトゥリアの眷属かな? 今更第四階位なんてショボイ悪魔を送りつけてくるようなことはないだろうから、死病の悪魔かな。
この部屋には悪魔が二体とエルフの女性……この人は相当に強い魔力を有しているけど、その三人しかいない。
ついでに言うとユルもちょっと離れた場所でなんかやってて、近くには悪魔と、エルネットさん達の気配がしているから、多分一緒にいるのだろう。
「……エルフさんはわたくしの味方ですかね?」
「……え? あ、はいッ! 私は広葉樹の盾……お休みされていたシャルロッタ様を守るものです……!」
「そうですか……ではこの悪魔達は敵でよろしいですわね?」
広葉樹の盾が無言で頷いたことで、わたくしは死病の悪魔に、社交界でも華やかだと言われる満面の作り笑顔を浮かべる。
その意味がわかったのだろう……悪魔が何かを喋ろうと口を開いたが、わたくしは問答無用で抜く手も見せずに虚空より魔剣不滅を引き抜くと、剣を振り抜いた。
「きざまァッ! ……シャルロ……ガバああっ!」
「……今わたくし物凄く機嫌が悪いんですのよ?」
死病の悪魔が細切れの肉塊へと変化し、地面へとドシャドシャ! と言う嫌な音を立てて崩れ落ちる……一度しか振り抜いたように見えないかもしれないが、切りつけた刹那に二〇回ほど様々な角度で切り裂いている。
悪魔の再生能力は桁外れに強いが、それでも限度がありここまで細かく細切れにされるとそう簡単に復活はできないだろう、うん。
わたくしは剣を虚空へと収納すると、そのまま広葉樹の盾の元へと歩み寄って、彼女の体を侵食している病原菌の状態を確認するが、大元の死病の悪魔が死んだことで相当に活動能力が落ちている。
「ええと……肉体を苦しめたる病魔よ、死をもたらすものよ、この者の体より消え失せよ……病気治癒」
「こ、これは……なんて清らかな……」
わたくしの手が広葉樹の盾の体に触れると、彼女の体に巣食う死病の悪魔の病原菌が死滅していく。
うん、よかった……わたくし戦闘に関する魔法はちゃんと扱えるけど、他者を癒すとかはかなり苦手な部類だからな、ちゃんと効果が出てよかった。
わたくしは彼女へと優しく微笑むと、なぜか広葉樹の盾は大きく目を見開いた後、急に顔を真っ赤にして恥ずかしそうな表情で下を向いてしまう。
「少し休んでいてください……それとエルフの森にご迷惑をおかけしたようで……ごめんなさい」
「そ、そんなことはありません! 私共はシャルロッタ様をお守りすることが神の導きだと信じております……」
「……そうですか、それでも無辜の民を死なせてしまったのは、謝ります……さて」
わたくしが後ろを振り返らずに、その一撃を剣で受け止めたことに驚愕の表情を浮かべるトカゲ顔の悪魔だが、反撃を恐れてかそのまま大きく後方へと飛び退る。
いいや、逃げられはしない……わたくしが軽く地面を蹴って跳ぶと、彼の背後へと高速移動して見せる……悪魔から見たら急にわたくしの姿が消えたかのように思えるだろう。
完全に相手を見失ってキョロキョロと左右を見る悪魔に向かって、背後から声をかけてやる。
「……遅いですわよ?」
「なッ!」
振り返ろうとした悪魔の顔面に拳を一発、少し手加減した状態で叩き込むが、メキョキョッ! と言う少し嫌な音を立てて禁書の悪魔の顔面が潰れてしまい、そのままの勢いで壁へと張り付いてしまった。
紫に光る彼ら特有の血液が部屋の壁にビシャりとかかってしまうが、うーん? わたくし手加減しましたわよね? おかしいな……とわたくしは首を傾げてしまう。
思っていたよりも出力が出過ぎている気がする……このままだとお茶会でカップを摘んだ時に粉砕してしまいそうな気がするけど……何があったのだろうか?
「……シャ、シャルロッタ様……お目覚めに……ああ、本当に強き魂をお持ちなのですね……」
「あー、広葉樹の盾様でしたっけ? シャルロッタ・インテリペリですわ……申し訳ありません、珍妙なオブジェを増やしてしまいましたわ」
わたくしは優雅にカーテシーを見せるとにっこりと彼女へと微笑む……このエルフ……今改めて見て思ったけどめちゃくちゃ綺麗じゃない?!
黄金の髪はまるで風に靡く小麦畑のようにサラサラだし、深い青色の瞳は吸い込まれそうな感じもするし……顔立ちはまさに完璧な美少女としか言いようのない絵に描いたようなエルフだ。
わたくしがじっと彼女を見つめたことで、広葉樹の盾は恥ずかしくなったのか頬を赤らめて恥じらうような仕草を見せる……うおおおおおい! なんだこの可愛い生き物は! お姉さん食べたくなっちゃうぞ!?
「あ、あの……シャルロッタ様? わたくしの顔をなぜじっと見つめられるのでしょうか?」
「あ、い……いや……可愛いなって……あ、そんなことよりもですわね、今の状況を教えていただけますか? 悪魔を召喚したとかそう言うのではないのですわよね?」
「え、ええ……どこからお話ししましょうか……」
広葉樹の盾はゆっくりと今置かれている状況を説明し始める……神託を受けて「強き魂」をエルフに迎えに行かせたこと、その時にはすでにわたくしが昏睡状況だったこと。
昏睡したわたくしを連れてエルネットさん達が森へと来たこと……そしてわたくしを狙って悪魔が襲来し、エルフの森が今まさに危機に陥っていることなど。
結界により守ろうとしたけど、敵意を持たない病原体により殺されそうになった時、わたくしがいきなり目覚めたこと……。
昏睡してたか……確かに女神様もそう言ってたな、寝てると……エルフに捕えられているとか言ってたけど、実際にはちゃんと保護してくれてたのだからまあいいだろう。
「……と言うところです、今生き残っているエルフがどの程度いるかわかりませんが……」
「エルネットさん達を助けないといけないですわね……広葉樹の盾様はエルフさん達を治癒できますか?」
「はい、わたくしはその方が得意です」
わたくしは彼女の言葉に頷くと、全身に魔力を漲らせていく……昏睡する前、訓戒者との戦闘中に開放したよりもはるかに強力な魔力が溢れ出し、白い稲妻のように体から迸る。
一度行き場を失った魔力が轟音と共に周囲へと一度放たれると、この体に馴染んだかのようにすぐに収縮し……そしてわたくしが普段より展開している防御結界が再び超高密度に組み上がっていく。
ふむ……体が前より随分楽になったな……それと今軽く魔力を飛ばした時に、エルネットさんとユルのいる場所と、もう一箇所……エルフを一方的に嬲っている奴がいるのがわかった。
「エルネットさんにはユルがついている……と言うことは、こちらは後回しでも問題ないわね」
独り言を喋り始めたわたくしを見て、広葉樹の盾はキョトンとした表情を浮かべているが、そんなことはお構いなしにもう一人、少し厄介そうな悪魔の方を優先して片付けることに決めた。
そいつはわたくしが索敵のために放った魔力に気がついていないのか、複数のエルフを辱めることに夢中になっているからだ……女性の敵は先に殺しておく方がいいだろう。
わたくしは再び広葉樹の盾を見てにっこりと微笑むと、彼女に軽く声をかけてからその悪魔の場所へと瞬時に移動した。
「……わたくし敵をブッ殺しに行ってきますわ、エルフの保護と治療はお願いしますね」
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