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勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
橋本 麗蒼
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「急いで防具着てきました! オリヴェイラ様もお客様もお待たせしてすいませっ……うわっ!」
ドンガラガッシャーン。
こちらを見向きもせず、急いで応接室を出ていって防具を着てきた麗蒼は、さっきと同じように慌てて応接室に入ってきたためか、入って来るなり段差か何かで躓いたのかすっ転び、近くに置かれていた観葉植物らしき物があった方面へ倒れてしまい、そこら辺の物をなぎ倒していた。
あ、懐かしい。
このドジ加減。
容姿や身体の成長度合いは劇的に変化しても、人の本質はやっぱりそんな簡単に変わらないな。
このドジさとおっちょこちょいさ。
ようやく俺が知っている橋本麗蒼が帰ってきたな。
「……レア殿、何をやっているんだ。いつも言っているだろ? もう少し落ち着いて行動しろと」
「……いたたぁ……すいません……。すぐに片付けます……」
オリヴェイラ様も、麗蒼のドジっぷりを何度も見てきたのか、またやったのかお前……と少々呆れながら麗蒼に注意している。
……オリヴェイラ様の様子からするに、さては異世界でもドジ連発していたな?
「片付けなら他の人間にやらせればいい。お客様をお待たせしているんだ。早くこっちに来てくれ。それに……レア殿に片付けさせたら、もっと酷くなりそうだ」
「酷いっ!?」
ああ分かる分かる。
オリヴェイラ様の言っていることに、国分や麗翠、そして俺も。
全員が納得した様子で頷いていた。
「いたた……本当にいったいよ~もう……。あ、そうだ。お姉ちゃんが連れてきたお客様って誰ですか? 求婚のお話なら、うちはまだまだ結婚するつもりはありませんよ? 何回断ったことか」
転んでぶつけた所をさすりながら、少々面倒臭そうにしだす麗蒼。
……元の世界でもそれなりにモテて人気ではあったが、こっちの世界では嫌になるくらい求婚されるほどモテモテなのか。
羨ましいねえ。
「ハハッ。それはすまないな。アルラギアの貴族連中が、レア殿のことを大層気に入っているせいだ。だが、今日は懲りずに求婚してくる者の訪問ではない。レミ殿」
「はい」
オリヴェイラ様が麗翠に俺を紹介するよう促す。
「お姉ちゃん、それ本当~? お姉ちゃんが紹介した人じゃないけど、前もそんな感じのこと言われたから会ったのに、求婚してきた人いたんだけど……」
「麗蒼、今回はそんな人じゃない。麗蒼も会いたかった人だよ。ほら、こっちを見て」
「会いたかった人って誰……もう男の人は信用出来な……えっ? ……え? ええっ!?」
麗蒼は俺を見るなり大声で驚く。
そしてフラフラとした足取りで俺に近付いてくる。
「久し振りだな、麗蒼。大分イメチェンしたみたいだけど、俺の知っている麗蒼らしい所が見れて安心したよ……って、うわっぷ!?」
フラフラしていたので、転んだ時に足でも痛めたのか? と声を掛けようとしていた時には既に、麗蒼は俺に抱きついていた。
……人前で普通にハグしてくるフレンドリーさも、変わってなさそうだな。
お前は外国人かと突っ込みたくなる。
それと周りに人がいる時は辞めて欲しい。
「おいおい……挨拶のハグにしては強過ぎないか? 本当、全然変わってないな……って、なんで泣いてるんだよ?」
「うっ……グスッ……れ、連絡も何もしてこないし、色んな国へ行っても噂も聞かないし、仁のことを知っている人も話す人もいない! 今まで何してたの!? も……もしかしたら死んじゃったのかなって心配していたんだよ!? このバカっ!」
「連絡しろとか無茶言うな。元の世界みたいにスマホがあるわけじゃねえんだぞ?」
「うるさいうるさい! 知るかバカ!」
ボルチオール王国にいた頃の俺を麗蒼は知らないから、こんな無茶を言っているんだろう。
あの頃の俺はこっちの世界の人間と日常会話すら出来なかったんだから、どうしようもない。
……とはいえ、麗蒼にも心配させてしまったな。
「……悪かった。麗翠やお前に会いに行けるレベルにまで強くなるのに時間が掛かったんだ。色々あってな」
「本当だよ……遅いよ……」
「…………ああ、ごめんな」
いやあ……仲の良かった友人との再会。
普通感動もんのはずだよね。
何故か凄い形相で麗翠に睨まれてるんだけど。
国分はそれを察しているのか笑ってやがるし。
思わずビックリして麗蒼にとりあえず謝ることしか出来なかったよね。
「……ほほう。なるほどなるほど。あれがレア殿の……いや……他にもか」
オリヴェイラ様……何を分かって納得したのか知らんが助けてくれ。
麗翠と麗蒼は時々凄く仲が悪くなる時があるんだから。
麗蒼と俺が楽しそうにしていると麗翠が不機嫌そうになるのが何よりの証拠だろ。
現に今もそうだし。
「とりあえず、一旦離れろ。再会したばっかりで悪いが、麗蒼達に協力して欲しいことがあって、この国に来たんだ。もちろんそれはオリヴェイラ様の協力も必要だから、話し合わなければいけない」
「協力? もちろんするよ! 仁が助けて欲しいのなら!」
「…………」
この後数分間、俺が麗蒼のハグから開放されるまで、ずっと麗翠は俺を睨んでいたのだった。
ドンガラガッシャーン。
こちらを見向きもせず、急いで応接室を出ていって防具を着てきた麗蒼は、さっきと同じように慌てて応接室に入ってきたためか、入って来るなり段差か何かで躓いたのかすっ転び、近くに置かれていた観葉植物らしき物があった方面へ倒れてしまい、そこら辺の物をなぎ倒していた。
あ、懐かしい。
このドジ加減。
容姿や身体の成長度合いは劇的に変化しても、人の本質はやっぱりそんな簡単に変わらないな。
このドジさとおっちょこちょいさ。
ようやく俺が知っている橋本麗蒼が帰ってきたな。
「……レア殿、何をやっているんだ。いつも言っているだろ? もう少し落ち着いて行動しろと」
「……いたたぁ……すいません……。すぐに片付けます……」
オリヴェイラ様も、麗蒼のドジっぷりを何度も見てきたのか、またやったのかお前……と少々呆れながら麗蒼に注意している。
……オリヴェイラ様の様子からするに、さては異世界でもドジ連発していたな?
「片付けなら他の人間にやらせればいい。お客様をお待たせしているんだ。早くこっちに来てくれ。それに……レア殿に片付けさせたら、もっと酷くなりそうだ」
「酷いっ!?」
ああ分かる分かる。
オリヴェイラ様の言っていることに、国分や麗翠、そして俺も。
全員が納得した様子で頷いていた。
「いたた……本当にいったいよ~もう……。あ、そうだ。お姉ちゃんが連れてきたお客様って誰ですか? 求婚のお話なら、うちはまだまだ結婚するつもりはありませんよ? 何回断ったことか」
転んでぶつけた所をさすりながら、少々面倒臭そうにしだす麗蒼。
……元の世界でもそれなりにモテて人気ではあったが、こっちの世界では嫌になるくらい求婚されるほどモテモテなのか。
羨ましいねえ。
「ハハッ。それはすまないな。アルラギアの貴族連中が、レア殿のことを大層気に入っているせいだ。だが、今日は懲りずに求婚してくる者の訪問ではない。レミ殿」
「はい」
オリヴェイラ様が麗翠に俺を紹介するよう促す。
「お姉ちゃん、それ本当~? お姉ちゃんが紹介した人じゃないけど、前もそんな感じのこと言われたから会ったのに、求婚してきた人いたんだけど……」
「麗蒼、今回はそんな人じゃない。麗蒼も会いたかった人だよ。ほら、こっちを見て」
「会いたかった人って誰……もう男の人は信用出来な……えっ? ……え? ええっ!?」
麗蒼は俺を見るなり大声で驚く。
そしてフラフラとした足取りで俺に近付いてくる。
「久し振りだな、麗蒼。大分イメチェンしたみたいだけど、俺の知っている麗蒼らしい所が見れて安心したよ……って、うわっぷ!?」
フラフラしていたので、転んだ時に足でも痛めたのか? と声を掛けようとしていた時には既に、麗蒼は俺に抱きついていた。
……人前で普通にハグしてくるフレンドリーさも、変わってなさそうだな。
お前は外国人かと突っ込みたくなる。
それと周りに人がいる時は辞めて欲しい。
「おいおい……挨拶のハグにしては強過ぎないか? 本当、全然変わってないな……って、なんで泣いてるんだよ?」
「うっ……グスッ……れ、連絡も何もしてこないし、色んな国へ行っても噂も聞かないし、仁のことを知っている人も話す人もいない! 今まで何してたの!? も……もしかしたら死んじゃったのかなって心配していたんだよ!? このバカっ!」
「連絡しろとか無茶言うな。元の世界みたいにスマホがあるわけじゃねえんだぞ?」
「うるさいうるさい! 知るかバカ!」
ボルチオール王国にいた頃の俺を麗蒼は知らないから、こんな無茶を言っているんだろう。
あの頃の俺はこっちの世界の人間と日常会話すら出来なかったんだから、どうしようもない。
……とはいえ、麗蒼にも心配させてしまったな。
「……悪かった。麗翠やお前に会いに行けるレベルにまで強くなるのに時間が掛かったんだ。色々あってな」
「本当だよ……遅いよ……」
「…………ああ、ごめんな」
いやあ……仲の良かった友人との再会。
普通感動もんのはずだよね。
何故か凄い形相で麗翠に睨まれてるんだけど。
国分はそれを察しているのか笑ってやがるし。
思わずビックリして麗蒼にとりあえず謝ることしか出来なかったよね。
「……ほほう。なるほどなるほど。あれがレア殿の……いや……他にもか」
オリヴェイラ様……何を分かって納得したのか知らんが助けてくれ。
麗翠と麗蒼は時々凄く仲が悪くなる時があるんだから。
麗蒼と俺が楽しそうにしていると麗翠が不機嫌そうになるのが何よりの証拠だろ。
現に今もそうだし。
「とりあえず、一旦離れろ。再会したばっかりで悪いが、麗蒼達に協力して欲しいことがあって、この国に来たんだ。もちろんそれはオリヴェイラ様の協力も必要だから、話し合わなければいけない」
「協力? もちろんするよ! 仁が助けて欲しいのなら!」
「…………」
この後数分間、俺が麗蒼のハグから開放されるまで、ずっと麗翠は俺を睨んでいたのだった。
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