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勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
あまりにも辛過ぎる事実
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「お久しぶりです、ジン様」
案内の執事に連れられた部屋に俺達三人が入ると、女王様のセトロベイーナ三世が、笑顔で出迎えてくれた。
へえ……この部屋が本来女王様が謁見するための部屋か……。
初めて女王様と会った時の客間と違って、豪華絢爛で護衛の騎士やメイドに執事も、十分なくらいの人数がいる。
流石、女王様の部屋って感じだな。
……残念なことに、初めて会った時と同じぐらい、女王様は今も落ち込んでるけど。
「……あ、そちらのお二方は?」
「俺が元の世界にいた頃の仲間……つまり、女神の加護を持った人間です。一人は、テラハラの代わりに新しくこの国を守るので、よろしくお願いします」
「女王様、始めまして。わたくしは、コクブンと申します。どうぞよろしくお願いします」
「レ、レミです。私は主にジンのサポート役をします。よろしくお願いします」
「お二方とも、これからセトロベイーナ王国をお願いします。……あ、いけない。ジン様、魔王軍幹部ネグレリアの討伐、お疲れ様でした。セトロベイーナ王国女王として、お礼を申し上げます。ジェノニアを救って頂き、本当にありがとうございました」
「いえ、ネグレリアに関しては、俺一人の力じゃないですから。レミの協力があってこそです」
「まあ……そうだったんですか。レミさん、ネグレリア討伐本当にありがとうございました」
「いえ……ほとんどジンのおかけですから……私なんて……」
「…………」
女王様が、作り笑い……無理矢理なんとか笑っているのを俺達三人は知っているためか、俺達まで女王様につられて、引きつった笑顔になってしまう。
辛いだろうに……気丈に振る舞って……これが俺達より年下の女の子なんだぜ?
本当に、立派な女王様だよ。
残念なことに、これから女王様を悲しませて、更に辛くさせるような事実を話すことになるんだけどな。
まずは、鈴木桃奈の方から話すか。
「あの……女王様、今日はネグレリア討伐報告と二人の紹介の他に、アルレイユ公国とロールクワイフ共和国。この二つの国で得た情報や決まったことを報告しに来ました。……その、女王様だけでなく護衛の皆さんや執事やメイドさん達も、今からする話は大変辛いお話もあるので、落ち着いて聞いてください」
「大丈夫です。フィスフェレムがこの国で暴れていた頃の辛さに比べれば、どんな話でも耐えられます」
「あ……じゃあ、まず……回復術士のスズキっていましたよね? アイツ、アルラギア帝国に寝返ってました。しかも、セトロベイーナ王国がフィスフェレムの手で、壊滅状態だったことを喋ってたみたい……」
「何だと!? あの、役立たずが!?」
「アルラギア帝国に寝返っていた!?」
「許せん! 情報を流していたのか!」
ザワザワザワ……ガヤガヤガヤ……。
……そりゃ、落ち着いて聞いてくれって言っても、無理だよな。
死んだと思っていた人間が、実は生きててしかも裏切ってました。
なんて話を聞いて黙っていられるわけがない。
「落ち着いて話を聞きなさいと言ったでしょう! ……ジン様、それは本当ですか?」
「ええ……回復術士のスズキと呼ばれる女と言ってましたからね。スズキ・モモナとみて間違いないでしょう。……しかし、アルラギア帝国でもやらかしたみたいで、信用を失っているようです」
「へっ! ざまあねえな!」
「いい気味だぜ!」
「落ち着いて聞きなさいと言っているでしょう! 追い出すわよ!」
嫌われすぎだろ……鈴木桃奈。
無能で役立たずだったくせに裏切った奴だから、しょうがないと言えばしょうがないんだけどさ。
アルラギア帝国でもやらかしたって話をした瞬間、護衛の騎士達がみんな喜ぶって……。
「あ、あー……それでなんですが。今、捕虜にしているテラハラがいるじゃないですか? 実はロールクワイフ共和国で、アルラギア帝国の王女と会ったんですけど、遠回しにスズキと交換してくれないかと言われまして……もちろん、セトロベイーナ王国には得になるよう、俺とレミが交渉してきます」
「テラハラと交換ですか……」
「もちろん、不満があるのは分かっています。ですので、スズキの女神の加護は俺が女神の黒で奪っておきます。その気になれば、皆さんが彼女を処刑出来る状態にしておくのをお約束します……この条件でどうでしょう?」
「この中に、ジン様のご提案に反対という人間は……いないみたいですね。分かりました。テラハラとスズキの交換を認めましょう」
「ありがとうございます。女王様」
よしよしよし。
ここまでは順調だ。
特に問題なく、伝えたいことやお願いしたいことが上手く伝えられた。
さて……最後にして、一番の問題を伝えるか。
「あの、もう一つあるんですが。この国って、虹の教団の信者ってどのくらいいるんですか?」
「……虹の教団ですか? どのくらい……詳しくは知りませんが、数万人ぐらいかと。……それがどうかしましたか?」
言うしかないんだ。
ああ……胃が痛い。
でも、言うしかないんだ。
「実は、虹の教団がネグレリアに人間の死体を売って、金に変えていたみたいなんです。……そして、その中にはリベッネの死体もありました」
「……えっ」
ああ……やっぱりダメだったか。
部屋の空気が、一気に変わってしまった。
案内の執事に連れられた部屋に俺達三人が入ると、女王様のセトロベイーナ三世が、笑顔で出迎えてくれた。
へえ……この部屋が本来女王様が謁見するための部屋か……。
初めて女王様と会った時の客間と違って、豪華絢爛で護衛の騎士やメイドに執事も、十分なくらいの人数がいる。
流石、女王様の部屋って感じだな。
……残念なことに、初めて会った時と同じぐらい、女王様は今も落ち込んでるけど。
「……あ、そちらのお二方は?」
「俺が元の世界にいた頃の仲間……つまり、女神の加護を持った人間です。一人は、テラハラの代わりに新しくこの国を守るので、よろしくお願いします」
「女王様、始めまして。わたくしは、コクブンと申します。どうぞよろしくお願いします」
「レ、レミです。私は主にジンのサポート役をします。よろしくお願いします」
「お二方とも、これからセトロベイーナ王国をお願いします。……あ、いけない。ジン様、魔王軍幹部ネグレリアの討伐、お疲れ様でした。セトロベイーナ王国女王として、お礼を申し上げます。ジェノニアを救って頂き、本当にありがとうございました」
「いえ、ネグレリアに関しては、俺一人の力じゃないですから。レミの協力があってこそです」
「まあ……そうだったんですか。レミさん、ネグレリア討伐本当にありがとうございました」
「いえ……ほとんどジンのおかけですから……私なんて……」
「…………」
女王様が、作り笑い……無理矢理なんとか笑っているのを俺達三人は知っているためか、俺達まで女王様につられて、引きつった笑顔になってしまう。
辛いだろうに……気丈に振る舞って……これが俺達より年下の女の子なんだぜ?
本当に、立派な女王様だよ。
残念なことに、これから女王様を悲しませて、更に辛くさせるような事実を話すことになるんだけどな。
まずは、鈴木桃奈の方から話すか。
「あの……女王様、今日はネグレリア討伐報告と二人の紹介の他に、アルレイユ公国とロールクワイフ共和国。この二つの国で得た情報や決まったことを報告しに来ました。……その、女王様だけでなく護衛の皆さんや執事やメイドさん達も、今からする話は大変辛いお話もあるので、落ち着いて聞いてください」
「大丈夫です。フィスフェレムがこの国で暴れていた頃の辛さに比べれば、どんな話でも耐えられます」
「あ……じゃあ、まず……回復術士のスズキっていましたよね? アイツ、アルラギア帝国に寝返ってました。しかも、セトロベイーナ王国がフィスフェレムの手で、壊滅状態だったことを喋ってたみたい……」
「何だと!? あの、役立たずが!?」
「アルラギア帝国に寝返っていた!?」
「許せん! 情報を流していたのか!」
ザワザワザワ……ガヤガヤガヤ……。
……そりゃ、落ち着いて聞いてくれって言っても、無理だよな。
死んだと思っていた人間が、実は生きててしかも裏切ってました。
なんて話を聞いて黙っていられるわけがない。
「落ち着いて話を聞きなさいと言ったでしょう! ……ジン様、それは本当ですか?」
「ええ……回復術士のスズキと呼ばれる女と言ってましたからね。スズキ・モモナとみて間違いないでしょう。……しかし、アルラギア帝国でもやらかしたみたいで、信用を失っているようです」
「へっ! ざまあねえな!」
「いい気味だぜ!」
「落ち着いて聞きなさいと言っているでしょう! 追い出すわよ!」
嫌われすぎだろ……鈴木桃奈。
無能で役立たずだったくせに裏切った奴だから、しょうがないと言えばしょうがないんだけどさ。
アルラギア帝国でもやらかしたって話をした瞬間、護衛の騎士達がみんな喜ぶって……。
「あ、あー……それでなんですが。今、捕虜にしているテラハラがいるじゃないですか? 実はロールクワイフ共和国で、アルラギア帝国の王女と会ったんですけど、遠回しにスズキと交換してくれないかと言われまして……もちろん、セトロベイーナ王国には得になるよう、俺とレミが交渉してきます」
「テラハラと交換ですか……」
「もちろん、不満があるのは分かっています。ですので、スズキの女神の加護は俺が女神の黒で奪っておきます。その気になれば、皆さんが彼女を処刑出来る状態にしておくのをお約束します……この条件でどうでしょう?」
「この中に、ジン様のご提案に反対という人間は……いないみたいですね。分かりました。テラハラとスズキの交換を認めましょう」
「ありがとうございます。女王様」
よしよしよし。
ここまでは順調だ。
特に問題なく、伝えたいことやお願いしたいことが上手く伝えられた。
さて……最後にして、一番の問題を伝えるか。
「あの、もう一つあるんですが。この国って、虹の教団の信者ってどのくらいいるんですか?」
「……虹の教団ですか? どのくらい……詳しくは知りませんが、数万人ぐらいかと。……それがどうかしましたか?」
言うしかないんだ。
ああ……胃が痛い。
でも、言うしかないんだ。
「実は、虹の教団がネグレリアに人間の死体を売って、金に変えていたみたいなんです。……そして、その中にはリベッネの死体もありました」
「……えっ」
ああ……やっぱりダメだったか。
部屋の空気が、一気に変わってしまった。
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