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幼馴染(男)と地味女子三人の勇者パーティー(役立たず)
俺の為だ
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「ちぇ~もっとお酒飲みたかったのに~」
「そんな場合じゃないんですよ! サンドラさん! しっかりしてください! 魔法剣姫の名が泣きますよ!?」
騒いでも問題ない様に、店から出て人気の無い路地裏に来た俺達。
しかし、メリサさんと呼ばれる女の人はさっきから一体何をそんなに焦っているのだろう。
……後、サンドラさんの魔法剣姫ってアダ名っていうか二つ名だけどさ。
年齢聞いた後だと、ちょっとキツいよね。
二十四歳で姫は……キツいっす。
「良いから、早く正気に戻って下さいサンドラさん! ファウンテンの街に魔物が何故か続々と侵入してきているんです! 恐らく、近くの城にいる魔王軍幹部ヴェルディアの部下や使役する魔物達です!」
……は?
いや、まあこの街がファウンテンって言うんだとか、俺がこれから倒す予定の魔王軍幹部がヴェルディアって名前なんだって事はひとまず後回しにして。
街に魔物が侵入してきているだと?
しかも、近くの城にいる魔王軍幹部の部下や使役する魔物だって?
おかしい。
だって、幹部の連中は勇者パーティーであるケント達がこの街にいると知っているから、警戒して攻めて来ないはずなのに。
むしろ、それがアイツら勇者パーティーの唯一の長所で、この世界で唯一の存在意義だよな?
いるだけで街に魔物が来なくなるって。
それが無くなったら、アイツらは長所もこの世界での存在意義すらも無いぞ。
でも、何で急に魔物が侵入してきたり、魔王軍の連中が街を攻めだしたんだ?
……あ、思い出した。
ケント達、王都に行ってて今この街にいないんだった。
そういや、そんな事を聞いたな。
俺をバカにしてきた奴に。
「あの~すいません?」
「何!? 今それどころじゃ無いのよ!」
「いや、もしかして魔物が急に街に侵入してきたのって、ケントを始めとした勇者パーティーが王都に行ってるからですか?」
「!?」
俺の言葉に、メリサさんは驚いている。
やっぱり不味かったみたいだな、ケント達が王都に行ってる事が。
「そ、そんな話は聞いていません! 勇者ケントを始めとした勇者パーティーがファウンテンを離れるだけで、近くの城にいるヴェルディア達が攻めて来てしまうから、勇者にはファウンテンを離れる時は隣街や王都からの応援が到着してからとお願いしていたのに!」
……はい、予想通りでした。
ケントのやつ、すっかりそれを忘れて王都に行きやがったな。
それとも大丈夫だろと舐めていたのか。
どちらにせよ、勇者としてあるまじき行動だな。
周りも聞かされて無いって事はないだろうから、ケントに注意しなかったあの地味トリオも同罪だ。
この二年で成長するかもしれないと、考えていたから敢えて俺は何もしなかったけど見込み違いだったようだな。
やっぱりアイツらに魔王討伐は任せられねーわ。
「魔物はどこに多く出没しているんですか?」
仕方ない。
幼馴染の不始末だ、俺がケツを拭いてやるとするか。
一応、二年間飯を食わせては貰ったし。
「……今は冗談を言っている場合じゃ……」
「俺は、勇者ケントを始めとした勇者パーティーと共に、別の世界から女神によって召喚されて来た人間です。少なくとも貴女よりは強いですよ。それに酒でベロベロのサンドラさんを連れて行くよりはマシでしょう?」
「……なっ」
メリサさんが不愉快になるのは分かる。
俺がそういう言い方をしたからな。
でも、事態は一刻を争うんだ。
仮に、ケントのミスによって誰か一人でも死んでみろ。
間違いなく、俺にも風評被害が及ぶに決まっている。
幼馴染とはいえ、所詮は他人のミスで俺がとばっちりを受けるのはゴメンだからな。
「……街の東側。ヴェルディアのいる城付近なので、勇者ケント達がいつも寝泊まりしている宿屋アイパー辺りです」
「ありがとうございます。それじゃ、サンドラさんに宜しく伝えて下さい」
そうメリサさんへ言い残して、俺は急いでいつもの宿付近へ走る。
◇
「ピギャァ!」
「……」
「ヂュゥゥウ!」
「……」
……うわーマジで魔物が街にウジャウジャいるよ。
そんな事を考えながら、無言で雑魚モンスター達を黒い剣で斬り殺しながら宿屋アイパー付近、へと急ぐ。
まあ、街は地獄だ。
ケント達が来るまでは、ちょくちょく住民達自ら街に侵入してきたモンスターや魔物達を殺していたみたいだが、ケント達が来てから二年、平和ボケしていたせいか、殺し方を忘れたようだ。
老若男女問わず皆我先にと逃げている。
怪我している人も、親とはぐれて泣いている子供も、魔物に襲われている人も見ずに逃げている。
……後さ、この街に派遣されている兵士弱過ぎだろ。
騎士やら魔法使いやら色々いるのは分かるよ?
それはいい。
何で、俺が一撃で殺せるような雑魚モンスターや魔物相手に数人がかりで戦ってんだよ!
