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いつものように南波斗とゆっくり生活していた時。

いきなりルメアに、鋭い頭痛が襲った。


「痛……ッ!」
机に突っ伏して頭を抑え出すと、キッチンから顔を出した南波斗が、駆け寄ってきた。
「ルメア?! ちょっ大丈夫?」
「ゔ……ぐっ…………!」

ここまで頭が痛くなるのは、ルメア自身初めてだった。

キィィイーン……と耳鳴りまでしてくるレベルで、頭が痛い。
「ちょっと待ってて! 薬持ってくる」
駆け出した南波斗は、薬が収納されている棚に向かって入る。

——割れるように、痛い……ッ!



少し前から、こうやって頭痛はしていた。
けれどその痛みは、少ししたらすぐに治まっていたしあまり気にしていなかった。

よくよく考えれば、あの日からだ。


女神クリスタが、ルメアに会いに来てお土産を置いて行った日からだ。


その日から頭痛が始まった。


一瞬、ルメアの身体が地上に居すぎて限界に近付いているのかも知れない、と思ったこともあった。

でも、それは違うと南波斗に言われた。

じゃあもう、あの女神のせいだろう。


「アイツ…………、なに、食わせたんだ……ッ!?」


あのお土産は、南波斗も一緒に食べたはずだ。
けれどその南波斗は、頭痛なんかしてないって言うし、至って元気だ。

——うぜぇ……っ

この頭の痛さもウザイし、女神のお土産もウザイ。

「ほら、ルメア! これ飲んで」

南波斗が持ってきてくれた薬を、水と共に喉に流し込む。
かなり効果が高いらしく、飲んだ瞬間、ある程度痛みは引いた。

「すご……いな、この薬……」

「だろ? 俺もよく使ってたんだ」
と、いいつつ南波斗は、ルメアの背中を摩る。
「もう大丈夫そう?」
「……うん。すまない、心配かけて」
南波斗と目を合わせて弱々しく、微笑む。


まだ頭は少し痛いが、さっきよりかは本当に治まってきた。
——なんだったんだ……?
原因が分からないから、余計に怖い。

そんなことを思っていると、ふいにルメアは顔を上げる。
「ルメア?」
何の前触れもなく顔を上げたから、南波斗も不思議に思って声を掛けた。

が、ルメアは返事をしない。


何かに、呼び寄せられるようにルメアは立ち上がる。

「…………」


「ちょっと、ルメア?」

パシッとルメアの腕を掴むが、彼は止まる気配がない。
南波斗は、なぜか嫌な予感がして腕を掴む力を強くする。

——ひどく、胸騒ぎがする……ッ


「ルメア!」
強く名前を呼ぶと、「なんだ?」と返事が返ってくる。

「どこ行くんだよ」
「……呼ばれてるんだよ……」
「誰に?」


ルメア自身も信じられないのか、言葉を濁しながら話す。

そして、自分を呼ぶ人の名前を告げる。



「…………ケルラ……、弟……に」














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