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第二五話 シャルロッタ・インテリペリ 一三歳 一五
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「シャルロッタ嬢、こちらへ」
「ありがとうございます殿下」
わたくしは殿下に促されるまま席に着く……面会場所として用意されたのは王都の少し外れに位置する高台の一つで、白を基調とした石造りの庭園が広がっている。
ここに来るまでには馬車を利用したが、びっくりするくらい乗り心地の良い馬車でさすが王族はいいもん使ってんなと感心した次第だ。
インテリペリ伯爵家で使用している馬車は割と年季の入ったもので、質実剛健というか快適さよりも堅牢さを重視したものだったので、王都の馬車すげー! って思ってしまった。
お茶や菓子が用意された後、他愛もない挨拶や会話の後、少しの間を置いてクリストフェル殿下が意を決したように少し緊張した面持ちで話しかけてきた。
「シャルロッタ嬢は王都に来ることはほとんどなかったな、何故だい?」
「一五歳になれば王立学園への入学が決まっていると言われておりましたので、それまでは領内での生活を楽しもうかと思いまして」
「珍しいな、ほとんどの令嬢は領地を嫌がって王都に定住しているものが多いな、君は王都での生活に興味はないのか?」
「はい、特にございませんわ……あ、学園生活は楽しみにしておりますわ」
あ、そうなんだ……家の領地が快適すぎて別に王都なんか行かなくていいや、って本気で思ってたんだけど案外珍しい方なのか。
わたくしが不思議そうな表情を浮かべていると、なぜかクリストフェル殿下が咳を堪えながら面白そうにクスクス笑い出す……なんだ? そんな変なことは言っていないと思うんだけど。
ふとお父様は何をしているんだ? と思って彼の方を見ると、なぜかものすごくハラハラした表情でわたくしと殿下を交互に見ており、お父様と同席している武官の二人や、執事の男性もポカーンとした顔でわたくしを見ている。
「……わたくし何かおかしなこと申しましたでしょうか?」
「おかしくはないよ、面白いなと思う……それと僕は君に興味が湧いたよ」
なんでだ? なんでわたくしに興味が湧くんだよ……こんな訳のわからない返答する令嬢なんか相手にする王族とか出世できないぞ?
そして今一番困っているのは、わたくしを見つめるクリストフェル王子の視線が最初に出会った時からずっと熱を帯びたもののように感じて少し居心地が悪いのだ。
はっきり言えば、イケメンに熱の籠もった目で見つめられる……これは正直気恥ずかしいし、なんか居た堪れない気持ちで一杯になってしまう。
「お菓子いただきますね……」
視線から逃れるようにわたくしは少し別のものへと自らの興味を移す……テーブルに載っているお菓子は領地ではあまり見ないものが多いな。
この世界の食事は割とシンプルだったりもするけど、貴族の令嬢の間ではケーキやクッキーなど砂糖をふんだんに使った甘味はとてもメジャーな存在だ。
平民だと流石にこういったお菓子などを食べることはあまり無いとはいうが、それでも庶民向けのお菓子なども王国内では販売されているため、お茶請けなどにお菓子が出てくるシチュエーションはよく見るのだ。
流石に日本で食べたような多種多彩なケーキなどは存在しないが、それでもクリームやフルーツを使ったケーキなども存在しており、物足りないこともあるけど甘味には困ることがなかった。
「美味しいかい?」
「このフルーツケーキは良いですわ、領地にも美味しいケーキはたくさんございますが王都のものは洗練されている気が致します」
「そうか、シャルロッタ嬢は甘いものが好きなんだね、ゲホッ……」
お菓子が嫌いな令嬢は少ないと思うけどなあ、クリストフェル殿下は咳を何度か堪えると、ニコニコとわたくしがケーキを食べているのを見ながら笑顔を浮かべている……ですからなんでじっと見てるんだよ。
