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2 最上級の敬礼
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スペシャル・クラスも、残すところ2週間。宇宙艦での実践を残すのみとなった。
セントラルから帰ってきて、リュウはザハロフ教官にさんざんしごかれた。思った通りである。
あれから一度もゆっくりレイと話をしていない。ペナルティの消化や演習などで土日がつぶれたり、せっかく家に帰っても、レイが出かけていたり。
リュウにとって、実践演習に出かける前のこの週末だけが、卒業までの唯一の休暇となりそうだった。
今週こそは帰る。そして、レイと話がしたいと思っていた。
ところが。朝のトレーニングが終わった後で、隊員たちにつかまってしまったのである。
「隊長! ようやく雑役から解放されたお祝いだと思って。招待してくれてもいいでしょう。今度は、前のように阿刀野さんを襲ったりしませんから」
チラリとダンカンに目をやりながら、エヴァが力強く断言する。ダンカンも大きくうなずいている。
秋から半年に渡って隊長として面倒を見てきた小隊のメンバーの頼みであった。
宇宙艦での実践演習にはスペシャル・クラスのメンバーだけが参加するので、今週で、リュウの隊長としての役目は終了するのである。
リュウが隊長でなくなる前に、隊員たちはどうしてもレイに助けてもらった礼を言いたいと言うのだ。
「あれはもう、一カ月以上も前だ。フェンネルでのことなんか、レイはとっくに忘れてる。レイにしたら、俺のミスをフォローしただけで、礼を言われるほどのことをしたなんて思ってない。
おまえたちを連れて帰ったら、寝た子を起こすようなもんじゃないか。せっかく忘れてるのを思い出させて、『おまえがしっかりしてないから、あんな事態に陥ったんだ』と叱られるに決まってる!」
だから来るなとリュウは言外に断ったのに、隊員たちは納得しない。
「あれは、自分たちには忘れられないことです! 阿刀野さんがいなければ全員、生きちゃいなかったんですよ。どれほど感謝しているか。それなのに、伝えとくなんて冷たいこと言わずに、お願いします!」
エヴァがねばる。
「隊長! 減るもんじゃないし、会わせてくれてもいいだろう!」
ダンカンがワケのわからない突っ込みを入れる。
命を危険にさらした上に、宇宙軍の上層部から睨まれたにも関わらず、この半年、リュウとともに行動できたことを隊員たちは心底、ラッキーだと思っていた。
連合宇宙軍には信頼できる士官がいるのだと、迷わず付いていける士官がいるのだと確信することができたから。
そして。
阿刀野隊長のお兄さんに出会えたから。
もし、あの人が自分たちの後ろで見守ってくれるなら、どんな困難にでも真正面から立ち向かえると思う。命をかけて闘えると思う。あの人はどんな場面に陥っても必ず自分たちを助けてくれる。甘やかしはしないが、いや、ものすごく厳しいだろうが、部下のことを第一に考えてくれる。
端的な行動で、レイは兵士たちの絶対的な信頼を勝ち取ったのだった。
あの人が宇宙軍の将校であれば…と望むのは贅沢だとしても、ここで諦めたら二度と会えない。感謝の気持ちを伝えるすべがないと隊員みなが知っていた。
ダンカンのように、ただもう一度レイに会いたいと願う不届き者もいたが…。
リュウは困り果てて、そばを通りかかったルーインに助けを求めた。
「いいんじゃないか。レイさんは嫌がったりしないだろ。キミはいつでもレイさんを独り占めできる。こいつらにとっては、礼を言う機会なんて、もう二度とないかもしれないからな」
「な、…」
ルーインに諭されて、リュウは諦めざるを得なくなった。
「俺だって! あれから、全然、話してないんだぞ」
レイとの大切な時間をほかのやつに邪魔されるのはイヤだ! というリュウの心の声が聞こえたのか、ルーインが声をひそめて言う。
「甘えるのは、次の機会にしろよ」
「くそっ!」
ルーインはリュウの心などお見通しなのだ。期待に輝く隊員たちを見ていると、リュウはそれ以上、拒めなくなってしまった。
日曜日。
総勢10名という大人数を引き連れて、リュウは自宅へ向かった。
これでも厳選したのであるが…、大の男が10人、いや、レイを入れると11人である。
ディナーの予定はないが、ごく普通のマンションに、果たして入りきれるのか?
