62 / 90
61
しおりを挟む「本当に?」
南波斗は目を丸くして、ルメアを見つめる。
「あぁ。好きだよ」
好き、と自分の中で認めた時から、心の中が少し軽くなった気がしたのだ。
南波斗が自分に向けてくれる好意を、素直に受け止められなかったのが嫌だった。
でも、自分の中で整理が付いたら、彼がくれる好意は嬉しい物になった。
「っ、嬉しい……ありがとう、ルメア!」
ガバッと抱きつかれ、一歩後ろに下がる。
「カップルだな、俺たち」
「……恥ずかしい……」
「可愛いーっ! ……じゃあ、この場合、ルメアが『彼女』だな」
「は?」
付き合う、といってもそこは関係ないんじゃないか?
今まで、恋愛に触れてこなかったルメアには分からない。
「だって、セックスする時ルメアは下だろ?」
自爆だったかも、と思う前に南波斗が直球でぶち込む。
「ぐふっ……」
「受け側って、彼女にならない?」
質問されても、ルメアには答えられない。
だってそもそも知らないんだから。
っというか、南波斗は恥ずかしくないのだろうか。
「し、知るか! そ、そこは好きにしてくれ!」
「おっけー。じゃあ、彼女ね」
「俺は彼女じゃねぇっ!」
もう言葉が通じない。
「んー……じゃあ今度セックスする時、ルメアに上譲るよ」
お茶を飲んでいたら絶対吹き出す。
「う、上……?」
挙動不審のようになっていくルメアを置いて、南波斗は話を続ける。
「そう。いつも俺がやってることを、ルメアがやるの」
確かに、いつもは南波斗が全部やってくれるが、今度はルメアがやるってことか?
あの数々の行為を、全部ルメアが自分からやるのか。
「……ぁ、ぃ、……いや……やっぱ、彼女……で大丈夫…………デス……」
目を泳がせると、南波斗は意地悪く笑った。
「ルメアを見上げたいなー。ベッドの上で」
「っ、お前……!」
「ね。お願い。俺、見たいんだよ」
南波斗が眉を下げて、子犬のようになる。
心臓をきゅっと掴まれたような感覚がする。
「っ…………、こ、今度な……っ!!」
南波斗の推しに負けて、ルメアは頬を赤らめながら頷いた。
「わーい。ありがとう、ルメア」
「俺の心が決まるまでは、絶対やらないからな」
「分かってる。あー、楽しみ」
いつになるか分からないが、こんなにも楽しみにしてくれるなら、頑張ろうと思えた。
「——今度こそ、天空に行こうよ。ルメア」
「……分かった。外行こう」
「はーい」
手を上げて、ルメアの後ろを付いてくる南波斗は、まるで本物の子犬みたいだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる