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第16話 女神の使徒の競争
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「ホタル、女の子がこの四百メートルトラックを走ってるのはわかるけど、どんなレースがあるんだ?」
「えーと、入り口で出走表を配ってましたから、これで説明しますね」
そう言いながらこの世界の不思議な文字で書かれている、ガリ版刷りのような出走表を広げる。
「一日に十二レースですね。出場者っていうか出走者は十五歳から十八歳の馬獣人の女の子だけで、一レースから三レース目までは十五歳の女の子限定競争です。距離は百メートルと、四百メートルと、千五百メートルの三種類ですね」
「予想とかは出てるの?」
「いえ、前走の距離とタイムと着順だけですね。出走表は主催者発行の場合は、予想印が付いて無いのは日本の公営ギャンブルと同じですね」
「まぁそうだけど、持ちタイムだけで予想するのは大変だよね」
「そうですよね、特に女性限定という所に落とし穴がありそうです」
「ん? どういうことだ?」
「ほら、女性には女の子の日があるから、そこに当たると本来のパフォーマンスが出せない子が多いんじゃないかな? って」
「あ、なるほどな。それだと持ちタイムだけを信じても危険って事か」
「とりあえず、賭け方みたいなのはどうなっているんだ?」
「聞いてみますね」
ホタルがそう言って、インフォーメーションのような場所に歩いて行く。
「すいません。初めて訪れたんですけど、馬券? っていうか投票券の買い方とか教えせて貰えますか?」
「買うのではなく、人生を賭けるのです」
「えっ? どういうことでしょう」
「各レースは十二名の使徒によって行われます。その一着の使徒を予想して自らのお告げカードを、参加者だけが入れる個室の中で専用の魔道具である書き込み機に挿入するのです、的中すればランダムで選ばれたスキルが倍になって記入されます。外れればスキルは無くなります」
「えーと……外れたら全部消えちゃうって事ですか?」
「その通りです。しかし当たった時に選ばれるスキルの中にはランク七の物まで含まれていますので、当てることさえできれば、その後の人生は希望に満ちた人生を歩めるでしょう」
「ランク七の確率ってどれくらいなんですか?」
「一万九千五百三十一分の一です、ランクが下がるにしたがって五倍ずつ出現率は上がります」
「ひくっ……そもそも十二分の一の一着を当てて、その上でその確率なら二十三万分の一くらいの確率って事ですよね?」
「予想をちゃんとできればもっと確率は高いはずですよ?」
「負けてギフトのなくなったカードには再びギフトを登録することはできるのですか?」
「勿論出来ます。カードランク分のスキル登録枠はありますので、逆転を狙ってランク一スキルを複数登録されて再勝負をする方も多いですよ」
「解りました。ありがとうございます」
ホタルがほぼ同時通訳で説明してくれたので、俺も内容は理解できたが、もし俺のスキルで結果が予知できるなら……かなり美味しいシステムだな。
実戦を行う前に実際の競争を見て見る事にした。
次に行われる競争は千五百メートルの十五歳未勝利戦だ。トラックを三周と四分の三、走るオープンコースの競争という事だ。
百メートルは直線のみ、四百メートルはセパレートコースだから、かけひきが必要な唯一の競争と言ってもいいだろう。
でも俺は別にちゃんと予想する訳じゃ無く、ゴールする時間に合わせて予知をするだけなんだけどね。
この競争で俺が知りたいのは、発売締め切りから出走迄の時間がどれくらいかかるのかと、ゴール地点の予知をちゃんと行えるかの実験だ。
地球の競馬場だと、電光掲示板やテレビモニターが結果を映し出すから、その表示機器の画像を予知すれば簡単だが、この競走場には結果表示機器など何もないから、正確にゴール地点を予想しなければならない。
昼の十二時には奴隷商を見に行く約束をしていたから、午前中の三レースしか見る事は出来ないけど、それで必勝パターンを見つけなきゃね。
俺は、腕時計を確認して投票締め切り時刻から発走までの時間を計る。
これは正確に五分だった。
次は実績上のゴール時間を予想して、ゴール地点に集中して【予知】を発動した。
しかし、俺の眼に見えた光景はまだゴールラインには誰も到達していない光景だった。
もう一度、少しずらした未来を見ようとしたら、見えなかった。
もしかして、一つの勝負には一回しか見る事が出来ないのか?
だとしたら……ゴールタイムがほぼ安定して予想できる百メートル競走に限定して見ないといけないな。
一秒もずれたら、誰が一着だったかなんてわからないからな……
せめて予知が動画で見れるなら、いいんだが静止画でしかイメージできないからなぁ。
一着でゴールした女の子が満面の笑顔で観客に向かって手を振っている中で、最下位だった女の子が悲壮な顔をしながら神官服を纏った男性に連れて行かれていた。
あの子……どうなっちゃうんだろ? と、気にはなったが、今は人のことを気にかける余裕なんて無い。
次の競争は百メートルの十六歳以上一勝クラスの競争だった。
競争自体は三十分間隔での発走予定になっているので、少し時間には余裕がある。
「先輩、まだ勝負はしないんですか?」
「確実に結果が見えるまでは、やるべきじゃないだろ。負けても再挑戦が出来ると言っても一度負けてしまえば、俺の【予知】は無くなってしまうから、それこそギャンブルになるし、俺はギャンブルをやる訳じゃ無くて確実な投資がしたいだけだからな」
「競馬で当てたお金で世界一周を始めた人のセリフとは思えないですね」
「違うよ。競馬で当てたからこそだ。理屈で考えれば公営ギャンブルなんて馬券を買った時点で確実に二十五パーセントのお金を失ってるんだから、それで人生一生分のお金を手に入れた以上は、ギャンブルからは卒業なんだよ」
「あれ? 先輩、台湾や『ダービーキングダム』でスロットとかしてたじゃないですか?」
「あー、俺の言うギャンブルっていうのは生活を賭けるような賭け方で、今の俺に取って一日、十万円程度の金額で遊ぶのは、ギャンブルじゃ無くてレジャーなんだよな」
「ふーん……持ってる人の余裕ってやつですね」
「その持ってるお金も、地球に戻れなけりゃ使う事も出来ないけどな!」
「もし戻れなかったら、先輩の財産ってどうなるんですか?」
「あーマンション買った時にさ。司法書士の先生から、まさかの時のために、相続人をちゃんと決めて下さい! って言われたから、両親の名前書いて遺言状にしておいたから心配ない。親父もお袋もまだ六十前だから、失踪判定の出る七年を過ぎてもきっと元気だろうし、『ダービーキングダム』に乗ることは両親には伝えて無かったけど。司法書士の先生は知ってたからね」
「そうなんだ。意外にしっかりしてますね」
「まぁ。ホタルがマンションの事すすめてこなかったら、まったく何もしなかっただろうけどな」
「感謝していいですよ?」
「してるさ。つい一月前じゃ想像もできないほどの経験をしてるからな。でもさ、ホタルは逆に戻れたらどうするんだ? スキルが向こうでも使えたら、夢は叶っちゃったわけだろ? 夢の続きは考えてるのか」
「そうですね、折角こんな経験してるからこの経験をノンフィクションラノベに仕立て上げるってどうですか?」
「それはそれで需要はありそうだな。スマホのバッテリーが生きてるうちに、写真撮りまくらなきゃな」
「船の中なら、ソーラー充電器とか積んでたのになぁ」
「まぁ持って来なかったものはしょうがないさ。今は出来ることをするだけだな」
次のレースの出走時間を迎える。
「ホタルは出走予定時間から、何分何秒後に正確にゴール板を通過したのかを、スマホのストップウオッチ機能で計って貰えるか? 一つのレースにつき一度しか【予知】出来ないから、精度が大事だ」
「了解! でも、それで確実に当てれるようになったら、私もスキル増やしたいから、情報提供はよろしくお願いしますね」
「そうだな、でも他のメンバーには内緒にしておいて欲しいな。複数の人間が連続当選するとか怪しすぎるから、邪魔が入りそうだし」
「それもそうですね。私も先輩に寄生して生きて行くだけにしておこうかな?」
「まぁこの先はどうなるかわからないから、自分だけの切り札ってやつは持っておきたいからな」
「ですね。あ、レース始まりますよ」
俺は、前走の百メートルの走破タイムの九秒ジャストのタイムを参考にして、【予知】を発動した。
小さく呟く。
『三番』……しかし、そのつぶやきは声にならなかった。
(えっ?)もしかして俺の【予知】能力は人に答えを伝えられない仕様なのか?
自分で使う分には問題ないけど、人に知らせる事はできない?
微妙な仕様だな……
だが、レースの結果は予知で見た通りの、三番の女の子が一着でゴールテープを切った。
陸上競技との差は、テープに最初に触れればゴールと認められるみたいだ。
手でも構わないなら、そこにゴール間際のテクニックが存在するのかな?
「先輩、一応出走予定時間からの正確なタイムは計測しましたけど、こんなの毎レース何秒かのずれは絶対起こりますよね?」
「そうだな、だが全レースを【予知】しながら、偶然ゴールのタイミングが見えた競争だけに限定すればいいだけだ。焦る必要は無いよ」
「そうですね、そろそろお昼になるから、一度、宿に戻りましょう」
「了解だ」
俺達はレースの結果によって、外れて発狂したように叫んでいる人や、当たって大喜びをする人たちを見ながら、競走場を去った。
「えーと、入り口で出走表を配ってましたから、これで説明しますね」
そう言いながらこの世界の不思議な文字で書かれている、ガリ版刷りのような出走表を広げる。
「一日に十二レースですね。出場者っていうか出走者は十五歳から十八歳の馬獣人の女の子だけで、一レースから三レース目までは十五歳の女の子限定競争です。距離は百メートルと、四百メートルと、千五百メートルの三種類ですね」
「予想とかは出てるの?」
「いえ、前走の距離とタイムと着順だけですね。出走表は主催者発行の場合は、予想印が付いて無いのは日本の公営ギャンブルと同じですね」
「まぁそうだけど、持ちタイムだけで予想するのは大変だよね」
「そうですよね、特に女性限定という所に落とし穴がありそうです」
「ん? どういうことだ?」
「ほら、女性には女の子の日があるから、そこに当たると本来のパフォーマンスが出せない子が多いんじゃないかな? って」
「あ、なるほどな。それだと持ちタイムだけを信じても危険って事か」
「とりあえず、賭け方みたいなのはどうなっているんだ?」
「聞いてみますね」
ホタルがそう言って、インフォーメーションのような場所に歩いて行く。
「すいません。初めて訪れたんですけど、馬券? っていうか投票券の買い方とか教えせて貰えますか?」
「買うのではなく、人生を賭けるのです」
「えっ? どういうことでしょう」
「各レースは十二名の使徒によって行われます。その一着の使徒を予想して自らのお告げカードを、参加者だけが入れる個室の中で専用の魔道具である書き込み機に挿入するのです、的中すればランダムで選ばれたスキルが倍になって記入されます。外れればスキルは無くなります」
「えーと……外れたら全部消えちゃうって事ですか?」
「その通りです。しかし当たった時に選ばれるスキルの中にはランク七の物まで含まれていますので、当てることさえできれば、その後の人生は希望に満ちた人生を歩めるでしょう」
「ランク七の確率ってどれくらいなんですか?」
「一万九千五百三十一分の一です、ランクが下がるにしたがって五倍ずつ出現率は上がります」
「ひくっ……そもそも十二分の一の一着を当てて、その上でその確率なら二十三万分の一くらいの確率って事ですよね?」
「予想をちゃんとできればもっと確率は高いはずですよ?」
「負けてギフトのなくなったカードには再びギフトを登録することはできるのですか?」
「勿論出来ます。カードランク分のスキル登録枠はありますので、逆転を狙ってランク一スキルを複数登録されて再勝負をする方も多いですよ」
「解りました。ありがとうございます」
ホタルがほぼ同時通訳で説明してくれたので、俺も内容は理解できたが、もし俺のスキルで結果が予知できるなら……かなり美味しいシステムだな。
実戦を行う前に実際の競争を見て見る事にした。
次に行われる競争は千五百メートルの十五歳未勝利戦だ。トラックを三周と四分の三、走るオープンコースの競争という事だ。
百メートルは直線のみ、四百メートルはセパレートコースだから、かけひきが必要な唯一の競争と言ってもいいだろう。
でも俺は別にちゃんと予想する訳じゃ無く、ゴールする時間に合わせて予知をするだけなんだけどね。
この競争で俺が知りたいのは、発売締め切りから出走迄の時間がどれくらいかかるのかと、ゴール地点の予知をちゃんと行えるかの実験だ。
地球の競馬場だと、電光掲示板やテレビモニターが結果を映し出すから、その表示機器の画像を予知すれば簡単だが、この競走場には結果表示機器など何もないから、正確にゴール地点を予想しなければならない。
昼の十二時には奴隷商を見に行く約束をしていたから、午前中の三レースしか見る事は出来ないけど、それで必勝パターンを見つけなきゃね。
俺は、腕時計を確認して投票締め切り時刻から発走までの時間を計る。
これは正確に五分だった。
次は実績上のゴール時間を予想して、ゴール地点に集中して【予知】を発動した。
しかし、俺の眼に見えた光景はまだゴールラインには誰も到達していない光景だった。
もう一度、少しずらした未来を見ようとしたら、見えなかった。
もしかして、一つの勝負には一回しか見る事が出来ないのか?
だとしたら……ゴールタイムがほぼ安定して予想できる百メートル競走に限定して見ないといけないな。
一秒もずれたら、誰が一着だったかなんてわからないからな……
せめて予知が動画で見れるなら、いいんだが静止画でしかイメージできないからなぁ。
一着でゴールした女の子が満面の笑顔で観客に向かって手を振っている中で、最下位だった女の子が悲壮な顔をしながら神官服を纏った男性に連れて行かれていた。
あの子……どうなっちゃうんだろ? と、気にはなったが、今は人のことを気にかける余裕なんて無い。
次の競争は百メートルの十六歳以上一勝クラスの競争だった。
競争自体は三十分間隔での発走予定になっているので、少し時間には余裕がある。
「先輩、まだ勝負はしないんですか?」
「確実に結果が見えるまでは、やるべきじゃないだろ。負けても再挑戦が出来ると言っても一度負けてしまえば、俺の【予知】は無くなってしまうから、それこそギャンブルになるし、俺はギャンブルをやる訳じゃ無くて確実な投資がしたいだけだからな」
「競馬で当てたお金で世界一周を始めた人のセリフとは思えないですね」
「違うよ。競馬で当てたからこそだ。理屈で考えれば公営ギャンブルなんて馬券を買った時点で確実に二十五パーセントのお金を失ってるんだから、それで人生一生分のお金を手に入れた以上は、ギャンブルからは卒業なんだよ」
「あれ? 先輩、台湾や『ダービーキングダム』でスロットとかしてたじゃないですか?」
「あー、俺の言うギャンブルっていうのは生活を賭けるような賭け方で、今の俺に取って一日、十万円程度の金額で遊ぶのは、ギャンブルじゃ無くてレジャーなんだよな」
「ふーん……持ってる人の余裕ってやつですね」
「その持ってるお金も、地球に戻れなけりゃ使う事も出来ないけどな!」
「もし戻れなかったら、先輩の財産ってどうなるんですか?」
「あーマンション買った時にさ。司法書士の先生から、まさかの時のために、相続人をちゃんと決めて下さい! って言われたから、両親の名前書いて遺言状にしておいたから心配ない。親父もお袋もまだ六十前だから、失踪判定の出る七年を過ぎてもきっと元気だろうし、『ダービーキングダム』に乗ることは両親には伝えて無かったけど。司法書士の先生は知ってたからね」
「そうなんだ。意外にしっかりしてますね」
「まぁ。ホタルがマンションの事すすめてこなかったら、まったく何もしなかっただろうけどな」
「感謝していいですよ?」
「してるさ。つい一月前じゃ想像もできないほどの経験をしてるからな。でもさ、ホタルは逆に戻れたらどうするんだ? スキルが向こうでも使えたら、夢は叶っちゃったわけだろ? 夢の続きは考えてるのか」
「そうですね、折角こんな経験してるからこの経験をノンフィクションラノベに仕立て上げるってどうですか?」
「それはそれで需要はありそうだな。スマホのバッテリーが生きてるうちに、写真撮りまくらなきゃな」
「船の中なら、ソーラー充電器とか積んでたのになぁ」
「まぁ持って来なかったものはしょうがないさ。今は出来ることをするだけだな」
次のレースの出走時間を迎える。
「ホタルは出走予定時間から、何分何秒後に正確にゴール板を通過したのかを、スマホのストップウオッチ機能で計って貰えるか? 一つのレースにつき一度しか【予知】出来ないから、精度が大事だ」
「了解! でも、それで確実に当てれるようになったら、私もスキル増やしたいから、情報提供はよろしくお願いしますね」
「そうだな、でも他のメンバーには内緒にしておいて欲しいな。複数の人間が連続当選するとか怪しすぎるから、邪魔が入りそうだし」
「それもそうですね。私も先輩に寄生して生きて行くだけにしておこうかな?」
「まぁこの先はどうなるかわからないから、自分だけの切り札ってやつは持っておきたいからな」
「ですね。あ、レース始まりますよ」
俺は、前走の百メートルの走破タイムの九秒ジャストのタイムを参考にして、【予知】を発動した。
小さく呟く。
『三番』……しかし、そのつぶやきは声にならなかった。
(えっ?)もしかして俺の【予知】能力は人に答えを伝えられない仕様なのか?
自分で使う分には問題ないけど、人に知らせる事はできない?
微妙な仕様だな……
だが、レースの結果は予知で見た通りの、三番の女の子が一着でゴールテープを切った。
陸上競技との差は、テープに最初に触れればゴールと認められるみたいだ。
手でも構わないなら、そこにゴール間際のテクニックが存在するのかな?
「先輩、一応出走予定時間からの正確なタイムは計測しましたけど、こんなの毎レース何秒かのずれは絶対起こりますよね?」
「そうだな、だが全レースを【予知】しながら、偶然ゴールのタイミングが見えた競争だけに限定すればいいだけだ。焦る必要は無いよ」
「そうですね、そろそろお昼になるから、一度、宿に戻りましょう」
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