6 / 110
第6話 取り敢えず戻れたぜ
しおりを挟む
ギルドを出たマリアと俺は、マリアの住む家へと向かった。
街の中でも一番外側の壁沿いに建つ粗末な家だったが、部屋の中は片付いていた。
俺は「また来る」と挨拶してマリアの家から出た。
当然その場に流れた音は「ニャァニャ」だったがな……
首からプレートを外すと、インベントリにしまい自分が現れた自宅へと戻った。
覚えて置いた石造りの家を見つけ、側に近づくと俺の出て来た木造の家が姿を現した。
窓から中へ入り、部屋の奥の青いドアを開くと、真っ暗な部屋へと入って行く。
そのまま部屋の中心部に辿り着くと部屋に灯りがともった。
自分の姿を確認すると、一息ついた。
「良かった無事に人間に戻れたぜ」
魔石をこの魔法陣の真ん中に置くんだったな。
獲物から取り出して無いが、死体事置いても良いのかな?
そう思ってインベントリから魔物を取り出そうとすると、脳裏にインベントリの情報が表示され、魔石、皮、肉、骨、牙、内臓と別れて表示された。
「何これ、メッチャ優秀じゃん解体の手間いらずなんだな」
それなら魔石だけで良いなと思い、20体ほどの魔物の魔石だけを、魔法陣の中へと取り出して置いた。
すると魔法陣が明滅し、総司爺ちゃんが姿を現した。
「どうじゃったかの? 異世界は」
「ああ、思った通りの世界だったな。楽しかったぜ」
「そうか、それは何よりじゃ。では今日の報酬を払おう。魔石1kg分じゃな10万円分の金塊で渡したい所じゃが、それだと売りに行って税金など取られるのが馬鹿らしいじゃろ? わしの方で換金しておいたから札で渡すな。それと向こうの世界で身に付けた能力じゃが、こっちの世界でも使えるが、ステータスが上がっておるからこっちの世界ではあまり目立ったことをするなよ?」
「爺ちゃん結構いい額で買って貰えるんだな。これなら頑張りがいもあるぜ」
「向こうの世界で何か困った事は無かったか?」
「ああ、あったぜ何を喋っても『ニャァ』としか聞こえないから会話が出来ない事かな」
「お前は向こうでは猫だったのか?」
「ああ、爺ちゃんの陰謀とかじゃ無いのか?」
「儂には選ぶ事は出来ん。そうかそれでは不便も多かろう。信用できる人間とは知り合えたか?」
「ああ、一人だけな」
「十分じゃ、それでは念話器を作って置こう。次に異世界に向かう時に渡してやろう。言っておらんかったが、こっちに戻ると24時間は向こうの世界へは行けないからの。明日以降に又訪れるが良い」
「爺ちゃん。因みに他の人間はここを通る事は出来るのか?」
「お主と手をつないだ状態であればな」
「そうか、一人だとここに辿り着く事は出来ないんだな?」
「うむ」
「安心したぜ」
「魔石をもっと大量に集めれば、色々と便利な魔導具を作ることも出来るし、わし自身が異世界へ渡って賢者としての姿を取り戻す事も出来るようになる。頑張れよ馬鹿孫」
「こっちの世界へは出て来れるのか?」
「それはせぬ方が良かろう。ではまた明日な」
◇◆◇◆
階段を上って倉庫に戻ると床板を元に戻して、部屋へと戻った。
向こうの世界では鏡を一度も見かけなかったが、無いのかな?
それとも、超高級品で貴族の屋敷とかに行かないと見かけないとかかな?
資金も出来たし、向こうの家に持って行く鏡でも買っておくかと思って、家具屋へ行って、全身鏡を買っておいた。
マリアの家にも持って行ってやろうと思い2つ買っておいたぜ。
家に戻ると早速今日の出来事を、そのまま物語に仕立てて新作小説を執筆した。
出来事を思い出すだけだから筆が進むぜ。
投稿を終えると眠りについた。
翌日の朝になり「24時間後か……戻って来たのは15時位だから、まだ行けないな」
異世界での冒険に行きたくてむずむずするぜ。
しょうがないから、朝食を取ろうと思い近所のファミレスへと向かい、スマホで昨晩投稿した自分の小説のアクセスを確認してみた。
ぇ? 初日で5000PVを超えていた。
ブクマも100件を超えている。
これならランキングに乗ってるんじゃないか?
そう思って、サイトトップからランキングページを確認すると、日刊で50位にランクインしていた。
これは伸びるぞ! 昨日は2,500文字ほどの文章を3話分アップしたし、今日からは毎日朝の6時と夕方の18時の更新で行こうかな?
昨日のうちに7話までは書き進めているし、きっとそれなら大丈夫な筈だ。
スマホを操作しながら、予約投稿をしておいたぜ。
因みに今回のペンネームは向こうの世界での俺の名前、『テネブル』にしたぜ。
◇◆◇◆
15時までは昨日の倉庫の片づけで出たごみなどを、市の収集所に運んだり、レンタカーを返して来たりで過した。
当初の予定通りに俺の大事なバイクを倉庫に入れる。
このバイクは『カワサキZ400GP』もう40年近く昔のバイクだが、離婚した後に購入した唯一の高額品だ。
高校生時代に一時期乗ってたモデルを探し出して、再び手に入れたんだ。
その当時でも12年落ちだったな……
新車当時は50万円程の値段だった筈だが、今は状態の良い物はプレミアがついて100万円以上はする。
このメーカーらしいゴツゴツした硬派なイメージの最後のモデルだな。
ウインカーが大きめなのと、ヘッドライトが角目だった事を除けば、ほぼ俺の好み通りだった。
当然俺は、ヘッドライトはメッキの丸目に交換して、ウインカーも小振りのロケット型に変えている。
アルミ製のホイールは赤く塗装がされていて、中々セクシーな感じだ
ビートのバックステップとクランクケースカバーとアルフィンカバー、モリワキの4in1のショート菅を装着したマイルドないじり方だけど、前垂れ風防や絞りハンドル、三段シートを付けると普段乗りでは流石に使えないから、まぁこの程度で丁度いい。
時間も15時になったので、やっと異世界へ行く事が出来るな。
さぁ今日はどんな冒険が待っている。
街の中でも一番外側の壁沿いに建つ粗末な家だったが、部屋の中は片付いていた。
俺は「また来る」と挨拶してマリアの家から出た。
当然その場に流れた音は「ニャァニャ」だったがな……
首からプレートを外すと、インベントリにしまい自分が現れた自宅へと戻った。
覚えて置いた石造りの家を見つけ、側に近づくと俺の出て来た木造の家が姿を現した。
窓から中へ入り、部屋の奥の青いドアを開くと、真っ暗な部屋へと入って行く。
そのまま部屋の中心部に辿り着くと部屋に灯りがともった。
自分の姿を確認すると、一息ついた。
「良かった無事に人間に戻れたぜ」
魔石をこの魔法陣の真ん中に置くんだったな。
獲物から取り出して無いが、死体事置いても良いのかな?
そう思ってインベントリから魔物を取り出そうとすると、脳裏にインベントリの情報が表示され、魔石、皮、肉、骨、牙、内臓と別れて表示された。
「何これ、メッチャ優秀じゃん解体の手間いらずなんだな」
それなら魔石だけで良いなと思い、20体ほどの魔物の魔石だけを、魔法陣の中へと取り出して置いた。
すると魔法陣が明滅し、総司爺ちゃんが姿を現した。
「どうじゃったかの? 異世界は」
「ああ、思った通りの世界だったな。楽しかったぜ」
「そうか、それは何よりじゃ。では今日の報酬を払おう。魔石1kg分じゃな10万円分の金塊で渡したい所じゃが、それだと売りに行って税金など取られるのが馬鹿らしいじゃろ? わしの方で換金しておいたから札で渡すな。それと向こうの世界で身に付けた能力じゃが、こっちの世界でも使えるが、ステータスが上がっておるからこっちの世界ではあまり目立ったことをするなよ?」
「爺ちゃん結構いい額で買って貰えるんだな。これなら頑張りがいもあるぜ」
「向こうの世界で何か困った事は無かったか?」
「ああ、あったぜ何を喋っても『ニャァ』としか聞こえないから会話が出来ない事かな」
「お前は向こうでは猫だったのか?」
「ああ、爺ちゃんの陰謀とかじゃ無いのか?」
「儂には選ぶ事は出来ん。そうかそれでは不便も多かろう。信用できる人間とは知り合えたか?」
「ああ、一人だけな」
「十分じゃ、それでは念話器を作って置こう。次に異世界に向かう時に渡してやろう。言っておらんかったが、こっちに戻ると24時間は向こうの世界へは行けないからの。明日以降に又訪れるが良い」
「爺ちゃん。因みに他の人間はここを通る事は出来るのか?」
「お主と手をつないだ状態であればな」
「そうか、一人だとここに辿り着く事は出来ないんだな?」
「うむ」
「安心したぜ」
「魔石をもっと大量に集めれば、色々と便利な魔導具を作ることも出来るし、わし自身が異世界へ渡って賢者としての姿を取り戻す事も出来るようになる。頑張れよ馬鹿孫」
「こっちの世界へは出て来れるのか?」
「それはせぬ方が良かろう。ではまた明日な」
◇◆◇◆
階段を上って倉庫に戻ると床板を元に戻して、部屋へと戻った。
向こうの世界では鏡を一度も見かけなかったが、無いのかな?
それとも、超高級品で貴族の屋敷とかに行かないと見かけないとかかな?
資金も出来たし、向こうの家に持って行く鏡でも買っておくかと思って、家具屋へ行って、全身鏡を買っておいた。
マリアの家にも持って行ってやろうと思い2つ買っておいたぜ。
家に戻ると早速今日の出来事を、そのまま物語に仕立てて新作小説を執筆した。
出来事を思い出すだけだから筆が進むぜ。
投稿を終えると眠りについた。
翌日の朝になり「24時間後か……戻って来たのは15時位だから、まだ行けないな」
異世界での冒険に行きたくてむずむずするぜ。
しょうがないから、朝食を取ろうと思い近所のファミレスへと向かい、スマホで昨晩投稿した自分の小説のアクセスを確認してみた。
ぇ? 初日で5000PVを超えていた。
ブクマも100件を超えている。
これならランキングに乗ってるんじゃないか?
そう思って、サイトトップからランキングページを確認すると、日刊で50位にランクインしていた。
これは伸びるぞ! 昨日は2,500文字ほどの文章を3話分アップしたし、今日からは毎日朝の6時と夕方の18時の更新で行こうかな?
昨日のうちに7話までは書き進めているし、きっとそれなら大丈夫な筈だ。
スマホを操作しながら、予約投稿をしておいたぜ。
因みに今回のペンネームは向こうの世界での俺の名前、『テネブル』にしたぜ。
◇◆◇◆
15時までは昨日の倉庫の片づけで出たごみなどを、市の収集所に運んだり、レンタカーを返して来たりで過した。
当初の予定通りに俺の大事なバイクを倉庫に入れる。
このバイクは『カワサキZ400GP』もう40年近く昔のバイクだが、離婚した後に購入した唯一の高額品だ。
高校生時代に一時期乗ってたモデルを探し出して、再び手に入れたんだ。
その当時でも12年落ちだったな……
新車当時は50万円程の値段だった筈だが、今は状態の良い物はプレミアがついて100万円以上はする。
このメーカーらしいゴツゴツした硬派なイメージの最後のモデルだな。
ウインカーが大きめなのと、ヘッドライトが角目だった事を除けば、ほぼ俺の好み通りだった。
当然俺は、ヘッドライトはメッキの丸目に交換して、ウインカーも小振りのロケット型に変えている。
アルミ製のホイールは赤く塗装がされていて、中々セクシーな感じだ
ビートのバックステップとクランクケースカバーとアルフィンカバー、モリワキの4in1のショート菅を装着したマイルドないじり方だけど、前垂れ風防や絞りハンドル、三段シートを付けると普段乗りでは流石に使えないから、まぁこの程度で丁度いい。
時間も15時になったので、やっと異世界へ行く事が出来るな。
さぁ今日はどんな冒険が待っている。
10
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる