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南波斗の仕事は、〈魔物狩り〉。
時々、南波斗の仕事の都合でルメアも一緒に街に行ったりはしていたが、彼の後について、目の前で見るのは初めてだった。

「お前の仕事場は、森なのか」

「ん? そうだよ」
魔物は探せば、平原や河野にもいる。
でも、よく出現するのはやはり森だ。

効率よく魔物狩りをするには、ここが最適だ。

「俺はどうすればいい?」
一応南波斗に付いて来たはいいが、ルメアにはすることがない。

「あ、そうだね……」

そこまで考えていなかったのか、南波斗も悩み出す。
「……好きにしていいよ」

最終的な答えが、なんて無責任なんだろう。

ルメアは重たいため息を吐いて、頷いた。
——はぐれない程度で、散歩しようかな……

そう思いつき、ルメアは別行動を申し出た。

「お前の仕事が終わるまで、ここらを散歩する」
「ん。分かった。終わったら、呼ぶね」

ポンポン、と南波斗に頭を撫でられる。
「っ……やめんか!」
パシッ、とルメアは手で南波斗の手を払い除ける。
「ふはっ……! ごめん、ごめん」

ケラケラと笑う南波斗を見て、ルメアは頬を膨らませる。
「お前…………ッ」

「じゃあ、また後でね」

そう言って南波斗は、ダランと下がっているルメアの手を握った。
「……?」
ルメアが顔を緩くさせると、南波斗の顔が近付いてきて、ちゅっ、と唇が重なった。

「んっ…………!」

ビクッとルメアの肩が飛び跳ねる。
南波斗はそんなルメアの身体を、ぎゅうっと抱きしめる。
「んぅ……」
「ん……」
南波斗の舌で、一文字に結んでいたルメアの唇を開けられる。

れろぉっ、と唇を舐められ、ルメアは甘い声が出る。

「んっ……ふぁ……っ、ぁ……」

ぬるっ、と南波斗の舌が入ってきて、ルメアの舌を探り当てる。
ちょん、と南波斗の舌先が当たると勢いよく引っ張りだされた。

「んぁ……ふっぅ……んんっ!」

くちゅくちゅ、と舌が絡み合う。
ぐっと深く唇を押し付けられ、ルメアの身体は海老反りえびぞのような姿勢になっていく。

「ふっ……んんっ、んっ……!!」
激しく舌が口の中で動いて、ルメアの目には涙が溜まっていく。
その涙が、流れたと同時に南波斗からの熱いキスは終わった。

「は、ぁ……はぁ……っ」 

肩で息をするルメアを置いて、南波斗は意地の悪い笑みを浮かべた。


「充電完了」



そう言って、ペロッと自身の唇を舐める。

その姿が妖艶ようえんで、ルメアの心臓は、ドクッ、とした。
バッと勢いよく顔を下げて、南波斗にバレないようにする。

——っ、なんだ、これ……

南波斗の行動を見ていると、何だか胸が苦しくなる。



この感覚を、ルメアはまだ知らない。


「——行ってきます」


ふいに声をかけられて、ルメアは顔を上げる。
優しい顔をした南波斗が、ルメアをじっと見つめていた。

一瞬、ルメアの思考が停止する。



「……行ってらっしゃい、南波斗」



そして、言って欲しい言葉が瞬時に分かったルメアは、また同じように笑って告げた。


南波斗は幸せそうに笑って、山を登って行った。


彼の姿が小さくなるまで見送ったルメアは、「よしっ」呟いて、南波斗とは反対方向に進んだ。


「どこに行こうかな」


行き場所が決まっていない状態で、森を歩くのは、まるで——。


「冒険みたいだ」



心を踊らせたルメアは、目をキラキラさせて山道を歩いていった。









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