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ヘッドボードに置いてあったスマホから設定時刻になったことを示すアラーム音が鳴り響き、碧は寝惚け眼の状態で停止ボタンをタップした。
昨夜は貴斗に逢え、夢かと思うような素敵なイヴを過ごさせてもらった。今日も貴斗と一緒にクリスマスを過ごせることで碧は予想以上のアドレナリン分泌過多のせいでなかなか寝付けず、漸く眠りについたのは深夜3時を回った頃だった。
(昨日のフェアのようなヘアメイクは無理だけど少しでも隣に立って恥ずかしくない恰好にしなきゃ)
寝ぐせで爆発した髪を何とかするため碧は早めに朝食を食べ、終わった後すぐにシャワーを浴びる準備を始めた。
「自分じゃなかなか上手くできないか」
シャワーが終わり出掛ける準備に取り掛かりながら肩につくほどに伸びた髪を緩く纏め上げお団子ヘアにした。
「派手過ぎず地味過ぎず・・・」
全身鏡の前に立ち膝丈ほどのケーブルニットワンピースを着、全体のバランスを確認した。
碧は、ずっと閉まってあった箱から15歳の時初めてのデートで貴斗に贈られたピアスを付けた。
瞬間、初めて耳に付けた時の感覚が蘇り、何度も鏡の前で眺めてしまった。辛かった記憶は少しずつ薄れ、上書きされるように新たな想い出が刻まれていくことに碧は心なしか顔が綻んでいった。
碧は事前に準備していた貴斗へのクリスマスプレゼントを鞄に入れ、玄関へと向かった。
☆☆☆
待ち合わせの場所付近まで到着すると同年代の女の子たちがざわついている様子からすでに貴斗が到着しているのが姿を見ずとも碧には理解できた。
貴斗が待っているであろう場所へと足を進めると普段とは違い、前髪をふわっとセンターに分けにセットされていた。白のオックスシャツに黒のスキニーパンツ、ボリューム感のあるカーキ色のダウンジャケットを羽織った貴斗は遠目から見ても目立ち、まるで雑誌の撮影でも行われているかと錯覚する光景が広がり思わず見惚れてしまった。
周りの女の子たち同様、碧も茫然と立ち尽くしていると此方に気付いた貴斗が微笑みゆっくり向かって来た。
「おはよ、早かったね...ってか、可愛すぎて見惚れる」
頬を少し赤らめ恥ずかしかったのか、貴斗は自身の手の甲で口元を押さえ、それにつられ碧の頬も紅潮し心拍数が上昇していった。
「いやいや、貴斗の方が」
(なんでこんな照れるんだろ...)
碧は視線を逸らし無意識に団扇のように手で顔を扇いでいるとその手を取られ指を絡ますように貴斗と手を取られる。貴斗にまじまじと見つめられていると彼の口元から小さく「あ...」と呟く声が漏れた。
「コレまだ持っててくれてたんだ。てっきりもう捨てたかと思った」
碧の耳朶についたクローバーのシルバーピアスを貴斗は指先でそっと触れ懐かしむような表情で見つめた。
「...捨てられないよ。初めてデートで貰った大切な想い出だから」
「そっか...実は俺もつけてきた。碧から初めて貰ったプレゼント」
そう言うと貴斗は橫髪を耳にかけると耳朶にフープピアスが飾られていた。
「久々にピアス付けた...碧の前で彼氏として付けれる日が来てほんと嬉しい」
「そんな大袈裟な...」
貴斗は照れ笑いをする碧の顔を両手でそっと優しく包むと少し冷たい指先が両頬に伝わる。貴斗の顔が近づき、互いの額が優しく触れ合うと貴斗を纏う香水が碧の鼻腔を擽り外まで聞こえてしまうくらいの鼓動が胸から鳴り響く。
「た、た、貴斗っ、流石にこんなとこでの密着は...」
周りからの突き刺さる視線と彼から放たれる甘く孕んだ視線に慌てふためき、そんな碧の姿を見た貴斗は小さく噴き出し、そっと離れると再び手を繋ぎ歩き出した。周りの目を気にするよりも貴斗から受ける甘い攻撃のせいでいつ心臓が口から飛び出すのか危惧しながら碧は貴斗に手を引かれるまま彼に着いて行った。
昨夜は貴斗に逢え、夢かと思うような素敵なイヴを過ごさせてもらった。今日も貴斗と一緒にクリスマスを過ごせることで碧は予想以上のアドレナリン分泌過多のせいでなかなか寝付けず、漸く眠りについたのは深夜3時を回った頃だった。
(昨日のフェアのようなヘアメイクは無理だけど少しでも隣に立って恥ずかしくない恰好にしなきゃ)
寝ぐせで爆発した髪を何とかするため碧は早めに朝食を食べ、終わった後すぐにシャワーを浴びる準備を始めた。
「自分じゃなかなか上手くできないか」
シャワーが終わり出掛ける準備に取り掛かりながら肩につくほどに伸びた髪を緩く纏め上げお団子ヘアにした。
「派手過ぎず地味過ぎず・・・」
全身鏡の前に立ち膝丈ほどのケーブルニットワンピースを着、全体のバランスを確認した。
碧は、ずっと閉まってあった箱から15歳の時初めてのデートで貴斗に贈られたピアスを付けた。
瞬間、初めて耳に付けた時の感覚が蘇り、何度も鏡の前で眺めてしまった。辛かった記憶は少しずつ薄れ、上書きされるように新たな想い出が刻まれていくことに碧は心なしか顔が綻んでいった。
碧は事前に準備していた貴斗へのクリスマスプレゼントを鞄に入れ、玄関へと向かった。
☆☆☆
待ち合わせの場所付近まで到着すると同年代の女の子たちがざわついている様子からすでに貴斗が到着しているのが姿を見ずとも碧には理解できた。
貴斗が待っているであろう場所へと足を進めると普段とは違い、前髪をふわっとセンターに分けにセットされていた。白のオックスシャツに黒のスキニーパンツ、ボリューム感のあるカーキ色のダウンジャケットを羽織った貴斗は遠目から見ても目立ち、まるで雑誌の撮影でも行われているかと錯覚する光景が広がり思わず見惚れてしまった。
周りの女の子たち同様、碧も茫然と立ち尽くしていると此方に気付いた貴斗が微笑みゆっくり向かって来た。
「おはよ、早かったね...ってか、可愛すぎて見惚れる」
頬を少し赤らめ恥ずかしかったのか、貴斗は自身の手の甲で口元を押さえ、それにつられ碧の頬も紅潮し心拍数が上昇していった。
「いやいや、貴斗の方が」
(なんでこんな照れるんだろ...)
碧は視線を逸らし無意識に団扇のように手で顔を扇いでいるとその手を取られ指を絡ますように貴斗と手を取られる。貴斗にまじまじと見つめられていると彼の口元から小さく「あ...」と呟く声が漏れた。
「コレまだ持っててくれてたんだ。てっきりもう捨てたかと思った」
碧の耳朶についたクローバーのシルバーピアスを貴斗は指先でそっと触れ懐かしむような表情で見つめた。
「...捨てられないよ。初めてデートで貰った大切な想い出だから」
「そっか...実は俺もつけてきた。碧から初めて貰ったプレゼント」
そう言うと貴斗は橫髪を耳にかけると耳朶にフープピアスが飾られていた。
「久々にピアス付けた...碧の前で彼氏として付けれる日が来てほんと嬉しい」
「そんな大袈裟な...」
貴斗は照れ笑いをする碧の顔を両手でそっと優しく包むと少し冷たい指先が両頬に伝わる。貴斗の顔が近づき、互いの額が優しく触れ合うと貴斗を纏う香水が碧の鼻腔を擽り外まで聞こえてしまうくらいの鼓動が胸から鳴り響く。
「た、た、貴斗っ、流石にこんなとこでの密着は...」
周りからの突き刺さる視線と彼から放たれる甘く孕んだ視線に慌てふためき、そんな碧の姿を見た貴斗は小さく噴き出し、そっと離れると再び手を繋ぎ歩き出した。周りの目を気にするよりも貴斗から受ける甘い攻撃のせいでいつ心臓が口から飛び出すのか危惧しながら碧は貴斗に手を引かれるまま彼に着いて行った。
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