47 / 90
46
しおりを挟む
天空城に着くと、女神の下僕数人がケルラの前に現れた。
『なにヨウですか?』
『女神様に、御用ですか?』
『タダイマ女神様ハ不在デス』
様々な喋り方をする下僕を、ケルラは受け流す。
「中に入りたい」
『…………』
用件を伝えると、下僕たちは一同揃って黙り込んだ。
「中に入れてくれ」
こうやって下僕と話している時間がもったいない。
どうして中に入れてくれないのだろう。
「おい」
『招くことが出来ません』
そしてようやく口を開いたかと思えば、却下された。
ケルラの用件を飲んでくれない。
またイライラしてくる。
「女神が不在だからか?」
『ハイ』
この質問には、即答で答えを返す下僕3。
『メガミサマがモドるまで、おマちクダさい』
そんな時間、ケルラにはない。
地上に降りた女神が、いつ戻ってくるかなんて、誰にも分からないんだから。
ここにいてすぐ戻ってくるなら、待っていてもいい。
けれど、何時間もかかるのであれば、無理やりにでも侵入してやる。
——いい加減にしてくれ
ストレスが溜まりまくる。
「……まだか?」
『まだです』
下僕2がケルラの言葉に反応して、返事をする。
「チッ……。お前らでも分からないのか」
『ワカリマセン』
下僕3が頭を下げて謝罪する。
よし、とケルラは意気込む。
「しばらく待ってやる」
待つと決めたが、一時間を超えるようならば、話は変わる。
——一時間以内に戻ってこい
そうしたら、今回のルメアを突き落とした案件は、水に流してやる。
前みたいに、気軽に女神と接してやる。
今は完全に女神を避けているからな。
「……ここで待たせてもらう」
下僕たちに伝えると、三人は黙って頷いた。
待つことは許された。
あとは、ケルラが勝手に決めた時間に、女神が間に合うかどうかだ。
——ルメア……
ルメアに会いたい。
ぎゅーっと抱きしめて欲しい。
いつもみたいに、笑って欲しい。
笑顔を、顔をみたい。
それが叶えばいいだけなのに。
——会いたいよ……ッ、ルメア……
ルメアに会いたい、という欲望が、日に日に増していく。
そんな自分が——怖い。
『なにヨウですか?』
『女神様に、御用ですか?』
『タダイマ女神様ハ不在デス』
様々な喋り方をする下僕を、ケルラは受け流す。
「中に入りたい」
『…………』
用件を伝えると、下僕たちは一同揃って黙り込んだ。
「中に入れてくれ」
こうやって下僕と話している時間がもったいない。
どうして中に入れてくれないのだろう。
「おい」
『招くことが出来ません』
そしてようやく口を開いたかと思えば、却下された。
ケルラの用件を飲んでくれない。
またイライラしてくる。
「女神が不在だからか?」
『ハイ』
この質問には、即答で答えを返す下僕3。
『メガミサマがモドるまで、おマちクダさい』
そんな時間、ケルラにはない。
地上に降りた女神が、いつ戻ってくるかなんて、誰にも分からないんだから。
ここにいてすぐ戻ってくるなら、待っていてもいい。
けれど、何時間もかかるのであれば、無理やりにでも侵入してやる。
——いい加減にしてくれ
ストレスが溜まりまくる。
「……まだか?」
『まだです』
下僕2がケルラの言葉に反応して、返事をする。
「チッ……。お前らでも分からないのか」
『ワカリマセン』
下僕3が頭を下げて謝罪する。
よし、とケルラは意気込む。
「しばらく待ってやる」
待つと決めたが、一時間を超えるようならば、話は変わる。
——一時間以内に戻ってこい
そうしたら、今回のルメアを突き落とした案件は、水に流してやる。
前みたいに、気軽に女神と接してやる。
今は完全に女神を避けているからな。
「……ここで待たせてもらう」
下僕たちに伝えると、三人は黙って頷いた。
待つことは許された。
あとは、ケルラが勝手に決めた時間に、女神が間に合うかどうかだ。
——ルメア……
ルメアに会いたい。
ぎゅーっと抱きしめて欲しい。
いつもみたいに、笑って欲しい。
笑顔を、顔をみたい。
それが叶えばいいだけなのに。
——会いたいよ……ッ、ルメア……
ルメアに会いたい、という欲望が、日に日に増していく。
そんな自分が——怖い。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
月白ヤトヒコ
ファンタジー
よその部署のヘルプという一仕事を終えて帰ろうとしたら、突然魔法陣が現れてどこぞの城へと『女神の化身』として召喚されたわたし。
すると、いきなり「お前が女神の化身か。まあまあの顔だな。お前をわたしの妻にしてやる。子を産ませてやることを光栄に思うがいい。今夜は初夜だ。この娘を磨き上げろ」とか傲慢な国王(顔は美形)に言われたので、城に火を付けて逃亡……したけど捕まった。
なにが不満だと聞かれたので、「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」と言ってやりました。
誘拐召喚に怒ってないワケねぇだろっ!?
さあ、手前ぇが体験してみろ!
※タイトルがアレでBLタグは一応付けていますが、ギャグみたいなものです。
おじさんとショタと、たまに女装
味噌村 幸太郎
恋愛
キャッチコピー
「もう、男の子(娘)じゃないと興奮できない……」
アラサーで独身男性の黒崎 翔は、エロマンガ原作者で貧乏人。
ある日、住んでいるアパートの隣りに、美人で優しい巨乳の人妻が引っ越してきた。
同い年ということもあって、仲良くなれそうだと思ったら……。
黒猫のような小動物に遮られる。
「母ちゃんを、おかずにすんなよ!」
そう叫ぶのは、その人妻よりもかなり背の低い少女。
肌が小麦色に焼けていて、艶のあるショートヘア。
それよりも象徴的なのは、その大きな瞳。
ピンク色のワンピースを着ているし、てっきり女の子だと思ったら……。
母親である人妻が「こぉら、航太」と注意する。
その名前に衝撃を覚える翔、そして母親を守ろうと敵視する航太。
すれ違いから始まる、日常系ラブコメ。
(女装は少なめかもしれません……)
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
(完結)私の夫は死にました(全3話)
青空一夏
恋愛
夫が新しく始める事業の資金を借りに出かけた直後に行方不明となり、市井の治安が悪い裏通りで夫が乗っていた馬車が発見される。おびただしい血痕があり、盗賊に襲われたのだろうと判断された。1年後に失踪宣告がなされ死んだものと見なされたが、多数の債権者が押し寄せる。
私は莫大な借金を背負い、給料が高いガラス工房の仕事についた。それでも返し切れず夜中は定食屋で調理補助の仕事まで始める。半年後過労で倒れた私に従兄弟が手を差し伸べてくれた。
ところがある日、夫とそっくりな男を見かけてしまい・・・・・・
R15ざまぁ。因果応報。ゆるふわ設定ご都合主義です。全3話。お話しの長さに偏りがあるかもしれません。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる