WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

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第17話 奴隷商

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「先輩、気づきましたか?」
「なにをだ?」

「また……さっきの競争で最下位だった女の子が連れて行かれてました」
「まじか?」

「それに……あの外れて、叫んでた人もこっちは二人がかりで連れて行かれてましたよ」
「何なんだろうな?」

「もしかして……奴隷落ちとか?」
「そんな酷い仕打ち受けるの?」

「ギャンブルですからね……不思議ではないかも」
「マジだったら、かなり怖いな。でもさ、走ってた女の子には奴隷落ちする要素なんて無いんじゃない?」

「どうなんでしょうね? でも、彼女たちの表情とか見てると結構、深刻な感じがしましたよ?」

 まぁ、俺にはどうする事も出来ないので、とりあえずは宿屋に戻って待ち合わせのロビーに集まった。

「ランチを食べたら、出発しよう」

 アンドレ隊長がそう発言して、昼は普通にレストラン営業をしている宿屋の食堂で、ランチを頼んだ。

 ランチはメインを選び、スープとサラダそれにライスかパンが選べるスタイルで銀貨一枚、千ゴルだ。
 意外に良心的な設定だな。

 肉が続いたので、俺は白身魚のムニエルのような料理を頼んだが、塩とバターと柑橘系の果汁だけのシンプルな味付けは、美味しくなくはないのだが、やはり一味足りなかった。

 すると、アダムさんがお約束のペッパーミルを取り出して、渡してくれた。

「ありがとうございます。調味料の大切さが良く解りますね」

 そう返事をしたが、日本語は通じないのでホタルが訳してくれた。

「ホタル、奴隷商へ行った後で商業ギルドへ付き合って貰えるか?」
「いいですけど、何をするんですか?」

「調味料が継続的に手に入るかどうかを調べたくてな。もし、地球へ戻れなくても、大丈夫なように商売の基礎を作っておきたいんだ。それにホタルも言ってただろ? 商業ギルドの登録をすれば露天商が出来るって」
「確かにそうですけど、言葉の問題とかは大丈夫ですか?」

「それは勉強するしかないが、売り子は現地人を採用して、ホタルに少し協力して貰えれば何とかなるだろ?」
「そうですね。料理の名前や、値段をこの国の言葉でメニュー表にしてしまえば、大丈夫なのかな?」

 アンドレ隊長から希望の奴隷の種族と値段を書いた紙を渡された。

「獣人がいいんですか?」
「そうだな、俺は昨日カールとミッシェルに声を掛けて、ハンターで稼ぐことにしようと決めたけど、昨日のウルフの時でも思ったが狩りで倒すことよりも、その獲物を運ぶことの方が大変だと思ったからな。荷馬車のような物を購入して、その世話や雑用を任せる世話係は必要だと思うから現地人を雇えば言葉の習得もできそうだしな」

 食事を終え、奴隷商へと向かう。

 奴隷商は意外に清潔な建物で、外からは中を覗くことができないような建物だった。

 店内に入るとカチッとした格好の執事のような人が出迎えてくれて、応接室のような部屋へと案内された。

「当店へようこそ。私は店主のホセと申します。本日はどのような奴隷をお求めでしょうか?」

 七人分の紅茶が出されてホタルが説明を聞いてくれる。

「奴隷商に初めて訪れるので勝手がよくわからないんですが、私たちは国外から来たのですが、奴隷の購入は可能でしょうか?」
「国外からですか……この国にいる間は問題ありませんが、国外に連れ出す事は禁止されています。それでも構わないでしょうか?」

「はい、大丈夫です。予算は一千万ゴルまでで馭者の出来る獣人をお願いしたいのですが」
「馭者ですか、男女はどちらでも?」

「はい、構いません」
「馭者という事であれば、ドワーフもおすすめですよ? 馬車が壊れた時の修理などにも役に立ちますので」

 アンドレ隊長に確認すると、会ってみてから決めたいといわれたので、それを伝える。

「かしこまりました。条件に合うものを何人かお連れしましょう」

 待っている間に、アダムさんに聞いてみる。

「アダムさんは、奴隷は考えて無いのですか?」
「値段とその人物しだいかな。ダニエルが一緒に手伝ってくれる事にはなっているから、売り子を出来るような女の子が高くない値段でいるなら考えたい」

「とりあえずは最初に案内される人たちを見てからですね」

 十分後くらいに八人程の男女が案内されてきた。
 その中には……先程神殿の競技場で神官に連れて行かれていた女の子が混ざっていた。

「ホタル、気づいたか? さっきのレースで負けた女の子が二人ともいるぞ」
「ええ……本当に負けたら奴隷落ちになるなんて、女神の使徒っていわれてるのに酷いですよね」

 連れて来られた奴隷の名前と種族、年齢、値段が一覧にされた紙を渡された。

「今から十五分間ほど、それぞれの奴隷と話してみてください。その中で気に入った者がいれば、よろしくお願いいたします。一応今の服装は身体の傷や障害が無いかをチェックできるように簡素な造りになっていますが、必要以上の接触はお避け下さい」
「解りました」

 一覧表を眺めながら、ホタルが同じ内容を英語で書きだして、アンドレ隊長に渡した。

フラワー ♀  馬獣人  十五歳  一千万ゴル
フローラ ♀  馬獣人  十五歳  一千万ゴル

ウルガー ♂  狼獣人  二十三歳 五百万ゴル
ベーア  ♀  熊獣人  二十八歳 四百万ゴル

ニャル  ♀  猫獣人  十五歳  三百万ゴル
レトリー ♂  犬獣人  十七歳  二百万ゴル

ガイル  ♂  ドワーフ 三十五歳 八百万ゴル
ドーラ  ♀  ドワーフ 十八歳  三百万ゴル

 一応一人ずつにアンドレ隊長が質問した内容を伝える。

〇この国以外の言葉をある程度覚えてもらうことになるが大丈夫か?
〇馭者やハンターの雑用の仕事をしえ貰うことになるが、モンスターと戦うことは出来るか。
〇自分を買い戻したいと考えているか?

 その質問をしながら、受け答えする姿にいやそうな態度が出ていないかを見極めていた。

「あの? 私たちを買って頂けたら馬を買わなくても馬車をひくことができます」

 そう発言をしたのは、馬娘のフローラだった。

「あなたみたいな女の子が、人や獲物を乗せた馬車がひけるの?」
「はい、馬獣人には牽引の能力がありますから、大丈夫です。荷馬車用の馬でも一頭二百万ゴルはしますし、荷馬車では二頭立てが普通で、馬はエサや排泄の後始末なども手が掛かりますから、私達を二人引き取っていただけたらお得です」

 なぜか、馬娘たちは自分を売り込んできた。

「なんで、私達に買われたいと思っているの?」
「あの……性的な要求をされそうにないかなって……ごめんなさい」

「確かにそうかもしれないけど、ハンターの雑用には料理や解体もあるけど、大丈夫なんですか?」
「得意じゃないですが、頑張ります」

 他の人達もそれぞれに自己アピールはしていたが、一人と馬二頭の方が初期投資が低いからどうだろ? 判断はアンドレ隊長に任せた。

 時間が経過しホセさんが部屋に戻ってきた。
 
「お気に入りの奴隷は見つかりましたか?」
「はい。こちらのアンドレさんが、ベーアさんを購入したいという事です」

「熊獣人は力強いですし、ハンターのお供には御勧めでございます。それではお支払いを済ましていただければ早速隷属契約を行わせていただきます」

 馬娘、二人はしょんぼりして悲しそうな顔をしていた。
 俺は思わず聞いてみた。
 
「あの? この奴隷商で売れ残った場合はどうなるのでしょうか?」

 当然通じないからホタルが通訳してくれる。

「三か月で買い手がつかなかった場合は、男性は鉱山に、女性は風俗営業店に払い下げることになります。風俗の仕事が無理な女性の場合は鉱山送りですね」

「ホタル。ちょっと頼みがある」
「何ですか? 先輩」

「五百万ゴル貸してくれ」
「えー。まぁいいですけど、使った分だけの利益を出せる予定があるんですか?」

「わからないけど、なんとなく助けたいと思ったんじゃ駄目かな?」
「先輩の直感がそれを正しいと思ったならいいんじゃないですか?」

 そして俺はホセさんに「馬娘、二人は俺が買います」と伝えて貰った。
 アダムさんもダニエルさんと相談して、比較的安かったニャルを購入すると決めた。

「四人も購入して頂いて、ありがとうございます。サービスで衣装をお付けしますがご希望の服装はございますか?」

 俺とアダムさんはメイド服を頼み、アンドレさんはハンターの服装を頼んだ。

 その場で金貨で支払いをして、隷属の首輪を嵌められ引き渡された。
 
 奴隷商を出ると、カールさんが声を掛けてきた。

「アズマ。馬娘を二人も買って大丈夫なのか? もう資金は無いだろう? 何か確実に稼げる方法でもあるのか?」
「いえ、なんとなくこの娘たちにひかれたんですよね。偶然、午前中に神殿でこの二人が走ってる姿を見たのも何かの縁だと思って」

「そんなことで、全財産はたくなんてアズマはクレイジーだな」
「そうかもしれませんね」

 その後は、奴隷の四人を加えた十一人で、商業ギルドと武器屋をまわった。

 やはり胡椒は高級品で、この大陸では栽培されてないので品物がまず出回らないという事だった。
 アダムさんが商業ギルドの登録も済ませ、屋台の借り方を聞いたり出店場所の打ち合わせなどをしていた。

 武器屋ではハンターになるアンドレ隊長たちは武器と防具を見繕い、ベーアさんにも護身用のナイフを与えていた。

 俺はまだ装備品はいいかな?

 宿に到着するとホタルに頼んで、人数が増えたのでツインルームを一つ追加で借りることにした。
 個室よりは安いがそれでも一人一泊一万ゴルだ。

 俺はホタルに相談してみる。

「宿だとかなり出費がかさばるから、家を借りたいんだがどう思う?」
「そうですね、先輩使っちゃいましたもんね。でもあの二人どうするんですか? はっ、まさか、いたいけな少女にあんな事やらこんな事をしようとか思ってないでしょうね?」

「あのなぁ……俺はホタルに対してもそんな事は一度もしてないだろ? 
なんとなくだよ」
「何となくで二千万ゴルって、先輩ある意味大物ですよね」

「でも、奴隷があんな値段で買えるとか、人の尊厳とかが安い世界だよな」
「ですね……」

「とりあえず、あの二人と話をしてみよう。ホタル付き合ってくれ」
「了解です」
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