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碧は部屋へと一旦戻り、料理本の入った鞄を机に置いた。
「綺麗な顔の男の子だったなー」
先程の少年を思い出し机に置いた料理本の一冊を鞄から抜き出しベッドにうつ伏せに寝転がりながらパラパラとページを捲った。
料理本を見ていたせいかお腹からぐーと悲鳴が鳴り気づくと12時を回り、碧は一階に下り母が準備してくれていた昼食を温め食べることにした。準備が終わり手を合わせ食べようとした時、リビングのドアが勢いよく開いた。
「碧ーっ、腹減ったーっ!飯ちょーだーい」
部活から弟の虹志が帰宅し慌ただしくと二階へ上がったかと思うと直ぐに下のリビングに入って来てダイニングテーブルにドカッと座り昼食の催促をしてきた。
「碧またケバい格好して、男もいねーのに誰に見せんだよっ!しかもお前受験生だろっ」
碧の姿を見るや否や悪態をつく弟の前に昼食のチキンライスを皿が割れるんじゃないかと思わせるくらいの音を立て目の前に置いた。
「お前ちゃんと置けよなっ!」
「はあ?準備してやっただけでも有難く思えっ!」
お互い顔を背けながら昼食を取り虹志は無言のまま二階へと上がって行った。
(なんなのよっ!あいつ!)
ムカつきながら皿を洗い時計を見ると13時半過ぎになっていた。碧は急いで食器を片付け崩れたメイクを直し夏休みの宿題や問題集を鞄に入れ夏樹の家へと向かった。
「いらっしゃい、どーぞ」
インターホンを鳴らしドアが開くと先ほどの格好とは違い、白のロング丈Tシャツにグレーのスキニーパンツ姿に着替えた夏樹が出てきた。
(さっきのラフななっちゃんもこっちのなっちゃんもかっこいいな...)
「おじゃまします」
緊張してなかなか夏樹の顔が見れず下を向きながら玄関へと入った。
リビングに通され夏樹の部屋じゃないことに少しガッカリしながら誘導された場所に腰を下ろした。
「わりぃ、今麦茶しかなかった」
夏樹は碧の前に麦茶の入ったグラスを置いた。
「ううん、私お茶好きだから」
碧は一口飲み、鞄から持ってきたテキストなどをテーブルに置いた。夏樹も自分の学校のテキストを開き、夏樹との勉強会が始まった。
――――――――――――――――
「ほんと虹志ムカつくの!中学生になってちょっとモテだしたからっていい気になってんだよっ!あんなんじゃ彼女出来ても絶対振られるね!」
休憩中、昼での出来事を思い出し夏樹に愚痴ると笑いながら
「まぁ、まぁ、弟なんてそんなもんだって」
碧の頭にポンポンと手を乗せ優しげな表情で見つめられ碧は紅潮した頬を隠すように手で押さえ視線を逸らした。
「姉ちゃんが急に大人びた格好して可愛くなったから虹なりにいろいろと心配してんだよ」
「かわいい?」
ちらっと夏樹に視線を戻し碧は心臓が飛び出しそうなくらい緊張しながら恐る恐る聞いてみた。
「今みたいな大人っぽい碧もかわいいけどいつもの感じの碧もかわいいよ」
夏樹の一つ一つの言葉に頭の中が沸騰してしまうんじゃないかというくらいの破壊力で顔を真っ赤にさせてるとそれを見た夏樹に笑われ更に赤く染まっていった。
「なっちゃんが変なことばっか言うから宿題が進まないよっ」
えー!俺のせい?!とおどけながらいう夏樹に思わず笑ってしまい、二人だけの勉強会は夕方まで続いた。
「そろそろ夕飯時だし、碧もう帰った方がいいんじゃないか?」
夏樹はリビングの時計を見ながら碧にやんわりと促した。碧は夕飯の準備がまだされてないキッチンに視線を置き、
「なっちゃん夕飯どうすんの?ほんとにレトルト?」
「まー、作るの面倒だし自分のだけだしな。あとはコンビニ行ってなんか買ってくるかな」
夏樹は欠伸をしながら自分の勉強道具をテーブルの下に纏めて置いた。
「私何か作るよ!って言ってもたいしたの作れないけど」
碧は勢いよく立ち上がり座る夏樹を見下ろすと
「ありがとな、でも何も材料買ってないし今日はいいよ」
夏樹も立ち上がり今度は碧を見下ろし優しい笑顔を向け頭を撫でた。
「あっ、明日は?!なっちゃん忙しい?勉強のお礼もしたいし」
夏樹は、んーと考えながら「そしたら明日の夕方にでも一緒に買い物行くか?」
「うんっ!」
碧は満面の笑みを浮かべ明日も会える嬉しさで足取り軽く家へと帰った。
――――――――――――――――
夕食も終わりお風呂に入って部屋に戻った碧は、借りた料理本が入っている鞄から全部取り出すと中から鍵の付いたキーホルダーが床へと落ちた。
「んっ?」
マジマジと見ながら思い起こし、
「なっちゃんのじゃないし、ってそもそもこの鞄持ってってないし......ってことはもしかして...あの男の子の?!」
鍵はどう見ても家の鍵らしき形をしていた。
「どうしよっ、片付ける時紛れて入っちゃったんだ」
焦りながら時計を見るともう20時になっていた。午前中にいた人間が今もそこにいるのはちょっと考えにくい、ましてやそんな時間なら家の人も帰って来てるだろうと勝手な結論に達した。
『いつもこの時間にいるから』
そう話していたことを思い出し碧は明日、今日行った時間にもう一度図書館へ出向くことにした。
「そうだ、ついでに宿題も持ってこ。あの子なんか頭良さそうだし」
碧はせっせと明日の準備をし、夏樹の夕飯のメニューを考えながら眠りについた。
「綺麗な顔の男の子だったなー」
先程の少年を思い出し机に置いた料理本の一冊を鞄から抜き出しベッドにうつ伏せに寝転がりながらパラパラとページを捲った。
料理本を見ていたせいかお腹からぐーと悲鳴が鳴り気づくと12時を回り、碧は一階に下り母が準備してくれていた昼食を温め食べることにした。準備が終わり手を合わせ食べようとした時、リビングのドアが勢いよく開いた。
「碧ーっ、腹減ったーっ!飯ちょーだーい」
部活から弟の虹志が帰宅し慌ただしくと二階へ上がったかと思うと直ぐに下のリビングに入って来てダイニングテーブルにドカッと座り昼食の催促をしてきた。
「碧またケバい格好して、男もいねーのに誰に見せんだよっ!しかもお前受験生だろっ」
碧の姿を見るや否や悪態をつく弟の前に昼食のチキンライスを皿が割れるんじゃないかと思わせるくらいの音を立て目の前に置いた。
「お前ちゃんと置けよなっ!」
「はあ?準備してやっただけでも有難く思えっ!」
お互い顔を背けながら昼食を取り虹志は無言のまま二階へと上がって行った。
(なんなのよっ!あいつ!)
ムカつきながら皿を洗い時計を見ると13時半過ぎになっていた。碧は急いで食器を片付け崩れたメイクを直し夏休みの宿題や問題集を鞄に入れ夏樹の家へと向かった。
「いらっしゃい、どーぞ」
インターホンを鳴らしドアが開くと先ほどの格好とは違い、白のロング丈Tシャツにグレーのスキニーパンツ姿に着替えた夏樹が出てきた。
(さっきのラフななっちゃんもこっちのなっちゃんもかっこいいな...)
「おじゃまします」
緊張してなかなか夏樹の顔が見れず下を向きながら玄関へと入った。
リビングに通され夏樹の部屋じゃないことに少しガッカリしながら誘導された場所に腰を下ろした。
「わりぃ、今麦茶しかなかった」
夏樹は碧の前に麦茶の入ったグラスを置いた。
「ううん、私お茶好きだから」
碧は一口飲み、鞄から持ってきたテキストなどをテーブルに置いた。夏樹も自分の学校のテキストを開き、夏樹との勉強会が始まった。
――――――――――――――――
「ほんと虹志ムカつくの!中学生になってちょっとモテだしたからっていい気になってんだよっ!あんなんじゃ彼女出来ても絶対振られるね!」
休憩中、昼での出来事を思い出し夏樹に愚痴ると笑いながら
「まぁ、まぁ、弟なんてそんなもんだって」
碧の頭にポンポンと手を乗せ優しげな表情で見つめられ碧は紅潮した頬を隠すように手で押さえ視線を逸らした。
「姉ちゃんが急に大人びた格好して可愛くなったから虹なりにいろいろと心配してんだよ」
「かわいい?」
ちらっと夏樹に視線を戻し碧は心臓が飛び出しそうなくらい緊張しながら恐る恐る聞いてみた。
「今みたいな大人っぽい碧もかわいいけどいつもの感じの碧もかわいいよ」
夏樹の一つ一つの言葉に頭の中が沸騰してしまうんじゃないかというくらいの破壊力で顔を真っ赤にさせてるとそれを見た夏樹に笑われ更に赤く染まっていった。
「なっちゃんが変なことばっか言うから宿題が進まないよっ」
えー!俺のせい?!とおどけながらいう夏樹に思わず笑ってしまい、二人だけの勉強会は夕方まで続いた。
「そろそろ夕飯時だし、碧もう帰った方がいいんじゃないか?」
夏樹はリビングの時計を見ながら碧にやんわりと促した。碧は夕飯の準備がまだされてないキッチンに視線を置き、
「なっちゃん夕飯どうすんの?ほんとにレトルト?」
「まー、作るの面倒だし自分のだけだしな。あとはコンビニ行ってなんか買ってくるかな」
夏樹は欠伸をしながら自分の勉強道具をテーブルの下に纏めて置いた。
「私何か作るよ!って言ってもたいしたの作れないけど」
碧は勢いよく立ち上がり座る夏樹を見下ろすと
「ありがとな、でも何も材料買ってないし今日はいいよ」
夏樹も立ち上がり今度は碧を見下ろし優しい笑顔を向け頭を撫でた。
「あっ、明日は?!なっちゃん忙しい?勉強のお礼もしたいし」
夏樹は、んーと考えながら「そしたら明日の夕方にでも一緒に買い物行くか?」
「うんっ!」
碧は満面の笑みを浮かべ明日も会える嬉しさで足取り軽く家へと帰った。
――――――――――――――――
夕食も終わりお風呂に入って部屋に戻った碧は、借りた料理本が入っている鞄から全部取り出すと中から鍵の付いたキーホルダーが床へと落ちた。
「んっ?」
マジマジと見ながら思い起こし、
「なっちゃんのじゃないし、ってそもそもこの鞄持ってってないし......ってことはもしかして...あの男の子の?!」
鍵はどう見ても家の鍵らしき形をしていた。
「どうしよっ、片付ける時紛れて入っちゃったんだ」
焦りながら時計を見るともう20時になっていた。午前中にいた人間が今もそこにいるのはちょっと考えにくい、ましてやそんな時間なら家の人も帰って来てるだろうと勝手な結論に達した。
『いつもこの時間にいるから』
そう話していたことを思い出し碧は明日、今日行った時間にもう一度図書館へ出向くことにした。
「そうだ、ついでに宿題も持ってこ。あの子なんか頭良さそうだし」
碧はせっせと明日の準備をし、夏樹の夕飯のメニューを考えながら眠りについた。
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