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第83話 剣道部の見学
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朝のちょっとしたイベントをこなした俺達は、教室に着き遊真も合流して先程の出来事を話していた。
「でもさ、普通に歩いて登校してくるとこれからも色々トラブルに巻き込まれないか?」
「うーん。まぁ可能性は無いけど1㎞程度の距離を毎日送り迎え付きって言う訳にも行かないしな。出来るだけ普通の高校生活送りたいからな」
「存在が普通じゃ無いからなぁ…… まぁきっと翔なら何があっても乗り切れるだろうけど、あんまり週刊誌ネタにならないようにな?」
「ああ、一応気を付けるよ」
その日はまだオリエンテーション等が中心で、授業も無く校内施設の案内とか、部活動の説明で一日が終わった。
放課後になり、俺は香織と一緒に剣道部の柳生先生の元を訪れて、先輩たちにも挨拶をさせて貰った。
この高校の体育会系の部活は、どの運動部も全国レベルの実力があり、この剣道部も当然の様に全国レベルの選手を抱えている。
「先輩方、よろしくお願いします。中々顔を出す事が出来ないかも知れませんが、時間の取れる時は稽古をつけて頂ければと思います」
俺は香織と一緒に、無難に挨拶はしておいたぜ。
こと剣道と言う競技に関しては、香織は小学校3年生から中学校卒業まで学年別でずっと女子チャンピオンで有り続けた存在だ。
当然の様に周りの目も憧れに近いものがあった。
俺なんかは剣道としてはまだまだ全然めちゃくちゃだからね。
素振りだけは、やっと香織の爺ちゃんに合格点を貰えるようになったけどね。
特待組の1年生部員はもう既に練習にも参加していて、気合の入った素振りをしていた。
何だか、香織の目つきが鋭くなってる。
「香織今日はレッスンは5時からだろ? 1時間だけの参加でも構わないか聞いて見ようか?」
「うん!」
柳生先生と、部長の沖田さんと言う先輩に「1時間だけ参加させていただけませんか?」
とお願いをしてみたら、快くOKをして貰った。
自分の防具や竹刀は持ってきてなかったから、体験入部用の汗がこびりついて固まった様な防具を借りたけど、これやばいよね……
道着は流石に洗濯がしてあったので安心したけど、籠手が特にやばいぜ、手を入れるとぬるっとした感触がした……
香織の方も同じような感じだったみたいで、顔が少し引き攣ってた。
「翔君、防具と道着は一式そろえて持ってきておこうね……」
「ああ、マジックバッグとかに入れて置いても良いかもな? 早着替え出来そうだし」
「人目が全くないことが条件だとそれは難しいと思うよ?」
「そっか」
取り敢えず着替えて、道場に礼をして入って行くと、柳生先生が声を掛けてくれて、2年生と3年生の団体戦のレギュラーメンバーの人と、俺と香織が試合形式で実力を見せてもらう事になった。
当然俺は男子と、香織は女子とだよ。
「高校生からは突き技があるから、そこに気を付けろよ?」
と、柳生先生が言ってくれたけど、俺は異世界では殺傷目的の剣を振るってたから、突きが基本だよ?
5人の先輩方を相手に一本も取られず、全員に勝利をしたぜ!
香織の方も一本も取られずに決着がついていた。
「凄いわ、高校生の全国レベルの強豪を相手にストレート勝ちとか。一緒に鍛錬をするだけでその強さに辿り着けるの?」
そう聞いて来たのは、女子の部長で如月さんと言う先輩だった。
「えーと、先輩、私、家が道場してて友達と遊ぶ時間も欲しかったから、小学生の時からずっと朝の4時から2時間はみっちり稽古してたので……」
「そうなのね、今もしてるの?」
「あ、はい」
「ねぇ、しばらくの間私もその朝の4時から2時間一緒に稽古させて貰っても良いかな?」
「ぇ……」
「駄目かな?」
「一応借りてる所だから、大家さんの許可を貰わないと駄目かなって?」
「香織ちゃんいいよ、如月先輩だけですよね?」
朝の4時からと言う話だったので、他の先輩方は流石に誰も手を上げなかった。
「って……大家さんって、松尾君なの?」
「あ、まぁ一応」
「凄いね高校生にして、大家さんとか…… え? まさか一緒に住んでるとかじゃ無いよね」
「いえ、それは違いますよ。香織は一人暮らしですよ?」
「そうなんだ。じゃぁこの後ちょっと場所の確認もかねて、一緒に着いて行っても良いかな?」
「あ、はい。でも今日はこの後、香織はレッスンとか予定があるから、今日は本当に場所案内するだけになりますよ?」
「うん。全然構わないよ。柳生先生そう言う事なので、今日は早退させて貰っても構いませんか?」
