一人旅日記

赤羽律紀

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2013年 静岡県富士市吉原

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 2年ぶりに、泊まりがけの旅に出た。3月に富士市吉原に鯛屋旅館があるというので早速調べてみると、1泊2食付きで5550円だという。
「これはいくしかない」
 そう考えて宿を予約したあとに新幹線の切符を購入した。こういう身近な宿があるのなら是非泊まってみたい。そんな気持ちになった。
 初日の4月13日。朝早いうちに東京駅からの新幹線に乗って三島駅まで出向いて東海道線の各駅停車で吉原駅に降り立った。
 そこから岳南電車に乗って吉原本町駅に降りた。岳南電車はすべての駅のホームから富士山が見えると人気の電車だ。そこから徒歩で宿の鯛屋旅館に向かった。そこで荷物を預けて、吉原商店街をぶらりと歩いた。
 吉原商店街は、もともとは東海道五拾三次の吉原宿で商店街の中に宿場町の雰囲気を漂わせる街である。
 その後にテレビで紹介された味付けがんもを食べようと岳南電車で岳南原田駅に向かい、金沢豆腐店へ。しかし、テレビの効果からか、味付けがんもは完売していた。
「せっかく食べようとしていたのに…」
 落胆して岳南電車に乗って吉原本町駅に戻った私だったが、近くのお土産屋で味付けがんものサンドイッチが売られていたのを知り早速購入した。
 そして宿に戻り、そのサンドイッチを味見した。すると、味付けがんもの甘さがサンドイッチとよくマッチして、美味しいと思った。
 その夜は出された夕食を思う存分いただいた。そして、風呂に入った。清水次郎長や山岡鉄舟が常宿としていた老舗の宿の雰囲気をそこで感じ取った。
 2日目の4月14日。朝早く起きて吉原宿の中にある天神社に参拝し、旅の無事を祈願した。その後にコンビニで地方紙の静岡新聞を購入。そして、朝食をとった。そこで味わうシラスが格別の味だった。富士市に住んでいたことのあるザ・ドリフターズのリーダーで俳優のいかりや長介さんの好物で、大根おろしにシラスをのっけてご飯にかけるのが好きだったという。そのおかげで吉原商店街には長さん横丁という横丁ができている。
 宿を後にすると、今はなき惣菜屋さんで前日食べられなかった味付けがんもをいただいた。その後に岳南電車に乗って長い坂道をハイキング感覚で駆けて行った。その道中、かぐや姫の伝説が残る公園などを巡ってきた。
 そして、昼に吉原駅から三島駅に向かって昼飯の弁当を食べた後に残りの土産物を購入し、東京駅に降りた。
 歴史に残る富士市を旅したことは今も忘れない。
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