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「本当に?」

南波斗は目を丸くして、ルメアを見つめる。
「あぁ。好きだよ」

好き、と自分の中で認めた時から、心の中が少し軽くなった気がしたのだ。
南波斗が自分に向けてくれる好意を、素直に受け止められなかったのが嫌だった。

でも、自分の中で整理が付いたら、彼がくれる好意は嬉しい物になった。


「っ、嬉しい……ありがとう、ルメア!」


ガバッと抱きつかれ、一歩後ろに下がる。

「カップルだな、俺たち」
「……恥ずかしい……」
「可愛いーっ! ……じゃあ、この場合、ルメアが『彼女』だな」

「は?」


付き合う、といってもそこは関係ないんじゃないか?

今まで、恋愛に触れてこなかったルメアには分からない。


「だって、セックスする時ルメアは下だろ?」


自爆だったかも、と思う前に南波斗が直球でぶち込む。

「ぐふっ……」


「受け側って、彼女にならない?」


質問されても、ルメアには答えられない。
だってそもそも知らないんだから。

っというか、南波斗は恥ずかしくないのだろうか。
「し、知るか! そ、そこは好きにしてくれ!」
「おっけー。じゃあ、彼女ね」
「俺は彼女じゃねぇっ!」

もう言葉が通じない。



「んー……じゃあ今度セックスする時、ルメアに上譲るよ」



お茶を飲んでいたら絶対吹き出す。

「う、上……?」
挙動不審のようになっていくルメアを置いて、南波斗は話を続ける。

「そう。いつも俺がやってることを、ルメアがやるの」

確かに、いつもは南波斗が全部やってくれるが、今度はルメアがやるってことか?


あの数々の行為を、全部ルメアが自分からやるのか。


「……ぁ、ぃ、……いや……やっぱ、彼女……で大丈夫…………デス……」


目を泳がせると、南波斗は意地悪く笑った。


「ルメアを見上げたいなー。ベッドの上で」


「っ、お前……!」


「ね。お願い。俺、見たいんだよ」


南波斗が眉を下げて、子犬のようになる。
心臓をきゅっと掴まれたような感覚がする。

「っ…………、こ、今度な……っ!!」

南波斗の推しに負けて、ルメアは頬を赤らめながら頷いた。

「わーい。ありがとう、ルメア」

「俺の心が決まるまでは、絶対やらないからな」
「分かってる。あー、楽しみ」
いつになるか分からないが、こんなにも楽しみにしてくれるなら、頑張ろうと思えた。


「——今度こそ、天空に行こうよ。ルメア」

「……分かった。外行こう」
「はーい」


手を上げて、ルメアの後ろを付いてくる南波斗は、まるで本物の子犬みたいだった。
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