「あ、ああ。如月朝4時とか大丈夫なのか?」
「箕輪さんや松尾君のレベルの強さが手に入る可能性があるなら、何でも取り組みたいんです」
「私も、素振り以外の稽古が出来るのは嬉しいですし、よろしくお願いします。如月先輩」
その後は、3人で歩いて帰り家の場所を案内した。
家に到着すると、如月さんがびっくりしたように聞いて来た。
「ちょっと、箕輪さん? この新築のタワーマンションが、松尾君の持ち物って事なの?」
「あ、えっと、そうですね。でも名義は法人名義だから、翔君個人のって事では無いので一応他の人には、あまり言って欲しくは無いかもです」
「うん。まぁ解ったよ。道場ってどこにあるの?」
「4階です。見ますか? えーと、ここは住人以外が入る時は、4階までは普通にエレベーターのボタンが押せますけど、5階以上はカードキーが無いとエレベーターの階数選択も出来ないんですよね。一応マンションのコンシェルジュが24時間体制で居るので、解らない事とか有ったら聞いて下さいね」
「何から何まで凄いね……びっくりだよ」
「ここが道場です」
4階に案内して広い道場と、マンション住人用のトレーニング設備などを見て又びっくりしてた。
「4階までは普通に上がれるんじゃ、このトレーニング施設って他の人も入れちゃったりしないの?」
「ドアが住人用のカードキーが無いと開かないですし、一応下のスポーツジムからトレーナーが24時間体制で、誰か来ていますので心配は無いです。道場も私の実家から師範代の人が来て、箕輪流剣術道場の東京支店みたいな感じで、来月から運営する事になってます」
「そうなんだね……もう色々びっくりしすぎちゃって、お腹いっぱいだよ。それじゃぁ明日の朝から寄らせて貰うね」
「はい、先輩こちらこそお願いします」
「香織もそろそろレッスンだろ? 俺は少し下のプールに泳ぎに行くから、もう行くねレッスン頑張ってね。先輩もこれからよろしくお願いします!」
そう言って別れてスポーツジムの方に顔を出すと、丁度所長が居て声を掛けて来た。
「松尾君。またよろしく頼むね。プールはいつでも使える様にしてあるからな」
「お久しぶりです。どうなんですか? スポーツジムの会員数とかは?」
「ああ。募集からわずか一週間で、予定会員数を超えちゃって大盛況だよ。特にさ、加山さんのボクシングジムとのコラボで始めるボクササイズなんかは、健人君もこっちに常駐するってなってるから、問い合わせが凄くてね。松尾君が定期的に顔を覗かせるなら、もっと凄い事になりそうだよ」
「それは良かったですね。俺も今年は結構ボクシングに力入れたいから、居る事が多いと思いますよ」
「そうか、プールにも出来るだけ顔を出してくれよ? 会員の女性達が大喜びするから」
「ちなみに……女性達の平均年齢ってどうなんですか?」
「ここは都内の一等地だし、決して会費も安くは無いから、年齢層も若干高めだね」
「そ、そうですか。ちょっと怖いな……」
1時間程プールで泳ぎ、マダム達の熱い視線を浴びながら、スポーツジムを後にした。
美緒から連絡が入り、「今からちょっと来れるかな?」と聞かれたので、転移で『Hope Land』へ顔を出すと、アメリカからの支援も始まりったので、この国の政府が『Hope Land』の敷地としては、初期の10倍の面積になる区間を、売ってくれる事になり、その区域の全体的な構想を決めたいという話しだった。
範囲としては、東西40㎞、南北100㎞にも及ぶ広大な土地だ。
この中央アフリカの国からも、『Hope Land』特別行政州として指定され、あらゆる面で優遇される事になっている。
日本で言うと平均的な県の広さよりも広い感じだよね。
一番困るのは、勝手に反政府組織なんかに入り込まれる事が心配されるから、取り敢えずは外枠になる外周部分だけは取り囲む事を決め、州法として『Hope Land』の運営組織の許可なく勝手に敷地内に入り込んだ場合は、拘束をされることを発表して貰う事にした。
この国における州と言うのは、権限的には殆ど国と言っても間違いない程に自由度が高く、国税さえ納めれば、法律なども好きに制定出来る様な内容だった。
「美緒? 流石に俺は国の運営なんか解らないからね? 難民の人達を守って上げれる様に一番いい方法を、リンダとナーシャとマリアンヌと美緒で大体のことを決めて貰って、法律的な問題などはリンダ経由でアメリカに協力して貰うのが良いんじゃないかな?」と、伝えた。
「解ったわ。私も流石にここまで大きな範囲になるとか思って無かったしね。ちょっとリンダに色々相談してみるよ」
こっちも色々忙しくなりそうだよね!
「でもさ、普通に歩いて登校してくるとこれからも色々トラブルに巻き込まれないか?」
「うーん。まぁ可能性は無いけど1㎞程度の距離を毎日送り迎え付きって言う訳にも行かないしな。出来るだけ普通の高校生活送りたいからな」
「存在が普通じゃ無いからなぁ…… まぁきっと翔なら何があっても乗り切れるだろうけど、あんまり週刊誌ネタにならないようにな?」
「ああ、一応気を付けるよ」
その日はまだオリエンテーション等が中心で、授業も無く校内施設の案内とか、部活動の説明で一日が終わった。
放課後になり、俺は香織と一緒に剣道部の柳生先生の元を訪れて、先輩たちにも挨拶をさせて貰った。
この高校の体育会系の部活は、どの運動部も全国レベルの実力があり、この剣道部も当然の様に全国レベルの選手を抱えている。
「先輩方、よろしくお願いします。中々顔を出す事が出来ないかも知れませんが、時間の取れる時は稽古をつけて頂ければと思います」
俺は香織と一緒に、無難に挨拶はしておいたぜ。
こと剣道と言う競技に関しては、香織は小学校3年生から中学校卒業まで学年別でずっと女子チャンピオンで有り続けた存在だ。
当然の様に周りの目も憧れに近いものがあった。
俺なんかは剣道としてはまだまだ全然めちゃくちゃだからね。
素振りだけは、やっと香織の爺ちゃんに合格点を貰えるようになったけどね。
特待組の1年生部員はもう既に練習にも参加していて、気合の入った素振りをしていた。
何だか、香織の目つきが鋭くなってる。
「香織今日はレッスンは5時からだろ? 1時間だけの参加でも構わないか聞いて見ようか?」
「うん!」
柳生先生と、部長の沖田さんと言う先輩に「1時間だけ参加させていただけませんか?」
とお願いをしてみたら、快くOKをして貰った。
自分の防具や竹刀は持ってきてなかったから、体験入部用の汗がこびりついて固まった様な防具を借りたけど、これやばいよね……
道着は流石に洗濯がしてあったので安心したけど、籠手が特にやばいぜ、手を入れるとぬるっとした感触がした……
香織の方も同じような感じだったみたいで、顔が少し引き攣ってた。
「翔君、防具と道着は一式そろえて持ってきておこうね……」
「ああ、マジックバッグとかに入れて置いても良いかもな? 早着替え出来そうだし」
「人目が全くないことが条件だとそれは難しいと思うよ?」
「そっか」
取り敢えず着替えて、道場に礼をして入って行くと、柳生先生が声を掛けてくれて、2年生と3年生の団体戦のレギュラーメンバーの人と、俺と香織が試合形式で実力を見せてもらう事になった。
当然俺は男子と、香織は女子とだよ。
「高校生からは突き技があるから、そこに気を付けろよ?」
と、柳生先生が言ってくれたけど、俺は異世界では殺傷目的の剣を振るってたから、突きが基本だよ?
5人の先輩方を相手に一本も取られず、全員に勝利をしたぜ!
香織の方も一本も取られずに決着がついていた。
「凄いわ、高校生の全国レベルの強豪を相手にストレート勝ちとか。一緒に鍛錬をするだけでその強さに辿り着けるの?」
そう聞いて来たのは、女子の部長で如月さんと言う先輩だった。
「えーと、先輩、私、家が道場してて友達と遊ぶ時間も欲しかったから、小学生の時からずっと朝の4時から2時間はみっちり稽古してたので……」
「そうなのね、今もしてるの?」
「あ、はい」
「ねぇ、しばらくの間私もその朝の4時から2時間一緒に稽古させて貰っても良いかな?」
「ぇ……」
「駄目かな?」
「一応借りてる所だから、大家さんの許可を貰わないと駄目かなって?」
「香織ちゃんいいよ、如月先輩だけですよね?」
朝の4時からと言う話だったので、他の先輩方は流石に誰も手を上げなかった。
「って……大家さんって、松尾君なの?」
「あ、まぁ一応」
「凄いね高校生にして、大家さんとか…… え? まさか一緒に住んでるとかじゃ無いよね」
「いえ、それは違いますよ。香織は一人暮らしですよ?」
「そうなんだ。じゃぁこの後ちょっと場所の確認もかねて、一緒に着いて行っても良いかな?」
「あ、はい。でも今日はこの後、香織はレッスンとか予定があるから、今日は本当に場所案内するだけになりますよ?」
「うん。全然構わないよ。柳生先生そう言う事なので、今日は早退させて貰っても構いませんか?」
「あ、ああ。如月朝4時とか大丈夫なのか?」
「箕輪さんや松尾君のレベルの強さが手に入る可能性があるなら、何でも取り組みたいんです」
「私も、素振り以外の稽古が出来るのは嬉しいですし、よろしくお願いします。如月先輩」
その後は、3人で歩いて帰り家の場所を案内した。
家に到着すると、如月さんがびっくりしたように聞いて来た。
「ちょっと、箕輪さん? この新築のタワーマンションが、松尾君の持ち物って事なの?」
「あ、えっと、そうですね。でも名義は法人名義だから、翔君個人のって事では無いので一応他の人には、あまり言って欲しくは無いかもです」
「うん。まぁ解ったよ。道場ってどこにあるの?」
「4階です。見ますか? えーと、ここは住人以外が入る時は、4階までは普通にエレベーターのボタンが押せますけど、5階以上はカードキーが無いとエレベーターの階数選択も出来ないんですよね。一応マンションのコンシェルジュが24時間体制で居るので、解らない事とか有ったら聞いて下さいね」
「何から何まで凄いね……びっくりだよ」
「ここが道場です」
4階に案内して広い道場と、マンション住人用のトレーニング設備などを見て又びっくりしてた。
「4階までは普通に上がれるんじゃ、このトレーニング施設って他の人も入れちゃったりしないの?」
「ドアが住人用のカードキーが無いと開かないですし、一応下のスポーツジムからトレーナーが24時間体制で、誰か来ていますので心配は無いです。道場も私の実家から師範代の人が来て、箕輪流剣術道場の東京支店みたいな感じで、来月から運営する事になってます」
「そうなんだね……もう色々びっくりしすぎちゃって、お腹いっぱいだよ。それじゃぁ明日の朝から寄らせて貰うね」
「はい、先輩こちらこそお願いします」
「香織もそろそろレッスンだろ? 俺は少し下のプールに泳ぎに行くから、もう行くねレッスン頑張ってね。先輩もこれからよろしくお願いします!」
そう言って別れてスポーツジムの方に顔を出すと、丁度所長が居て声を掛けて来た。
「松尾君。またよろしく頼むね。プールはいつでも使える様にしてあるからな」
「お久しぶりです。どうなんですか? スポーツジムの会員数とかは?」
「ああ。募集からわずか一週間で、予定会員数を超えちゃって大盛況だよ。特にさ、加山さんのボクシングジムとのコラボで始めるボクササイズなんかは、健人君もこっちに常駐するってなってるから、問い合わせが凄くてね。松尾君が定期的に顔を覗かせるなら、もっと凄い事になりそうだよ」
「それは良かったですね。俺も今年は結構ボクシングに力入れたいから、居る事が多いと思いますよ」
「そうか、プールにも出来るだけ顔を出してくれよ? 会員の女性達が大喜びするから」
「ちなみに……女性達の平均年齢ってどうなんですか?」
「ここは都内の一等地だし、決して会費も安くは無いから、年齢層も若干高めだね」
「そ、そうですか。ちょっと怖いな……」
1時間程プールで泳ぎ、マダム達の熱い視線を浴びながら、スポーツジムを後にした。
美緒から連絡が入り、「今からちょっと来れるかな?」と聞かれたので、転移で『Hope Land』へ顔を出すと、アメリカからの支援も始まりったので、この国の政府が『Hope Land』の敷地としては、初期の10倍の面積になる区間を、売ってくれる事になり、その区域の全体的な構想を決めたいという話しだった。
範囲としては、東西40㎞、南北100㎞にも及ぶ広大な土地だ。
この中央アフリカの国からも、『Hope Land』特別行政州として指定され、あらゆる面で優遇される事になっている。
日本で言うと平均的な県の広さよりも広い感じだよね。
一番困るのは、勝手に反政府組織なんかに入り込まれる事が心配されるから、取り敢えずは外枠になる外周部分だけは取り囲む事を決め、州法として『Hope Land』の運営組織の許可なく勝手に敷地内に入り込んだ場合は、拘束をされることを発表して貰う事にした。
この国における州と言うのは、権限的には殆ど国と言っても間違いない程に自由度が高く、国税さえ納めれば、法律なども好きに制定出来る様な内容だった。
「美緒? 流石に俺は国の運営なんか解らないからね? 難民の人達を守って上げれる様に一番いい方法を、リンダとナーシャとマリアンヌと美緒で大体のことを決めて貰って、法律的な問題などはリンダ経由でアメリカに協力して貰うのが良いんじゃないかな?」と、伝えた。
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