38 / 104
第38話 名物料理を作ろう③
しおりを挟む
俺はナディアとチュール、それに旅館の娘ミーチェを連れて、冒険者ギルドへと向かった。
受付嬢に窓口で質問した。
「すいません。この辺りで常時狩れる魔物で、食味も良くてギルドでも安定して購入できるのは、何がお薦めですか?」
「随分条件が多いわね。そうですね。それならお薦めは山羊牛かな」
「ゴートカウか。山羊と牛の特徴を持った魔物で、肉質の柔らかいBランクの魔物だったかな?」
「良く知ってらっしゃいますね。放牧地帯の奥に行くと結構遭遇があるみたいです。草食なんですけど、他の草食獣を見ると殺してその辺りの草を食べてしまうので、おこぼれを狙った、グレーウルフ達も集まり易くて結構困ってるので、常時依頼を出して積極的に退治して貰ってます」
「そっか。買取価格はどれくらいなんだ?」
「討伐証明の角の納品だけで銀貨二枚、素材納品は丸ごとですと、大きさと状態で変動はありますが、大体金貨三枚平均での引き取りですね」
「結構高いんだな」
「一頭が1トンを超えるので、丸ごと納品できる人は少ないですから……」
「なる程な、常時依頼って事は狩って来て納品したらいいんだよな?」
「はい。そうですね」
「解った。ありがとう」
そう伝えると、街を出て放牧地帯の奥にある山を目指した。
「カイン。ゴートカウって強いの?」
「ああ、単体ではオーガと同程度のCランクの強さしか無いんだけどな。ウルフの群れが一緒に行動してる事が多いんだ。だからBランク指定だな」
「そうなんだね」
「ウルフは範囲魔法が使えるナディアに頼むな」
「解りました」
「チュールはミーチェと二人で、倒したウルフの素材剥ぎ取りを中心に頼む」
「うん」
「俺は、ゴートカウを倒して、解体して試作用の素材を集める」
狩りを始めると……
『ファイヤレインアロー』
ナディアが いきなり炎系の範囲魔法で、火の矢を降らせた。
「おいおい、ウルフは皮が売れるから火は止めてくれ。肉はうまくは無いけど干し肉には出来るから、これは全部売ってしまおう。本当は自分で食べないのを殺したくないけど、こいつら始末しないとゴートカウを倒せないからしょうがない」
取り敢えず二頭のゴートカウを仕留めたので、試作分には十分だ。
「ゴートカウってさ……カウなのに雄なんだな!」
そう言いながら、死体を確認してると。
「シュゴイ、オッキイデシュ……」
「おい、エロガキ。魔物の股間で興奮するんじゃねぇ」
チュールとナディアのミーチェを見る目もドン引きだった。
「あ、あの。別に股間に興味とか無いですから……」
「いいから、早くグレーウルフの素材剥ぎ取りを手伝えよ?」
「ハイ……」
これをミーチェにさせたのは、どの程度の調理技術を持ってるのかを、判断するためだ。
実際に解体をさせて見るのが一番わかるからな。
まぁ、まだ子供だから大きな期待はしてないが、出来るレベルで教える料理も変わるしな。
俺が、ゴートカウを捌き始めると、ミーチェの手が再び止まった。
「す、凄い……」
今度は嚙んでないからエロい事は考えて無いだろう。
「なぁ、風見鶏亭の二人の息子はどの程度の腕前だ? あ、味付けとかは期待してない。捌く技術だ」
「えーと、私よりは上手ですよ?」
「そうか、それなら十分だ」
実際、ウルフを解体しているミーチェは、そんなに下手では無かった。寧ろ解体は上手いと言えるだろう。
「解体は誰に習ったんだ?」
「お父さんが素材は丸ごとで仕入れる人だったから、私達は三人でお父さんと、大倉亭の料理長になった、キンゾウさんに習いました」
「キンゾウって言う料理人の腕は良かったのか?」
「お父さんが殆ど調理場の事は任せてたし、良い職人さんだと思います」
「そうか、じゃぁ負けない様な料理を作らないとな」
俺はゴートカウを解体して、枝肉にその場で分けて行った。
ネック、ロース、ヒレ、モモ、アバラ、ランプ、テイル、スネ。
肉の部位を並べてみる。
食べやすくて美味しいのは、ロースとヒレなのは言うまでもない。
だが、今回主に使うのは、アバラ肉だな。
カルビとも呼ばれるこの部分を骨付き状態で提供するトマホークステーキを今回の目玉商品として、提案する事にした。
昨日、バイキングの食堂で食事に行った時にキッチンカウンターに大きな鉄板があったのを確認していた事もある。
風見鶏亭では、料理の提供方法がバイキング形式なので、単価の高いロースやヒレを使うのは、利益率を考えると最良の選択とは言えないからだ。
あばらの部分を除いた他の枝肉は、ギルドに売る為に魔法の鞄に収納する。
後は内臓系だ。
今回は内臓も大事だ。
特に小腸、これを丁寧に洗って使う予定だ。
この世界では、内臓系の肉はとても安く取引されるのでお薦めなんだ。
きちんと処理をすれば、筋肉部分と同じように美味しく食べる事が出来る。
もう一つはタンだな。
舌の部分だが、ここもとても美味しい。
魔物肉は、普通に畜産で育てられる肉に比べると高価なイメージもあるし、実際に同じ部位で比べれば、値段が3倍ほども違うので、客から見た場合も豪勢なイメージを持ってもらえる筈だしな。
早速俺が思いついた料理を、ミーチェ達三人に食べて貰った。
「どうだ? 美味いだろ」
「「「うん」」」
「凄いです、どれも滅茶苦茶美味しいです。見た目も華やかだしこれをバイキングのメインにするって事ですよね?」
「そうだ。折角叔父さん達が考えた、バイキングのシステム自体は尊重して、その中で話題になる程美味しい料理を、調理技術にあまり左右されない形で提供する。これが、今回の大事なポイントだ」
「私、叔父さん達を説得して見ますね」
「それが一番大事だ。本人達がやる気にならないと、考えても無駄になるだけだからな」
繊細な味付けや盛り付けを得意とする、アケボノ料理が得意な料理人に対して、技術も経験も足らない状態で勝負をする風見鶏亭が、同じ分野で挑んでも勝負にならないので、この選択に間違いはないと思う。
よし、準備は完了だな。
この日狩った、魔物をギルドに納品に行くと金貨10枚ほどになった。
「あれ? 聞いてたより買取が高くない?」
「処理が完璧で、状態がとても良いのでこの値段での買取になります。出来れば今後も継続して納品して欲しいですね」
「そうか、この街に居る間は頑張るよ」
そう伝えて、宿へと戻った。
宿に戻ると、フィルも戻って来ていた。
「鎧と剣は売って来たよ。オークションを勧められたけど、商業ギルドに買い取って貰っちゃった。全部で金貨1000枚になったわ。その後でこの地方の特産品とか調べて来たよ」
「ありがとう。いいものは在ったかい?」
「うん。この地域は酪農が中心だから、チーズやバターは良い物が揃ってるわね」
「やっぱりそうか。そっちは朝食で利用できそうだな」
その日の夕食は、宿のおかみさんの用意してくれた、この地方の家庭料理を中心にした献立をいただいた。
素朴だが落ち着く悪くない料理だった。
気取って無い所がいい。
これなら十分に勝負になるな。
受付嬢に窓口で質問した。
「すいません。この辺りで常時狩れる魔物で、食味も良くてギルドでも安定して購入できるのは、何がお薦めですか?」
「随分条件が多いわね。そうですね。それならお薦めは山羊牛かな」
「ゴートカウか。山羊と牛の特徴を持った魔物で、肉質の柔らかいBランクの魔物だったかな?」
「良く知ってらっしゃいますね。放牧地帯の奥に行くと結構遭遇があるみたいです。草食なんですけど、他の草食獣を見ると殺してその辺りの草を食べてしまうので、おこぼれを狙った、グレーウルフ達も集まり易くて結構困ってるので、常時依頼を出して積極的に退治して貰ってます」
「そっか。買取価格はどれくらいなんだ?」
「討伐証明の角の納品だけで銀貨二枚、素材納品は丸ごとですと、大きさと状態で変動はありますが、大体金貨三枚平均での引き取りですね」