それに。隊員を大勢連れて帰ると連絡はしたが、レイにパーティのセッティングを期待するのは無理というものである。
まあ、酒だけはたっぷりあるだろうけど。
「ただいま! レイ! お客さんを連れてきた」
玄関で大声をあげると、すぐにリビングのドアが開いた。
「お帰り。やあ、いらっしゃい!」
リュウとルーインに続いて、お邪魔しますと丁寧に挨拶しながら入ってくる男たちを、レイは笑顔で迎え入れた。
部屋着ではなく、シンプルなシルクのシャツに革のパンツ。淡いグリーンのシャツが、エメラルド・グリーンの瞳によく似合っている。細身のパンツがレイのスタイルの良さを引き立てている。
何てことのない組み合わせなのに、バランスの取れたしなやかな肢体にまとうと…。そこだけ、スポットライトが当たったように輝いて見えた。
どう猛な獣ほど、見かけは美しいのかもしれない。
リュウでさえ一瞬、見惚れたレイの姿に、何人かが息を呑み、ダンカンなどは瞳を釘付けにして固まってしまった、ようである。
「なに? 家にいるにしては、えらく決めてるね」
「決めてなんかいないけど…。俺もついさっき戻ってきたとこなんだ。まだ着替えてないだけだよ」
「もしかして、デートだったのか?」
軽く口にしたはずの言葉に、リュウの心はツキンと痛んだ。レイの隣を歩ける女は幸せだろう。もし、レイの美しさに負けない女なら…。
「まさか。仕事の打ち合わせだよ。その後、食料の調達に行ったんだ。おまえがしばらく帰ってないんで、ストックが何にもなくて…」
リビングに入ると
「よおっ、リュウ! 元気か?」
キッチンから、ランディが陽気に挨拶をよこした。
「たくさん来るって聞いたから、酒も食いもんもいっぱい買ってきたぞ。両手いっぱい荷物を持たされちまった…」
「あっ、ランディ。レイに手伝わされたんだ? サンキュ! 後は俺がやるから、リビングでくつろいでてよ」
「そうか? それじゃあ任せるぜ」
ポンと肩をたたいて、ランディがキッチンを明け渡した。
「おまえたちも、用意ができるまで好きなとこに座って…」
振り返って気がついた。自分の後からリビングに入った隊員たちは、壁を背にして整列していた。ビシッと。まるで、訓練の始まりを待つ兵士たちのようである。『まわれ右』と号令をかけたら、一斉に右を向きそうだ。
誰も声を出す者はいない。上官からの許しがないと、いつまでだって立っていそうだ。
ランディがぎょっとし、レイは困ったような笑みを浮かべた。ルーインがリュウに合図を寄こした。どうしろと言うんだ?
「エヴァ、なんなんだ。まったく! ここは軍じゃなくて俺の家だぞ。教練をやってるんじゃなくて、これからパーティをやろうってのに! そこら辺に適当に座ってくつろいでくれよ」
「隊長、いいですか?」
エヴァが畏まったままで訊ねる。
「なんだ?」
「阿刀野さんに…」
視線をレイに巡らせる。
リュウは理解した。まず、正式な形でレイに感謝の気持ちを現したい、ということを。
「わかった。それでおまえたちの気が済むんなら先に済ませてくれ。それから、こっちがランディ。あの時、クリスタル号に乗ってたレイの相棒だ。俺たちのSOSに応えてくれたのは彼だよ」
隊員たちの目が一斉にランディに向けられた。ランディが居心地悪そうに頭をかく。
リュウの許しを得たエヴァが、一歩前に出てレイとランディに声をかけた。
「阿刀野さん、ランディさん。こちらに来ていただけますか」
まっすぐに顔をあげて見つめている隊員たちの期待をはぐらかすわけにはいかないとレイは覚悟を決めた。
儀礼的なことが大嫌いであっても…。
ランディの背に手を置いて、一緒にと促すと、並んでいる隊員たちの前にピシリと姿勢を正す。レイを包んでいたやわらかな雰囲気が跡形もなく消え去った。
鋭い瞳。
整いすぎた美しい貌は、表情がなくなると途端に冷徹に見えた。みなを見つめる冷ややかな眼差しに、威厳ある態度に、叱られるわけでもないのに隊員たちが身を引き締めた。エヴァでさえ、一瞬、びくりと身体を強ばらせた。もちろん、すぐに立ち直ったが。
全員がレイとランディを見つめていた。それから、
「ありがとうございました」
無駄を一切省いた、集約された感謝の言葉。
深々と頭を下げてから、エヴァが合図を送る。
全員の右拳が一斉に胸に掲げられた。最高級の敬礼である。
瞬きもせずに見つめ返したレイは、みなのまっすぐな感謝の気持ちを、受け止めた。
端から、一人ひとりの目に軽くうなずきかけ、最後にエヴァと視線を交わすと、ゆっくりと右拳を胸に当ててみせた。あわててランディが真似をする。
それから。レイは冷たい仮面を脱ぎ捨てて、にこりと微笑んだ。包み込むような温かな笑顔だ。そしてやさしい言葉が続いた。
「あの時、キミたちが助かったのは、俺やランディの力じゃないよ。自分を信じて、仲間を信じて、やることをやったから、困難な状況を切り抜けることができたんだ。俺たちにじゃなく、仲間に感謝すればいい。自分を誉めればいい。
でも…。もし、誰も誉めてくれなかったんなら、俺が誉めてあげようね。キミたちは本当によく頑張ったよ」
隊員たちの顔にパッと喜びの表情が浮かんだ。こみあげる涙を隠して、くしゃっと歪んだ顔もあった…。
セントラルから帰ってきて、リュウはザハロフ教官にさんざんしごかれた。思った通りである。
あれから一度もゆっくりレイと話をしていない。ペナルティの消化や演習などで土日がつぶれたり、せっかく家に帰っても、レイが出かけていたり。
リュウにとって、実践演習に出かける前のこの週末だけが、卒業までの唯一の休暇となりそうだった。
今週こそは帰る。そして、レイと話がしたいと思っていた。
ところが。朝のトレーニングが終わった後で、隊員たちにつかまってしまったのである。
「隊長! ようやく雑役から解放されたお祝いだと思って。招待してくれてもいいでしょう。今度は、前のように阿刀野さんを襲ったりしませんから」
チラリとダンカンに目をやりながら、エヴァが力強く断言する。ダンカンも大きくうなずいている。
秋から半年に渡って隊長として面倒を見てきた小隊のメンバーの頼みであった。
宇宙艦での実践演習にはスペシャル・クラスのメンバーだけが参加するので、今週で、リュウの隊長としての役目は終了するのである。
リュウが隊長でなくなる前に、隊員たちはどうしてもレイに助けてもらった礼を言いたいと言うのだ。
「あれはもう、一カ月以上も前だ。フェンネルでのことなんか、レイはとっくに忘れてる。レイにしたら、俺のミスをフォローしただけで、礼を言われるほどのことをしたなんて思ってない。
おまえたちを連れて帰ったら、寝た子を起こすようなもんじゃないか。せっかく忘れてるのを思い出させて、『おまえがしっかりしてないから、あんな事態に陥ったんだ』と叱られるに決まってる!」
だから来るなとリュウは言外に断ったのに、隊員たちは納得しない。
「あれは、自分たちには忘れられないことです! 阿刀野さんがいなければ全員、生きちゃいなかったんですよ。どれほど感謝しているか。それなのに、伝えとくなんて冷たいこと言わずに、お願いします!」
エヴァがねばる。
「隊長! 減るもんじゃないし、会わせてくれてもいいだろう!」
ダンカンがワケのわからない突っ込みを入れる。
命を危険にさらした上に、宇宙軍の上層部から睨まれたにも関わらず、この半年、リュウとともに行動できたことを隊員たちは心底、ラッキーだと思っていた。
連合宇宙軍には信頼できる士官がいるのだと、迷わず付いていける士官がいるのだと確信することができたから。
そして。
阿刀野隊長のお兄さんに出会えたから。
もし、あの人が自分たちの後ろで見守ってくれるなら、どんな困難にでも真正面から立ち向かえると思う。命をかけて闘えると思う。あの人はどんな場面に陥っても必ず自分たちを助けてくれる。甘やかしはしないが、いや、ものすごく厳しいだろうが、部下のことを第一に考えてくれる。
端的な行動で、レイは兵士たちの絶対的な信頼を勝ち取ったのだった。
あの人が宇宙軍の将校であれば…と望むのは贅沢だとしても、ここで諦めたら二度と会えない。感謝の気持ちを伝えるすべがないと隊員みなが知っていた。
ダンカンのように、ただもう一度レイに会いたいと願う不届き者もいたが…。
リュウは困り果てて、そばを通りかかったルーインに助けを求めた。
「いいんじゃないか。レイさんは嫌がったりしないだろ。キミはいつでもレイさんを独り占めできる。こいつらにとっては、礼を言う機会なんて、もう二度とないかもしれないからな」
「な、…」
ルーインに諭されて、リュウは諦めざるを得なくなった。
「俺だって! あれから、全然、話してないんだぞ」
レイとの大切な時間をほかのやつに邪魔されるのはイヤだ! というリュウの心の声が聞こえたのか、ルーインが声をひそめて言う。
「甘えるのは、次の機会にしろよ」
「くそっ!」
ルーインはリュウの心などお見通しなのだ。期待に輝く隊員たちを見ていると、リュウはそれ以上、拒めなくなってしまった。
日曜日。
総勢10名という大人数を引き連れて、リュウは自宅へ向かった。
これでも厳選したのであるが…、大の男が10人、いや、レイを入れると11人である。
ディナーの予定はないが、ごく普通のマンションに、果たして入りきれるのか?
それに。隊員を大勢連れて帰ると連絡はしたが、レイにパーティのセッティングを期待するのは無理というものである。
まあ、酒だけはたっぷりあるだろうけど。
「ただいま! レイ! お客さんを連れてきた」
玄関で大声をあげると、すぐにリビングのドアが開いた。
「お帰り。やあ、いらっしゃい!」
リュウとルーインに続いて、お邪魔しますと丁寧に挨拶しながら入ってくる男たちを、レイは笑顔で迎え入れた。
部屋着ではなく、シンプルなシルクのシャツに革のパンツ。淡いグリーンのシャツが、エメラルド・グリーンの瞳によく似合っている。細身のパンツがレイのスタイルの良さを引き立てている。
何てことのない組み合わせなのに、バランスの取れたしなやかな肢体にまとうと…。そこだけ、スポットライトが当たったように輝いて見えた。
どう猛な獣ほど、見かけは美しいのかもしれない。
リュウでさえ一瞬、見惚れたレイの姿に、何人かが息を呑み、ダンカンなどは瞳を釘付けにして固まってしまった、ようである。
「なに? 家にいるにしては、えらく決めてるね」
「決めてなんかいないけど…。俺もついさっき戻ってきたとこなんだ。まだ着替えてないだけだよ」
「もしかして、デートだったのか?」
軽く口にしたはずの言葉に、リュウの心はツキンと痛んだ。レイの隣を歩ける女は幸せだろう。もし、レイの美しさに負けない女なら…。
「まさか。仕事の打ち合わせだよ。その後、食料の調達に行ったんだ。おまえがしばらく帰ってないんで、ストックが何にもなくて…」
リビングに入ると
「よおっ、リュウ! 元気か?」
キッチンから、ランディが陽気に挨拶をよこした。
「たくさん来るって聞いたから、酒も食いもんもいっぱい買ってきたぞ。両手いっぱい荷物を持たされちまった…」
「あっ、ランディ。レイに手伝わされたんだ? サンキュ! 後は俺がやるから、リビングでくつろいでてよ」
「そうか? それじゃあ任せるぜ」
ポンと肩をたたいて、ランディがキッチンを明け渡した。
「おまえたちも、用意ができるまで好きなとこに座って…」
振り返って気がついた。自分の後からリビングに入った隊員たちは、壁を背にして整列していた。ビシッと。まるで、訓練の始まりを待つ兵士たちのようである。『まわれ右』と号令をかけたら、一斉に右を向きそうだ。
誰も声を出す者はいない。上官からの許しがないと、いつまでだって立っていそうだ。
ランディがぎょっとし、レイは困ったような笑みを浮かべた。ルーインがリュウに合図を寄こした。どうしろと言うんだ?
「エヴァ、なんなんだ。まったく! ここは軍じゃなくて俺の家だぞ。教練をやってるんじゃなくて、これからパーティをやろうってのに! そこら辺に適当に座ってくつろいでくれよ」
「隊長、いいですか?」
エヴァが畏まったままで訊ねる。
「なんだ?」
「阿刀野さんに…」
視線をレイに巡らせる。
リュウは理解した。まず、正式な形でレイに感謝の気持ちを現したい、ということを。
「わかった。それでおまえたちの気が済むんなら先に済ませてくれ。それから、こっちがランディ。あの時、クリスタル号に乗ってたレイの相棒だ。俺たちのSOSに応えてくれたのは彼だよ」
隊員たちの目が一斉にランディに向けられた。ランディが居心地悪そうに頭をかく。
リュウの許しを得たエヴァが、一歩前に出てレイとランディに声をかけた。
「阿刀野さん、ランディさん。こちらに来ていただけますか」
まっすぐに顔をあげて見つめている隊員たちの期待をはぐらかすわけにはいかないとレイは覚悟を決めた。
儀礼的なことが大嫌いであっても…。
ランディの背に手を置いて、一緒にと促すと、並んでいる隊員たちの前にピシリと姿勢を正す。レイを包んでいたやわらかな雰囲気が跡形もなく消え去った。
鋭い瞳。
整いすぎた美しい貌は、表情がなくなると途端に冷徹に見えた。みなを見つめる冷ややかな眼差しに、威厳ある態度に、叱られるわけでもないのに隊員たちが身を引き締めた。エヴァでさえ、一瞬、びくりと身体を強ばらせた。もちろん、すぐに立ち直ったが。
全員がレイとランディを見つめていた。それから、
「ありがとうございました」
無駄を一切省いた、集約された感謝の言葉。
深々と頭を下げてから、エヴァが合図を送る。
全員の右拳が一斉に胸に掲げられた。最高級の敬礼である。
瞬きもせずに見つめ返したレイは、みなのまっすぐな感謝の気持ちを、受け止めた。
端から、一人ひとりの目に軽くうなずきかけ、最後にエヴァと視線を交わすと、ゆっくりと右拳を胸に当ててみせた。あわててランディが真似をする。
それから。レイは冷たい仮面を脱ぎ捨てて、にこりと微笑んだ。包み込むような温かな笑顔だ。そしてやさしい言葉が続いた。
「あの時、キミたちが助かったのは、俺やランディの力じゃないよ。自分を信じて、仲間を信じて、やることをやったから、困難な状況を切り抜けることができたんだ。俺たちにじゃなく、仲間に感謝すればいい。自分を誉めればいい。
でも…。もし、誰も誉めてくれなかったんなら、俺が誉めてあげようね。キミたちは本当によく頑張ったよ」
隊員たちの顔にパッと喜びの表情が浮かんだ。こみあげる涙を隠して、くしゃっと歪んだ顔もあった…。
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