視線に困ったわたくしはフルーツケーキの味に集中していく、王都のものと領地のものは何が違うんだろうか、フルーツ自体は領地の方が美味しい気もするけど。
転生して令嬢となって一番楽しいのは、実はこの世界の高級スイーツやお茶が好きなだけ楽しめるってところかもしれないね。
「クリストフェル殿下はお菓子はお好みでいらっしゃいますか?」
「僕はあまり食べないね、みている方が好きかな、今みたいな感じで」
「そうなのですね……って何故わたくしにそのような視線を?」
「そりゃあ僕のお嫁さんになる女性なのだから、見つめてもおかしく無いよね?」
クリストフェル殿下の返答に思わずケーキを喉に詰まらせそうになる……お嫁さん? 誰が? お嫁さんになるって? 今この場にいる令嬢はわたくししかいないから、わたくしがお嫁さんになるってことか。
そうかそうか……いや待てよ、今この場に令嬢はわたくししかいないわけで、クリストフェル殿下のお嫁さんになるのはわたくしってことになるわけで、そうするとこのイケメン王子とあんなことやこんなことをしなきゃいけないわけだよ。
「ま、まだ決まったわけではありません……わよね?」
「そうだね……婚約となればそれなりの儀式は必要になるねえ」
思わずクリストフェル殿下の顔を見てしまうが、確かに彼がイケメンなのは認めよう……だけどイケメンなのとわたくしが嫁にいくのはあまり関係ないのではないか、と思うのだ。
わたくしは記憶を思い返していくが、前世の勇者ラインとしての外見は正直殿下ほど洗練されていない。
割とどこでもありそうなモブ顔で「勇者らしくないね」と言われ続けたため外見に自信はなかった……前々世の日本人だった頃、やはりわたくしは一般的なフツーの顔をしていたため、割とモブ扱いだったのを覚えている。
確かに今世で令嬢となったわたくし、シャルロッタ・インテリペリは超絶美人だ、自分で見ていても美しいと感じるレベルの美女であることは自覚している。
「わ、わたくしは殿下のお眼鏡にかなうほどの外見ではないかと思いますが……」
「そんなことはないよ、君は本当に美しく聡明だ」
「ぴッ……」
思わず変な声が漏れてしまったが、クリストフェル殿下はその甘いマスクとイケメンらしく透き通ったような声でわたくしへと微笑む。
あまりのイケメンぶりに、わたくしは少し頬が熱くなっているのを感じる……なんだ、なんでこんなにドキドキしているんだ? 思い出せばわたくしは前世もその前も男性だ。
目の前のイケメン王子に照れてどうする……それよりもだ、わたくしは本来やらなければいけないことを思い出して少し緩んでいた表情を引き締め直す。
「わたくしは先ほども申しましたとおり、領内に引きこもっている田舎娘ですわ。殿下のように華やかな舞台にいる方には相応しく……」
「シャルロッタ嬢……ご無礼を承知でお願いする……そんなことを言わずに僕との婚約を承知してくれまいか?」
「ひえっ……で、殿下?」
また声が裏返ってしまった……クリストフェル殿下がわたくしの前に片膝をついたことでわたくしの顔色が真っ青に、ついでにハラハラした表情を浮かべていたお父様も卒倒しそうなくらいの顔になっている。
殿下の側仕えもマチューさんも驚愕にとんでもない顔を見せて大きく口を開けて驚いている……誰か止めろよ、ちくしょー!
お、王族に膝をつかせてしまった……! これはまずい……わたくしはオロオロしながら殿下をなんとか立たせようと彼の肩に触れるが、彼はそんなわたくしの手をしっかりと優しく包んで本当に熱を帯びた目でじっとわたくしを見つめる。
「シャルロッタ嬢……君が領地、領民を愛する心優しい令嬢であることは理解した。だが僕は……君の隣にいたいと思ってしまった」
「く、クリストフェル……殿下……」
「もう一度いう……僕の婚約者になってくれまいか? 今はこんな状態だが、快方に向かったらでも構わない、僕には其方が必要だ」
まずいまずい……王族に膝をつかせた挙句、これで彼の願いを断ったらどうなるか……わたくしの脳内シミュレーションがフル回転する。
Q:シャルロッタは殿下の求婚をにべもなく拒絶してしまった! この後どうなるか?
A:殿下が悲しみ、周りの重臣達がお怒りになる。わたくしの実家と王家の関係が悪化したことで、インテリペリ辺境伯家は貴族の間からも爪弾きに……ついでにユルが狼くらいですと嘘をついているため、死刑になるかも。
Q:これを回避するにはどうすればいいのか?
A:シャルロッタは殿下の求婚を受け入れる、王家、重臣を含めてみんなハッピー。インテリペリ辺境伯家は王家とのつながりも良くなり領地は繁栄、わたくしはこのイケメンと愛らしい男の子を作って(以下略)。
こ、後者を受け入れない場合インテリペリ伯爵家にあまりいいことが起きそうな気がしないんだよな……コンマ数秒の思考の後、わたくしは軽くお父様の方を見るが、彼はもう卒倒しそうなくらい真っ青な顔と不安そうな目でわたくしを見ている。
もうダメか……だけど少しだけでも抵抗しなければな……わたくしは軽くため息をつくと、わたくしの手を握る殿下の手に手のひらを重ねて精一杯の作り笑顔で彼に向かって微笑む。
「……お受け致します、殿下……ただ条件がございますわ」
「おお、何なりと言ってくれ、条件とはなんだろうか?」
クリストフェル殿下はわたくしの返答に本当に嬉しそうな顔で微笑み、条件について尋ねてきた。
そうだな……正直いえば彼もまだ同い年のはずで一三歳、まだまだ社交界へとデビューもしていないし、これから数多くの令嬢と出会うことだろう、そんな時にわたくしが婚約者だからと出しゃばる気もないし、むしろどこかで婚約を解消してくれれば構わないと思っている。
そのため、彼に相応しい令嬢が現れた時に身を引ける状況だけは言質をとっていく必要があるだろう。
「わたくしよりも殿下の隣に相応しいご令嬢が現れた時は、速やかに婚約を破棄できること……それが望みでございます」
「ありがとうございます殿下」
わたくしは殿下に促されるまま席に着く……面会場所として用意されたのは王都の少し外れに位置する高台の一つで、白を基調とした石造りの庭園が広がっている。
ここに来るまでには馬車を利用したが、びっくりするくらい乗り心地の良い馬車でさすが王族はいいもん使ってんなと感心した次第だ。
インテリペリ伯爵家で使用している馬車は割と年季の入ったもので、質実剛健というか快適さよりも堅牢さを重視したものだったので、王都の馬車すげー! って思ってしまった。
お茶や菓子が用意された後、他愛もない挨拶や会話の後、少しの間を置いてクリストフェル殿下が意を決したように少し緊張した面持ちで話しかけてきた。
「シャルロッタ嬢は王都に来ることはほとんどなかったな、何故だい?」
「一五歳になれば王立学園への入学が決まっていると言われておりましたので、それまでは領内での生活を楽しもうかと思いまして」
「珍しいな、ほとんどの令嬢は領地を嫌がって王都に定住しているものが多いな、君は王都での生活に興味はないのか?」
「はい、特にございませんわ……あ、学園生活は楽しみにしておりますわ」
あ、そうなんだ……家の領地が快適すぎて別に王都なんか行かなくていいや、って本気で思ってたんだけど案外珍しい方なのか。
わたくしが不思議そうな表情を浮かべていると、なぜかクリストフェル殿下が咳を堪えながら面白そうにクスクス笑い出す……なんだ? そんな変なことは言っていないと思うんだけど。
ふとお父様は何をしているんだ? と思って彼の方を見ると、なぜかものすごくハラハラした表情でわたくしと殿下を交互に見ており、お父様と同席している武官の二人や、執事の男性もポカーンとした顔でわたくしを見ている。
「……わたくし何かおかしなこと申しましたでしょうか?」
「おかしくはないよ、面白いなと思う……それと僕は君に興味が湧いたよ」
なんでだ? なんでわたくしに興味が湧くんだよ……こんな訳のわからない返答する令嬢なんか相手にする王族とか出世できないぞ?
そして今一番困っているのは、わたくしを見つめるクリストフェル王子の視線が最初に出会った時からずっと熱を帯びたもののように感じて少し居心地が悪いのだ。
はっきり言えば、イケメンに熱の籠もった目で見つめられる……これは正直気恥ずかしいし、なんか居た堪れない気持ちで一杯になってしまう。
「お菓子いただきますね……」
視線から逃れるようにわたくしは少し別のものへと自らの興味を移す……テーブルに載っているお菓子は領地ではあまり見ないものが多いな。
この世界の食事は割とシンプルだったりもするけど、貴族の令嬢の間ではケーキやクッキーなど砂糖をふんだんに使った甘味はとてもメジャーな存在だ。
平民だと流石にこういったお菓子などを食べることはあまり無いとはいうが、それでも庶民向けのお菓子なども王国内では販売されているため、お茶請けなどにお菓子が出てくるシチュエーションはよく見るのだ。
流石に日本で食べたような多種多彩なケーキなどは存在しないが、それでもクリームやフルーツを使ったケーキなども存在しており、物足りないこともあるけど甘味には困ることがなかった。
「美味しいかい?」
「このフルーツケーキは良いですわ、領地にも美味しいケーキはたくさんございますが王都のものは洗練されている気が致します」
「そうか、シャルロッタ嬢は甘いものが好きなんだね、ゲホッ……」
お菓子が嫌いな令嬢は少ないと思うけどなあ、クリストフェル殿下は咳を何度か堪えると、ニコニコとわたくしがケーキを食べているのを見ながら笑顔を浮かべている……ですからなんでじっと見てるんだよ。
視線に困ったわたくしはフルーツケーキの味に集中していく、王都のものと領地のものは何が違うんだろうか、フルーツ自体は領地の方が美味しい気もするけど。
転生して令嬢となって一番楽しいのは、実はこの世界の高級スイーツやお茶が好きなだけ楽しめるってところかもしれないね。
「クリストフェル殿下はお菓子はお好みでいらっしゃいますか?」
「僕はあまり食べないね、みている方が好きかな、今みたいな感じで」
「そうなのですね……って何故わたくしにそのような視線を?」
「そりゃあ僕のお嫁さんになる女性なのだから、見つめてもおかしく無いよね?」
クリストフェル殿下の返答に思わずケーキを喉に詰まらせそうになる……お嫁さん? 誰が? お嫁さんになるって? 今この場にいる令嬢はわたくししかいないから、わたくしがお嫁さんになるってことか。
そうかそうか……いや待てよ、今この場に令嬢はわたくししかいないわけで、クリストフェル殿下のお嫁さんになるのはわたくしってことになるわけで、そうするとこのイケメン王子とあんなことやこんなことをしなきゃいけないわけだよ。
「ま、まだ決まったわけではありません……わよね?」
「そうだね……婚約となればそれなりの儀式は必要になるねえ」
思わずクリストフェル殿下の顔を見てしまうが、確かに彼がイケメンなのは認めよう……だけどイケメンなのとわたくしが嫁にいくのはあまり関係ないのではないか、と思うのだ。
わたくしは記憶を思い返していくが、前世の勇者ラインとしての外見は正直殿下ほど洗練されていない。
割とどこでもありそうなモブ顔で「勇者らしくないね」と言われ続けたため外見に自信はなかった……前々世の日本人だった頃、やはりわたくしは一般的なフツーの顔をしていたため、割とモブ扱いだったのを覚えている。
確かに今世で令嬢となったわたくし、シャルロッタ・インテリペリは超絶美人だ、自分で見ていても美しいと感じるレベルの美女であることは自覚している。
「わ、わたくしは殿下のお眼鏡にかなうほどの外見ではないかと思いますが……」
「そんなことはないよ、君は本当に美しく聡明だ」
「ぴッ……」
思わず変な声が漏れてしまったが、クリストフェル殿下はその甘いマスクとイケメンらしく透き通ったような声でわたくしへと微笑む。
あまりのイケメンぶりに、わたくしは少し頬が熱くなっているのを感じる……なんだ、なんでこんなにドキドキしているんだ? 思い出せばわたくしは前世もその前も男性だ。
目の前のイケメン王子に照れてどうする……それよりもだ、わたくしは本来やらなければいけないことを思い出して少し緩んでいた表情を引き締め直す。
「わたくしは先ほども申しましたとおり、領内に引きこもっている田舎娘ですわ。殿下のように華やかな舞台にいる方には相応しく……」
「シャルロッタ嬢……ご無礼を承知でお願いする……そんなことを言わずに僕との婚約を承知してくれまいか?」
「ひえっ……で、殿下?」
また声が裏返ってしまった……クリストフェル殿下がわたくしの前に片膝をついたことでわたくしの顔色が真っ青に、ついでにハラハラした表情を浮かべていたお父様も卒倒しそうなくらいの顔になっている。
殿下の側仕えもマチューさんも驚愕にとんでもない顔を見せて大きく口を開けて驚いている……誰か止めろよ、ちくしょー!
お、王族に膝をつかせてしまった……! これはまずい……わたくしはオロオロしながら殿下をなんとか立たせようと彼の肩に触れるが、彼はそんなわたくしの手をしっかりと優しく包んで本当に熱を帯びた目でじっとわたくしを見つめる。
「シャルロッタ嬢……君が領地、領民を愛する心優しい令嬢であることは理解した。だが僕は……君の隣にいたいと思ってしまった」
「く、クリストフェル……殿下……」
「もう一度いう……僕の婚約者になってくれまいか? 今はこんな状態だが、快方に向かったらでも構わない、僕には其方が必要だ」
まずいまずい……王族に膝をつかせた挙句、これで彼の願いを断ったらどうなるか……わたくしの脳内シミュレーションがフル回転する。
Q:シャルロッタは殿下の求婚をにべもなく拒絶してしまった! この後どうなるか?
A:殿下が悲しみ、周りの重臣達がお怒りになる。わたくしの実家と王家の関係が悪化したことで、インテリペリ辺境伯家は貴族の間からも爪弾きに……ついでにユルが狼くらいですと嘘をついているため、死刑になるかも。
Q:これを回避するにはどうすればいいのか?
A:シャルロッタは殿下の求婚を受け入れる、王家、重臣を含めてみんなハッピー。インテリペリ辺境伯家は王家とのつながりも良くなり領地は繁栄、わたくしはこのイケメンと愛らしい男の子を作って(以下略)。
こ、後者を受け入れない場合インテリペリ伯爵家にあまりいいことが起きそうな気がしないんだよな……コンマ数秒の思考の後、わたくしは軽くお父様の方を見るが、彼はもう卒倒しそうなくらい真っ青な顔と不安そうな目でわたくしを見ている。
もうダメか……だけど少しだけでも抵抗しなければな……わたくしは軽くため息をつくと、わたくしの手を握る殿下の手に手のひらを重ねて精一杯の作り笑顔で彼に向かって微笑む。
「……お受け致します、殿下……ただ条件がございますわ」
「おお、何なりと言ってくれ、条件とはなんだろうか?」
クリストフェル殿下はわたくしの返答に本当に嬉しそうな顔で微笑み、条件について尋ねてきた。
そうだな……正直いえば彼もまだ同い年のはずで一三歳、まだまだ社交界へとデビューもしていないし、これから数多くの令嬢と出会うことだろう、そんな時にわたくしが婚約者だからと出しゃばる気もないし、むしろどこかで婚約を解消してくれれば構わないと思っている。
そのため、彼に相応しい令嬢が現れた時に身を引ける状況だけは言質をとっていく必要があるだろう。
「わたくしよりも殿下の隣に相応しいご令嬢が現れた時は、速やかに婚約を破棄できること……それが望みでございます」
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