上 下
13 / 22

第13話

しおりを挟む
 その晩アゲハはサンドラと明日の対応策を話していた。
「アゲハ様がセレブリティのオーナーである事は当然秘密のまま話を、お薦めしたらいいのですね」
「そうそう、うちのアダムとギャバンを他国からお忍びで遊びに来てる高貴な人って設定で、客として入れておくからね」

「あの? 爵位詐称はバレれば一発処刑事項だったと思いますが?」
「ん? 詐称なんてしないよー高貴な人って言うだけだし、勝手に勘違いして貰うだけだから」

「研修の時にセレブリティのマネージャーに相手の身分や職業を聞くのは、最も失礼な事だから、絶対にそう言う会話をしてはいけないと、徹底して貰うしね」
「成程ぉアゲハ様は本当に悪だくみをされる時のお顔が楽しそうでございますね」

「サンドラもね!」


 ◇◆◇◆ 


 翌日、サンドラがセブンスショップ質屋で待ち構えていると、大きな荷物を持ったミザリーがやって来た。
「ここのお店で使わないドレスやアクセサリーを買い取るって聞いたけど、間違いないわね?」
「いらっしゃいませお嬢様。随分沢山お持ちになられたんですね。そんな時はお申し付けくだされば、お買い上げに伺いますのに」


「あら? あなた、アゲハの専属侍女だった方じゃ無い?」
「はい、そうでございますが、お会いした事は御座いましたでしょうか?」

「私はコールマン男爵家のミザリーです」
「あ、アストラル家の時期伯爵様の奥方のミザリー様でございますか?」

「そ、それはちょっと問題があって今は男爵家に戻ったの、お陰で自由になるお金が足らなくてね、殆ど着て無いドレスばかりだから、高く買ってちょうだい」
「そうでございましたか、アゲハお嬢様はミザリー様に感謝されてましたよ?」

「そうなの?」
「あんなクズ男と結婚なんて絶対嫌だと、ずっと仰ってましたから……」

「ふーん…… ちょっと小耳に挟んだんですが、ここはセレブリティと繋がりがある様に伺ってますけど本当かしら?」
「はい、確かにこちらのお店から衣装などをお買い求めいただいている関係上、仲良くお付き合いさせて頂いておりますわ」

「ねぇ、私を紹介して貰えない?」
「セレブリティで働かれるおつもりですか?」

「そうよ、あそこが今一番有力貴族と縁を作れる場所だと聞いてるからね、うちの男爵家では相手にされない程だから」
「そうなんですか、でも亜人差別や、平民差別に関しては凄く厳しいと言われてますが、ミザリー様はその辺りはいかがでしょうか?」

「結婚相手を見つけるまでの腰かけだから、それぐらいの間は表面上我慢するわよ」
「我慢…… ですか?」

「そうね、獣人なんかと同じ扱いをされるとか、反吐が出そうですけど、それは全然普通の事でしょ?」
「そうですか…… 一応セレブリティのマネージャーには今日にでも話を伝えておきますから、お返事は明日のこれくらいの時間に、聞きに来てください」

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました

八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」 子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。 失意のどん底に突き落とされたソフィ。 しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに! 一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。 エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。 なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。 焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

聖女の力は使いたくありません!

三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。 ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの? 昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに! どうしてこうなったのか、誰か教えて! ※アルファポリスのみの公開です。

婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。

久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」  煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。  その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。  だったら良いでしょう。  私が綺麗に断罪して魅せますわ!  令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?

モブ公爵令嬢は婚約破棄を抗えない

家紋武範
恋愛
公爵令嬢であるモブ・ギャラリーは、王太子クロード・フォーンより婚約破棄をされてしまった。 夜会の注目は一斉にモブ嬢へと向かうがモブ嬢には心当たりがない。 王太子の後ろに控えるのは美貌麗しいピンクブロンドの男爵令嬢。 モブ嬢は自分が陥れられたことに気づいた──。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

処理中です...