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ぽっちゃり女勇者と後三人誰だよ…の勇者パーティー(壊滅状態)
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リベッネが兵士達に回復魔法をかける事数分。
兵士達は何とか身体を動かせるレベルにまで回復出来たようだ。
兵士達は嬉しそうに身体を動かしている。
「よく、あの状態からここまで回復させる事が出来ましたね」
「いえいえ、勇者様の魔法に比べたらアタシの回復魔法なんて全然ですよ。それに回復魔法は多くの人間が使えますが、勇者様の魔法は勇者様しか使えないんですから」
「俺も回復魔法使えたらなあ……」
正直、リベッネが羨ましい。
攻撃魔法も回復魔法も自由に使えるなんて。
俺は魔法の才能も無いからな。
もし俺に魔法の才能があれば、恐らくイーリスにクラスメイト達と一緒に召喚された時、杖を与えられていたはず。
イーリスは確かこう言ってた。
(「今目の前に杖がある子達は、魔法の才能がある子だよ。杖が無い子は、残念ながら魔法の才能が無いみたい……。だから、助け合って魔王討伐しようね!」)
……思い出しただけで腹立つな。
あのクソ女神の綺麗事と無自覚の煽り。
「回復魔法といっても、アタシを含めた大体の凡人が使える回復魔法は疲労回復と傷の治療だけですから。現に回復魔法に関して言えば、アタシが他の人より優れているのは回復速度の早さと、一度に数十人同時に回復させられるぐらいですし」
「ハハ……相変わらず化け物だな、リベッネ」
俺とリベッネが話していると、さっきのおっさん兵士が話しかけて来た。
リベッネの回復魔法が効いてきたのか、さっきよりも大分元気そうになっている。
「化け物とは失礼だなーフェリペ?」
「はっはっは、そうだったな。命の恩人を化け物呼ばわりしたら、罰が当たるな」
「あ、勇者様。この失礼なおじさん兵士は、フェリペと言います。一応、数ある兵士部隊の一つの隊長クラスの兵士です」
「いやはや……隊長クラスと勇者様に紹介される事ですらお恥ずかしい……。あんな無様に操られている姿を見られていたとあれば尚更」
おっさん兵士は、頭を掻きながら恥ずかしそうに、改めて俺に自己紹介をしてきた。
そして、真剣な表情に変わる。
「……手短に話しましょう。我々はどうすれば良いでしょうか?」
「何言ってんのフェリペ? まだ無理しちゃダメだって。フィスフェレムはアタシと勇者様で討伐するから、フェリペ達は休んでて」
「何を言っている。兵士ならば、身体が動く内は戦わなければならん。それに、山の中には我々と同じように操られている兵士もいる上に、フィスフェレムの屋敷では、女性兵士やジェノニアの若い女性達がインキュバスに辱めを受けている。それを知っていて、休んでいる事など出来ん」
「……そ、それはそうだけど……」
リベッネが俺におっさん兵士達に休むように言ってくれと言わんばかりの視線で俺を見てきた。
……ごめん。
おっさん達に休まれたら困るから、その期待には応えられない。
「リベッネさんと一緒に、山の中で倒れている兵士達の救助をお願い出来ますか?」
「え!? 勇者様!?」
「リベッネ、少し黙っていろ。……山の中にいる兵士の救助ですか。しかし、リベッネも我々と一緒に?」
「兵士達の救助に時間を割けば割くほど、屋敷の中にいる女の人達が多くの悪魔を産まされてしまいます。そうなればフィスフェレムの戦力がまた元通りになってしまいます。だから、リベッネさんにも兵士の救助をお願いしたいんです」
「……なるほど」
おっさん兵士は、俺の言い分に納得したのか頷いて了解する。
だが、リベッネは不服のようだ。
「お願いします。リベッネさん。それに、いくら回復したとしても、今の兵士達にネグレリア・ワームやサキュバスやインキュバスが出て来てしまった時に戦わせるのは可哀想でしょう?」
「……確かにそれはそうですけど……フィスフェレム討伐、お一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。必ず、フィスフェレムは俺が討伐します」
「……分かりました」
リベッネも何とか納得したようだ。
とりあえず、これで山の中で倒れている兵士達については何とかなるな。
ディサイドを使っておいたから、兵士達は正気に戻っているはずなので、後はリベッネ達に救助をして貰うだけだし。
もしフィスフェレムの屋敷に向かう道中で、まだ操られている兵士がいたら、ディサイドを使って正気に戻してやれば良い。
屋敷の中で酷い目に遭っている女兵士やジェノニアの若い女性達に関しては、悪いがフィスフェレム討伐後だ。
もしくは、俺がやらなくても良い可能性がある。
そう、フィスフェレムに操られてしまったというセトロベイーナ王国の勇者パーティーの二人だ。
騎士サトーと剣士イトーだっけか?
ディサイドを使ってその二人を正気に戻せば、屋敷の中の女性達の救出を任せられるかもしれん。
てか、やらせるけどね。
役に立ってないどころか、あっさりフィスフェレムに操られて大関ボコった上に、大関を助けようとしたセトロベイーナ軍の人間を殺しまくったんだから。
回復術士のスズキこと鈴木桃奈に関しては、情報が無さ過ぎて屋敷の中にいるのかどうかすら分からないから期待しないでおこう。
まあ、俺が回復魔法を使えるようになってない辺り生きてはいるんだろうけど。
「じゃあ、山の中の兵士の救助はお任せします。俺はフィスフェレムの屋敷に先に向かいます。討伐したら、来て下さいって呼びに行くんで」
そう言い残し、俺はリベッネ達と別れて一人でフィスフェレムの屋敷へ向かう為に山へと進むのだった。
兵士達は何とか身体を動かせるレベルにまで回復出来たようだ。
兵士達は嬉しそうに身体を動かしている。
「よく、あの状態からここまで回復させる事が出来ましたね」
「いえいえ、勇者様の魔法に比べたらアタシの回復魔法なんて全然ですよ。それに回復魔法は多くの人間が使えますが、勇者様の魔法は勇者様しか使えないんですから」
「俺も回復魔法使えたらなあ……」
正直、リベッネが羨ましい。
攻撃魔法も回復魔法も自由に使えるなんて。
俺は魔法の才能も無いからな。
もし俺に魔法の才能があれば、恐らくイーリスにクラスメイト達と一緒に召喚された時、杖を与えられていたはず。
イーリスは確かこう言ってた。
(「今目の前に杖がある子達は、魔法の才能がある子だよ。杖が無い子は、残念ながら魔法の才能が無いみたい……。だから、助け合って魔王討伐しようね!」)
……思い出しただけで腹立つな。
あのクソ女神の綺麗事と無自覚の煽り。
「回復魔法といっても、アタシを含めた大体の凡人が使える回復魔法は疲労回復と傷の治療だけですから。現に回復魔法に関して言えば、アタシが他の人より優れているのは回復速度の早さと、一度に数十人同時に回復させられるぐらいですし」
「ハハ……相変わらず化け物だな、リベッネ」
俺とリベッネが話していると、さっきのおっさん兵士が話しかけて来た。
リベッネの回復魔法が効いてきたのか、さっきよりも大分元気そうになっている。
「化け物とは失礼だなーフェリペ?」
「はっはっは、そうだったな。命の恩人を化け物呼ばわりしたら、罰が当たるな」
「あ、勇者様。この失礼なおじさん兵士は、フェリペと言います。一応、数ある兵士部隊の一つの隊長クラスの兵士です」
「いやはや……隊長クラスと勇者様に紹介される事ですらお恥ずかしい……。あんな無様に操られている姿を見られていたとあれば尚更」
おっさん兵士は、頭を掻きながら恥ずかしそうに、改めて俺に自己紹介をしてきた。
そして、真剣な表情に変わる。
「……手短に話しましょう。我々はどうすれば良いでしょうか?」
「何言ってんのフェリペ? まだ無理しちゃダメだって。フィスフェレムはアタシと勇者様で討伐するから、フェリペ達は休んでて」
「何を言っている。兵士ならば、身体が動く内は戦わなければならん。それに、山の中には我々と同じように操られている兵士もいる上に、フィスフェレムの屋敷では、女性兵士やジェノニアの若い女性達がインキュバスに辱めを受けている。それを知っていて、休んでいる事など出来ん」
「……そ、それはそうだけど……」
リベッネが俺におっさん兵士達に休むように言ってくれと言わんばかりの視線で俺を見てきた。
……ごめん。
おっさん達に休まれたら困るから、その期待には応えられない。
「リベッネさんと一緒に、山の中で倒れている兵士達の救助をお願い出来ますか?」
「え!? 勇者様!?」
「リベッネ、少し黙っていろ。……山の中にいる兵士の救助ですか。しかし、リベッネも我々と一緒に?」
「兵士達の救助に時間を割けば割くほど、屋敷の中にいる女の人達が多くの悪魔を産まされてしまいます。そうなればフィスフェレムの戦力がまた元通りになってしまいます。だから、リベッネさんにも兵士の救助をお願いしたいんです」
「……なるほど」
おっさん兵士は、俺の言い分に納得したのか頷いて了解する。
だが、リベッネは不服のようだ。
「お願いします。リベッネさん。それに、いくら回復したとしても、今の兵士達にネグレリア・ワームやサキュバスやインキュバスが出て来てしまった時に戦わせるのは可哀想でしょう?」
「……確かにそれはそうですけど……フィスフェレム討伐、お一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。必ず、フィスフェレムは俺が討伐します」
「……分かりました」
リベッネも何とか納得したようだ。
とりあえず、これで山の中で倒れている兵士達については何とかなるな。
ディサイドを使っておいたから、兵士達は正気に戻っているはずなので、後はリベッネ達に救助をして貰うだけだし。
もしフィスフェレムの屋敷に向かう道中で、まだ操られている兵士がいたら、ディサイドを使って正気に戻してやれば良い。
屋敷の中で酷い目に遭っている女兵士やジェノニアの若い女性達に関しては、悪いがフィスフェレム討伐後だ。
もしくは、俺がやらなくても良い可能性がある。
そう、フィスフェレムに操られてしまったというセトロベイーナ王国の勇者パーティーの二人だ。
騎士サトーと剣士イトーだっけか?
ディサイドを使ってその二人を正気に戻せば、屋敷の中の女性達の救出を任せられるかもしれん。
てか、やらせるけどね。
役に立ってないどころか、あっさりフィスフェレムに操られて大関ボコった上に、大関を助けようとしたセトロベイーナ軍の人間を殺しまくったんだから。
回復術士のスズキこと鈴木桃奈に関しては、情報が無さ過ぎて屋敷の中にいるのかどうかすら分からないから期待しないでおこう。
まあ、俺が回復魔法を使えるようになってない辺り生きてはいるんだろうけど。
「じゃあ、山の中の兵士の救助はお任せします。俺はフィスフェレムの屋敷に先に向かいます。討伐したら、来て下さいって呼びに行くんで」
そう言い残し、俺はリベッネ達と別れて一人でフィスフェレムの屋敷へ向かう為に山へと進むのだった。
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