「結構高いんだな」
「一頭が1トンを超えるので、丸ごと納品できる人は少ないですから……」
「なる程な、常時依頼って事は狩って来て納品したらいいんだよな?」
「はい。そうですね」
「解った。ありがとう」
そう伝えると、街を出て放牧地帯の奥にある山を目指した。
「カイン。ゴートカウって強いの?」
「ああ、単体ではオーガと同程度のCランクの強さしか無いんだけどな。ウルフの群れが一緒に行動してる事が多いんだ。だからBランク指定だな」
「そうなんだね」
「ウルフは範囲魔法が使えるナディアに頼むな」
「解りました」
「チュールはミーチェと二人で、倒したウルフの素材剥ぎ取りを中心に頼む」
「うん」
「俺は、ゴートカウを倒して、解体して試作用の素材を集める」
狩りを始めると……
『ファイヤレインアロー』
ナディアが いきなり炎系の範囲魔法で、火の矢を降らせた。
「おいおい、ウルフは皮が売れるから火は止めてくれ。肉はうまくは無いけど干し肉には出来るから、これは全部売ってしまおう。本当は自分で食べないのを殺したくないけど、こいつら始末しないとゴートカウを倒せないからしょうがない」
取り敢えず二頭のゴートカウを仕留めたので、試作分には十分だ。
「ゴートカウってさ……カウなのに雄なんだな!」
そう言いながら、死体を確認してると。
「シュゴイ、オッキイデシュ……」
「おい、エロガキ。魔物の股間で興奮するんじゃねぇ」
チュールとナディアのミーチェを見る目もドン引きだった。
「あ、あの。別に股間に興味とか無いですから……」
「いいから、早くグレーウルフの素材剥ぎ取りを手伝えよ?」
「ハイ……」
これをミーチェにさせたのは、どの程度の調理技術を持ってるのかを、判断するためだ。
実際に解体をさせて見るのが一番わかるからな。
まぁ、まだ子供だから大きな期待はしてないが、出来るレベルで教える料理も変わるしな。
俺が、ゴートカウを捌き始めると、ミーチェの手が再び止まった。
「す、凄い……」
今度は嚙んでないからエロい事は考えて無いだろう。
「なぁ、風見鶏亭の二人の息子はどの程度の腕前だ? あ、味付けとかは期待してない。捌く技術だ」
「えーと、私よりは上手ですよ?」
「そうか、それなら十分だ」
実際、ウルフを解体しているミーチェは、そんなに下手では無かった。寧ろ解体は上手いと言えるだろう。
「解体は誰に習ったんだ?」
「お父さんが素材は丸ごとで仕入れる人だったから、私達は三人でお父さんと、大倉亭の料理長になった、キンゾウさんに習いました」
「キンゾウって言う料理人の腕は良かったのか?」
「お父さんが殆ど調理場の事は任せてたし、良い職人さんだと思います」
「そうか、じゃぁ負けない様な料理を作らないとな」
俺はゴートカウを解体して、枝肉にその場で分けて行った。
ネック、ロース、ヒレ、モモ、アバラ、ランプ、テイル、スネ。
肉の部位を並べてみる。
食べやすくて美味しいのは、ロースとヒレなのは言うまでもない。
だが、今回主に使うのは、アバラ肉だな。
カルビとも呼ばれるこの部分を骨付き状態で提供するトマホークステーキを今回の目玉商品として、提案する事にした。
昨日、バイキングの食堂で食事に行った時にキッチンカウンターに大きな鉄板があったのを確認していた事もある。
風見鶏亭では、料理の提供方法がバイキング形式なので、単価の高いロースやヒレを使うのは、利益率を考えると最良の選択とは言えないからだ。
あばらの部分を除いた他の枝肉は、ギルドに売る為に魔法の鞄に収納する。
後は内臓系だ。
今回は内臓も大事だ。
特に小腸、これを丁寧に洗って使う予定だ。
この世界では、内臓系の肉はとても安く取引されるのでお薦めなんだ。
きちんと処理をすれば、筋肉部分と同じように美味しく食べる事が出来る。
もう一つはタンだな。
舌の部分だが、ここもとても美味しい。
魔物肉は、普通に畜産で育てられる肉に比べると高価なイメージもあるし、実際に同じ部位で比べれば、値段が3倍ほども違うので、客から見た場合も豪勢なイメージを持ってもらえる筈だしな。
早速俺が思いついた料理を、ミーチェ達三人に食べて貰った。
「どうだ? 美味いだろ」
「「「うん」」」
「凄いです、どれも滅茶苦茶美味しいです。見た目も華やかだしこれをバイキングのメインにするって事ですよね?」
「そうだ。折角叔父さん達が考えた、バイキングのシステム自体は尊重して、その中で話題になる程美味しい料理を、調理技術にあまり左右されない形で提供する。これが、今回の大事なポイントだ」
「私、叔父さん達を説得して見ますね」
「それが一番大事だ。本人達がやる気にならないと、考えても無駄になるだけだからな」
繊細な味付けや盛り付けを得意とする、アケボノ料理が得意な料理人に対して、技術も経験も足らない状態で勝負をする風見鶏亭が、同じ分野で挑んでも勝負にならないので、この選択に間違いはないと思う。
よし、準備は完了だな。
この日狩った、魔物をギルドに納品に行くと金貨10枚ほどになった。
「あれ? 聞いてたより買取が高くない?」
「処理が完璧で、状態がとても良いのでこの値段での買取になります。出来れば今後も継続して納品して欲しいですね」
「そうか、この街に居る間は頑張るよ」
そう伝えて、宿へと戻った。
宿に戻ると、フィルも戻って来ていた。
「鎧と剣は売って来たよ。オークションを勧められたけど、商業ギルドに買い取って貰っちゃった。全部で金貨1000枚になったわ。その後でこの地方の特産品とか調べて来たよ」
「ありがとう。いいものは在ったかい?」
「うん。この地域は酪農が中心だから、チーズやバターは良い物が揃ってるわね」
「やっぱりそうか。そっちは朝食で利用できそうだな」
その日の夕食は、宿のおかみさんの用意してくれた、この地方の家庭料理を中心にした献立をいただいた。
素朴だが落ち着く悪くない料理だった。
気取って無い所がいい。
これなら十分に勝負になるな。
1
お気に入りに追加
1,742
あなたにおすすめの小説
「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。
チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。
なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!
こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。
※注:すべてわかった上で自重してません。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
家族で異世界転生!!
arice
ファンタジー
普通の高校生が神のミスで死亡し異世界へ
シリアス?あるわけ無い!
ギャグ?面白い訳が無い!
テンプレ?ぶっ壊してやる!
テンプレ破壊ワールドで無双するかもしれない主人公をよろしく!
------------------------------------------
縦書きの方が、文章がスッキリして読みやすいと思うので縦書きで読むことをお勧めします。
エブリスタから、移行した作品でございます!
読みやすいようにはしますが、いかんせん文章力が欠如してるので読みにくいかもです。
エブリスタ用で書いたので、短めにはなりますが楽しんで頂ければ幸いです。
挿絵等、書いてくれると嬉しいです!挿絵、表紙、応援イラストなどはこちらまで→@Alpha_arice
フォロー等もお願いします!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す
大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる