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エルフ国を救え3
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「これから具体的な作戦を説明していきます。俺の立てる作戦は、あくまでも基本プランなので肉付けは、歴戦の将軍たちの方でお願いします」
「まず夜の間に兵100人が乗れる箱を作って下さい。箱にはレッドが足で掴んで飛べるように、ロープを結んでおいて下さい。また箱が空中で揺れても兵が落ちないように、箱の中に、兵が掴むためのロープを張っておいて下さい」
「明日の未明、船の操船ができる兵100人を、箱に乗って待機しさせて下さい。集合を確認後、レッドが箱を持ち上げて空を飛びます。次に運ぶ兵100人は、レッドが戻ってきたら急いで中庭に集合させるようにして下さい」
「100人を乗せた箱をぶら下げたまま港まで飛びます。途中、港に山積みになっている食料をドラゴンの火球で焼き払います。次に港の桟橋と陸地の接合部分を、敵兵が通れないように焼き払います。桟橋に立っている敵兵は、レッドの炎で脅かして海に叩き落とします」
「桟橋には多くの船が並んで係留されています。桟橋の一番奥の船をドラゴンの火球で焼き払います。その船の船員たちは、死にたくないので争って海に飛び込むでしょう。その隣の船も焼き払います。同じくその船の船員たちも海に飛び込むでしょう」
「そうすると、沈められた2隻の船の近くに係留された、少なくとも隣り合った複数の船の船員たちは、次は自分たちの番だと思います。船の船員たちは我先に海に飛び込むか。船に残った者もすぐに飛び込めるように準備することでしょう」
「そのタイミングでその船の近くの桟橋に、兵を乗せた箱を降ろします。兵が箱から降りれば、箱を掴んで再びドラゴンが空に飛び上がります」
「桟橋に降ろした兵は、船員が飛び降りた船に大急ぎで乗り込んでください。海に飛び込まないで船に残っている船員は全員始末して下さい。その船の制圧が終わったら、次はその隣の船という具合に、順に船を制圧していって下さい」
「海に落ちた敵船員も、弓で全員始末してください。俺とレッドは、船から船員が飛び降りない船に対して、船の近くに火球を放って脅していきます」
「そのようにして船から次々船員を海に飛び込ませていくので、兵100人で奪えるだけの船を奪えるよう頑張ってください」
「その状況を見届けたら俺たちは城に戻り、次の兵100人を桟橋に運びます。これを繰り返すので、敵船を奪えるだけ奪って下さい」
「500人程度の兵を桟橋に運び終わったら、ドラゴンと俺は、沖合の船の数隻を焼きます。その後は、船の近くに火球を放って船員を海に飛び込ませるようにします」
「沖合の船に火球が放たれる様子を確認したら、桟橋で船を奪う部隊と、拿捕した船に乗り込んで沖に停泊した船を奪う部隊の2つの部隊に別れて下さい。こんな手順で、沖の敵船も奪えるだけ奪って下さい」
「桟橋に係留した船にも、沖合で停泊した船にも食料が満載になっている船があると思います。その船は必ず奪って下さい。奪う船の優先順位は、食料を積んでいる船が1番、次が軍船です。食料を積んでいない商船は優先順位が低いです。そういう船は後回しにするか、手に余れば沈めて構いません」
「奪った船は食料とともに沖に停泊させて下さい。とにかく港に船は残さないでください。敵に食料を渡してはいけません」
「その作戦を実行している間は、城内から守兵が500人減ります。その分苦しい防衛戦になるでしょう。その時だけでいいので、事情を説明して民からさらに義勇兵を募って城を守り切って下さい。ここでの守りが勝負どころとなります」
「食料を焼いた時点で、敵は我々の意図に気づくでしょう。きっと城にメチャクチャに攻め込んでくるでしょう。飢える前に城を占領すれば敵の勝ち。占領できなければ我らの勝ちです。戦闘は日が経つほどエルフ軍が有利になるでしょう」
「この作戦を、城を守る兵たちに伝えて下さい。そしてなにがなんでも城を守りきって下さい。城を守りきった時、残っている敵兵の全てが、エルフ軍の捕虜になります。そしてその捕虜の多さが戦後処理の大きな力になります」
「確かにそれができれば形勢逆転だ!」と、エルフ王が頷く。
「必ず形勢逆転できます。戦闘の間に、王と文官たちに考えておいていただきたいのは、戦後のことです。エルフ軍は必ず勝ちます。要点は、連合国で奴隷にされているエルフ族をどう取り返すか? それと戦後交渉の条件、連合軍と締結する条約の内容になります」
「フウタ殿! あなたは何者なのだ? 転生前に戦争を指導してきた経験でもあるのですか!」
「分かりません。転生前の記憶は断片的にしか残っていませんので!」
夜が明けかかってきた。
武装した100人の兵が箱に乗り込む。レッドがロープを掴んで箱ごと空中に飛び立っていく。
箱は大きく揺れながら上空に上がっていく。
兵たちは必死にロープを掴んでいる。兵たちの目はやる気に満ちている。
最初の目標は海岸近くに積み上げた食料だ!
敵兵が慌てた様子でこちらを見つめている。
『ドラゴンは敵だったのか?』というような不安な顔つきになっている。
レッドが海岸近くに積み上げた食料に、火球を2発も放つと食料が炭になる。
ここまでは予定通りに進んでいる。
その後も手順通り進んでいってほしい。
港でのエルフ兵が奮起し、200隻の船の拿捕に成功する。
拿捕した船は、連合軍が手出しできないように沖に停泊させた。
拿捕した船には、食料が満載してあった。
船に積載された食料はマジックバッグに入れて、レッドの背に乗って城まで運搬する。
城の食料庫は食料で溢れかえる。
エルフ国で操船可能な船の数は限られるだろう。
そうであれば、鹵獲した船は多くあるものの、軍船以外はたぶん不要となるかもしれない。
ゼピュロス村が余った船をもらったとしても精々2隻ぐらいかな。
残りは魔王国にプレゼントしてもいいかな?
まあそのあたりは、エルフ王にお任せだ。
港近くに集積した食料が焼かれ、港から船が全て奪われていることで、連合軍もエルフ軍の意図するところが分かったようだ。
敵兵は狂ったような勢いで攻め始める。
食料が無くなるまでに城を占領できなければ、負けることが自明だからだ。
城への攻撃は熾烈を極める。
兵や騎士の損失など、無視した無茶苦茶な攻撃が始まる。
しかしエルフたちも、避難してきた民も、一緒になって必死で攻撃に耐える。
必死で守る! 耐えて! 耐えて、城を守り切る。
負ければ国を失うのだ!
我慢比べだ。エルフ側は、もはや女性も子供も戦っている。
いくら攻撃しても城は落ちない。
お互いの軍に、死者と負傷者が増えていく。
徐々に連合軍の攻撃力が低下していく。
敵兵の戦意が低下していくのが分かる!
数日が経過すると、敵軍の攻撃がピタリとやむ。
城の周りが静かになる。
敵軍に飢えが始まっているのだろう。
食料のない連合軍など、もはや怖くも何ともないのだ。
それにしても激戦だった。エルフ軍が守りきった。
エルフ軍は約1000人が戦死、民にも被害が多くでている。
連合軍も自軍の損害を無視した攻撃により約10000人が戦死、ほぼすべての兵が負傷している。
兵は無意味に死んでいく……
しかし、戦争を進めた連合国の指導者や王族は誰も死ぬことはない……
まったく戦争というのは下らない。
「まず夜の間に兵100人が乗れる箱を作って下さい。箱にはレッドが足で掴んで飛べるように、ロープを結んでおいて下さい。また箱が空中で揺れても兵が落ちないように、箱の中に、兵が掴むためのロープを張っておいて下さい」
「明日の未明、船の操船ができる兵100人を、箱に乗って待機しさせて下さい。集合を確認後、レッドが箱を持ち上げて空を飛びます。次に運ぶ兵100人は、レッドが戻ってきたら急いで中庭に集合させるようにして下さい」
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「桟橋には多くの船が並んで係留されています。桟橋の一番奥の船をドラゴンの火球で焼き払います。その船の船員たちは、死にたくないので争って海に飛び込むでしょう。その隣の船も焼き払います。同じくその船の船員たちも海に飛び込むでしょう」
「そうすると、沈められた2隻の船の近くに係留された、少なくとも隣り合った複数の船の船員たちは、次は自分たちの番だと思います。船の船員たちは我先に海に飛び込むか。船に残った者もすぐに飛び込めるように準備することでしょう」
「そのタイミングでその船の近くの桟橋に、兵を乗せた箱を降ろします。兵が箱から降りれば、箱を掴んで再びドラゴンが空に飛び上がります」
「桟橋に降ろした兵は、船員が飛び降りた船に大急ぎで乗り込んでください。海に飛び込まないで船に残っている船員は全員始末して下さい。その船の制圧が終わったら、次はその隣の船という具合に、順に船を制圧していって下さい」
「海に落ちた敵船員も、弓で全員始末してください。俺とレッドは、船から船員が飛び降りない船に対して、船の近くに火球を放って脅していきます」
「そのようにして船から次々船員を海に飛び込ませていくので、兵100人で奪えるだけの船を奪えるよう頑張ってください」
「その状況を見届けたら俺たちは城に戻り、次の兵100人を桟橋に運びます。これを繰り返すので、敵船を奪えるだけ奪って下さい」
「500人程度の兵を桟橋に運び終わったら、ドラゴンと俺は、沖合の船の数隻を焼きます。その後は、船の近くに火球を放って船員を海に飛び込ませるようにします」
「沖合の船に火球が放たれる様子を確認したら、桟橋で船を奪う部隊と、拿捕した船に乗り込んで沖に停泊した船を奪う部隊の2つの部隊に別れて下さい。こんな手順で、沖の敵船も奪えるだけ奪って下さい」
「桟橋に係留した船にも、沖合で停泊した船にも食料が満載になっている船があると思います。その船は必ず奪って下さい。奪う船の優先順位は、食料を積んでいる船が1番、次が軍船です。食料を積んでいない商船は優先順位が低いです。そういう船は後回しにするか、手に余れば沈めて構いません」
「奪った船は食料とともに沖に停泊させて下さい。とにかく港に船は残さないでください。敵に食料を渡してはいけません」
「その作戦を実行している間は、城内から守兵が500人減ります。その分苦しい防衛戦になるでしょう。その時だけでいいので、事情を説明して民からさらに義勇兵を募って城を守り切って下さい。ここでの守りが勝負どころとなります」
「食料を焼いた時点で、敵は我々の意図に気づくでしょう。きっと城にメチャクチャに攻め込んでくるでしょう。飢える前に城を占領すれば敵の勝ち。占領できなければ我らの勝ちです。戦闘は日が経つほどエルフ軍が有利になるでしょう」
「この作戦を、城を守る兵たちに伝えて下さい。そしてなにがなんでも城を守りきって下さい。城を守りきった時、残っている敵兵の全てが、エルフ軍の捕虜になります。そしてその捕虜の多さが戦後処理の大きな力になります」
「確かにそれができれば形勢逆転だ!」と、エルフ王が頷く。
「必ず形勢逆転できます。戦闘の間に、王と文官たちに考えておいていただきたいのは、戦後のことです。エルフ軍は必ず勝ちます。要点は、連合国で奴隷にされているエルフ族をどう取り返すか? それと戦後交渉の条件、連合軍と締結する条約の内容になります」
「フウタ殿! あなたは何者なのだ? 転生前に戦争を指導してきた経験でもあるのですか!」
「分かりません。転生前の記憶は断片的にしか残っていませんので!」
夜が明けかかってきた。
武装した100人の兵が箱に乗り込む。レッドがロープを掴んで箱ごと空中に飛び立っていく。
箱は大きく揺れながら上空に上がっていく。
兵たちは必死にロープを掴んでいる。兵たちの目はやる気に満ちている。
最初の目標は海岸近くに積み上げた食料だ!
敵兵が慌てた様子でこちらを見つめている。
『ドラゴンは敵だったのか?』というような不安な顔つきになっている。
レッドが海岸近くに積み上げた食料に、火球を2発も放つと食料が炭になる。
ここまでは予定通りに進んでいる。
その後も手順通り進んでいってほしい。
港でのエルフ兵が奮起し、200隻の船の拿捕に成功する。
拿捕した船は、連合軍が手出しできないように沖に停泊させた。
拿捕した船には、食料が満載してあった。
船に積載された食料はマジックバッグに入れて、レッドの背に乗って城まで運搬する。
城の食料庫は食料で溢れかえる。
エルフ国で操船可能な船の数は限られるだろう。
そうであれば、鹵獲した船は多くあるものの、軍船以外はたぶん不要となるかもしれない。
ゼピュロス村が余った船をもらったとしても精々2隻ぐらいかな。
残りは魔王国にプレゼントしてもいいかな?
まあそのあたりは、エルフ王にお任せだ。
港近くに集積した食料が焼かれ、港から船が全て奪われていることで、連合軍もエルフ軍の意図するところが分かったようだ。
敵兵は狂ったような勢いで攻め始める。
食料が無くなるまでに城を占領できなければ、負けることが自明だからだ。
城への攻撃は熾烈を極める。
兵や騎士の損失など、無視した無茶苦茶な攻撃が始まる。
しかしエルフたちも、避難してきた民も、一緒になって必死で攻撃に耐える。
必死で守る! 耐えて! 耐えて、城を守り切る。
負ければ国を失うのだ!
我慢比べだ。エルフ側は、もはや女性も子供も戦っている。
いくら攻撃しても城は落ちない。
お互いの軍に、死者と負傷者が増えていく。
徐々に連合軍の攻撃力が低下していく。
敵兵の戦意が低下していくのが分かる!
数日が経過すると、敵軍の攻撃がピタリとやむ。
城の周りが静かになる。
敵軍に飢えが始まっているのだろう。
食料のない連合軍など、もはや怖くも何ともないのだ。
それにしても激戦だった。エルフ軍が守りきった。
エルフ軍は約1000人が戦死、民にも被害が多くでている。
連合軍も自軍の損害を無視した攻撃により約10000人が戦死、ほぼすべての兵が負傷している。
兵は無意味に死んでいく……
しかし、戦争を進めた連合国の指導者や王族は誰も死ぬことはない……
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