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side― kohshi 2
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最近、イライラが止まんねー...。まぁその原因はわかってるんだが...。
「未央、なんか最近雰囲気変わった?」
「えっ?そうかな、もしかしたら髪型変えたから余計かな」
照れ笑いをしながら友人たちと話しているのが見え俺は聞こえないふりをしながら机でうつ伏せになり寝たふりをしていた。
「もしかして彼氏でも出来たとか?!」
「ち、違うよ」
「えー、なんか怪しいなー美央顔赤いよー」
「ほんとそんなんじゃなくて...でも気になる人は...いるかな」
友人に揶揄われ慌てたように言う佐久間の顔は確かに真っ赤で.....。
「わっ!急に起きんなよっ!ビックリするだろ」
「うるせーから寝れねー」
イライラがピークに達し勢いよく席を立つと俺の周りで煩く騒いでいたダチの声を無視し教室を出た。
(なんだよ“気になるヤツ”って。ついこの間まであの幼馴染好きだったんじゃねーのかよ)
むしゃくしゃしながら廊下を歩いていると後ろから呼ぶ声が聞こえた。
「桐野くーん、ちょ、ちょっと待ってー」
振り向くと“ポテポテ”と足音が聞こえるんじゃないかっていう鈍くさそうな走り方で近づいてきた。
「ごめんね、傍で煩かったよね」
「別に。お前らよりも煩い奴が周りにいたからそっちの話なんて聞こえなかったし」
(...ってのは嘘でめちゃくちゃ聞こえてた)
表情を読み取られないようにぶっきらぼうな口調で話した。佐久間を見ると少しホッとしてるようにも見えた。
(何だよ、俺に聞こえなくてホッとすることだったのかよ)
そんなことを考えるとさっきより苛立ちが募り胸ん中が靄つく。
「それだけ?俺トイレ行きたいんだけど」
「わっ、わっ、ご、ごめん」
あたふたする佐久間に口元が緩みそうになるも下唇を噛み気持ちを落ち着かせる。
「なぁ、お前今日図書館行くの?」
「うん...今日はお姉ちゃんたちうちで勉強するって言ってたから...お邪魔かなと思って」
「あっそ」
それだけを告げ俺はその場を離れた。放課後の予定ができ無意識に足取りが軽くなった俺は早足でトイレへと向かった。
☆☆☆
「天気予報見るの忘れてたなー、さっきまで晴れてたのに。折りたたみも忘れちゃうしお母さんも仕事だから迎えに来てもらえないし」
図書館の出入り口付近で佐久間は外を見ながらしょぼくれた顔をして外の雨を俺の隣で眺めていた。
「まぁしばらくここで雨宿りして帰ればいいじゃん」
「んー...あっ、お姉ちゃんに迎えに来てもらお」
思い出したかのようにいそいそと鞄からスマホを取り出そうとした時、俺は思わず佐久間の腕を掴んでいた。
「姉ちゃん、あの幼馴染と一緒なんだろ?せっかく気利かせたのに意味なくね?」
「...そうだね」
俺の言葉で気まずそうに作り笑顔を浮かべまたぼんやり雨が降る外を見つめていた。俺は掴んだ手をそっと放しその横顔をじっと見つめた。
「なぁ...」
「んっ?」
「...まだ引きずってんのか?」
はっ?!俺何聞いてんだよ!!...頭で整理する前につい口が先に動いてしまった。隣で外を眺めていた視線が俺に変わり穴開くんじゃね?!ってくらい見てきやがった。
「ううん...って言ったらまだ無理があるかもしれないけど、桐野くんのおかげで吹っ切れたよ」
余裕で笑顔を向けてくるこいつに俺だけが変な汗かいてテンパって...。
なんかムカついてきた。
「お前さ、「私ね、あの日桐野くんに“傍にいてやるから”って言葉で視界が拡がったんだ...桐野くんの周りにはかわいい女の子いっぱいいるしかっこいいから何となく近寄りがたいイメージだったけど私みたいなのにも励ましてくれて嬉しかった」
満面の笑顔を向けられ.....さっきのイラつきがスっと消えていく。ヤバいな.....そう思いニヤけそうになる口元をバレないように手で覆い隠した。
「それでね、何かお礼したいなって...って言っても私にできる範囲だけど」
「お礼か.....そしたら」
照れくさそうにする佐久間の耳元に囁くように伝えた。その瞬間、顔はもちろん耳までも赤く染まる彼女に思わず噴き出してしまった。
「帰るか、しゃーねーから家まで送ってやるよ」
「へっ?で、でも雨が.....」
そう戸惑いながら話す佐久間の大きな目が俺の手元を凝視していた。
「折りたたみ持ってたの?!」
「俺一言も“持ってない”なんて言ってねーし。ほら、帰るぞ、美央」
出入口の自動ドアを開け俺は持っていた傘を開き、美央の手を握り雨が降る外へと飛び出した。
「未央、なんか最近雰囲気変わった?」
「えっ?そうかな、もしかしたら髪型変えたから余計かな」
照れ笑いをしながら友人たちと話しているのが見え俺は聞こえないふりをしながら机でうつ伏せになり寝たふりをしていた。
「もしかして彼氏でも出来たとか?!」
「ち、違うよ」
「えー、なんか怪しいなー美央顔赤いよー」
「ほんとそんなんじゃなくて...でも気になる人は...いるかな」
友人に揶揄われ慌てたように言う佐久間の顔は確かに真っ赤で.....。
「わっ!急に起きんなよっ!ビックリするだろ」
「うるせーから寝れねー」
イライラがピークに達し勢いよく席を立つと俺の周りで煩く騒いでいたダチの声を無視し教室を出た。
(なんだよ“気になるヤツ”って。ついこの間まであの幼馴染好きだったんじゃねーのかよ)
むしゃくしゃしながら廊下を歩いていると後ろから呼ぶ声が聞こえた。
「桐野くーん、ちょ、ちょっと待ってー」
振り向くと“ポテポテ”と足音が聞こえるんじゃないかっていう鈍くさそうな走り方で近づいてきた。
「ごめんね、傍で煩かったよね」
「別に。お前らよりも煩い奴が周りにいたからそっちの話なんて聞こえなかったし」
(...ってのは嘘でめちゃくちゃ聞こえてた)
表情を読み取られないようにぶっきらぼうな口調で話した。佐久間を見ると少しホッとしてるようにも見えた。
(何だよ、俺に聞こえなくてホッとすることだったのかよ)
そんなことを考えるとさっきより苛立ちが募り胸ん中が靄つく。
「それだけ?俺トイレ行きたいんだけど」
「わっ、わっ、ご、ごめん」
あたふたする佐久間に口元が緩みそうになるも下唇を噛み気持ちを落ち着かせる。
「なぁ、お前今日図書館行くの?」
「うん...今日はお姉ちゃんたちうちで勉強するって言ってたから...お邪魔かなと思って」
「あっそ」
それだけを告げ俺はその場を離れた。放課後の予定ができ無意識に足取りが軽くなった俺は早足でトイレへと向かった。
☆☆☆
「天気予報見るの忘れてたなー、さっきまで晴れてたのに。折りたたみも忘れちゃうしお母さんも仕事だから迎えに来てもらえないし」
図書館の出入り口付近で佐久間は外を見ながらしょぼくれた顔をして外の雨を俺の隣で眺めていた。
「まぁしばらくここで雨宿りして帰ればいいじゃん」
「んー...あっ、お姉ちゃんに迎えに来てもらお」
思い出したかのようにいそいそと鞄からスマホを取り出そうとした時、俺は思わず佐久間の腕を掴んでいた。
「姉ちゃん、あの幼馴染と一緒なんだろ?せっかく気利かせたのに意味なくね?」
「...そうだね」
俺の言葉で気まずそうに作り笑顔を浮かべまたぼんやり雨が降る外を見つめていた。俺は掴んだ手をそっと放しその横顔をじっと見つめた。
「なぁ...」
「んっ?」
「...まだ引きずってんのか?」
はっ?!俺何聞いてんだよ!!...頭で整理する前につい口が先に動いてしまった。隣で外を眺めていた視線が俺に変わり穴開くんじゃね?!ってくらい見てきやがった。
「ううん...って言ったらまだ無理があるかもしれないけど、桐野くんのおかげで吹っ切れたよ」
余裕で笑顔を向けてくるこいつに俺だけが変な汗かいてテンパって...。
なんかムカついてきた。
「お前さ、「私ね、あの日桐野くんに“傍にいてやるから”って言葉で視界が拡がったんだ...桐野くんの周りにはかわいい女の子いっぱいいるしかっこいいから何となく近寄りがたいイメージだったけど私みたいなのにも励ましてくれて嬉しかった」
満面の笑顔を向けられ.....さっきのイラつきがスっと消えていく。ヤバいな.....そう思いニヤけそうになる口元をバレないように手で覆い隠した。
「それでね、何かお礼したいなって...って言っても私にできる範囲だけど」
「お礼か.....そしたら」
照れくさそうにする佐久間の耳元に囁くように伝えた。その瞬間、顔はもちろん耳までも赤く染まる彼女に思わず噴き出してしまった。
「帰るか、しゃーねーから家まで送ってやるよ」
「へっ?で、でも雨が.....」
そう戸惑いながら話す佐久間の大きな目が俺の手元を凝視していた。
「折りたたみ持ってたの?!」
「俺一言も“持ってない”なんて言ってねーし。ほら、帰るぞ、美央」
出入口の自動ドアを開け俺は持っていた傘を開き、美央の手を握り雨が降る外へと飛び出した。
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