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勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
意味深な笑顔
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「おいおい、そんなに動揺するなよ? その通りだって、俺に教えているようなもんだぜ?」
「き、貴様ァ……!」
苦虫を噛み潰したような顔で、派遣軍のおっさんは俺を見る。
岸田達が敗北し、セトロベイーナ王国侵略を失敗しただけではなく、高木、亜形、寺原の三人を戦力として失ったというのは、派遣軍の連中も聞いているはずだ。
そしてこの一件は、大国を自負しているアルラギア帝国にとって、隠したい事実。
それを、どこの国の人間か分からない奴に、知られているんだから、そりゃ動揺するよな。
「フフッ……流石ね」
国分は、この一件を知っていたのか、動揺しているおっさんを見て、笑っている。
……つーか、気付いているんなら、さっさと教えてやれよ……。
岸田達が、俺に負けたってことをさ。
「エリナ様! 笑いごとではありません!」
「……フフッ、アハハッ……こんなの笑うしかないわよ? アルラギア派遣軍は、学のない中年の集まりって、あなたが証明しているんだから」
「……いくらエリナ様でも……その言葉は、許されません」
「今のあなたに怒る権利などないわよ? 彼がアルラギア帝国の勇者パーティーに、勝った人間だと気付けないあなたにはね?」
「なっ!? なんですと!?」
国分は、まだ気付かないの? とバカにして嘲笑いながら、俺が岸田達に勝ったことを教える。
……せ、性格が悪い……。
コイツは、いちいちバカにしなきゃ、人に何かを教えてやることすら出来ないのか?
……まあ、俺の口からおっさんに事実を話すよりも、国分から聞かされたほうが、おっさんにとっては説得力があるから納得するだろうし、俺もセトロベイーナ王国での一件を説明する手間が省けて助かるけど。
「信じられないかもしれないが、国分の言う通りだ。それともお仲間みたいに、女神の剣の特有魔法でも食らってから判断するか?」
まだ俺へ疑いの目を向けているおっさんに、女神の紫の毒魔法の効果により、麻痺状態のため起き上がれない状態になっている仲間のおっさん二人を指差しながら、事実だと伝える。
「うっ……麻痺毒の魔法……そしてその剣の色……貴様は、女神の紫の使い手か……だ、だが! アルラギア帝国の勇者は、女神の橙! 貴様より上だと聞いている! ふはは! 残念だった……」
「だからなんだよ? 岸田達……お前らの頼りの勇者パーティー様達は、ボルチオール王国攻略に忙しいだろうから、しばらくの間は助けに来ないぞ? え? まさか? それも知らないと思ってる?」
「あ……あ……な……何故それを……」
エクスチェンジで、今は女神の紫に切り替わっていたので、俺が今手にしている女神の剣は、ぱっと見だと、女神の紫にしか見えない。
それで、おっさんは俺が持っている女神の剣は女神の紫と勘違いして、なんだ! 我らが勇者の岸田様が持っている女神の橙より格下じゃないか! とでも思い、脅し返せると考えたのだろうが……淡い希望は、早めにぶっ潰すか。
俺は、女神の剣をおっさんに突きつける。
「諦めろ。殺されたくなけりゃ、この国の勇者……橋本麗蒼がいる所に案内しろ。もしくは、お前らのトップと会わせろ。少し、頼みがあるからな?」
「ひっ……ヒィッ! エ……エリナ様! どういたしますか!?」
「あら、彼はわたくしじゃなくて、あなたに頼んでいるのよ? わたくしは知らない……ああ……はいはい、分かったわよ……冗談よ。そんな怖い顔で、わたくしを睨まないで?」
わたくしは無関係~♪ みたいな感じで、ヘラヘラと笑い続けている国分を、ちょっと見ただけなんだけどな。
国分に俺が睨んでいると思われた。
……睨まれるようなことをしている自覚があるんなら、その性格直せよな。
「わたくしまで、彼に殺されてしまいそうだから、彼らの案内は、わたくしがやるわ。あなたは出来るだけ多く、派遣軍の人間に伝えなさい。知らない人が、彼に喧嘩でも売ったら、この国ごと派遣軍が滅ぼされるわよ?」
「も……もしそうなったら、帝王様の怒りを買ってしまい、国に残した家内や子供達の首が飛ぶ……す、すぐに、情報共有を致します!」
「あと、そこに転がっている中年二人の回収もね。いつまでも、地面に寝っ転がって……みっともないわ」
「はっ……かしこまりました! し、失礼します!」
国分が俺達の案内を申し出たので、おっさんは見逃すことにした。
おっさんは、逃げるように俺達の前から姿を消した。
……仲間の回収してけよ。
一人で、二人運ぶのはキツいんだろうけど。
「……どういう風の吹き回しだ?」
さっきまで国分は、ヘラヘラと笑っているだけで、自分は無関係というスタンスでいたのに。
まさか、そんなに俺は殺気を出しながら、国分を睨んでいたのか?
単純に疑問だったので、国分に聞く。
すると、さっきまで浮かべていた腹立つ、嘲笑ではない笑顔で。
「あなたを敵に回してはいけない。わたくしの加護がそう教えてくれただけよ?」
「……は? どういうことだよ?」
「いずれ分かるわ。さ、行きましょう。それにあの一般人も、治癒魔法の使い手の所へ連れて行かないとだわ。あなたの仲間……麗翠さんじゃ、この世界の人間は治せないでしょう?」
「そ、そうだな」
国分は意味深な笑顔を俺に向けて、女性の手当てをしている麗翠の元へと行く。
国分の言動に首を傾げながら、俺も麗翠の元へ戻る。
「き、貴様ァ……!」
苦虫を噛み潰したような顔で、派遣軍のおっさんは俺を見る。
岸田達が敗北し、セトロベイーナ王国侵略を失敗しただけではなく、高木、亜形、寺原の三人を戦力として失ったというのは、派遣軍の連中も聞いているはずだ。
そしてこの一件は、大国を自負しているアルラギア帝国にとって、隠したい事実。
それを、どこの国の人間か分からない奴に、知られているんだから、そりゃ動揺するよな。
「フフッ……流石ね」
国分は、この一件を知っていたのか、動揺しているおっさんを見て、笑っている。
……つーか、気付いているんなら、さっさと教えてやれよ……。
岸田達が、俺に負けたってことをさ。
「エリナ様! 笑いごとではありません!」
「……フフッ、アハハッ……こんなの笑うしかないわよ? アルラギア派遣軍は、学のない中年の集まりって、あなたが証明しているんだから」
「……いくらエリナ様でも……その言葉は、許されません」
「今のあなたに怒る権利などないわよ? 彼がアルラギア帝国の勇者パーティーに、勝った人間だと気付けないあなたにはね?」
「なっ!? なんですと!?」
国分は、まだ気付かないの? とバカにして嘲笑いながら、俺が岸田達に勝ったことを教える。
……せ、性格が悪い……。
コイツは、いちいちバカにしなきゃ、人に何かを教えてやることすら出来ないのか?
……まあ、俺の口からおっさんに事実を話すよりも、国分から聞かされたほうが、おっさんにとっては説得力があるから納得するだろうし、俺もセトロベイーナ王国での一件を説明する手間が省けて助かるけど。
「信じられないかもしれないが、国分の言う通りだ。それともお仲間みたいに、女神の剣の特有魔法でも食らってから判断するか?」
まだ俺へ疑いの目を向けているおっさんに、女神の紫の毒魔法の効果により、麻痺状態のため起き上がれない状態になっている仲間のおっさん二人を指差しながら、事実だと伝える。
「うっ……麻痺毒の魔法……そしてその剣の色……貴様は、女神の紫の使い手か……だ、だが! アルラギア帝国の勇者は、女神の橙! 貴様より上だと聞いている! ふはは! 残念だった……」
「だからなんだよ? 岸田達……お前らの頼りの勇者パーティー様達は、ボルチオール王国攻略に忙しいだろうから、しばらくの間は助けに来ないぞ? え? まさか? それも知らないと思ってる?」
「あ……あ……な……何故それを……」
エクスチェンジで、今は女神の紫に切り替わっていたので、俺が今手にしている女神の剣は、ぱっと見だと、女神の紫にしか見えない。
それで、おっさんは俺が持っている女神の剣は女神の紫と勘違いして、なんだ! 我らが勇者の岸田様が持っている女神の橙より格下じゃないか! とでも思い、脅し返せると考えたのだろうが……淡い希望は、早めにぶっ潰すか。
俺は、女神の剣をおっさんに突きつける。
「諦めろ。殺されたくなけりゃ、この国の勇者……橋本麗蒼がいる所に案内しろ。もしくは、お前らのトップと会わせろ。少し、頼みがあるからな?」
「ひっ……ヒィッ! エ……エリナ様! どういたしますか!?」
「あら、彼はわたくしじゃなくて、あなたに頼んでいるのよ? わたくしは知らない……ああ……はいはい、分かったわよ……冗談よ。そんな怖い顔で、わたくしを睨まないで?」
わたくしは無関係~♪ みたいな感じで、ヘラヘラと笑い続けている国分を、ちょっと見ただけなんだけどな。
国分に俺が睨んでいると思われた。
……睨まれるようなことをしている自覚があるんなら、その性格直せよな。
「わたくしまで、彼に殺されてしまいそうだから、彼らの案内は、わたくしがやるわ。あなたは出来るだけ多く、派遣軍の人間に伝えなさい。知らない人が、彼に喧嘩でも売ったら、この国ごと派遣軍が滅ぼされるわよ?」
「も……もしそうなったら、帝王様の怒りを買ってしまい、国に残した家内や子供達の首が飛ぶ……す、すぐに、情報共有を致します!」
「あと、そこに転がっている中年二人の回収もね。いつまでも、地面に寝っ転がって……みっともないわ」
「はっ……かしこまりました! し、失礼します!」
国分が俺達の案内を申し出たので、おっさんは見逃すことにした。
おっさんは、逃げるように俺達の前から姿を消した。
……仲間の回収してけよ。
一人で、二人運ぶのはキツいんだろうけど。
「……どういう風の吹き回しだ?」
さっきまで国分は、ヘラヘラと笑っているだけで、自分は無関係というスタンスでいたのに。
まさか、そんなに俺は殺気を出しながら、国分を睨んでいたのか?
単純に疑問だったので、国分に聞く。
すると、さっきまで浮かべていた腹立つ、嘲笑ではない笑顔で。
「あなたを敵に回してはいけない。わたくしの加護がそう教えてくれただけよ?」
「……は? どういうことだよ?」
「いずれ分かるわ。さ、行きましょう。それにあの一般人も、治癒魔法の使い手の所へ連れて行かないとだわ。あなたの仲間……麗翠さんじゃ、この世界の人間は治せないでしょう?」
「そ、そうだな」
国分は意味深な笑顔を俺に向けて、女性の手当てをしている麗翠の元へと行く。
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