「ビギィィイッ!!!」
「すいません! 勇者ケント達が約束を忘れて王都に行ってしまって……女神に召喚された者として、この街の魔物は俺が全部倒します! 兵士の皆さんは、住民達の救助や治療をお願いします!」
言葉より、行動だ。
兵士達が数人がかりで戦って、やっと殺せるモンスターを俺は一撃で殺しまくり、それを兵士へ見せた。
効果があったようで、兵士達は文句も言わず「よろしくお願いします!」と言って、住民達の救助や治療に集中しだした。
……良かった、賢くて。
文句言う兵士がいたら、事故に見せかけて斬り殺す所だったよ。
「そんな場合じゃないんですよ! サンドラさん! しっかりしてください! 魔法剣姫の名が泣きますよ!?」
騒いでも問題ない様に、店から出て人気の無い路地裏に来た俺達。
しかし、メリサさんと呼ばれる女の人はさっきから一体何をそんなに焦っているのだろう。
……後、サンドラさんの魔法剣姫ってアダ名っていうか二つ名だけどさ。
年齢聞いた後だと、ちょっとキツいよね。
二十四歳で姫は……キツいっす。
「良いから、早く正気に戻って下さいサンドラさん! ファウンテンの街に魔物が何故か続々と侵入してきているんです! 恐らく、近くの城にいる魔王軍幹部ヴェルディアの部下や使役する魔物達です!」
……は?
いや、まあこの街がファウンテンって言うんだとか、俺がこれから倒す予定の魔王軍幹部がヴェルディアって名前なんだって事はひとまず後回しにして。
街に魔物が侵入してきているだと?
しかも、近くの城にいる魔王軍幹部の部下や使役する魔物だって?
おかしい。
だって、幹部の連中は勇者パーティーであるケント達がこの街にいると知っているから、警戒して攻めて来ないはずなのに。
むしろ、それがアイツら勇者パーティーの唯一の長所で、この世界で唯一の存在意義だよな?
いるだけで街に魔物が来なくなるって。
それが無くなったら、アイツらは長所もこの世界での存在意義すらも無いぞ。
でも、何で急に魔物が侵入してきたり、魔王軍の連中が街を攻めだしたんだ?
……あ、思い出した。
ケント達、王都に行ってて今この街にいないんだった。
そういや、そんな事を聞いたな。
俺をバカにしてきた奴に。
「あの~すいません?」
「何!? 今それどころじゃ無いのよ!」
「いや、もしかして魔物が急に街に侵入してきたのって、ケントを始めとした勇者パーティーが王都に行ってるからですか?」
「!?」
俺の言葉に、メリサさんは驚いている。
やっぱり不味かったみたいだな、ケント達が王都に行ってる事が。
「そ、そんな話は聞いていません! 勇者ケントを始めとした勇者パーティーがファウンテンを離れるだけで、近くの城にいるヴェルディア達が攻めて来てしまうから、勇者にはファウンテンを離れる時は隣街や王都からの応援が到着してからとお願いしていたのに!」
……はい、予想通りでした。
ケントのやつ、すっかりそれを忘れて王都に行きやがったな。
それとも大丈夫だろと舐めていたのか。
どちらにせよ、勇者としてあるまじき行動だな。
周りも聞かされて無いって事はないだろうから、ケントに注意しなかったあの地味トリオも同罪だ。
この二年で成長するかもしれないと、考えていたから敢えて俺は何もしなかったけど見込み違いだったようだな。
やっぱりアイツらに魔王討伐は任せられねーわ。
「魔物はどこに多く出没しているんですか?」
仕方ない。
幼馴染の不始末だ、俺がケツを拭いてやるとするか。
一応、二年間飯を食わせては貰ったし。
「……今は冗談を言っている場合じゃ……」
「俺は、勇者ケントを始めとした勇者パーティーと共に、別の世界から女神によって召喚されて来た人間です。少なくとも貴女よりは強いですよ。それに酒でベロベロのサンドラさんを連れて行くよりはマシでしょう?」
「……なっ」
メリサさんが不愉快になるのは分かる。
俺がそういう言い方をしたからな。
でも、事態は一刻を争うんだ。
仮に、ケントのミスによって誰か一人でも死んでみろ。
間違いなく、俺にも風評被害が及ぶに決まっている。
幼馴染とはいえ、所詮は他人のミスで俺がとばっちりを受けるのはゴメンだからな。
「……街の東側。ヴェルディアのいる城付近なので、勇者ケント達がいつも寝泊まりしている宿屋アイパー辺りです」
「ありがとうございます。それじゃ、サンドラさんに宜しく伝えて下さい」
そうメリサさんへ言い残して、俺は急いでいつもの宿付近へ走る。
◇
「ピギャァ!」
「……」
「ヂュゥゥウ!」
「……」
……うわーマジで魔物が街にウジャウジャいるよ。
そんな事を考えながら、無言で雑魚モンスター達を黒い剣で斬り殺しながら宿屋アイパー付近、へと急ぐ。
まあ、街は地獄だ。
ケント達が来るまでは、ちょくちょく住民達自ら街に侵入してきたモンスターや魔物達を殺していたみたいだが、ケント達が来てから二年、平和ボケしていたせいか、殺し方を忘れたようだ。
老若男女問わず皆我先にと逃げている。
怪我している人も、親とはぐれて泣いている子供も、魔物に襲われている人も見ずに逃げている。
……後さ、この街に派遣されている兵士弱過ぎだろ。
騎士やら魔法使いやら色々いるのは分かるよ?
それはいい。
何で、俺が一撃で殺せるような雑魚モンスターや魔物相手に数人がかりで戦ってんだよ!
「ビギィィイッ!!!」
「すいません! 勇者ケント達が約束を忘れて王都に行ってしまって……女神に召喚された者として、この街の魔物は俺が全部倒します! 兵士の皆さんは、住民達の救助や治療をお願いします!」
言葉より、行動だ。
兵士達が数人がかりで戦って、やっと殺せるモンスターを俺は一撃で殺しまくり、それを兵士へ見せた。
効果があったようで、兵士達は文句も言わず「よろしくお願いします!」と言って、住民達の救助や治療に集中しだした。
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