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ゴザリア国3
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「ドーピングにより、キメラオーガの攻撃力は、一般的なオーガの能力の5倍となり、防御力も5倍、俊敏性も5倍となりました。さらに体に特殊な魔法陣が刻みこまれ、魔法による攻撃を加えようとしても、相手の魔法が使えなくなる無効化魔法が発動されます」
「彼らに剣や弓による物理攻撃は有効ですが、防御力が5倍になったキメラオーガの表皮は、剣も矢による攻撃を弾き返してしまいます」
「こうして、念話が使える騎士のみにコントロールされ、痛みも感じず、死も恐れないキメラオーガが作り出されたのです」
「ただしキメラオーガの寿命は、ドーピングの副作用により5年しかもちません」
「キメラオーガの軍団を作り出すためには、エルフや獣人が数千数万と必要となりました。そこで彼らは王に、人族以外は下等な種族であるという宣言を出させ、エルフや獣人を次々と奴隷にしていったのです」
「最近ではエルフや獣人の奴隷が少なくなり、スラムの人たちもキメラオーガ軍にされ始めました。スラムの人たちというのは、ゴザリア国に滅ぼされた国の人たちなのです」
「私はその狂った行いをやめさせるべくドラゴンヒルに行き、ドラゴン一族に力を貸してほしいと、お願いしようとしました。王の一族に忠誠を誓ってくれていた追放された勇者と彼を慕う冒険者たちが、護衛として私に同行してくれました。しかしキメラオーガ軍に追いつかれ、全員が殺されてしまいました」
「その時私も、キメラオーガ軍によって殺されそうになりましたが、ホワイトドラゴン様に救っていただいたのです」
「ドラゴン族を頼ったのは、ドラゴン族であればキメラオーガを倒せると思ったからです」
「あなたたちゴザリア国は何ということをしてくれたの! なぜそんな酷いことができるの! エルフや獣人を何だと思っているの! ゴザリア国が滅ぼした国の人たちも犠牲にして、その人たちはあなたたちと同じ人族ではないですか! あなたたちは頭がおかしい、気が狂っている!」
アンジェとエメットは怒りで体が震えている。
目からは涙が止まらない、放っておけばジレネを斬り殺すだろう。
俺だって同じ気持ちだ、しかしこういう時こそ、俺が冷静にならなければならないだろう。
「ジレネよ! 俺たちは1週間考える。今日はホワイトドラゴンに乗ってドラゴンヒルに戻ってくれないか? でないとあなたの命を保障することはできない。1週間後に答えを持ってドラゴンヒルに行く」
「私を、今ここで殺してもらっても構いません。いえ殺してください。その代りゴザリア国を助けてください。狂った権力者たちを始末してください。お願いします」
ジレネがまた頭を下げているが、もはや頭を下げる、下げないとかの問題ではない。
はっきりいって、ジレネを助ける気などない!
女王なら! 責任を感じるなら! 命を賭けて自分で何とかすべきだろう。
国内の貴族勢力を糾合するなりして、自らが先頭に立って行動するべきだろう。
何と情けない女王なのだ。この期に及んで他人任せとは軽蔑する。
ジレネはホワイトドラゴンに乗ってドラゴンヒルに戻っていった。
「明日、俺たちだけで話をしよう。他の者達には俺たちの考えを整理してから、伝えたほうがいいだろう。収拾がつかなくなる。今夜はそれぞれが、今回のことを静かに考えることにしよう」
人族のやることには興味がないといっていたのに、ジレネの話を聞いてレッドも怒っている。
過去の歴史でも、ここまで酷いことはなかったのだと思う。
深く考えずに、ジレネをここに連れてきたホワイトにもムカついた。
俺もいろんなことが頭に浮かんできて、その夜は眠れなかった。
翌日、いつもの4人で話をした。
アンジェもエメットも目に隈ができている。
「ゴザリア国は許せない! キメラオーガ軍が暴走してゴザリア国が全滅させられようが構わない。しかしキメラオーガにされた仲間たちが、ゴザリア国の神官だか貴族だかの命令で、非道に使役され続けるのは許せない」
「ジレネなんかに協力する気はないが、神官だか貴族だかにキメラオーガを作らせないようにする。キメラオーガにさせられようとしているエルフと獣人を助ける。キメラオーガの命を絶ち、安らかにしてあげる。そのためだけに、ゼピュロスが動いてほしい」
アンジェが自分たちのやるべきことを、冷静にまとめてくれた。
よくぞ、怒りを抑えてくれた。
エメットの意見も同じのようだ。
俺も考えは一緒だ。
「4人で考えた結論に沿って行動しよう! 物理攻撃が有効なら俺の攻撃は有効なはずだ。またキメラオーガが騎士の念話でコントロールされるなら、念話騎士を見つけ出して始末すればいいということだ。なんとかなるはずだ!」
「それにしてもジレネは何と無責任なのだ! この期に及んで他人任せとは呆れるぞ! ジレネが女王の責任として命懸けで蜂起することを、俺たちが協力してやる条件としよう! そもそも人族が何も行動を起こしてもいないのに、俺たちが何かをしてやる必要など絶対ないのだ!」
今回はレッドも乗り気になっている。
エルフ国と獣人国、魔王国の3人の王と、シルティ城のアリスには、このゴザリア国の非道を伝えないといけない。
アンジェとエメットが使者になり、ゴザリア国の非道を伝えてもらう。
ゴザリア国の非道を伝えられたエルフ国では、全てのエルフ国民が怒り狂ったという。
今いる全てのエルフ兵を引き連れて、ゴザリア国の王都を攻撃しようと大騒ぎになったらしい。
しかし冷静になれば、今は国の復興を優先しなければならない。
他国に攻め込める状態でないのは皆が分かっている。
エルフ国民は、ゴザリア国に対する怒りを心に刻み込む。
獣人国でも反応は同じだ。
獣人国民も、ゴザリア国に対する怒りを心に刻み込む。
魔王国でも話を聞いた国民全員が騒然となる。
エルフ国や獣人国が、国を挙げてゴザリア国を攻撃する際には、必ず攻撃に参加することを公的に約束してくれる。
今後の具体的な行動を3人に説明する。
「まずジレネに有力貴族を説得させ、神官だか裏切り貴族だかを相手に兵を起こさせる。これが第一となる」
「その際、蜂起したゴザリア国の貴族連合と我々は共闘することはしない。まず、我々はキメラオーガのことを知る必要がある。貴族勢力とキメラオーガ軍の戦いを観戦することで、キメラオーガの戦力や弱点を見極める」
「キメラオーガの戦力や弱点を見極めた後、ゴザリア国と貴族連合の戦闘中にキメラオーガへの攻撃を行うかどうかは、俺に一任してほしい。その際の攻撃は、空から素早く攻撃できる俺たち4人だけとする」
「各国からは、キメラオーガ軍の戦力や弱点を見極め、それぞれの国で戦い方を検討してもらうために、観戦武官を出してもらうことにする。ジレネとの話が終わり次第、アンジェとエメットが各国に伝えてほしい」
「彼らに剣や弓による物理攻撃は有効ですが、防御力が5倍になったキメラオーガの表皮は、剣も矢による攻撃を弾き返してしまいます」
「こうして、念話が使える騎士のみにコントロールされ、痛みも感じず、死も恐れないキメラオーガが作り出されたのです」
「ただしキメラオーガの寿命は、ドーピングの副作用により5年しかもちません」
「キメラオーガの軍団を作り出すためには、エルフや獣人が数千数万と必要となりました。そこで彼らは王に、人族以外は下等な種族であるという宣言を出させ、エルフや獣人を次々と奴隷にしていったのです」
「最近ではエルフや獣人の奴隷が少なくなり、スラムの人たちもキメラオーガ軍にされ始めました。スラムの人たちというのは、ゴザリア国に滅ぼされた国の人たちなのです」
「私はその狂った行いをやめさせるべくドラゴンヒルに行き、ドラゴン一族に力を貸してほしいと、お願いしようとしました。王の一族に忠誠を誓ってくれていた追放された勇者と彼を慕う冒険者たちが、護衛として私に同行してくれました。しかしキメラオーガ軍に追いつかれ、全員が殺されてしまいました」
「その時私も、キメラオーガ軍によって殺されそうになりましたが、ホワイトドラゴン様に救っていただいたのです」
「ドラゴン族を頼ったのは、ドラゴン族であればキメラオーガを倒せると思ったからです」
「あなたたちゴザリア国は何ということをしてくれたの! なぜそんな酷いことができるの! エルフや獣人を何だと思っているの! ゴザリア国が滅ぼした国の人たちも犠牲にして、その人たちはあなたたちと同じ人族ではないですか! あなたたちは頭がおかしい、気が狂っている!」
アンジェとエメットは怒りで体が震えている。
目からは涙が止まらない、放っておけばジレネを斬り殺すだろう。
俺だって同じ気持ちだ、しかしこういう時こそ、俺が冷静にならなければならないだろう。
「ジレネよ! 俺たちは1週間考える。今日はホワイトドラゴンに乗ってドラゴンヒルに戻ってくれないか? でないとあなたの命を保障することはできない。1週間後に答えを持ってドラゴンヒルに行く」
「私を、今ここで殺してもらっても構いません。いえ殺してください。その代りゴザリア国を助けてください。狂った権力者たちを始末してください。お願いします」
ジレネがまた頭を下げているが、もはや頭を下げる、下げないとかの問題ではない。
はっきりいって、ジレネを助ける気などない!
女王なら! 責任を感じるなら! 命を賭けて自分で何とかすべきだろう。
国内の貴族勢力を糾合するなりして、自らが先頭に立って行動するべきだろう。
何と情けない女王なのだ。この期に及んで他人任せとは軽蔑する。
ジレネはホワイトドラゴンに乗ってドラゴンヒルに戻っていった。
「明日、俺たちだけで話をしよう。他の者達には俺たちの考えを整理してから、伝えたほうがいいだろう。収拾がつかなくなる。今夜はそれぞれが、今回のことを静かに考えることにしよう」
人族のやることには興味がないといっていたのに、ジレネの話を聞いてレッドも怒っている。
過去の歴史でも、ここまで酷いことはなかったのだと思う。
深く考えずに、ジレネをここに連れてきたホワイトにもムカついた。
俺もいろんなことが頭に浮かんできて、その夜は眠れなかった。
翌日、いつもの4人で話をした。
アンジェもエメットも目に隈ができている。
「ゴザリア国は許せない! キメラオーガ軍が暴走してゴザリア国が全滅させられようが構わない。しかしキメラオーガにされた仲間たちが、ゴザリア国の神官だか貴族だかの命令で、非道に使役され続けるのは許せない」
「ジレネなんかに協力する気はないが、神官だか貴族だかにキメラオーガを作らせないようにする。キメラオーガにさせられようとしているエルフと獣人を助ける。キメラオーガの命を絶ち、安らかにしてあげる。そのためだけに、ゼピュロスが動いてほしい」
アンジェが自分たちのやるべきことを、冷静にまとめてくれた。
よくぞ、怒りを抑えてくれた。
エメットの意見も同じのようだ。
俺も考えは一緒だ。
「4人で考えた結論に沿って行動しよう! 物理攻撃が有効なら俺の攻撃は有効なはずだ。またキメラオーガが騎士の念話でコントロールされるなら、念話騎士を見つけ出して始末すればいいということだ。なんとかなるはずだ!」
「それにしてもジレネは何と無責任なのだ! この期に及んで他人任せとは呆れるぞ! ジレネが女王の責任として命懸けで蜂起することを、俺たちが協力してやる条件としよう! そもそも人族が何も行動を起こしてもいないのに、俺たちが何かをしてやる必要など絶対ないのだ!」
今回はレッドも乗り気になっている。
エルフ国と獣人国、魔王国の3人の王と、シルティ城のアリスには、このゴザリア国の非道を伝えないといけない。
アンジェとエメットが使者になり、ゴザリア国の非道を伝えてもらう。
ゴザリア国の非道を伝えられたエルフ国では、全てのエルフ国民が怒り狂ったという。
今いる全てのエルフ兵を引き連れて、ゴザリア国の王都を攻撃しようと大騒ぎになったらしい。
しかし冷静になれば、今は国の復興を優先しなければならない。
他国に攻め込める状態でないのは皆が分かっている。
エルフ国民は、ゴザリア国に対する怒りを心に刻み込む。
獣人国でも反応は同じだ。
獣人国民も、ゴザリア国に対する怒りを心に刻み込む。
魔王国でも話を聞いた国民全員が騒然となる。
エルフ国や獣人国が、国を挙げてゴザリア国を攻撃する際には、必ず攻撃に参加することを公的に約束してくれる。
今後の具体的な行動を3人に説明する。
「まずジレネに有力貴族を説得させ、神官だか裏切り貴族だかを相手に兵を起こさせる。これが第一となる」
「その際、蜂起したゴザリア国の貴族連合と我々は共闘することはしない。まず、我々はキメラオーガのことを知る必要がある。貴族勢力とキメラオーガ軍の戦いを観戦することで、キメラオーガの戦力や弱点を見極める」
「キメラオーガの戦力や弱点を見極めた後、ゴザリア国と貴族連合の戦闘中にキメラオーガへの攻撃を行うかどうかは、俺に一任してほしい。その際の攻撃は、空から素早く攻撃できる俺たち4人だけとする」
「各国からは、キメラオーガ軍の戦力や弱点を見極め、それぞれの国で戦い方を検討してもらうために、観戦武官を出してもらうことにする。ジレネとの話が終わり次第、アンジェとエメットが各国に伝えてほしい」
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